未来IT図解 これからのブロックチェーンビジネス

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ブロックチェーンの概要を理解する

本書は、ブロックチェーンの直感的なイメージを共有することを目的として書かれています。技術の進化やブロックチェーンの歴史から始まり、具体的な事例の紹介、そして将来的な展望についてまとめています。図が多く掲載されているため、視覚的な概要の把握ができるようになっています。

森川 夢佑斗 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2018/10/30)、出典:出版社HP

はじめに

本書を手に取られた方で、「ブロックチェーン」という言葉を聞いたことがない方はいないと思います。ところが「ブロックチェーンとはどういった技術ですか?」という問いに、スパッと答えられる方は少ないかもしれません。

というのも、私でさえこの質問にはいつも悩まされています。なぜなら、ブロックチェーン技術には以下の3つの困った点があるからです。

第1に、ブロックチェーンは技術革新がめざましく、状況が目まぐるしく変化してきたという点です。ビットコインとともにブロックチェーン技術が誕生してからたった10年の間に、この技術は試行錯誤をくり返し、多種多様で複雑な技術体系となりつつあります。

第2に、目に見えるモノや実際に使えるサービスとしての体感が欠けている点です。実態として実用に耐えうるレベルに近づいたのはここ数年のことであるにもかかわらず、投機の対象として黎明期から人々の期待を集め取引がくり返されてきたことで、本来あるべきはずの「技術に触れる体験」がごっそり抜け落ちています。

第3に、ブロックチェーン技術全般を視覚的に表現することが難しい点です。ブロックチェーンは暗号技術と経済モデルを組み合わせた仕組みのため、数式や文章で表現することはできてもビジュアルイメージに落とし込むことは困難です。また、ありとあらゆる業界のさまざまなプレイヤーを巻き込んでいくブロックチェーンのエコシステムは、どうしても複雑になってしまいがちです。

本書では、この3つのポイントに注力してみなさんと「ブロックチェーンの直感的イメージ」を共有していきたいと思います。PART1で技術全体の進化と変遷をたどりながら、PART2で具体的な事例をもとにユースケースを解説し、PART3では今後の未来を予測していきます。また、全編を通じてモデル図を多用することで、ブロックチェーンを用いたビジネスモデルを可視化していきます。

本書を通じてブロックチェーンへの理解がより深まり、ビジネスへの活用のヒントとなれば幸甚です。

森川夢佑斗

森川 夢佑斗 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2018/10/30)、出典:出版社HP

INTRODUCTION
ブロックチェーンで世界がこう変わる!

仮想通貨が広く認知され、その基盤となるブロックチェーンも、最近では「世の中を変える」「ビジネスを変える」インパクトを持った技術革新として捉えられるようになり、活用したサービスが登場しています。
本書では、ブロックチェーンの広がりがあなたの生き方にどう影響を与え、何をもたらすかを解説しています。
その中でも、とくに重要なトピックを6つピックアップしました。

P2P通信を用いた分散型のネットワークへ!
お金の流れや価値観が変わる!
最先端技術の活用範囲が広がる!
ビジネスが会社中心から個人中心に!
情報を自分で活用し、多様な暮らしを可能に!
個人間取引のマーケットが活性化する!

P2P通信を用いた分散型のネットワークへ!
従来のコンピューターネットワークは、サービスを提供する中央管理サーバーが存在するクライアントバーシステムでした。しかし、ブロックチェーンではネットワーク上に存在するコンピューターが1対1で直接やり取りするP2Pが基本で、そのシステムを中心としたネットワーク環境が広がっていきます。

お金の流れや価値観が変わる!
ブロックチェーンは金融システム全体に影響を与えます。円やドルなどを中心とするお金の流れがすべてではなくなり、お金をたくさん持つ人が偉いという価値観は薄れていきます。あなた自身が持つデータすべてに資産的価値が認められ、仮想通貨やトークンといった報酬を得られる仕組みが生まれていきます。

最先端技術の活用範囲が広がる!
AIやVR、ドローンなど、注目されている未来の技術はブロックチェーンとの相性が良く、その活用範囲を広げる役割を果たします。これらの技術は大企業が独占的に開発を進めるイメージが強いのですが、資本を持たない個人のアイデアが活かせる環境が整えられ、身近な場面での活用が現実味を帯びてきます。

