図解入門 最新人工知能がよ~くわかる本 (How-nual図解入門Visual Guide Book)

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人工知能を支える技術と基礎知識を学ぶ

現在の「人工知能」は、ある特定の作業に特化した能力を持っています。本書では、その人工知能を飛躍的に発展させた技術である、機械学習やニューラルネットワークのしくみ、専門用語、活用事例などの新しい情報をわかりやすく解説しています。人工知能の仕組みについて興味がある方向けの本です。

神崎 洋治 (著)
出版社 : 秀和システム (2016/7/5)、出典:出版社HP

はじめに

人間のような知能を持ったコンピュータ、「人工知能」はまだ存在していません。これは汎用型人工知能と呼ばれ、脳科学や神経科学、電子工学など様々な分野から研究が行われていますが、人工知能の誕生までには、まだまだ遠い道のりがあります。
では、新聞やニュースで「○×に人工知能を導入」と書かれているのは、どういうことでしょうか。汎用型人工知能を実現するためには様々な能力をコンピュータで実現し、精度を高めていく必要があります。例えば、人間と会話する能力、人間の言葉で書かれた文章を読解する能力、ものを判別する能力、情報を探す能力、見つけた情報から何かを判断する能力、推論を立てる能力などです。それらの能力のいずれか、またはいくつかの能力がビジネスに活用できるレベルに進化したため、一気に導入が加速しているのです。
進化のきっかけとなったのは「機械学習」、人間の脳の構造を模倣した「ニューラルネットワーク」、深層学習「ディープラーニング」です。この本を手に取った読者の方であれば、どれも聞いたことがあるキーワードばかりだと思います。

人間は、身近にいる猫の存在をいつの間にか理解するようになりますが、今やコンピュータもYouTubeにある膨大な画像データを与えることで、自律的に猫の存在を理解するようになりました。更にパックマンやブロック崩しなど、撃明期にヒットしたテレビゲームなら、人間がルールを教えなくてもコンピュータはプレイしながらやりかたを理解して、上級者よりも高得点をマークするようになります。コンピュータが自分でどんどん学習するところには、凄さと同時にどことなく恐ろしさを感じます。
機械学習やニューラルネットワークによってパターン認識や分析の能力が飛躍的に向上しました。GoogleやAppleだけでなく、FacebookやAmazon、Microsoftも次々に、これらの技術を製品やサービスに導入しています。先行しているIBM Watsonは、がん研究や新薬の開発等、医療分野で成果を上げるなど、既に海外では実績を積み重ねる段階に移行しています。インターネットは情報の宝庫と言われますが、その80%以上は、人間が理解できるもののコンピュータには理解できない「非構造化データ」です。Watsonは、非構造化データを読解して知識として活用する能力に秀でています。これは、人間の言葉を理解し、会話する技術にも通じます。先に挙げたGoogleやAppleなどのIT業界の巨人たちも、人間と会話するコンピュータ技術「会話エンジン」の開発を競っています。これは、会話エンジンが人工知能の開発、スマートフォンやパソコン、ロボット、自動車など、様々なインタフェースに応用できると考えているからです。トヨタ自動車は人工知能技術の研究・開発を行う新会社「Toyota Research Institute」を設立し、スタンフォード大学およびマサチューセッツ工科大学(MIT)と連携して研究することを発表しました。まさにAIとロボットの著名人が名前を連ねたドリームチームで、その予算は5年で約1200億円です。AI開発競争が加速しています。

本書は人工知能の関連技術、特に機械学習やニューラルネットワークのしくみや専門用語、ビジネス活用事例等にフォーカスして、最前線の情報をできるだけわかりやすくまとめました。後半にはIBMやMicrosoft、Googleなど、AI技術の研究を進めるトッププレイヤーたちの状況をまとめ、巻末の「おわりに」では、ディープラーニングの現状の課題にも触れています。人工知能関連技術の理解やビジネス利用を検討する参考になれば幸いです。

