これだけは知っておきたい! 弁護士による宇宙ビジネスガイド

【最新 – 宇宙ビジネスについて知るためのおすすめ本 – 入門から宇宙ビジネスの未来まで】も確認する

宇宙ビジネスへの第一歩

宇宙ビジネスに参画する企業は年々増加しています。本書は、宇宙の専門家ではない学生や一般の方々が宇宙ビジネスに必要不可欠な宇宙法の全体像を把握するための入門書です。各ビジネスに関連する宇宙法をテーマごとに分かりやすく解説してあります。

第一東京弁護士会 (編集)
出版社 : 同文舘出版 (2018/11/16)、出典:出版社HP

はじめに

本書を手にとられた方には、夜空に輝く満天の星空を見上げながら、宇宙の神秘や可能性に想いを馳せ、宇宙飛行士になって碧く美しい地球を宇宙からみてみたいと願ったことがある方も少なくないことでしょう。
現在、米民間企業であるSpaceX社によるロケットの打上げ成功や日本発の小型ロケットであるいわゆるホリエモンロケットの打上げチャレンジなど、宇宙にかかわるビジネスには、大きな注目が集まっています。

これまで、ロケットの打上げや衛星利用などの宇宙活動は、大企業が国家プロジェクトに参画する形で、ビジネスとしてチャレンジしてきました。しかし、近時は、大企業のみならず、日本においてもさまざまな領域において宇宙活動を行うベンチャー企業(New Space)が登場し、民間企業が宇宙ビジネスを推進しています。今や、宇宙ビジネスはまさに現実のものとして動き出しているのです。本書は、宇宙の専門家ではない学生や一般の方々が、宇宙ビジネスに不可欠な宇宙法のおおよその全体像を把握するための「道しるべ」となるわかりやすい入門書を目指すものであり、齋藤崇弁護士をプロジェクトリーダーとして、第一東京弁護士会総合法律研究所宇宙法研究部会に所属する弁護士のうち39名(およびオブザーバー1名)が執筆にあたりました。
その背景には、宇宙法自体が非常に新しい分野であるため、宇宙法を概説した書籍はあまり多くはなく、特に、これから宇宙法を学ぼうとする方を対象とした入門書は、ほとんどないといってよい現状があります。
当部会は、2016年春に水島淳弁護士とともに発案し、野原俊介弁護士をはじめ22名の賛同者を得て、2017年1月に、第一東京弁護士会総合法律研究所内に正式に設置されました。設置後は、毎月入会希望者が増え続け、脱稿日現在、若手弁護士を中心とした約70名の部会員が所属し、それぞれの専門分野を生かしながら切磋琢磨し、研究に勤めています。

本書を、宇宙法を学ばれる「入口」として利用していただければ幸いです。
なお、本書は、各項目の担当者個人の研究成果に基づく文責にかかっており、第一東京弁護士会や部会員が所属する各法律事務所・団体ないの統一した見解ではないことを申し添えます。
本書の執筆にあたり、平素から当部会へのご指導をいただいている書木節子慶應義塾大学教授、中須賀真一東京大学大学院教授、奈良道博弁護士(元第一東京弁護士会会長)、澤野正明弁護士(前第一東京弁護+A会長)、辺見紀男弁護士(元第一東京弁護士会副会長)、中西和幸弁護士、帯へのコメントを快く引き受けていただきました山崎直子様(元宇宙飛行士)、差込写真などさまざまなご高配をいただきました郷田直輝教授はじめ国立天文台の皆様、UNISEC(大学宇宙工学コンソーシアム)川島レイ様にこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。

また、裏方として事務作業を一手に担った伊豆明彦弁護士、木村響弁護士、田代夕貴弁護士、山本峻弁護士のハードワークなくして刊行できませんでした。
最後に、宇宙ビジネスや宇宙法が日々進歩しているなかで、このようないわばチャレンジともいえる企画を後押しいただき、出版に向けて尽力いただいた同文舘出版株式会社の青柳裕之様と有村知記様にも心から感謝申し上げます。

2018年7月
第一東京弁護士会 総合法律研究所 宇宙法研究部会部会長
弁護士 高取由弥子

第一東京弁護士会 (編集)
出版社 : 同文舘出版 (2018/11/16)、出典:出版社HP

目次

はじめに

序章 広がる宇宙ビジネスと法
宇宙ビジネスの拡大
宇宙ビジネスの類型
宇宙ビジネスの広がり
人工衛星・ロケット製造および打上げ
軌道上の人工衛星
宇宙ビジネスの類型
国際宇宙ステーション等の軌道上有人活動
軌道上サービスなど宇宙空間活動
序章
宇宙法の利害関係者と宇宙法の重要性
宇宙ビジネスと国・公的機関
宇宙とは
宇宙の定義
宇宙にあるものの位置関係