ビジネスが会社中心から個人中心に!
私たちは「高い給料と安定した暮らしを求めるなら大企業」「一発当てるならベンチャー企業」というような仕事選びをしてきました。しかし、ブロックチェーンは、そもそも「会社に勤める」という常識を覆します。個人の能力や嗜好に基づいて、働き場所はもちろん職種さえも複数選ぶことができるようになります。

情報を自分で活用し多様な暮らしを可能に!
従来のインターネットでは、個人情報や貢献度、人とのつながりに至るまで、あらゆる情報がサービス事業者の手元で管理されてきました。しかし、ブロックチェーンでは、ありとあらゆる情報の所有権が、ユーザーひとりひとりの手元へ戻り、自分の情報を価値として取り扱うことができるようになります。

個人間取引のマーケットが活性化する!
インターネットの普及によって、個人間で行う情報通信とそれを利用した取引は拡大し続けています。ところが、取引が行われる場所を事業者が提供してきたために、中間の手数料などが発生せざるをえませんでした。ブロックチェーンによって、どんな立場の人とでも、手数料を気にせず確実に取引が可能になります。

森川 夢佑斗 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2018/10/30)、出典:出版社HP

目次

ブロックチェーンで世界がこう変わる!

PART1 ブロックチェーンと仮想通貨の今
01 ブロックチェーン誕生までの経緯
02 ビットコインのしくみとブロックチェーンの基本形
03 ビットコイン取引の6つの流れ
04 一方向ハッシュ関数と公開鍵暗号方式
05 トランザクションのブロードキャスト
06 ハッシュ関数を用いた入れ子型のデータ構造
07 ブロックチェーンの基本的な特徴
08 イーサリアムとスマートコントラクト
09 ブロックチェーン上のトークン(代替通貨)
10 スマートコントラクトでトークンを発行する「ICO」
11 DAppsとWeb3.0の到来
12 ブロックチェーン技術の進展と階層化
13 多様化していくブロックチェーン
14 ブロックチェーンを取り巻く問題
15 期待を集める第3世代ブロックチェーン
16 ブロックチェーンを取り巻く世界の規制
17 ブロックチェーンの実用化に向けての動向
[まとめ]ブロックチェーンとはどういうものか
[COLUMN]サトシ・ナカモトとは何者なのか?

PART2 応用されるブロックチェーン
01 ブロックチェーンの活用範囲と分類
02 ブロックチェーンが実現する新たなビジネスと社会
03 金融業界~「資産」が流動化し金融商品化
04 不動産業界~国境を越えた自由な取引
05 動産(アート・貴重品)業界~著作権の証明がオンラインで可能に
06 サプライチェーン(製造・小売・物流業界)~手にするまでの流れがすべて可視化
07 メディア・広告業界~管理者不在で記事公開が可能
08 音楽・コンテンツ業界~不正アップロードを防ぐ
09 娯楽・ゲーム業界~アイテムやキャラクターをゲーム外で売買
10 医療・福祉業界〜データベースの統合によるヘルスケア
11 人材採用業界~学歴や職歴の公共データベース化
12 エネルギー業界~スマートコントラクトでP2P取引
13 官公庁~分散型の公証プラットフォーム
14 気象・環境業界(ビッグデータ)~個人や企業の参入により、研究が進む
15 シェアリング業界~ポストAirbnbやUber
16 派遣業界~P2Pでマッチングするクラウドソーシング
[まとめ]ブロックチェーンでビジネスのあり方はどうなるか
[COLUMN]ビットコインで億万長者となったウィンクルボス兄弟の野望

PART3 ブロックチェーンがもたらす未来
01 未来の技術とブロックチェーン
02 AI(人工知能)とブロックチェーン
03 生体認証とブロックチェーン
04 VR(仮想現実)とブロックチェーン
05 ドローン(小型無人機)とブロックチェーン
06 IoTとブロックチェーン
07 インターネットとブロックチェーンの未来
08 ブロックチェーンで変化する個人の行動
09 ブロックチェーンで変化する組織
10 ブロックチェーンで変化する経済圏
11 ブロックチェーンで変化する価値観
12 ブロックチェーンが実現する社会と人々の関係性
13 ブロックチェーンの未来に向けGincoは何をしているか
[まとめ]ブロックチェーンは未来をどう変えるか

補注
索引

森川 夢佑斗 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2018/10/30)、出典:出版社HP