スミス有機化学(第5版)(上)

【最新 – 有機化学を学ぶためのおすすめ本 – 基本から大学院入試の演習まで】も確認する

有機化学を楽しく理解する

本書は、有機化学の美しさや論理性を伝えることを目指して書かれた教科書です。有機化学は難解な印象を持たれやすいですが、著者は、興味深い応用例を多く引用したり、図解を多くしたり、理解しやすいような整理を行なっています。また、覚える項目を最小限にすることを目指しており、有機化学をより理解しやすい本に仕上げています。

Janice Gorzynski Smith (著), 山本 尚 (監修), 髙井 和彦 (翻訳), 忍久保 洋 (翻訳), 依光 英樹 (翻訳)
出版社 : 化学同人; 第5版 (2017/10/31)、出典:出版社HP

日本の読者のみなさまへ

ようこそ有機化学へ!
みなさんは今,有機化学という心躍る新しい学問に乗りだそうとしています. 有機化学は,これまでに学んだ構造や結合に関する諸原理にもとづいており,複雑で難解ななかにも興味をかき立て,多くの研究領域やその他の学問分野の基礎となっています。

有機化学は炭素を含む分子の化学であり,かつそれらの化学変化を扱う学問といえます.また,生命とも深くかかわりをもっており,生物の遺伝情報を保存する DNA,細胞の適切な働きにとって欠くことのできないビタミンなど、すべて有機分子から構成されています。何百万という有機分子が現在知られており,毎年何万もの有機分子が合成され発見されています。それらの性質や化学反応は,一つの論理的原理によって理解することができます。これらの本質的な原理を学ぶことによって,われわれは既知の物質の構造や反応を理解できるばかりでなく,新しい分子の性質や反応性を予測し,これらの分子が一連の化学反応によって既知の化合物からどのようにして合成されるかを示すことが可能になります.

また有機化学は、 せっけんが汚れを落とすしくみや, アスピリンは消炎剤としてどのように機能するか, といった日常生活でよく目にする現象を理解するための考え方や道筋を教えてくれます。また有機化学 を使うことによって,自然界に存在しない新しい分子や反応を設計することも可能です。ジゴキシンはジギタリスの葉から単離されたうっ血性心不全の治療に使用される天然の薬ですが,フルオキセチン(抗 うつ薬), アテノロール(高血圧治療薬), ドネペジル(アルツハイマー病治療薬)は実験室で合成され広く使用されている合成医薬品です。さまざまな抗生物質, プラスチック,麻酔薬,心臓病の薬などは,現代人の暮らしと命を守る有機化学からの贈り物です.

有機化学を一生の研究課題にと決めている人であれ,医学,農学,工学,理学あるいは薬理学に有機化学の原理をこれから使っていこうとする人であれ,本書で学ぶ一つひとつの考え方はみなさんを取り巻く自然界の現象をより深く理解できるようにしてくれることでしょう。各章では,その章で取り扱われた基本テーマに関連した,容易に理解できるさまざまな化学的,ならびに生物学的な応用を積極的に取りあげています。

今回,山本尚先生と大嶌幸一郎先生のご尽力により,自ら著した本書”Organic Chemistry”の新しい版(5th ed.)が第3版に続いて日本で出版されることになり,このようなかたちで日本語版を読者のみなさまへお届けできることはたいへん光栄に思います。化学分野での長年にわたる研究活動を通して、幸運にも私は多くの高名な日本人の有機化学者たちと知り合うことができました。たとえば,柴崎正勝博士(現,微生物化学研究所所長)と福山透博士(東京大学名誉教授)です。お二人とはハーバード大学でともに学び,研究をしました.その後,お二方は生物学的に興味深い分子の合成や,有機化合物を構築するための新たな手法の開発などで,数々の貢献をされております.

読者一人ひとりの新しい化学の発見への旅立ちにあたり,本書が有機化学という素晴らしい学問への優れた道案内となるとともに,次世代を担う研究者への方向を示してくれることを心より祈っています.そして、本書が有機化学に対するみなさんの好奇心をかき立て、人類の発展に欠かせない物質や反応の多くを探求し,創造するための一助になればと願っています。

(山本 尚訳)
2017年9月
ジャニス・グジュイニスキ・スミス
Janice Gorzynski Smith

Janice Gorzynski Smith (著), 山本 尚 (監修), 髙井 和彦 (翻訳), 忍久保 洋 (翻訳), 依光 英樹 (翻訳)
出版社 : 化学同人; 第5版 (2017/10/31)、出典:出版社HP

まえがき

本書を書くにあたり,この本を手に取ったときに有機化学がいかに美しく,論理的であるかが伝わるような教科書に仕上げることを目標にした.本書は,私の30年を超える講義経験とその授業のなかで使ってきた講義ノートと配布資料にもとづいている.私は二つの大きな指針のもとに本書を執筆した. 一つは,化学現象を説明するために興味深い応用例を多く引用すること.もう一つは,箇条書きのリストや解法のついている例題,豊富な図解やまとめなど学生が理解しやすい形で学習内容を説明することである.本書は,多くの学生が難しいと心配している有機化学を,簡単でかつ明解な科目となるように意図してつくられている。それは、化学を主専攻とする学生だけでなく,将来は生物学,医学あるいはその他の分野に進みたいと思っている学生にも,苦労することなく有機化学に興味をもち,楽しみながら理解してもらいたい、と願っているからである。

