できる研究者の科研費・学振申請書 採択される技術とコツ (KS科学一般書)

【最新 – 科研費について学ぶためのおすすめ本 – 科研費の解説から申請書の書き方まで】も確認する

人気サイトの書籍化

研究者人気サイトである「科研費.com」の内容を切り口・構成を変えて書籍化したものです。著者が添削した申請書の実例をもとに、文例やロジック、ありがちな間違いなど豊富に掲載されています。また、チェックリストやテンプレート等の支援ツールがあるため、短時間の申請書作成にも役立ちます。

CONTENTS

第1章 はじめに

第2章 書く前に
2.1 なぜ書くのか
2.2 書く際の心得
2.3 うまいと得する申請書
2.4 何を研究するか
ポイント! → 研究対象の深い理解に近道はない

第3章 何を書くのか
3.1 何を書くのか
ポイント!→何を書くべきかをキチンと理解しよう
Column喩え話の錯覚
3.2 研究課題
3.3 背景,
3.3.1 研究テーマを含む一般的な背景
ポイント! 背景を書くときは砂時計をイメージする。
ポイント! 読み手を置いてけぼりにしない
3.3.2 研究テーマに特化した背景
テクニック文献の引用方法
ポイント!ト「だから何?」に対する回答を用意する
3.4 なぜ今その研究なのか
3.4A.1 何が問題なのか
テクニック!解決できそうなものだけを問題点として提示する
3.4A.2 なぜその問題は未解決のまま放置されていたのか
ポイント!「なぜ未解決だったのか」の理由付けは、よく考えて
3.4A.3 その未解決問題でどのような弊害が起きているのか
テクニック!「研究課題の核心をなす学術的『問い』」の書き方
3.4B.1 どういう視点が欠けていたのか、何が可能になったのか
3.4B.2 新たな価値の提案.
ポイント! 実現可能性は FeasibilityではなくPossibilityを前面に出す
3.4B.3 なぜ今その研究なのか
3.5 解決のアイデア・研究目的・研究計画.
3.5.1 研究のアイデア
ポイント! 研究のアイデアこそオリジナリティの源泉である
テクニック!新しいアイデアの生み出し方
3.5.2 その方法がうまくいくと考える根拠
テクニック!研究の特色・独創的な点の書き方・考え方
テクニック!未発表データは有効に使おう
3.5.3 具体的に何を明らかにするのか
3.5.4 何をどのように行うのか
3.5.5 どうなれば解決できたと言えるのか。
テクニックと強調するところを間違えない
テクニック!うまくいかない場合も想定する
Column 仮説の生成と仮説の証明
Column事前仮説を持つ
3.5.6 研究を実行できると考える根拠
3.6 何がわかるのか
3.6.1 どういう立場から何をどうするのか
3.6.2 他の分野にどのような影響を与えるのか
ポイント!「他の研究にも利用可能である」の幅は広い

第4章どう書くのか、
4.1 どう書けば読み手に伝わるのか
4.2 読みやすく一正しい日本語で審査員のストレスをなくす
4.2.1 英語・カタカナ語・漢語・略語・造語を乱用しない
4.2.2 1文が長すぎない、短すぎない
4.2.3 括弧による強調や補足を多用しない
4.2.4 修飾の順序、句読点の打ち
4.2.5 省略可能な言葉・文字がないか気をつける
4.2.6 書き言葉と話し言葉の違いを意識する。稚拙な表現を控える
チクニック!ら抜き言葉の見分け方
4.2.7 適切な漢字・ひらがなを使用する
ポイント!ひらがなの連続はやっかい。漢字の連続もやっかい
Column公用文書独特の表現
4.2.8 比較・並列は表現を対応させる
4.2.9日本語を正しく使う
4.2.10 無駄にへりくだらないこと、大げさでないこと
4.3 わかりやすく一論理的かつ説得力を持って説明する
4.3.1 シンプルに伝える
4.3.2 専門用語はわかりやすく
ポイントレンデルブリュックの教え
4.3.3 抽象的でないこと(具体的であること)
テクニック!具体的には、
4.3.4 なぜこの研究を行うのか
4.3.5 言い切る、言い方を考える
4.3.6 否定表現は肯定表現に変える
4.3.7 強調はほどほどに、意味を持たせる
4.3.8 内容の連続性を意識する
4.3.9 接続詞を適切に使う.
4.3.10 審査員を意識し、読み手に優しい文章を心がける
4.4 美しく一細部にまでこだわり、無意識に働きかける
4.4.1 揃える
4.4.2 余白
4.4.3 文字位置の微調整
4.4.4 フォント
4.4.5 大見出し、小見出し
4.4.6 図表の体裁
4.4.7 イラストの描き方
4.5 推敲や見直しでより良い申請書にする。
ポイント! 漢字・かな比
Column おすすめ書籍

