世界基準で学べる エッセンシャル・デジタルマーケティング

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全体像がよくわかる

デジタルマーケティングの基本的な考え方や現状についてよくわかります。プレ・マーケティングから、戦略の作り方、代表的な施策まで内容をカバーしています。職種にかかわらず、全てのビジネスパーソンにおすすめの1冊です。

遠藤 結万 (著)
出版社 : 技術評論社 (2018/9/14)、出典:出版社HP

まえがき

本を書く人なら誰しも、自分が知っている全員の人に本を読んでほしいと思うものです。
しかし、現実に本を売るとなると、当然のことながらターゲティング、つまり、顧客を明確にすることが必要になります。

本書は、マーケティング担当の方、広告代理店の方、これからマーケターを目指す学生のために書かれていますが、とりわけ、中小企業や大企業、スタートアップの「経営層」の方々に読んでいただきたい本です。
デジタル戦略は、既に「やってもいい」という添え物の戦略ではなく、企業の基幹戦略の一つになりつつあります。しかしながら、その基幹戦略を充分に理解している人材が少ないのも現状です。
あえて申し上げるなら、このような現状はやむを得ないのかもしれません。
デジタル・マーケティングは複雑怪奇です。SEOにリスティング、ディスプレイにSNS、コンテンツマーケティング、ネイティブ広告、DSPにSSPにDBMに020。覚えるだけでも精一杯でしょう。
本屋に行っても、「Google Analytics入門」「SEOハンドブック」「リスティング広告の初歩」等々、無限にあり、現実的に全部読んでいる時間はありません。
本書は、そのような現状を踏まえた上で「基幹戦略を自分で建てられる」ことを目標に、企業の意思決定に関わるトップレベルの方々が網羅的にデジタル・マーケティングの知識を学んでいただくための書籍です。

主な対象として、事業立ち上げや起業など、自ら新たなデジタル・マーケティングを始めようとされている方を想定し、下記3つの特徴があります。

①戦略レベルから考える
本書は、「SEOのテクニック」や「Google広告の運用法」といった書籍とは一線を画し、様々なデジタル施策の中から「そもそもどのような施策を取るべきか?」「施策の優先順位はどのように付けるべきか?」ということを考えていただくための書籍です。
日本には、CMO(マーケティング責任者)や、CDO(デジタル責任者)が少ないと言われます。包括的な知識を持った人材の育成は急務でしょう。

②可能な限り数字で示す
「○○の施策をやりましょう」とクライアントに提案したとき、「それでどれくらい伸びるの?儲かるの?」と聞かれた経験が皆さんにもあるのではないでしょうか。
「どの施策が推奨されるのか」という記述だけでは、実際に物事を動かすには充分ではありません。○○が実際にどの程度のインパクトをもたらすかを知っていただくため、可能な限り数字で示すようにしています。

③原典にあたる
デジタル・マーケティングの世界では、日本語の情報よりも英語の情報のほうが充実しています。それらをキャッチアップしていただくことが本書の狙いです。世界で実践されている、デジタル・マーケティングの最先端事例をわかりやすく解説します。

私はこれまで様々な形で、企業のマーケティングに関わってきました。Googleの中小企業担当のコンサルタントとして数百社以上の広告に携わる一方、大手企業、ベンチャー企業など、様々な企業の人材育成と戦略立案に関わってきました。
そこで気がついたことがあります。「機能しないマーケティング組織は、機能しない起業そのものだ」ということ。
経営者は数字だけを要求し、現場は数字をなんとか「お化粧」し、広告代理店の資料だけはますます分厚くなり、過重労働で苦しんでいく。
だからこそ、私は「このような現状を変えたい」という思いがあります。「状況を変えるには、まず、経営者を含め、トップにいらっしゃる方々が、デジタルに関する理解を深めるしかないのです。

「とにかく、売上(インストール/PV/会員登録)が伸びればいいんだよね!」
「売上が伸びればなんでもいいからさ」
トップがこういう認識であれば、企業のマーケティングが上手くいくことはありません。
このようなマインドの企業の場合、PDCAではなく「PD」になっているケースがほとんです。つまり、C(チェック)がないまま、P(計画)とD(実行)を無限に繰り返している状態です。
デジタル・マーケティングにおいて、「ほう(報)、れん(連)、そう(相)」だけでは上手く行きません。自ら知ろうとしない限り、そして理解しようとしない限り、本当に必要な情報は上がってこないのです。
もちろん、本書は現場のマーケティング担当者にも有益であるように書きましたし、マーケターではない皆さんにとっても有益であると考えています。
人事、営業、エンジニア、あらゆる職種にとって、デジタル戦略やマーケティングに対する理解は必要不可欠だからです。
本書は「デジタル・マーケティング」という領域を対象にしていますが、現代のマーケティングでデジタルと絡まない分野はほぼありません。
本書は専門書や技術書ではありません。
「そんな細かいことをいちいち勉強する暇はない」というお忙しい方や、「デジタル・マーケティングを勉強したい」という意欲的な方へ向けたビジネス書として、本書が多くの方々の“これからの仕事”に役立つことを期待しています。