基本的な特徴

・スタイル
本書はデザインにおいて,他の教科書とは異なる特徴がある. 最近の学生は,勉強する際,これまで以上に視覚的な図に頼る傾向がある.そこで本書では,有機化学の主要な概念や基本テーマを紹介し強調するにあたって文章をできるだけ少なくし,図や式,表,そして箇条書きによるまとめを多く用いた.
・内容
本書では覚える項目を最小限にとどめることを基本テーマとした.日常生活のなかから適切な例を選んで概念を説明し,学習内容を詰め込んで説明するのではなく,章全体を通してまとめるようにした、それぞれの話題は小さな情報に切り分けて、より扱いやすく,学びやすいように配慮した.例題では、段階を追って問題を解いていく方法で説明している.規則に対する例外や,古くてあまり有用でない反応は除外して、基本事項に焦点を絞った.
・構成
本書では,化学反応を議論する枠組みとして「官能基」を利用している.したがって官能基を生成する反応ではなく,それぞれの官能基が起こす反応に力点を置いた.さらに,類似の反応をまとめてグループ化し,それらの類似点を強調した. グループ化した反応として、酸-塩基反応(2章), 酸化と還元(12章と20章), ラジカル反応(15章), そして有機金属反応剤による反応(20章)がある.
基本事項に焦点を絞りながら,一つずつ新しい概念を紹介し,そして複雑な問題は切り分けて段階的に説明することによって,有機化学は難しいながらも十分に習得できる科目だと思ってもらえるだろう。長い講 義の後で、想像よりも多くの学生が有機化学の勉強を楽しみ,有機化学を理解してくれたことに私はいつも驚いている。

構成と体裁

本書で扱っているトピックスの掲載順は,多くの先生がたが有機化学を教える順序に沿ったものである. しかしながら他の教科書と異なる重要な点は,論理的かつより身近なものを話題に選んだことである.とくに以下の項目については注意を払った.
・基礎的な学習項目
1章ではルイス構造式,分子の幾何学的構造と混成,結合の極性,そして結合の種類などを概観するために多くの話題を取り上げた.これらの話題の多くは一般化学の授業でも取り扱われるが,ここでは有機化学の視点から記述した.これらの基礎的な概念をしっかりと把握できれば,その後にでてくる学習項目を理解するのに大いに役立つと確信している.
・酸と塩基
酸と塩基について取りあげた2章では、二つのことを学んでほしい. 一つは、プロトン移動反応をもとにして曲がった矢印を用いる反応の表記法を習得すること.もう一つは,有機構造の基礎的な概念がいかに反応,ここでは酸・塩基反応に影響を及ぼすか,である。反応機構の多くは一つあるいは二つ以上の酸-塩基反応を含むので,早い段階でこのプロトン移動反応に重点を置いて解説し,いつでもこの話題にもどれるようにした。
・官能基
3章では,有機化学の重要な特性を紹介するために官能基を取り上げた. PCB, ビタミン, せっけん,そして細胞膜などの関連する例を使って基本的な溶解度の概念について説明している. 一般の有機化学の教科書では最後のほうの章で扱われがちな(時間がなくなって省略されることが しばしば起こる)実用的な話題を早い段階で取り上げているので,どうして有機化学を学ぶことが 重要なのかをしっかりと理解できるだろう.
・立体化学
立体化学(分子の三次元構造)についても早い段階(5章)で取りあげ、その後も折にふれて繰り返し説明した.そうすることで現代化学の研究,ドラッグデザイン, そして合成における重要な概念を学び理解する機会をその都度もつことができる。
・最新の反応
有機化学の教科書に記述すべき新しい化学反応にはこと欠かないが,分子に特異な三次元配列を導入する新しい方法,いわゆる不斉反応やエナンチオ選択的反応に焦点を絞った. シャープレスのエポキシ化反応(12 章),CBS 還元(20章), アミノ酸のエナンチオ選択的合成(28章)などがその例である.
・種類別に分けた反応
いくつかの反応には基礎的な有機反応とは異なる特異な形態や専門用語があるので,これらの反応を独立した章にまとめた. 酸-塩基反応(2章),酸化と還元(12章および20章), ラジカル反応(15 章),そして有機金属反応剤による反応(20 章)などである。共通の話題をもつ反応をひとまとめにして考えると,それらの類似性がより明確に理解できるようになる.
・合成
有機化学を学びはじめた学生にとって,理解するのが最も難しい学習項目の一つとして,合成がある。これについては7章から少しずつ紹介しはじめ, 11章の逆合成についての詳細な議論へと展開させた.さらにその後の章で,炭素-炭素結合生成反応(たとえば下巻の20.11節および21.10.3項)を用いて合成される化合物の逆合成について詳しく紹介している。
・分光法
分光法は構造決定のための有効な手法なので,四種類の方法について二つの章(13 章および14章)にわたり詳しく解説した.
・キーコンセプト
章末のまとめとして,その章の主要な概念および学習内容を簡潔にまとめ,章末問題を解いたり,あるいは試験勉強をする際に参照しやすいようにした.

