学振申請書の書き方とコツ DC/PD獲得を目指す若者へ (KS科学一般書)

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学振の攻略本

学振申請書の正しい書式や書き方のルール、学振に関する基礎知識などが詳しく解説されています。良い申請書と悪い申請書の見分け方がわかり、より申請書をブラッシュアップさせることができます。見やすく、伝わりやすく書くコツがよくわかる1冊です。

大上 雅史 (著)
出版社 : 講談社サイエンティフィク (2016/4/7)、出典:出版社HP

はじめに

「学振」の攻略本が,ついに登場です.
日本学術振興会 特別研究員,通称「学振」.研究者を目指す者にとっては, この言葉の重みは相当なものでしょう申請書を書いて出すという慣れない作業に四苦八苦しながら,多くの学生や若手研究者が学振に挑戦してきました。本書はそんな学振の申請書の書き方を解説した初めての本となります。

ネット社会の昨今ですので,学振申請書の書き方の情報なんてググれば(※ Google 検索の意)いくらでも出てくるでしょうと言う人がいるかもしれません。ですが,そのような申請書の書き方を知っている人と知らない人には、 想像以上の差があると感じています。多くの学振採用者を輩出する研究室にいるなら先生や先輩が情報を提供してくれるでしょう。しかしそのような恵まれた環境にいない人は、すでにスタートの時点で情報量に差がついてしまっているわけです。せっかく優れた研究をしていても学振採用につながらない、そんな不幸が起こらないようにという思いが本書に込められています。

本書は筆者が行ってきた学振申請書の書き方に関する講演をベースとしつつ、申請に際しての重要事項および申請書の書き方とコツを体系立てて一から解説したものです。本書に記載した事柄の多くは募集要項や日本学術振興会のウェブサイトに記載されていることですので、たしかにググれば出てくる話も多いです。しかし、何のどこに大事なことが書いてあるのかをうまく手ほどきしたつもりですので、必ず役に立つと信じています.

本書を執筆するにあたり、様々な方から情報提供やご意見をいただきました。以下に挙げる方々の協力なしには本書は完成しえなかったでしょう。この場を借りて感謝申し上げます。
学振経験者インタビューを快く引き受けていただき、実際に提出した申請書の掲載もご快諾いただいた余越 萌さん(京都大学),寺田愛花さん(JSTさきがけ・東京大学),新屋良磨さん(東京大学), ならびに掲載をお認めいただいた当時の指導教員の先生方、インタビューにて,学振 PD での子育ての貴重なご経験を語っていただいた谷中好子さん(分子科学研究所), 数少ないSPD 採用経験者として面接などの情報を快く提供いただいた鈴木 翔 さん (Cornell University). Tスコア換算についてご議論いただいた森脇由 隆さん (分子科学研究所), 電子申請システム上での結果表示例を快くご提供いただいた柳澤渓甫さん(東京工業大学),安尾信明さん(東京工業大学), 福永津嵩さん (早稲田大学)、本当にありがとうございました.また,筆者の指導教員でもあった秋山 泰教授(東京工業大学)が叩きこんでくれた審査員の視点も含めた申請書執筆のコツは,現在に至るまで筆者の申請書への考え方の根幹をなしています。本書の校正段階でも多くの有益なご助言をいただき、ありがとうございました。東京工業大学で毎年開催されております科研費計画調書書き方講座の講師の先生方の解説資料も,本書執筆にあたり大変参考にさせていただきました。

最後に、筆者の遅筆さに呆れることなく完成までお付き合いいただきました講談社サイエンティフィクの三浦洋一郎様,そして休日の家族サービスが犠牲になっても温かく見守ってくれた妻 可愛と,本書執筆のさなかにこの世に生を受けた娘 明香里に感謝の意を表して、本書のはじめにとします.