2018年8月吉日
遠藤結万

遠藤 結万 (著)
出版社 : 技術評論社 (2018/9/14)、出典:出版社HP

CONTENTS

まえがき

part1 プレ・マーケティングって何?——マーケティングからはじめよう
1-1 デジタルの時代
デジタル・マーケティングは、何を変えたのか?
デジタル・マーケティングって、何?
デジタル・マーケティングの特徴❶——相互の影響力
デジタル・マーケティングの特徴❷——パーソナライゼーション
デジタル・マーケティングの特徴❸——スピード
デジタル・マーケティングの特徴❹——数値化
マーケティング3.0——よりよい世界を作るために
1-2 プレ・マーケティングの時代
プレ・マーケティングの時代❶——クラウドファンディングの流行
プレ・マーケティングの時代❷——リーンスタートアップの流行
プレ・マーケティングの時代❸——ドッグフーディングで既存事業を見直す

part2 本当にそれ、需要ある?——マーケティング戦略の作り方
2-1 マーケティングをはじめる前に❶——需要があるかを確認する
戦略とは何か
それって、本当に需要があるの?
ニーズに合わせたマーケティング
需要はどうやって調査する?
2-2 マーケティングをはじめる前に❷——明確な顧客像を作る
顧客の「ニーズ」と「デモグラフィック」
デモグラフィックは、潜在顧客のニーズを推定するために利用する
デモグラフィックに合わせた媒体選択
2-3 マーケティングをはじめる前に❸——競合と集客チャネルを把握する
競合によってビジネスは変化する
競合を知る
2-4 マーケティングをはじめる前に❹——統合的チームを作る
広告マインドから、統合的なマーケティングマインドへ
必要となった「統合的組織」
流入とランディングページ
2-5 マーケティングをはじめる前に❺——ブランドを定義する
媒体の違い——食ベログとホットペッパー
失敗事例——グルーポン
ブランドを作る❶——Facebook
ブランドを作る❷——Google
ブランドを作る❸——Apple
2-6 マーケティングをはじめる前に❻——ボトムアップのチームを作る
トップダウンからボトムアップへ
広告代理店任せからの脱却
まず行動が必要な時代
分厚い企画書は失敗の元
現場に権限を与える

part3 広告なんて、誰も見ていない?——デジタル時代の「RAM-CE」フレームワーク
3-1 フレームワークはなぜ必要なのか
マーケティングにおける様々なフレームワーク
「RAM-CE」——マーケティングフレームワーク
3-2 プロセス❶——Reach(顧客に届ける)
情報過多の時代
トリプルメディア戦略
トラフィック(流入)を分けてみる
トラフィック・ポートフォリオを作る
トラフィックの種類を確認しよう
3-3 プロセス❷——Attention(顧客の注意を引く)
広告を出しても見られていない?
クリエイティビティと顧客の注目
「目」の写真は人の行動を変える?
視線の流れを理解する❶——Zの法則
視線の流れを理解する❷——グーテンベルク・ダイヤグラム
視線の流れを理解する❸——Fの法則
3-4 プロセス❸——(Memory)顧客の記憶に残す
記憶に残ると何が起こるのか?
忘れられないためには「物語」を語るべき
ブランド構築は容易ではない
フリークエンシー(接触頻度)の効果
「認知」は必要か?
3-5 プロセス❹——Closing(締結する)
売れない理由は?
買う理由と買わない理由
クロージング❶——顧客を安心させる
クロージング❷——選択肢を絞る
クロージング❸——意思決定を簡単にする
クロージング❹——段階を踏ませる
3-6 プロセス❺——エンゲージメント
スマートフォンの普及と「つながる時代」
エンゲージメントの歴史
メールマーケティングと「スパム」メール
現代のメールマーケティング
MA(マーケティングオートメーション)とナーチャリング