第5版で改訂した点

・教科書の全体にわたって化学構造式を刷新し、より現代的な書き方に統一した.
・三次元モデルや立体化学,化学反応に関する学生の理解を助けるよう,さまざまな箇所で配色を効果的に用いた
・反応機構の詳細を表す「機構」の囲み記事をほぼすべて改訂し,反応中間体がどのように変換されていくか追跡しやすくした.
・査読して頂いた方からの助言に従って,いくつかの章に新しい要素を追加した。生体内で起こるリン酸脱離基の求核置換反応(7.16節)と,チオールとスルフィド(9.15 節) を新しく追加した.12.14 節の生体内での酸化の項目中に酸化剤 NAD+の内容を追加し, アルコール酸化の反応機構の説明を,より生物学的な立場から説明した。 下巻の16.2 節に,アリル二リン酸がかかわる生体反応の項と、アリル二リン酸が起こす反応の機構を加筆した.同じく下巻の 20.6節では生体内での還元反応の新しい話題と, 16.15節には UV 分光法の議論を加えた.
・炭素・水素・アルコール・ハロゲン化アルキル・ アミン・アミドの「分類」に関する解説を前方(3.2 節)に移動し,官能基の機能とあわせて学べるよ うにした。
・350問以上の新しい問題を追加した.
・トピックスを整理し,また学習効果を高めるために,教科書の全体にわたって「HOW TO(課題の解き方)」,「例題」, 「ミクロからマクロまで表現した図解」を追加した.

有機化学を学びやすくする工夫

詳細で洗練されたイラスト
本書は,よく洗練されたわかりやすいイラストを用いて解説している。伝統的に使われる骨格(直線)構造や 簡略化した分子式の他に,立体化学を含めた分子の三次元構造を認識しやすいようにしたり,電荷の分布を より理解できるようにするため,多くのボール&スティックモデルや静電ポテンシャル図を利用している。

ミクロからマクロまで表現した図解
本書の特徴として、ミクロからマクロまで表現した図解がある. イラストや写真を化学構造と組み合わせて用いることで,一般的な現象の巨視的な特性を決める基本的な分子構造を明らかにしている.デンプンとセルロース (5章), アドレナリン(7 章),植物油の部分水素化(12章)やドーパミン(25 章(下巻)]などがその例である.

スペクトル
有機化学に特有の 100 を超えるスペクトルが本書全体を通して掲載されている.種類ごとに色分けされ、ていねいに分類されている. 質量スペクトルは緑で,赤外スペクトルは赤で,そしてプロトンと炭素のNMRスペクトルは青で示されている.

反応機構
反応における電子の動きを追跡しやすくするため、曲がった矢印による表記を用いた.

問題の解き方

例題
例題は,いかに論理的に段階を踏んで有機化学の問題を解いていくかを示している.例題に含まれる概念を理解したかどうか確認するため,全章を通して800 問以上の(復習の)問題を準備している。

HOW TO
HOW TO の項目では,キーとなるステップを通してどのように勉強すればよいか詳細な手引きを示している。

応用とまとめ
キーコンセプト
重要な原理と概念をまとめた簡潔な一覧を各章の最後に配した。

欄外の解説
欄外の解説が各章にわたって挿入されており,本書で述べられた話題に関連する興味深い情報を提供してい る.そのうちいくつかの解説は,化学をより身近に感じてもらうために写真を用いて説明した.

教員ならびに学生のための補助教材

本書には,いくつかの補助教材が用意されている。学生が効果的に学習できるだけでなく,彼らを教える教員にとっても講義で役立つ教材となるであろう.
本書の原書出版社である McGraw-Hill は, 有機化学を学ぶうえで役に立つさまざまな教材(英語)を用意している。教員用の教材については,本書を教科書に採用いた だいた方に限り閲覧用IDとパスワードをお知らせします。化学同人営業部(eigyou@ kagakudojin.co.jp)までお問合わせください.

図版データを収録した教員用 CD-ROM(日本語版)
本書(日本語版)に掲載の図,写真,表の画像データを収録,本書を教科書に採用いただいた方には, こちらのCD-ROM を送付させていただきます. 化学同人営業部(eigyou@ kagakudojin.co.jp)までお問合わせください。

『スミス有機化学 問題の解き方(第5版)英語版』
Janice Gorzynski Smith と Erin R. Smith によって書かれた本書の“Student Study Guide / Solutions Manual”には、章内と章末問題すべてについて詳しい解き方が収められている.各章はキーコンセプトの復習で始まり,ポイントとなる規則がまとめられている.化学同人より刊行予定

Janice Gorzynski Smith (著), 山本 尚 (監修), 髙井 和彦 (翻訳), 忍久保 洋 (翻訳), 依光 英樹 (翻訳)
出版社 : 化学同人; 第5版 (2017/10/31)、出典:出版社HP