2016年3月 大上 雅史

大上 雅史 (著)
出版社 : 講談社サイエンティフィク (2016/4/7)、出典:出版社HP

目次

はじめに

Chapter 1 「学振」の基礎知識
1.1 「学振」とは
1.2 特別研究員の制度概要
1.3 特別研究員 DC1/DC2 の申請資格
1.4 特別研究員 PD/SPDの申請資格
1.5 特別研究員 RPD の申請資格
1.6 どうすれば「学振」を取れるのか?
1.7 近年の「学振」採択率を見る
1章の関連情報
コラム 「学振」は有名な大学/先生/ラボじゃないと取れない!?

Chapter2 審査のしくみ
2.1 審査の流れ
2.2 分野,分科, 細目
2.3 分野 分科, 細目の選び方
2.4 書類選考のプロセス
2.5 書面審査の採点方式 EA スコアから計算できるもの
2.6 面接選考について
2章の関連情報
コラム 「学振」採択者に聞いてみたその1

Chapter3 申請書の書き方
3.1 「学振」の審査基準
3.2 「良い申請書」とは?
3.3 申請書には何を書くのか?
3.4 『2. 現在までの研究状況』
3.5 『3. これからの研究計画』
(1)研究の背景
(2)研究目的・内容
(3)研究の特色・独創的な点
(4)年次計画
(5)受入研究室の選定理由(PD のみ)
(6)人権の保護及び法令等の遵守への対応(DC は(5) )
3.6 「4. 研究業績』
3.7 「5. 自己評価」(DC のみ)
3.8 研究課題名を考える
3.9 評価書を書いてもらう
3章の関連情報
コラム「学振」採択者に聞いてみたその2

Chapter 4 申請書を書く、磨く。
4.1 申請書はいつ書き始める?
4.2 まず最初にやること
4.3 「学振」情報の収集・
「学振」のウェブページ・募集要項を熟読する
他人の申請書を入手して読む
他人が作った学振申請書の書き方指南を見てみる
指導教員の科研費申請書をお願いして見せてもらう
科研費申請書の書き方指南を見てみる
4.4 わかりやすい申請書を目指して(紙面デザイン編)
フォント選び
フォントサイズ
余白をつくる
箇条書き
文字装飾
図の配置
文献の引用方法
文章が枠内に収まらないときの手段
4.5 わかりやすい申請書を目指して(内容編)
専門用語には枕詞をつける
具体性を持たせる
項目ごとにサブタイトルで概要を言い切るテクニック
ひと目でわかる概要図を作る 4.6 最初のページが肝
4.7 業績アピールのコツ
業績欄に書けること
業績欄を“埋める”ために
業績欄のスタイル,その他
日頃から努力しよう
4.8 何度も校正する
4.9 「これからの研究」はまったく新しくてもよいか?
4.10 行き先は早めに決める(PD)
4.11 ダメ元でも申請する
4章の関連情報
コラム「学振」採択者に聞いてみたその3

Chapter5申請後にできること
5.1 自分のウェブサイトをつくろう
5.2 面接選考に進んだら
5.3 採用されたら、
科研費「特別研究員奨励費」の申請
その他
5.4 不採用だったら
5.5 今からできること~ B4, M1 の学生へ
5章の関連情報
コラム DC 持ちは大学の授業料免除申請ができない!?

Chapter 6 本当に「学級」が良いのか?~「学振」の義務や待遇, 今後について
6.1 「学振」に課せられる義務
6.2 「学振」の給与の現実, 節税の工夫
6.3 「学振」の良くない面
6.4 「学振」の良いところ
6.5 「学振」以外の助成など
博士学生向け
博士学位取得後の人向け
6章の関連情報
コラム 学振 PD の保育園入園活動(保活)事情など
sample ①:実際の DC1 申請書(平成23年度採用募集)
sample ②:実際の PD 申請書(平成26年度採用募集)
付録
提供sample ①
提供 sample ②
提供 sample ③
索引

大上 雅史 (著)
出版社 : 講談社サイエンティフィク (2016/4/7)、出典:出版社HP