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【最新 – 新卒就活について学ぶためのおすすめ本 – 就活の全体像から企業視点まで】も確認する
新卒採用をどのように活用するか
新卒採用は、日本独自の採用手法であり、その是非については、様々な議論が行われています。本書では、新卒採用の意義や目的意識を持った採用戦略の展開、具体的なプロセスの紹介などが解説されています。新卒採用をなぜ行うのか、会社をより発展させるために人材採用はどうあるべきかを考えるきっかけとなる本です。
はじめに
少し前に、WEBや新聞で「新卒一括採用の是非」が議論されたことがありました。日本以外の多くの国では「必要な時に必要な人材を個別に採用する」のが主流であり、「大学在学中の一定の期間に就職活動を行い、卒業後すぐ一斉に就業する」という日本独自の就職文化はいかがなものか、というのがその内容でした。
ところが私自身は、その議論に加わることができずにいました。私の見聞きするかぎり、すでにかなり多くの企業が中途採用を重んじるようになっていましたので、今さらそんな議論をせずとも、「他の選択肢」もすでに十分に与えられているではないか、と思えたのです。新卒でも秋採用を採り入れる企業も増えていますし、留学生を別の時期に採用するのもふつうのこと。既卒や第二新卒マーケットも重要視されるようになっています。そんななか、一括採用された新卒だけが生粋で純正な社員として求められている、ということはありません(この実力主義の世の中、そんなことをしていたら会社は潰れてしまいます)。
ただし、日本において長い間「新卒採用」が主流であったことに異論はありません。それどころか、そこには数多くのメリットがあることも認めています。
ただ、誰もが「何も考えずに」「まわりがみんなそうしているから」というだけで新卒採用を続けているのだとしたら、それは思考停止であり、悪しき風潮であると感じます。
そこで本書では、いったんその「意義」に立ち返ることから始めて、新卒採用について考えていきたいと思います。
この「戦略編」では、概論としての採用全般についてまとめました。概論と言いましても、私の考える「新卒採用のあるべき姿」や「そのよりよい方法論」について、できるだけ具体的、詳細にまとめたつもりです。
これに続く「面接編」では、採用担当者にとってもっとも身近で喫緊のトピックである「面接手法」について、これもできるだけ具体的なテクニックを挙げ、論じています。
この採用難の時代、本書が少しでもみなさまのお役に立つヒントとして活用していただけるのであれば、これ以上の喜びはありません。
2018年8月 曽和利光
目次
【はじめに】
【第1章】採用には間違った常識があふれている
経営者、現場、担当者の「持論」で採用を行ってはいけない
採用チームに必要なのは多様性、同質な人の集まりではいけない
現場が求める人材像が常に正しいわけではない
採用した人がいい人だと信じ込み、検証しない
志望度が高い学生ばかり採用する
前例を踏襲した「待ちの採用」を続けている
【第2章】「攻めの採用」をはじめよう
採用における「戦略」「戦術」「戦闘」
事業戦略から考える攻めの採用戦略
何を組織人事戦略の軸とするか
人材ポートフォリオと人材フローの戦略
人材ポートフォリオ戦略
人材フロー戦略
求める人物像を設定する
求める人物像を構成する要素の数
求める人物像の「具体的な」イメージ
言葉の意味の摺り合せをする
求める人物のイメージを統一させる
【第3章】攻めの採用戦術とは?
いかにして求める人材を採用していくか
新卒採用においてKPIを設定するべき7つの指標
自社に適した選考プロセスの設計
【第4章】優秀層を集めるための母集団形成
なるべく多くの優秀層に会うことが大事
「採用最適」と「採用担当者最適」は違う
エントリーシートは極力なくすか、軽くする
WEBサービスを使い、エントリーシートの手間を極力簡単にする
「書いて持ってこさせる」のでなく「来てから書いてもらう」
できるだけ後工程で提出させる
説明会は「学生にとってメリットのあるもの」にする
説明会への参加は義務化しない
説明会は小分けにして多回数実施し、学生が参加しやすいようにする
説明会は学生にとって便利な場所で行う
五月雨式・同時並行的に複数の選考プロセスを進めていく
早期受験者は早期に選考プロセスを進めていき、待たせない
途中辞退者にも接触を続ける
ネットワーク採用を実施する
学生にとって魅力的な出会いイベントを設ける
【第5章】新卒採用から会社を変える!
■実例① リクルートにおける採用改革
■実例② ブランド力のない地域限定型の企業での採用改革
■実例③ 応募者や新入社員の人脈を活かした採用改革
■実例④ 海外の優秀層を狙った採用改革
【第6章】会社の成長によりマネジメントはどう変わるか?
社員数が増えると何が起こるか
【おわりに】
著者紹介