有機化学演習―基本から大学院入試まで

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有機化学の基礎から大学院入試レベルまで

本書は、有機化学のテキストで、演習問題も幅広いレベルが掲載されています。章立てなどの構成は、一般的な有機化学の教科書と同じです。演習を多く行いたい方などにおすすめできる本です。

山本 学 (著), 豊田 真司 (著), 伊与田 正彦 (著)
出版社 : 東京化学同人 (2008/4/1)、出典:出版社HP

有機化学は科学技術の発展を支える重要な分野であると同時に、非常に面白く楽しい学問である。しかし大学で有機化学を教えていて感じるのは、覚えなければならない事項があまりにも多いという印象を受けていると学生が多いことである。もちろん基本的な事項は覚えなければならないが、それが身につけば後は理詰めで解くことができる問題がほとんどである、その基本事項をしっかり身につけるには、学生諸君が自分で納得するまで繰返し構造式や反応式を書き、あるいは電子の移動を表すと矢印を追って反応機構を理解するといったことが不可欠である、それを促す一助となることを希望して本書を編集した、大学での講義と並行して、あるいは一通りの講義を受けた後で、自習書として使うもよし、友人と相談し議論しながら解き進むもよし、大いに活用して欲しい。

本書は一般的な有機化学の教科書に準じた章立てになっている、演習問題は、有機化学の初歩的な問題から大学院入試問題レベルのものまで広範囲にわたっている。各章の初めにその章の内容をまとめた解説と例題をおいた。解説を通読し例題を解いてみよう。また教科書や参考書の関連部分を、必要に応じて読み直すことが望ましい、演習問題にはすべて解答をつけて巻末にまとめ、できる限り詳しい解説をし理解を助けるように配慮した。比較的高度な問題には*印を付けてある。最後に総合問題の章を設けたので自分の到達レベルに合わせて挑戦して欲しい。

本書では用語は原則として文部省“学術用語集 化学編(増訂2版)”に従った。また化合物の命名法を有機化学の重要な柱の一つに位置づけた。命名法では、国際純正および応用化学連合(IUPAC)の1979年命名規則に基づく英語名と、それを日本化学会が定めた“化合物名日本語表記の原則に従って変換した日本語名とを併記した。それが命名法を系統的に理解する最善の方法と考えたからである。

本書の編集に当たって、東京化学同人編集部の橋本純子氏、内藤みどり氏、木村直子氏に大変お世話になった。ここで厚く御礼申し上げる。

2008年3月
著者一同

山本 学 (著), 豊田 真司 (著), 伊与田 正彦 (著)
出版社 : 東京化学同人 (2008/4/1)、出典:出版社HP

目次

1章 有機化学の基礎
結合と構造
酸と塩基
有機化学反応
例題1.1~1.8
演習問題1.1~1.12

2章 アルカンとシクロアルカン
命名法
アルカンの反応
立体配座(コンホメーション)
シクロアルカンにおけるシストランス異性
例題2.1~2.7
演習問題2.1~2.13

3章 アルケンとアルキン
命名法
アルケンのシス-トランス異性
EZ表示法
Cahn-Ingold-Prelogの順位則(CIP則)
アルケンの反応
共役ジエンの反応
アルキンの反応
例題3.1~3.6
演習問題3.1~3.10

4章 芳香族化合物
命名法
ベンゼンの構造
ベンゼンの反応
多環芳香族化合物
Hückel則
芳香族複素環化合物
例題4.1~4.9
演習問題4.1~4.12

5章 立体化学
例題5.1~5.9
演習問題5.1~5.6

6章 ハロゲン化アルキル
命名法
ハロゲン化アルキルの性質
ハロゲン化アルキルの合成
ハロゲン化アルキルの反応
求核置換反応の機構:S_N1反応とS_N2反応
脱離反応の機構
例題6.1~6.12
演習問題6.1~6.11

7章 アルコール、フェノール、エーテルおよびその硫黄類縁体
命名法
アルコール、フェノールの性質
アルコールの合成
アルコールの反応
フェノールの合成と反応
エーテルの合成と反応
エポキシドの合成と反応
チオールとスルフィドの合成
例題7.1~7.10
演習問題7.1~7.11.

8章 アルデヒドとケトン
命名法
アルデヒド、ケトンの合成
アルデヒド、ケトンの反応
例題8.1~8.5
演習問題8.1~8.13

9章 カルボン酸とその誘導体
命名法
カルボン酸の合成
酸塩化物の合成
酸無水物の合成
エステルの合成
アミドの合成
ニトリルの合成
カルボン酸の反応
カルボン酸誘導体の反応
例題9.1~9.6
演習問題9.1~9.10

10章 カルボニル化合物のα置換と縮合
ケト-エノール互変異性
α水素の酸性度
カルボニル基のα位での置換反応
縮合反応
合成への応用
例題10.1~10.5
演習問題10.1~10-10

11章 アミン
命名法
合成
反応
例題11.1~11.4
演習問題11.1~11.9

12章 ペリ環状反応
例題12.1~12.4
演習問題12.1~12.6

13章 スペクトルによる構造解析
赤外分光法(IR)
紫外可視分光法(UV-Vis)
核磁気共鳴分光法(NMR)
質量分析法(MS)
例題13.1~13.6
演習問題13.1~13.10

14章 総合問題(問題14.1~14.15)

演習問題解答
1章(199)
2章(201)
3章(205)
4章(208)
5章(215)
6章(221)
7章(226)
8章(232)
9章(240)
10章(246)
11章(253)
12章(260)
13章(264)
14章(268)
索引

略号表

Ac acetyl アセチル
Ar aryl アリール
Bu butyl ブチル
i-Bu isobutyl イソブチル
s-Bu n-butyl n-ブチル
n-Bu s-butyl s-ブチル
t-Bu t-butyl t-ブチル
DCC dicyclohexylcarbodiimide ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIBAL(DIBAH) diisobutylaluminium hydride 水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF N,N-dimethylformamide N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO dimethyl sulfoxide ジメチルスルホキシド
Et ethyl エチル
LDA lithium diisopropylamide リチウムジイソプロピルアミド
mCPBA m-chloroperbenzoic acid m-クロロ過安息香酸
Me methyl メチル
NBS N-bromosuccinimide N-ブロモスクシンイミド
PCC pyridinium chlorochromate クロロクロム酸ピリジニウム
Ph phenyl フェニル
Pr propyl プロピル
i-Pr isopropyl イソプロピル
n-Pr n-propyl n-プロピル
Py pyridine ピリジン
THF tetrahydrofuran テトラヒドロフラン
Ts p-toluenesulfonyl(tosyl) p-トルエンスルホニル(トシル)

山本 学 (著), 豊田 真司 (著), 伊与田 正彦 (著)
出版社 : 東京化学同人 (2008/4/1)、出典:出版社HP