宇宙ビジネス入門 NewSpace革命の全貌

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宇宙ビジネスの可能性とは

本書は、宇宙ビジネスに関する社会的な動向や産業としての可能性などを説明している本です。宇宙産業の全体的なこれまでの経緯から宇宙関連の市場の概要、起業家のビジョン、宇宙産業のエコシステム、主要国や日本の宇宙ビジネスの状況など宇宙ビジネスの基本的な項目がわかる内容となっています。

石田 真康 (著)
出版社 : 日経BP (2017/8/31)、出典:出版社HP

プロローグ

宇宙は古今東西変わらず、人々の興味をひきつけてきた。
1969年にアポロ11号が月面着陸した際には、世界40カ国以上にテレビ中継され、6億人が人類にとっての歴史的瞬間を見たと言われている。
スペースシャトルや国際宇宙ステーションなどのプロジェクトにも人々は関心を寄せてきた。また、日本では2010年に小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還して社会現象となったのも記憶に新しい。

宇宙は我々の生活にも溶け込んでいる。日々使っているカーナビゲーションや地図アプリケーションでは測位衛星からの信号を受信しており、朝の天気予報では気象観測衛星「ひまわり」による画像が使われている。昨今増えつつある飛行機の機内で使えるWi-Fiサービスでは、地球からなんと3万6000キロメートルも離れた静止通信衛星を利用している。意識しないことが多いが、我々の生活は多様な宇宙技術に支えられているのだ。

宇宙はコンテンツとしても鉄板だ。ハリウッド映画では『スター・ウォーズ』などのSF映画の人気は高く、近年も2013年の『ゼロ・グラビティ (原題 : Gravity)』や2015年の『オデッセイ(原題 : The Martian)』などがヒットしている。日本でも 1979年から始まった人気アニメの『機動戦士ガンダム』や、2007年末から始まっ た人気漫画の『宇宙兄弟』など宇宙を舞台にしたコンテンツは沢山存在する。

そして、ここ数年はビジネスとしての宇宙に対する注目が高まっている。打ち上げサー ビスを行う宇宙ベンチャー企業スペースX(SpaceX)の活躍がニュースで届けられる機 会も増えた。スペースXの創業者であるイーロン・マスク氏は稀代の起業家として、宇宙業界以外のビジネスパーソンにとっても馴染みある存在だ。
スペースXだけではない。今、世界の宇宙産業では「New Space」とも言われる新たな潮流が起きており、1000社を超えるベンチャー企業が誕生している。宇宙起業家たちが掲げるビジョンは壮大だ。人類が火星に到達し複数の惑星に文明を築く世界、数百機の衛星が数十億人にネットインフラを届ける世界、多くの人々が宇宙旅行や宇宙ホテルに 滞在する世界。そうしたビジョンを実現するためのテクノロジー、リスクマネー、ビジネ スモデル、法律・政策などの具体的な動きが始まっている。

かつて夢として語られた世界が、自分が生きているうちに実現するかもしれない。従来は限られた人にしか機会のなかった宇宙ビジネスに自分も関われるかもしれない。そうし たワクワクする大きな期待が今この宇宙ビジネスには存在する。新しい産業の可能性を読者の皆様にお届けしたい。

2017年7月
石田真康

石田 真康 (著)
出版社 : 日経BP (2017/8/31)、出典:出版社HP

目次

プロローグ

1 全体像
1-1 米国発・宇宙ビジネスビッグバン
1-2 宇宙産業の歴史
1-3 従来市場
1-4 新潮流 : NewSpace
1-5 将来的な市場セグメント

2 市場セグメントとキープレイヤー
2-1 宇宙へのアクセス
大型ロケット
小型ロケット
2-2 衛星インフラの構築
觀測衛星
通信・放送衛星
測位衛星
地上インフラ
2-3 衛星および衛星データ利活用
衛星ビッグデータ(ジオ・インテリジェンス)
衛星インターネット(ユビキタス・コネクティビティ)
精密測位と自動化(オートノマス・モーション)
2-4 軌道上サービス
スペースデブリ除去
宇宙ステーション (微小重力実験など)
2-5 個人向けサービス
宇宙旅行
宇宙ホテル
2-6 深宇宙探査・開発
月・火星の探査・開発
資源開発

3 宇宙起業家たちのビジョン
3-1 イーロン・マスク/スペースX「人類を複数惑星に住む種族に」
3-2 ジェフ・ベゾス/ブルーオリジン「数百万人が宇宙で暮らし、働く時代を創る」
3-3 リチャード・ブランソン/ヴァージン・ギャラクティック「空中分離システムで宇宙旅行と衛星打ち上げ」
3-4 ピーター・ディアマンディス/Xプライズ財団「ツーリズムと宇宙資源開発の市場形成」
3-5 グレッグ・ワイラー/ワンウェブ「グローバル情報格差をゼロにする」
3-6 マーク・ザッカーバーグ/フェイスブック「ドローン、衛星、レーザーを活用してネットインフラ構築」
3-7 スティーブ・ジャーベソン/DFJ「宇宙産業はネットの黎明期と同じ」
3-8 エアバスグループ「新規参入組に対抗」

4 米国の宇宙産業エコシステム
4-1 法整備/政策
法整備
商業宇宙政策
4-2 テクノロジー
4-3 リスクマネー
4-4 プラットフォーム
カンファレンス
メディア・プロフェッショナル
業界団体
産業クラスター

5 世界各国の宇宙ビジネス
5-1 欧州
5-2 ルクセンブルク
5-3 英国
5-4 インド
5-5 中国

6 日本の宇宙ビジネス
6-1 歴史と現状
6-2 近年の産業振興
6-3 宇宙産業ビジョン 2030
6-4 日本の宇宙ビジネスイノベーション
ベンチャー企業の台頭
異業種による宇宙技術の利活用
グローバルビジネス展開
6-5 新たな宇宙ビジネスエコシステム
業種をまたぐアライアンス
産業横断プラットフォーム : SPACETIDE
人材の多様化

7 今後の可能性と課題
7-1 2020年までの見どころ
世界
日本
7-2 2030年に向けた可能性

エピローグ

石田 真康 (著)
出版社 : 日経BP (2017/8/31)、出典:出版社HP