【最新 – 日本文学について理解を深めるためのおすすめ本 – 前提知識から日本文学史まで】も確認する
名作を網羅した日本文学史の入門書
本書は、『古事記』から『火花』までの古今の日本文学の名作のあらすじと作品背景を紹介した一冊です。主要な作品と作者の概要を簡単に知ることが出来ます。入門書としても活用できますので、日本文学史を簡単に学びたい人にもおすすめです。
知らないなんてモッタイナイ、読まないなんてモッタイナイ、日本文学!!
上代から現代まで、日本文学の流れを一気に理解できる本を書きたい!その思いを抱いて早や十年以上。今回、この本を書く機会を得て、たくさんの本を読み返してみて思ったことはただ一つ、日本の文学はとにかく面白い!
『万葉集』の中で山上憶良が「言霊の幸はふ国」だと書いているように、言葉には霊力が宿っていて、その霊妙な働きによって幸いがもたらされる国、それが日本であるというのは本当の本当です。
日本語で書かれた文学は、世界に誇れるレベルの内容を持ち、素晴らしい作品が山のように創られてきたのです。読まないなんてモッタイナイ!!
ところが、学校で習ってきた日本文学史は、ただ本の名前や作者の羅列であったり、試験のために棒暗記させられたりしたものが大半です。
「『平家物語』と同じ軍記物語を選べ」と試験で問われて、「えーっとなんだっけ、というか、何でこんなものを覚えなければいけないんだ」という疑問を持ったまま大人になった人も多いのではないでしょうか。
そこで、この本ではただの羅列に過ぎない文学史の紹介の仕方ではなく、内容はもちろん、作品の成立や背景、そして作者の面白エピソードなどを交えながら、日本の文学が本当に面白く、読むに値する素晴らしいものであることを立体的に紹介していきます。
この本は「中古」や「中世」などの大きな時代区分や流れを押さえつつ、ダイナミックに千三百年にも及ぶ日本文学を語っています(そのぶん、泣く泣くカットせざるをえなかった作品・作者も多かったのです……)。
そして、作品そのものの面白さを伝えるために、以下のような工夫をしました。
①原典を知るためのあらすじや有名かつ象徴的な箇所を多数引用
②作品の評価や位置づけ、作者についての興味深いエピソードを豊富に記述
③作品をより深く楽しく理解するための背景知識を掲載
こうした、立体的なアプローチによる日本文学史とすることで、飽きずに楽しく日本文学を学ぶことができるはずです。
そして、この本で紹介されている豊穣なる日本の文学作品に興味が湧いた方は、是非実際に作品を手に取り、読んでみてください。それこそこの本を書いた者として最上の幸せです。
2016年秋
板野博行
【目次】
第1章 上代 CHAPTER1
神話の時代と和歌の揺籃期
日本文学史の始まり
第2章 中古 CHAPTER2
和歌は平安貴族の必須教養
三十一文字に想いを込めて
平安時代は女流文学の花盛り
「をかし」と「あはれ」の美学とは?
日本文学の金字塔『源氏物語』が生まれるまで
紫式部に影響を与えた名作物語
栄華を極めた藤原道長
道長を中心に世界は回っていた
説話文学の誕生と平安末に流行した歌謡
庶民や武士を描いた文学の始まり
第3章 中世 CHAPTER3
鎌倉時代もまだまだ和歌は大人気!
「幽玄」「有心」と和歌は深化した
中世は説話が花盛りの時代
仏教説話と世俗説話
隠者文学の双璧『方丈記』『徒然草』
この世の無常観を綴った鴨長明と兼好法師
軍記物語の最高傑作『平家物語』
平氏滅亡に見る滅びの美学
鎌倉時代の女流文学
あんなこともこんなことも赤裸々に綴った日記
南北朝を描く軍記物語と歴史物語
『太平記』と『増鏡』
中世の芸能は「能」で決まり!
天才親子が一世を風靡する
和歌をしのぐ勢いで広まった連歌
中世に大流行した創作ゲーム
第4章 近世 CHAPTER4
元禄文学の立役者・井原西鶴
西鶴が生んだ浮世草子という新しい小説
俳諧の大成
不易流行の理念を見出した松尾芭蕉の世界
近世の芸能は浄瑠璃と歌舞伎!
天才浄瑠璃作家・近松門左衛門
芭蕉亡きあとの俳諧
蕪村と一茶
国学の四大人!
儒教も仏教も伝わる前の日本人の心って?
読本、洒落本に滑稽本、人情本
子供から大人まで読書に夢中
第5章 近代 CHAPTER5
近代文学の黎明期
言文一致運動と文壇の形成
浪漫主義と明星派の活躍
20代で散った透谷・一葉・啄木
自然主義VS白樺派
日本独自の「私小説」の誕生
鷗外・漱石
二大文豪のデビューから晩年まで
正岡子規とその影響
短歌・俳句の革新
日本の詩
口語体による詩の完成
明治時代後期から大正時代の文学
芥川龍之介と耽美派
昭和初期から戦時下の文学状況
新感覚派からプロレタリア文学まで
第6章 現代 CHAPTER6
戦後の文学状況
無頼派の活躍
孤高の天才作家たち
詩・戯曲・批評
現代作家1
野間宏から中上健次まで
現代作家2
ダブル村上から又吉直樹まで
参考文献