謝辞

1999年の秋に本書の第1版の出版に着手したとき, どれくらいの仕事量となるか,また完成までにどれだ け多くの方がたのお世話になるのか,まったく想像もできなかった。幸いにも、献身的な McGraw-Hill の 出版専門チームのしっかりしたサポートを受けることができた。
本書の第5版の改訂作業を手際よく効率的にサポートしてくれた, Mary Hurley(Senior Product Developer) に特にお礼を伝えたい. Mary は何カ月もかけて化学構造式の書き直しと「機構」欄のデザイ ン改訂に取り組んでくれた。また私は, Peggy Selle (Lead Content Project Manager) と再び働けたことも嬉しかった。彼女はこの教科書の改訂全般を統括してくれた。そして本書は,Matthew Garcia(Marketing Manager) のサポートによって、より読者のニーズに合った教科書へと改善された.
それから,改訂の期間ずっと日々の編集作業を手伝ってくれた Andrea Pellerito(Brand Manager) にも特別の感謝を伝えたい. Thomas Timp(Managing Director) も,この改訂にあたり編集チームを効率的に運営した功労者である.本版を視覚的に楽しいものにしてくれた Matt Backhaus (Designer) と Carrie Burger (Photo Researcher) の努力に感謝したいまたフリーの Developmental Editor である John Murdzek には本書に対する細やかな編集ならびにユーモラスな識見に感謝したい.
私のすぐそばにいる家族は、日々忙しい私との生活を余儀なくされた. 私の夫である Dan, そして私の子どもたちの Erin, Jenna, Matthew, Zachary,そして孫の Max, Koa, Alijah みんなに感謝したい.教科書を書き,出版するという時間を要する過程を,みんなは静かに見守ってくれた.
名前を一人ひとりあげられないが本書に深くかかわってくれた方がたとして、30年以上の間に私が講義をさせてもらった数千人の学生たちにも感謝したい。彼らとの日々の親交から私は非常に多くのことを学んだ。そして広範囲にわたる化学社会が、本書で述べたことから何か得るものがあれば幸いである.
この第5版は,第4版を査読していただいた方, クラスの試験に利用していただいた方,フォーカスグループやシンポジウムに参加していただいた多くの方がたからの有益なフィードバックをもとにして改良された.これら多くの方がたとともに積極的な改良を行ってきた.以下にその方がたの名前をあげる.
第4版の査読者:
Steven Castle, Brigham Young University
Ihsan Erden, San Francisco State University
Andrew Frazer, University of Central Florida, Orlando
Tiffany Gierasch, University of Maryland, Baltimore County
Anne Gorden, Auburn University
Michael Lewis, Saint Louis University
Eugene A. Mash, Jr., University of Arizona
Mark McMills, Ohio University
Joan Mutanyatta-Comar, Georgia State University
Felix Ngassa, Grand Valley State University
Michael Rathke, Michigan State University
Jacob Schroeder, Clemson University
Keith Schwartz. Portland State University
John Selegue, University of Kentucky
Paul J. Toscano, University at Albany, SUNY
Jane E. Wissinger, University of Minnesota
MCATと有機化学の講義実態の調査に参加して,第5版の編集に協力してくださった方がた: Chris Abelt, College of William and Mary
Orlando Acevedo, Auburn University
Kim Albizati, University of California, San Diego
Merritt Andrus, Brigham Young University
Ardeshir Azadnia, Michigan State University
Susan Bane, Binghamton University
Russell Barrows, Metropolitan State University of Denver
Peter Beak, University of Illinois, Urbana Champaign
Phil Beauchamp, Cal Poly, Pomona
Michael Berg, Virginia Tech
K. Darrell Berlin, Oklahoma State University
Thomas Bertolini, University of South Carolina
Ned Bowden, University of Iowa
David W. Brown, Florida Gulf Coast University
Rebecca Broyer, University of Southern California
Arthur Bull, Oakland University
K. Nolan Carter, University of Central Arkansas
Steven Castle, Brigham Young University
Victor Cesare, St. John’s University
Manashi Chatterjee, University of Nebraska, Lincoln
Melissa Cichowicz, West Chester University
Jeff Corkill, Eastern Washington University, Cheney
Sulekha Coticone, Florida Gulf Coast University
Michael Crimmins, University of North Carolina at Chapel Hill
Eric Crumpler, Valencia College
David Dalton, Temple University
Rick Danheiser, Massachusetts Institute of Technology
Tammy Davidson, University of Florida
Brenton De Boef. University of Rhode Island
Amy Deveau, University of New England
Kenneth M. Doxsee, University of Oregon
Larissa D’Souza, Johns Hopkins University
Philip Egan, Texas A&M University, Corpus Christi
Seth Elsheimer, University of Central Florida
John Esteb, Butler University
Steve Fleming, Temple University
Marion Franks, North Carolina A&T State University
Andy Frazer, University of Central Florida
Brian Ganley, University of Missouri, Columbia
Robert Giuliano, Villanova University
Anne Gorden, Auburn University
Carlos G. Gutierrez, California State University, Los Angeles
Scott Handy, Middle Tennessee State University
Rick Heldrich, College of Charleston
James Herndon, New Mexico State University
Kathleen Hess, Brown University
Sean Hickey, University of New Orleans
Carl Hoeger, University of California, San Diego
Javier Horta, University of Massachusetts, Lowell
Bob A. Howell, Central Michigan University
Jennifer Irvin, Texas State University
Phil Janowicz, Cal State, Fullerton
Mohamad Karim, Tennessee State University
Mark L. Kearley, Florida State University
Amy Keirstead, University of New England
Margaret Kerr, Worcester State University
James Kiddle, Western Michigan University
Jisook Kim, University of Tennessee at Chattanooga
Angela King, Wake Forest University
Margaret Kline, Santa Monica College
Dalila G. Kovacs, Grand Valley State University
Deborah Lieberman, University of Cincinnati
Carl Lovely, University of Texas, Arlington
Kristina Mack, Grand Valley State University
Daniel Macks, Towson University
Vivian Mativo, Georgia Perimeter College, Clarkston
Mark McMills, Ohio University
Stephen Mills, Xavier University
Robert Minto, Indiana University-Purdue University, Indianapolis
Debbie Mohler, James Madison University
Kathleen Morgan, Xavier University of Louisiana
Paul Morgan, Butler University
James C. Morris, Georgia Institute of Technology
Linda Munchausen, Southeastern Louisiana University
Toby Nelson, Oklahoma State University
Felix Ngassa, Grand Valley State University
George A. O’Doherty, Northeastern University
Anne Padias, University of Arizona
Dan Paschal, Georgia Perimeter College
Richard Pennington, Georgia Gwinnett College
John Pollard, University of Arizona
Gloria Proni, John Jay College
Khalilah Reddie, University of Massachusetts, Lowell
Joel M. Ressner, West Chester University of Pennsylvania
Christine Rich, University of Louisville
Carmelo Rizzo, Vanderbilt University
Harold R. Rogers, California State University, Fullerton
Paul B. Savage, Brigham Young University
Deborah Schwyter, Santa Monica College
Holly Sebahar, University of Utah
Laura Serbulea, University of Virginia
Abid Shaikh, Georgia Southern University
Kevin Shaughnessy, The University of Alabama
Joel Shulman, University of Cincinnati
Joseph M. Simard, University of New England
Rhett Smith, Clemson University
Priyantha Sugathapala, University at Albany, SUNY
Claudia Taenzler, University of Texas at Dallas
Robin Tanke, University of Wisconsin, Stevens Point
Richard T. Taylor, Miami University, Oxford
Edward Turos, University of South Florida
Ted Wood, Pierce College
Kana Yamamoto, University of Toledo
David G. Jones (Vistamar School), Adam I. Keller (Columbus State Community College), Parul D. Root (Henry Ford Community College)の3名には, 目標志向型コンテンツ「LearnSmart for Organic Chemistry」の制作と査読に尽力いただいた.Florida State College at Jacskonville Harpreet Malhotra はウェブコンテンツのチェックをしていただいた.また,同所属のUjwal Chakrabortyには,第5版のTest BankとPower Point教材の改訂を担当していただいた.
本書と“Student Study Guide/Solutions Manual”をできるだけ誤りのないようにつくるためにあらゆる努力をしたが,おそらくまだいくつかの誤植が残っている.それらについてはすべて私一人の責任である. どんな誤りでもよいのでメールで知らせていただきたい. 次の版の改良に役立てたいと思う.
アロハ
Janice Gorzynski Smith
igsmith@hawaii.edu