執筆にあたっては、日本アイ・ビー・エム、ソフトバンク、日本マイクロソフト、シーエイトラボ、全脳アーキテクチャ・イニシアティブほか、たくさんの人工知能関連企業や団体の方々に資料提供や取材等でご協力頂きましたことに御礼申し上げます。また編集部の皆様にも御礼申し上げます。
なお、本書の内容の一部は、著者がインターネットで連載しているコラム「ロボットの衝撃!」(ロボスタ)で執筆したり、インタービューしたりした記事を引用・再編集して掲載しています。連載コラムではPepperをはじめとしてコミュニケーションロボットやIBM Watson、自動運転車等を中心に最新情報を紹介していますので、興味がある人はそちらも参照してみてください。

神崎洋治の「ロボットの衝撃!」(ロボスタ)
http://robotstart.info/author/kozaki

では、人工知能やニューラルネットワーク等の概要と最前線から解説をはじめます。

2016年6月 神崎洋治

神崎 洋治 (著)
出版社 : 秀和システム (2016/7/5)、出典:出版社HP

図解入門 最新 人工知能がよ~くわかる本
CONTENTS

はじめに

第1章 AI関連技術の最前線~過去から未来までの系譜
1-1 囲碁の勝負で人間を破った人工知能「アルファ碁」
1-2 予想以上に早く進化を遂げた囲碁用Al
1-3 エキスパートシステム
1-4 「IBM Deep Blue」と人間の頭脳戦
1-5 ディープラーニングの導入
1-6 AlphaGoが強力な囲碁AIになるまで
1-7 人工知能ブームとGoogleの猫
1-8 画像認識コンテスト「ILSVRC」でディープラーニングが圧勝
1-9 DeepMindとゲーム用自律学習型汎用AI
1-10 パターンマッチングと識別AI
1-11 強いAIと弱いAI
1-12 チューリングテスト
コラム 中国語の部屋
1-13 シンギュラリティ(技術的特異点)
1-14 トランジスタが人間の脳を超えるとき
1-15 感情を持ったロボットの登場
1-16 知識と知恵の違い、そして知能へ

第2章 AI技術のビジネス活用
2-1 人間と自然に会話するコンピュータ
コラム Amazon EchoとAlexa
2-2 コールセンターのオペレータ支援
2-3 オンラインショッピングサイトでの顧客対応
2-4 コンシェルジュを支援するAIアシスタント
2-5 チャットボットと会話AI
2-6 チャットボット・会話AIの事例
2-7 チャットボットの技術と種類
2-8 人工知能を搭載した会話アプリ
2-9 ロボットのディープラーニング活用法
2-10 フィンテックとAI活用
2-11 犯罪予測システムを市警が導入
2-12 自動運転車の現状と未来
コラム BMWが無人自動駐車機能を搭載
2-13 ヒットを予測するAIシステム
2-14 芸術の領域に進出するAI
2-15 医療分野で活躍するIBM Watson
2-16 IoTとビッグデータ
2-17 未来を委ねる若者たち

第3章 超入門かんたん解説AI関連技術と専門用語
3-1 機械学習と特徴量
3-2 ニューラルネットワークと分類問題
3-3 ニューラルネットワークのしくみ
3-4 ディープラーニング(深層学習)
3-5 教師あり学習と教師なし学習
3-6 強化学習
コラム AlphaGoと強化学習
3-7 バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)
3-8 ニューラルネットワークをもっと深く知る
3-9 TensorFlowで会話AIを作ってみた
コラム これから注目の機械学習技術

第4章 AIを牽引する主要プレイヤー
4-1 IBM
4-2 Microsoft
4-3 Google
4-4 Facebook
4-5 Amazon
4-6 Apple
4-7 トヨタ自動車
4-8 NTTグループ
4-9 ソフトバンクグループ
4-10 日本勢の動向

おわりに
索引

神崎 洋治 (著)
出版社 : 秀和システム (2016/7/5)、出典:出版社HP