第5章 申請書のヒント
5.1 オズボーンのチェックリスト
5.2 学振および科研費申請書などを公開しているサイト検索の仕方
ポイント!自分が納得できるところを参考にしよう
5.3データベースの利用
5.4 そこそこテンプレート。
テクニック!「これまでの研究の背景・問題点・解決方策」の別例
テクニック!研究の特色・独創的な点に何を書くか。
テクニック!前向きに書く
5.5 粒度の粗いそこそこテンプレート
5.6 科研費.comのチェックリスト

第6章 おわりに、
独り言

本等に記載されている会社名、製品名、サービス名などは、一般に各社の商標または登録商標です。 本文中でのマーク、 10マーク、ドルマークは省略しております。 URLなどは、2019年6月1日現在のものです。

第1章 はじめに

本書は 2016年4月から公開している科附貸.com (https://科研費.com/)を元に加筆・修正したものです。かつては余裕が有り、じっくりと研究に取り組める時代だったのでしょうが、現在は定員削減・競争的資金・ステージゲート・任期・校務・…….と限られた時間の中で実験をしつつ、研究を獲得し、職を探し、さらにその他の仕事もこなさないといけません。研究だけやっていれば良い時代は過ぎ去ってしまいました。こうした中でうまくやっていくには、実験技術だけでなく申請書の作成技術についても向上させる必要があります。
しかし、いざ申請書を書くとなっても経験の少ない方にとっては難しく感じるようです。 これは、ある意味当然のことで、小中学生での国語の授業や夏休みの読書感想文を思い出してください。登場人物の心情や作者の意図を読み解いたり、読んだ感想を述べたりといった経験はあっても、具体的な作文技術について学び、添削してもらった経験がある方は少ないのではないでしょうか。誰にもちゃんと教えてもらわず、また自分でも学んでこなかったのであれば、上手に書けなくて当然です。しかし幸いなことに、私たちが書くべき科学的な文章は、文学とは異なり「独自の感性・文学とは異なり「独自の感性」や「絶妙な表現」などは不要です。だが、わかりやすく・読みやすく書けば良いだけですので、本当にちょっとした技術や考え方を学ぶだけで事足ります。繰り返しますが、これまで学ぶ機会がなかっただけなのです。

しかし、本書の究極の目的はノウハウを伝えることではありません。書き方の技術を共有することで、申請書作成の基礎知識を平準化し、書き方の巧拙ではなく申請内容によって研究計画が正しく評価されるようにすることを目指しています。さらに、論理的でわかりやすい文章を書けるようになることで、あなた自身の研究計画が一層洗練され、ひいては科学全体の底上げにつながると考えています。

本書は、私がこれまでに添削してきた実際の申請書をもとに、多数の文例やロジック、よくある間違いなどを豊富に掲載することで、効率良く申請書作成のコツを学べるようにすることを心がけています。その一方で、紙面が限られているために、制度の概要や一般論は極力削ぎ落としていますので、それらについては類書を参考になさってください。加えて、チェックリストやテンプレートなど、時間がない中でも一定水準以上のものを書上げられるようにするための支援ツールも掲載しました。本書は学振や科研費を念頭に置いたものですが、つまるところ、いかにわかりやすく他人に自分の考えを伝えるか、といツコツについてですから、他の申請書や公募書類、論文など科学的な文章が求められるあらゆる場面において役立つものと考えています。ただし、残念ながら私は理系のそれも限られた分野の専門ですので、極力配慮したつもりではありますが、どうしても問題解決型 (本文参照)に寄っているのでその点は注意してください。

より良い甲請書のための一提案として、少しでも読者の役に立つようであれば幸いです。
2018年12月24日 科研費.com 管理人
https://科研費.com