著者紹介

Janice Gorzynski Smith はニューヨーク州のスケネクタディで生まれた. 高校時代に化学に興味をもち, コーネル大学で化学を主専攻として学び, A.B. 学位を首席で取得した彼女はハーバード大学でノーベル化学賞の受賞者である E. J. Corey 教授のもとで有機化学の Ph.D を取得し,その後1年間をハーバード大学で NSF(全米科学財団)の博士研究員として過ごした. Corey 研での研究において,彼女は植物の成長促進ホルモンであるジベレリン酸の全合成を完成させた.

博士研究員の後,彼女はマウントホリヨーク大学で職を得て,ここに 21 年間勤務した.この間に有機化学の授業ならびに実験科目を担当し,有機合成の研究を指導して,さらに部門長としても活躍した。彼女の有機化学の講義は, マウントホリヨーク大学の「受講しないと損をする」授業の一つとして、雑誌 “Boston”で取りあげられた. 1990 年代に2回のサバティカルをハワイの美しく多様な自然のなかで過ごした後, 2000 年にハワイへ永住するため家族とともに転居した. 現在,マノアにあるハワイ大学の教員として二学期にわたる有機化学の講義と実験科目を担当している.2003 年に彼女は,教育に対する功績をたたえる学長表彰を受けた.
彼女は現在,救急内科医である夫の Dan とハワイに住んでいる。写真は2015年にニュージーランドでハイキングを愉しんだときのものである.彼女には4人の子どもと3人の孫がいる. 授業や執筆の仕事,そして家族といっしょに過ごすとき以外は,彼女は日差しのここちよいハワイで自転車に乗り, ハイキングやスノーケリング, スキューバダイビングを楽しみ,時間が許せば旅行やハワイアンキルトづくりを楽しんでいる。

訳者序文

現在アメリカで急速に広まっているこの有機化学のテキストは,これまでの有機化学の入門書とはひと味 違っている。

第一の特色は,きわめて明快に,しかも詳しく丁寧に有機化学の概念が書かれていることである.これまで の教科書ではうまく勉強がはかどらず、途中で挫折した人にぜひお薦めしたい. 有機化学ではさまざまな概念を学ぶ。 しかし,従来の教科書では,それぞれの章で散発的にさまざまな概念が解説されているため,その章が終わり次の章に進むと,あらかた忘れてしまう人が多い. この教科書では,それぞれの概念が明快に説明されているばかりでなく,学んだ概念が後の章でも繰り返し説明されており,さらに進む前に,復習してしっかりと身につけることができるように配慮されている。例をあげてみよう。たとえば,8章(8.11 節)ではそれまでに学んだ反応論が系列よく説明され、理解しやすいようなかたちでまとめられている。あらためて反応のメカニズムを考える面白さを感じるであろう.たいへんユニークな章である.さまざまな質問がでることを予想しながら説明を進めているため、非常にわかりやすく細かい配慮の行き届いた記述になっている.

これまで私は永年有機化学の講義に携わってきたが, 学生諸君にとって一番大切なことは,分子のダイナミックな動きや,その変化に魅了されることであった.本書は有機分子のダイナミックな性質や生き物といかにかかわっているかを、随所でさまざまな分子を使って具体的に例示している。それぞれの章には数多くのこうした余話が散りばめられており,これを拾い読みするだけでもいつの間にか有機化学を身近に感じるようになるであろう。これが第二の特色である。願わくは,これをきっかけに有機化学のファンになってほしいものだ.

