宇宙ビジネスのための宇宙法入門 第2版

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宇宙法入門書

宇宙ビジネスのためには、宇宙空間の特殊性ゆえの様々なルール、法的手法の理解が必要です。本書は、宇宙活動法・衛星リモートセンシング法、宇宙ビジネスの最新動向をふまえた改訂版となっています。宇宙について、ビジネス的な観点から捉えることができます。

小塚 荘一郎 (著, 編集), 佐藤 雅彦 (著, 編集)
出版社 : 有斐閣; 第2版 (2018/4/5)、出典:出版社HP

第2版 はしがき

本書の初版は,2015年の1月に出版された。その翌年,2016年(平成28年)には,宇宙2法と呼ばれる「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律」(宇宙活動法)および「衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律」(衛星リモセン法)が成立し、日本にもいよいよ、民間宇宙活動を国内法に基づく許可制度の中で監督し,宇宙条約等の実施を確保するという体制が成立した。宇宙2法は、2017年に宇宙活動法の一部を除いて施行されており,残る部分も2018年11月には施行される。

そうするうちにも,宇宙ビジネスの動きは速く,new spaceと呼ばれる革新的な宇宙ビジネスが、日本にも生まれてきた。近年では,伝統的な宇宙産業が築き上げてきた財産(legacy)を,new spaceの革新性と融合させ、新たな可能性を開いていくことの必要性が説かれるようになった。このような事業者間の提携を効果的に進めるためにも,宇宙ビジネス法がもつ意味は,いよいよ大きくなるといえる。「宇宙ビジネスの観点から宇宙法を考えるというわれわれの問題意識は幸いにして多くの読者に受け入れられ,本書の初版は,広い範囲の読者に温かく迎えられた。宇宙法に対する関心も,法律家コミュニティの内外で,かつてないほどに高まっている。このことは、われわれにとって,文字どおり望外の喜びであった。しかし、宇宙法と宇宙ビジネスが大きく変化していく中で、当初の評価に安住するわけにはいかない。そこで,最新の動向を取り込んで,ここに第2版を世に送ることとした。

改訂に際しては、new space企業のひとつとして知られる株式会社エールから、図版の提供をいただいた。ここに記して厚く御礼を申し上げる。また,初版に引き続き、第2版の編集にもご尽力をいただいた株式会社有斐閣の笹倉武宏氏にも,著者一同から感謝を申し上げたい。そして、ここで一々お名前を挙げることは控えるが、各著者が執筆に際して直接,間接の負担をかけている研究室のスタッフや家族にも、心から感謝の思いを伝えたい。

2018年2月
著者一同

著者紹介

青木節子
慶應義塾大学大学院法務研究科教授
慶應義塾大学法学部卒業。カナダ、マッギル大学法学部附属航空宇宙法研究所博士課程修了。D.C.L.(法学博士)。立教大学法学部助手,防衛大学校社会科学教室專任講師,助教授,慶應義塾大学総合政策学部助教授,教授等を経て2016年4月より現職。

小塚荘一郎
学習院大学法学部教授
東京大学法学部卒業。博士(法学)。千葉大学法経学部助教授,上智大学法科大学院教授等を経て,2010年4月より現職。

佐藤雅彦
宇宙航空研究開発機構(JAXA) 評価・監査部長,JAXA法務スペシャリスト
学習院大学法学部法学科卒業。ジョージワシントン大学国際関係大学院宇宙政策研究所客員研究員,文部科学省宇宙政策課調查員,JAXA総務部法務課長,人事部人事課長,ワシントン駐在員事務所長等を経て,2019年1月より現職。慶應義塾大学法学部非常勤講師。

竹内悠
宇宙航空研究開発機構(JAXA) 有人宇宙技術部門事業推進部主任
上智大学法学部地球環境法学科卒業。一橋大学国際・公共政策大学院,カナダ,マッギル大学法学部附属航空,宇宙法研究所修士課程修了。JAXA総合技術研究本部事業推進部,給務部法務課,第一宇宙技術部門事業推進部,外務省総合外交政策局宇宙室(出向)等を経て,2018年10月上)現職。2015年から2017年まで慶應義塾大学法学部非常勤講師。