第1章 人工衛星・ロケットの打上げ
人工衛星・ロケットの打上げの概要
打上げの実務
増大する小型衛星の打上げニーズ
超小型ロケットの開発競争
打上げ契約の留意点
射場の設置と関連産業保護の調整
損害賠償と補償

第2章 人工衛星の活用
人工衛星活用の概要
人工衛星の購入・利用
人工衛星の購入
人工衛星の利用
人工衛星の国際的管理
通信衛星
衛星放送
衛星放送
関連する法律
衛星リモートセンシング
衛星リモートセンシング2
「データの著作権」とは
衛星データの著作権
著作権の制限
測位
有人ステーション・有人宇宙旅行

第3章 有人ステーション・有人宇宙旅行の概要
有人宇宙旅行
ISSとは
ISSとは
ISSの構成
計画の歴史
ISSへの宇宙飛行士の滞在
ISS でのビジネス活動
サブオービタル(宇宙旅行)
サブオービタル旅行とは
サブオービタル旅行への法的規制
世界初のサブオービタル旅行

第4章 軌道上サービス
軌道上サービスの概要
デブリ除去
軌道上サービス

第5章 宇宙資源探査その他の宇宙ビジネス
宇宙資源探査その他の宇宙ビジネスの概要
資源開発
その他の宇宙ビジネス
宇宙ホテル:間近に迫る旅行者向け宇宙ホテル開業
宇宙活動を加速度的に発展させる宇宙エレベーター
宇宙葬:神秘的で壮大な冠婚葬祭
流れ星やその他の拡がる宇宙ビジネスへの期待
周辺産業

第6章 周辺産業の概要
宇宙ファイナンス
宇宙ファイナンス2
プロジェクト・ファイナンス
アセット・ファイナンス
宇宙ファイナンス3
宇宙保険
宇宙とサイバーセキュリティ
他産業との関連
宇宙関連技術の他産業での活用
他産業の技術の宇宙産業での活用

第7章 国際的ビジネスとしての法的視点
宇宙活動自由の原則と国際公益
国際公益とは何か
宇宙条約における「自由」と「公益」
スペース・ベネフィット宣言一協力と競争(市場原理)の調和
国際ビジネスの視点から
宇宙活動と知的財産権
特許でみる宇宙関連企業
宇宙空間と知的財産権
安全保障貿易管理
宇宙環境保護
宇宙の平和利用
紛争解決
宇宙活動と政治

第8章 国際宇宙法
国際宇宙法の構造
宇宙のルール=国際宇宙法
国際宇宙法の構造
国際宇宙法形成の動向
国際的機関の概要
国際宇宙法の歴史
宇宙条約
国際宇宙法の歴史
宇宙関連条約
国際宇宙法の歴史
ソフトロー
条約策定の難しさ
条約に代わるソフトロー
ソフトローの具体例
各国の法制動向

第9章 日本の宇宙法
日本の宇宙法の概観
日本の宇宙政策の歴史
日本の宇宙機関(JAXA)の概要および役割
JAXA の概要
JAXA の役割
JAXAの今後の取組み
日本の官公庁の概要および役割
宇宙基本法および宇宙基本計画
宇宙産業ビジョン 2030
第4次産業革命下の宇宙利用創造
宇宙産業ビジョン 2030の制定
宇宙産業ビジョン 2030の概要
今後想定されている工程と宇宙産業ビジョン 2030
宇宙活動法宇宙活動法の概要
宇宙活動法制定の背景
宇宙活動法が規定する諸制度の内容
衛星リモセン法
衛星リモセン法
規制の内容

おわりに

コラム一覧
宇宙法のハブ
スターウォーズとスタートレック
宇宙エレベーターの歩み
宇宙天気
宇宙技術と災害利用
宇宙飛行士になるには
隕石について
技術とロマンを乗せて飛ぶはやぶさ
宇宙食
宇宙日本食
宇宙の謎に挑む国立天文台
宇宙関連技術の活用と規制改革
アニメの中の宇宙ビジネス
惑星の命名
シリコンバレーでも注目度の高まる日本の宇宙系スタートアップ
学生たちの熱き宇宙開発~宇宙科学技術立国の原動力~

第一東京弁護士会 (編集)
出版社 : 同文舘出版 (2018/11/16)、出典:出版社HP