また,これまでの有機化学のテキストは内容的にどれも似たり寄ったりで,新しい知見を取り入れることに 必ずしも積極的ではなかった. 本書では 26章に, 2010 年度のノーベル化学賞の受賞テーマとなった「クロスカップリング反応」を盛り込むなど、積極的に新しい有機化学を紹介する努力が払われている.これが第三の特色である. こうした章はこれまでは大学院で学ぶ内容であるが,学部学生のときから親しむことで,大学院に進学してもすぐに最前線の有機化学に溶け込むことができるようにと望んでのことであろう.

最後に加えるべき特色は, それぞれの章末には膨大な数の練られた問題が添付されていることである. ぜひ, これを解くことによって有機化学を本当に身につける勉強をしてほしい.たとえば英会話の勉強と同じで,どんな場面においても分子の形を思い浮かべることができ、必要な概念が即座に引きだせるようになってはじめて,有機化学が一生の宝になると信じる.化学の他の分野とは異なり,有機化学を本当に身につけた人は一生忘れることがなく,いつでも使えるようになる.本書はそのための近道となり,座右の書になると確信する.

著者のスミス教授は有機化学で大きな業績をあげた学者というよりは,いくつかの大学において,そのわかりやすい講義の手法が評判になり有名になった学者であり,教育者である.現場に詳しい人だからこそ,このようなユニークで優れたテキストを書くことができたのであろう。 本書のなかでも述べられているが,ぜひ分子模型を購入して、有機分子を自分で組み立ててみて,その形の面白さを存分に楽しんでほしい。それによって、一層理解が深まると思う.

2017年9月
山本尚
(シカゴ大学名誉教授,中部大学教授)

Janice Gorzynski Smith (著), 山本 尚 (監修), 髙井 和彦 (翻訳), 忍久保 洋 (翻訳), 依光 英樹 (翻訳)
出版社 : 化学同人; 第5版 (2017/10/31)、出典:出版社HP

本書の構成

【上巻】
序章
1章 構造と結合
2章 酸と塩基
3章 有機分子と官能基
4章 アルカン
5章 立体化学
6章 有機反応の理解
7章 ハロゲン化アルキルと求核置換反応
8章 ハロゲン化アルキルと脱離反応
9章 アルコール, エーテルとその関連化合物
10章 アルケン
11章 アルキン
12章 酸化と還元
13章 質量分析法と赤外分光法
14章 NMR分光法
15章 ラジカル反応
付録

【下巻】
16章 共役,共鳴,ジエン
17章 ベンゼンと芳香族化合物
18章 芳香族化合物の反応
19章 カルボン酸と O-H 結合の酸性度
20章 カルボニル化合物の化学:有機金属反応剤,酸化と還元
21章 アルデヒドとケトン:求核付加反応
22章 カルボン酸とその誘導体:求核アシル置換反応
23章 カルボニル化合物のQ炭素での置換反応
24章 カルボニル縮合反応
25章 アミン
26章 有機合成における炭素-炭素結合生成反応
27章 ペリ環状反応
28章 炭水化物
29章 アミノ酸とタンパク質
30章 脂質
31章 合成ポリマー
用語解説

Janice Gorzynski Smith (著), 山本 尚 (監修), 髙井 和彦 (翻訳), 忍久保 洋 (翻訳), 依光 英樹 (翻訳)
出版社 : 化学同人; 第5版 (2017/10/31)、出典:出版社HP

目次

日本の読者のみなさまへ
まえがき
謝辞
著者紹介
訳者序文
本書の構成
目次
HOW TO の一覧
反応機構の一覧

序章
有機化学とは
代表的な有機分子
有機化学とマラリア

1章 構造と結合
1.1 周期表
1.2 結合
1.3 ルイス構造式
1.4 異性体
1.5 八電子則の例外
1.6 共鳴
1.7 分子の形の決定
1.8 有機分子の構造の書き方
1.9 混成
1.10 エタン,エチレン, アセチレン
1.11 結合の長さと結合の強さ
1.12 電気陰性度と結合の極性
1.13 分子の極性
1.14 L-ドーパ― 代表的な有機分子
キーコンセプト
章末問題

2章 酸と塩基
2.1 ブレンステッド- ローリーの酸と塩基
2.2 ブレンステッド – ローリーの酸と塩基の反応
2.3 酸の強さとpKa
2.4 酸-塩基反応の結果の予測
2.5 酸の強さを決定する因子
2.6 一般的な酸と塩基
2.7 アスピリン
2.8 ルイス酸とルイス塩基
キーコンセプト
章末問題

3章 有機分子と官能基
3.1 官能基
3.2 官能基の概要
3.3 分子間力
3.4 物理的性質
3.5 応用:ビタミン
3.6 溶解性の利用:せっけん
3.7 応用:細胞膜
3.8 官能基と反応性
3.9 生体分子
キーコンセプト
章末問題

4章 アルカン
4.1 アルカン
4.2 シクロアルカン
4.3 命名法
4.4 アルカンの命名法
4.5 シクロアルカンの命名法
4.6 慣用名
4.7 化石燃料
4.8 アルカンの物理的性質
4.9 非環状アルカンの立体配座―エタン
4.10 ブタンの立体配座
4.11 シクロアルカンの立体配座
4.12 シクロヘキサンの立体配座
4.13 置換シクロアルカンの立体配座
4.14 アルカンの酸化
4.15 脂質パート
キーコンセプト
章末問題