part4 探しものはなんですか?——検索エンジンとSEO
4-1 検索エンジンの誕生とその歴史
Googleの誕生と覇権
4-2 SEOの基礎知識
SEOとは何か
SEOの必須用語
SEOが問題? Webサイトが問題?
検索スパム、ブラックハットSEOとは何か
4-3 SEOをはじめる
SEOの基礎❶——顧客にわかりやすいタイトルと説明を付ける
SEOの基礎❷——キーワード/クエリの選定
SEOの基礎❸——わかりやすいWebサイト構造とPLP
SEOの基礎❹——ページの速度を速くする
チェックポイント❶——検索順位とクリック率をチェックする
チェックポイント❷——読了率と滞在時間でコンテンツの質を確認する
チェックポイント❸——直帰率、セッション当たりページ数でUIを確認する
4-4 品質の高いコンテンツを作る
品質の高いコンテンツを作る❶——ページの目的を考える
品質の高いコンテンツを作る❷——コンテンツの種類を考える
品質の高いコンテンツを作る❸——Webページの外部評価について
品質の高いコンテンツを作る❹——ページ品質の評価とは?
品質の高いコンテンツを作る❺——YMYLについて
サマリー——高品質なコンテンツとは?
4-5 コンテンツマーケティング/オウンドメディアの立ちますけ方
コンテンツマーケティングとは
その媒体、本当に意味がありますか?
専門性の高いコンテンツとオウンドメディア

part5 つながり続ける時代に——ソーシャルメディアとモバイル革命
5-1 つながり続ける時代——ソーシャルメディアが変えたもの
ソーシャルメディアの誕生
ソーシャルメディアとユーザーデモグラフィック
5-2 インフルエンサー・マーケティング
インフルエンサーとは何か?
インフルエンサー・マーケティングの効果は?
5-3 Twitter、Facebook、Instagram、LINE——SNSの運用について
KPIの設定
SNSの特性を考える
❶オフィシャル型——スターバックス
❷ユーザーグループ型——良品計画
❸フリースタイル型——タニタ
❹カスタマーサポート型——ドミノ・ピザ
5-4 YouTubeと動画マーケティング
動画広告≠YouTube
Live vs 短時間動画——「生」のよさ
動画広告vs画像広告
動画の長さとサイズについて

part6 世界最強の広告ツール——リスティング広告
6-1 リスティング広告(検索連動型広告)とは何か
検索連動型広告の誕生
業界平均と比べてみよう
なぜGoogle広告は検索連動型広告の覇者となったのか?
SEOとリスティング広告の違い❶——短期間で流入をコントロールできる
SEOとリスティング広告の違い❷——広告文とランディングページをコントロールできる
SEOとリスティング広告の違い❸——「広告主=お客様」になる
6-2 リスティング広告の基礎の基礎
リスティングの基礎❶——キャンペーン構成を考えよう
リスティングの基礎❷——コンバージョンをセットしよう
リスティングの基礎❸——マッチタイプを考えよう
リスティングの基礎❹——無駄なものは除外しよう
リスティングの基礎❺——どんどん自動化していこう
Google広告とYahoo!プロモーション広告の違いとは?

part7 今、古きをたずね、新しきを知る——ディスプレイ・ソーシャル広告
7-1 バナー広告の歴史
バナー広告・ディスプレイ広告の誕生
アドフラウドとデータの重要性
7-2 媒体を選ぼう
Yahoo!と純広告
Yahoo!Japanとブランドパネル
DSPとSSP
リターゲティング/リマーケティング広告
7-3 Facebook/Instagram広告の基礎
Facebook広告の誕生とその意義
Facebook広告の特徴
Facebookクリエイティブの種類
Instagram広告は?
よりよい運用のために
7-4 Twitter広告の基礎
Twitter広告の種類
効果的な使い方

part8 成功するために失敗せよ——データ分析とA/Bテスト
8-1 なぜデータ分析はこれほど重要なのか
データ民主主義の時代
勘はあてにならない? テストしよう!
8-2 正しいデータを選択しよう
選手を買うのではなく勝利を買う
分析に必要な指標は何か
より深い指標で計測する(LTV/ROI)
フリークエンシー(購入頻度)で考える
どの指標にポテンシャルがあるかを考える
基準値を作る
数値を細かくする(チャンクダウン)
コンバージョン単価は下がれば下がるほどよい?
8-3 Google Analyticsの分析
アナリティクス分析の基本❶——期間で比較する
アナリティクス分析の基本❷——トラフィックで比較する
アナリティクス分析の基本❸——ユーザー属性で比較する
アナリティクス分析の基本❹——コンテンツで比較する
アナリティクス分析の基本❺——コンバージョンとアトリビューション
アナリティクス分析の基本❻——まとめてみる
よりよい分析のために❶——データ量を増やす/トライアル期間を作る
よりよい分析のために❷——統計的アプローチを学ぶ
よりよい分析のために❸——収集データを増やす

あとがき
索引

□本書に記載されている会社名、製品名などは、一般に各社の登録商標または商標です。本文中に™️、®️マークなどは特に明記しておりません。
□本書は情報の提供のみを目的としています。本書の運用は、お客様ご自身の責任と判断によって行ってください。本書の運用によっていかなる損害が生じても、技術評論社および著者は一切の責任を負いかねます。

遠藤 結万 (著)
出版社 : 技術評論社 (2018/9/14)、出典:出版社HP