水野素子
宇宙航空研究開発機構(JAXA)調查国際部 参事
東京大学法学部卒業。ライデン大学国際法修士課程修了。中小企業診断士。外務省国際科学協力室(出向),JAXA総務部法務・コンプライアンス課長等を経て2018年7月より現職。2010年より東京大学公共政策大学院非常勤講師,2013年から2014年まで慶応義塾大学法学部非常勤講師。

小塚 荘一郎 (著, 編集), 佐藤 雅彦 (著, 編集)
出版社 : 有斐閣; 第2版 (2018/4/5)、出典:出版社HP

目次

第2版はしがき
初版はしがき
著者紹介

CHAPTER1 イントロダクション
「宇宙法」は宇宙ビジネスをキャッチアップしているか?
旅行代理店で「宇宙へのパックツアー」を買ってみよう!
人類の宇宙進出と宇宙法
宇宙法の種類
国際宇宙公法(国際法――国家間のルール)
国内宇宙法(国内公法―国と私人の間のルール)
宇宙私法(契約法―私人間のルール)
国際宇宙私法(各国私法の適用関係を調整するルール)
宇宙法の有効性
宇宙ビジネスの特殊性(政治リスク)

CHAPTER2 宇宙活動の基本ルール
はじめに
国際宇宙公法の知識が必要なのか
国際宇宙法のリスト
国連宇宙5条約
国連の外で作られた宇宙関係条約
ソフトローとしての国際宇宙法
国連宇宙諸条約の基本原則
宇宙活動自由の原則と国際公益
宇宙の領有権禁止原則——私人の土地所有は可能か?
宇宙での天然資源の採掘・利用
宇宙の平和利用
「宇宙物体」の法的地位と宇宙物体により生じる損害の賠償制度
宇宙環境の保護(1)
宇宙環境の保護(2)
宇宙活動を規律する新たな法形成の動向
ソフトロー優位の時代
スペース・デブリ低減に向けての国際協力
リモートセンシング画像配布の国際法
原子力電源利用原則と国際安全枠組み
宇宙の商業利用時代に対応する国連総会決議
打上げ回概念,登録,国内法
通信衛星の周波数・軌道位置獲得問題

CHAPTER3 国家間の宇宙活動の法的ルール
二国間の法的ルール
技術導入のための法的ルール「1969年日米交換公文」
共同活動のための法的ルール
通商・調達に関するルール「日米衛星調達合意」
多国間(マルチ)の法的ルール
ISS計画の概要
ISS計画の経緯、歴史
IGA条約体系
IGAの主な内容

CHAPTER4 宇宙ビジネスを支える国内法
わが国の宇宙ビジネスに関する法制度の現状や課題
宇宙活動法
宇宙航空研究開発機構法(JAXA法)
行政機構の再整備・宇宙ガバナンスの転換
宇宙基本法の概要
宇宙基本法
衛星リモートセンシング法
諸外国の宇宙法
能動的な宇宙活動国
受動的な宇宙活動国
リモートセンシング関連法制
世界最古の北欧諸国の宇宙法

CHAPTER5 宇宙ビジネスのルール
民間宇宙活動の基本枠組み
様々な宇宙ビジネス
宇宙保険
宇宙空間と知的財産
宇宙ビジネスと規制
宇宙ビジネスの紛争解決
各種の宇宙ビジネス
打上げビジネス
宇宙観光ビジネス
衛星通信ビジネス
測位ビジネス
地球観測(リモートセンシング)ビジネス
新しい宇宙ビジネス

CHAPTER6 宇宙ビジネスの展望と法的課題
宇宙機器製造業
衛星利用産業
宇宙ベンチャー
多彩な宇宙関連ビジネス
映像・コンテンツビジネス
宇宙ブランド商品
冠婚葬祭ビジネス
コンサルティング・シンクタンク
教育ビジネス
地方創生・ソーシャルベンチャー
宇宙ビジネスの第一歩を踏み出そう
JAXAの新事業促進プログラム
宇宙ビジネスの進展と宇宙法

参考文献
索引

小塚 荘一郎 (著, 編集), 佐藤 雅彦 (著, 編集)
出版社 : 有斐閣; 第2版 (2018/4/5)、出典:出版社HP