5章 立体化学
5.1 デンプンとセルロース
5.2 二種類の異性体
5.3 鏡のなかの化学―キラル分子とアキラル分子
5.4 立体中心
5.5 環状化合物の立体中心
5.6 立体中心の R, S表示
5.7 ジアステレオマー
5.8 メソ化合物
5.9 二つ以上の立体中心をもつ化合物のR, S表示
5.10 二置換シクロアルカン
5.11 異性体のまとめ
5.12 立体異性体の物理的性質
5.13 エナンチオマーの化学的性質
キーコンセプト
章末問題

6章 有機反応の理解
6.1 有機反応における反応式の書き方
6.2 有機反応の種類
6.3 結合の切断と生成
6.4 結合解離エネルギー
6.5 熱力学
6.6 エンタルピーとエントロピー
6.7 エネルギー図
6.8 2段階反応機構のエネルギー図
6.9 速度論
6.10 触媒
6.11 酵素
キーコンセプト
章末問題

7章 ハロゲン化アルキルと求核置換反応
7.1 ハロゲン化アルキル
7.2 命名法
7.3 物理的性質
7.4 興味深いハロゲン化アルキル
7.5 極性をもつ炭素-ハロゲン結合
7.6 求核置換反応の一般的な特徴
7.7 脱離基
7.8 求核剤
7.9 求核置換反応の反応機構
7.10 求核置換反応における二つの反応機構
7.11 SN2 反応機構
7.12 SN1 反応機構
7.13 カルボカチオンの安定性
7.14 ハモンドの仮説
7.15 SN1 反応か SN2 反応かを決める因子
7.16 生体内で見られる求核置換反応
7.17 ハロゲン化ビニルとハロゲン化アリール
7.18 求核置換反応を利用した有機合成
キーコンセプト
章末問題

8章 ハロゲン化アルキルと脱離反応
8.1 脱離反応の一般的な特徴
8.2 アルケン― 脱離反応の生成物
8.3 脱離反応の機構
8.4 E2 反応機構
8.5 ザイツェフ則
8.6 E1 反応機構
8.7 SN1反応と E1 反応
8.8 E2 反応の立体化学
8.9 El反応か E2 反応かを決める因子
8.10 E2反応とアルキンの合成
8.11 SN1, SN2, E1, E2 反応機構を決める因子
キーコンセプト
章末問題

9章 アルコール, エーテルとその関連化合物
9.1 はじめに
9.2 構造と結合
9.3 命名法
9.4 物理的性質
9.5 興味深いアルコール,エーテル,エポキシド
9.6 アルコール,エーテル,エポキシドの合成
9.7 アルコール,エーテル,エポキシドの反応の一般的な特徴
9.8 アルコールのアルケンへの脱水反応
9.9 カルボカチオンの転位反応
9.10 POCI3とピリジンを用いる脱水反応
9.11 HX を用いるアルコールからハロゲン化アルキルへの変換
9.12 SOCl2 および PBr3によるアルコールのハロゲン化アルキルへの変換
9.13 トシラート―もう一つの優れた脱離基
9.14 エーテルと強酸の反応
9.15 チオールとスルフィド
9.16 エポキシドの反応
9.17 応用:エポキシド,ロイコトリエン,ぜんそく
9.18 ベンゾ[a]ピレン, エポキシド,がん
キーコンセプト
章末問題

10章 アルケン
10.1 はじめに
10.2 不飽和度の計算
10.3 命名法
10.4 物理的性質
10.5 興味深いアルケン
10.6 脂質―パート2
10.7 アルケンの合成
10.8 付加反応
10.9 ハロゲン化水素化反応―HXの求電子付加反応
10.10 マルコウニコフ則
10.11 HX の求電子付加反応の立体化学
10.12 水和反応 ― 水の求電子付加反応
10.13 ハロゲン化反応 ―ハロゲンの付加
10.14 ハロゲン化反応の立体化学
10.15 ハロヒドリンの生成
10.16 ヒドロホウ素化反応 -酸化反応
10.17 これまでの反応の確認
10.18 有機合成へのアルケンの利用
キーコンセプト
章末問題

11章 アルキン
11.1 はじめに
11.2 命名法
11.3 物理的性質
11.4 興味深いアルキン
11.5 アルキンの合成
11.6 アルキンの反応の概略
11.7 ハロゲン化水素の付加
11.8 ハロゲンの付加
11.9 水の付加
11.10 ヒドロホウ素化反応 – 酸化反応
11.11 アセチリドアニオンの反応
11.12 合 成
キーコンセプト
章末問題

12章 酸化と還元
12.1 はじめに
12.2 還元剤
12.3 アルケンの還元
12.4 応 用:油脂の水素化
12.5 アルキンの還元
12.6 極性をもつC-Xo結合の還元
12.7 酸化剤
12.8 エポキシ化反応
12.9 ジヒドロキシ化反応
12.10 アルケンの酸化的開裂
12.11 アルキンの酸化的開裂
12.12 アルコールの酸化
12.13 グリーンケミストリー
12.14 生体内での酸化反応
12.15 シャープレスエポキシ化反応
キーコンセプト
章末問題

13章 質量分析法と赤外分光法
13.1 質量分析法
13.2 ハロゲン化アルキルとM+2ピーク
13.3 フラグメント化
13.4 他の質量分析法
13.5 電磁波照射
13.6 赤外分光法
13.7 赤外吸収
13.8 赤外スペクトルと構造決定
キーコンセプト
章末問題

14章 NMR 分光法
14.1 NMR分光法
14.2 1H NMR:シグナルの数
14.3 1H NMR:シグナルの位置
14.4 sp2 および sp 混成炭素上のプロトンの化学シフト
14.5 1H NMR:シグナルの強度
14.6 1H NMR:スピン-スピン分裂
14.7 さらに複雑な分裂の例
14.8 アルケンにおけるスピン – スピン分裂
14.9 1H NMR分光法に関するその他の特徴
14.10 1H NMRを用いた未知化合物の同定
14.11 13C NMR分光法
14.12 核磁気共鳴画像法(MRI)
キーコンセプト
章末問題

15章 ラジカル反応
15.1 はじめに
15.2 ラジカル反応の一般的な特徴
15.3 アルカンのハロゲン化反応
15.4 ハロゲン化反応の機構
15.5 その他のアルカンの塩素化反応
15.6 塩素化反応と臭素化反応の比較
15.7 有機合成へのハロゲン化反応の応用
15.8 ハロゲン化反応の立体化学
15.9 応 用:オゾン層とCFCs
15.10 アリル炭素上でのラジカルによるハロゲン化反応
15.11 応用:不飽和脂質の酸化
15.12 応 用:酸化防止剤
15.13 二重結合へのラジカル付加
15.14 ポリマーと重合
キーコンセプト
章末問題

写真版権の一覧

付録A 代表的な化合物のpKa値
付録B 命名法
付録C 一般的な結合の結合解離エネルギー
付録D 炭素-炭素結合生成反応
付録E 特徴的な赤外吸収
付録F 特徴的な NMR吸収
付録G 重要な有機反応
付録H 官能基の合成法

索引

HOW TO の一覧 (上巻掲載分)
HOW TO の項目では、学生のみなさんが習得すべき重要な手順を詳細に解説している.それぞれの HOW TO のタイトルとその掲載ページを以下に示す.
1章 構造と結合
ルイス構造式の書き方
骨格構造式の解釈
2章 酸と塩基
プロトンの相対的な酸性度の決定法
4章 アルカン
IUPAC 規則によるアルカンの命名法
IUPAC 規則によるシクロアルカンの命名法
ニューマン投影式の書き方
シクロヘキサンのいす形配座の書き方
置換シクロヘキサンの二つの立体配座の書き方
二置換シクロヘキサンの二つの立体配座の書き方
5章 立体化学
立体中心の R, S の決定法
二つの立体中心をもつ化合物の立体異性体を見つけだす方法
7章 ハロゲン化アルキルと求核置換反応
IUPAC 規則によるハロゲン化アルキルの命名法
9章 アルコール, エーテルとその関連化合物
IUPAC 規則によるアルコールの命名法
10章 アルケン
アルケンの命名法
アルケンの接頭語 E, Zの決定法
11章 アルキン
逆合成解析の進め方
13章 質量分析法と赤外分光法
質量分析法および赤外分光法を用いた構造決定
14章 NMR 分光法
1H NMRスペクトルデータによる構造決定

反応機構の一覧下巻掲載分)(上巻掲載分)
有機化学反応を理解するためには,反応機構を知ることが重要である.そのため、反応機構については細心の 注意を払い,1段階ずつ詳細に解説した.本書でそれぞれの反応機構が最初に紹介されるページを以下に示す.
7章 ハロゲン化アルキルと求核置換反応
7.1 S N2 反応機構
7.2 SN1 反応機構
8章 ハロゲン化アルキルと脱離反応
8.1 E2反応機構
8.2 El反応機構
9章 アルコール, エーテルとその関連化合物
9.1 第二級および第三級アルコールの脱水反応 ― E1 反応機構
9.2 第一級アルコールの脱水反応 ― E2反応機構
9.3 1,2-メチル移動 —— 脱水反応で起こるカルボカチオン転位
9.4 POCl3 + ピリジンを用いる脱水反応 ― E2反応機構
9.5 第一級アルコールと HX の反応 ― SN2 反応機構
9.6 第二級および第三級アルコールと HX の反応 ― SN1 反応機構
9.7 ROH と SOCl2 + ピリジンの反応 ― SN2 反応機構
9.8 ROH と PBr3の反応 ― S2反応機構
9.9 強酸によるエーテル結合の切断
10章 アルケン
10.1 アルケンへの HX の求電子付加反応
10.2 アルケンへの水の求電子付加反応 – 水和反応
10.3 アルケンへの X2 の付加 – ハロゲン化反応
10.4 X と OH の付加 – ハロヒドリンの生成
10.5 H と BH2 の付加 – ヒドロホウ素化反応
11章 アルキン
11.1 アルキンへの HXの求電子付加
11.2 アルキンへの X2 の付加 ―― ハロゲン化反応
11.3 酸による互変異性化
11.4 アルキンの水和反応
12章 酸化と還元
12.1 アルケンへの H2 の付加 —— 水素化反応
12.2 溶解金属によるアルキンからトランス-アルケンへの還元反応
12.3 RX の LiAlH4による還元
12.4 過酸によるアルケンのエポキシ化反応
12.5 CrO3によるアルコールの酸化
12.6 第一級アルコールのカルボン酸への酸化
15章 ラジカル反応
15.1 ラジカルによるアルカンのハロゲン化反応
15.2 NBS によるアリル位臭素化反応
15.3 アルケンへの HBr のラジカル付加反応
15.4 CH2=CHZ のラジカル重合反応

Janice Gorzynski Smith (著), 山本 尚 (監修), 髙井 和彦 (翻訳), 忍久保 洋 (翻訳), 依光 英樹 (翻訳)
出版社 : 化学同人; 第5版 (2017/10/31)、出典:出版社HP