いちばん親切な 西洋美術史

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西洋美術の基本を知る

本書では、エジプト・メソポタミアに始まり、古代ギリシャ、ルネサンス・バロック・ロココに印象派などから、現代美術、その後の展開まで、美術史の全体像を学びながら、楽しく西洋美術を学ぶことができます。オールカラーで、見開き2ページで一つのテーマを解説という構成になっており、4000年にわたる西洋美術史をゼロから学ぶことができます。

池上英洋 (著) , 川口清香・荒井咲紀 (その他)
出版社 : 新星出版社 (2016/7/15) 、出典:出版社HP

はじめに

私たちは、日々美術作品とともに生きている。カフェやレストランに行けば、壁には何かしらの絵が掛かっているし、道を歩けばポスターや広告であふれている。いつも使っている机のまわりを見るだけでも、ちょっとした便せんや栞、ノートやクリアファイルなどにさまざまな絵の一部が使われているはずだ。美術館やギャラリーに行かずとも、私たちはいつでもどこでも、美術作品に囲まれているのだ。

しかし、考えてみればこれは不思議なことだ。というのも、これだけ人類が太古の昔から美術に相当なエネルギーを注いできたにもかかわらず、生き物として生きながらえるという本能的な目的のためには、美術作品は一切役に立たないからだ。そもそも、「おなかがすいた」や「眠い」、「寒い」や「(異性に)魅力を感じる」といった感情に比べて、何かを「美しい」、あるいは「楽しい」や「興味深い」などと感じなくても生きていける。言い換えれば、美術品は私たちにとって「物理的には」何の役にも立たないのだ。

しかし何の役にも立たないことにこそ、人間とその他の動物を区別する理由がある。もちろん動物にも喜怒哀楽はあるが、生命維持にまったく役立たないものを進んで創ってきた歴史をもつのは人間だけだ。そう、美術品は人間にのみ与えられたモノであり、人間をほかとは異なる動物としている要素なのである。

美術の歴史は、人類の歴史と同じだけの長さをもつ。本書では、西洋の美術の流れを、時代順に一緒に見ていこう。最初に理解の助けとなるような基本的事項を見たうえで、見開きごとにひとつのトピックを取り上げながら進んでいく。その目まぐるしい変遷の歴史は、人間のみに許された「美術」なる不思議なものに、いかに膨大なエネルギーが注がれてきたかを教えてくれるだろう。

池上 英洋

池上英洋 (著) , 川口清香・荒井咲紀 (その他)
出版社 : 新星出版社 (2016/7/15) 、出典:出版社HP

もくじ

はじめに
まずは西洋美術の基本を知ろう
様式と時代区分
絵画のジャンル
技法と素材
アトリビュート
美術館
〈欧米編〉
〈日本編〉

01 エジプト・メソポタミア
来世思想
ネフェルティティとツタンカーメン

02 エーゲ文明・ギリシャ
壺絵―黒像式と赤像式
アルカイックとクラシック
ヘレニズム美術

03 エトルリア・ローマ
ネクロポリス(死の街)
巨大建築とアーチ
帝国と騎馬像
ポンペイの壁画群

04 初期キリスト教・ビザンティン
ビザンティンとイコン
ケルト美術
聖堂建築の始まり
ラヴェンナのモザイク

05 ロマネスク・ゴシック
ロマネスク教会
柱頭彫刻とタンパン
ゴシック教会
ステンドグラス
修道院と写本

06 プロト・ルネサンス
キリストの磔刑像
ジョット
シエナ派と国際ゴシック

07 ルネサンス
古典復興
ブルネッレスキと遠近法
マザッチョ
ボッティチェッリとメディチ家
レオナルド・ダ・ヴィンチ
ラファエッロ
ミケランジェロとマニエリスム
ティツィアーノとヴェネツィア派
ルネサンスの終わり

08 北方ルネサンス
ヤン・ファン・エイクと油彩画
ボスと幻想世界
デューラー
column 恐るべき、北方の画家たち
ブリューゲル一族

09 マニエリスム
絵画とアレゴリー
フォンテーヌブロー派

10 バロック<伊・仏・西>
ベルニーニと劇場型バロック
カラヴァッジョ
カラッチ
ベラスケスとルーベンス

11 バロック<蘭>
風景画の成立
静物画とヴァニタス
大航海時代とフェルメール
レンブラントと自画像

12 ロココ
雅宴画とヴァトー
ブーシェとフラゴナール
シャルダンと市民生活

13 新古典主義・ロマン主義
ダヴィッドと新古典主義
ジェリコーとロマン主義
アングルとドラクロワ
グラン・ツアー
アカデミスム
シノワズリー・オリエンタリスム
印象派にいたる先駆者たち
ターナーとコンスタブル
ミレーとコロー
クールベと「レアリスム宣言」
社会問題に眼を向けた画家たち

14 印象派
モネの実験
ジャポニスム
ルノワール
column 個性豊かな印象派画家たち

15 後期印象派・新印象派
セザンヌ
点描派
ポスター芸術
内省的な視点
ロダンと近代彫刻

16 世紀末芸術
ラファエル前派
分離派とクリムト
アーツ・アンド・クラフツ運動
アール・ヌーヴォーとアール・デコ
ナビ派
ガウディ

17 現代美術
キュビスム・未来派
エコール・ド・パリ
ルソーと素朴派
ダダイズムとデュシャン
バウハウス
美術とプロパガンダ
シュルレアリスム

現代美術、そのゆくえ

西洋美術をもっと知りたい!という方へ
さくいん

装丁・本文デザイン/米倉英弘(細山田デザイン事務所)
DTP/横村葵
本文イラスト/ミヤタチカ
写真協力/アフロ、PPS通信社、DNPアートコミュニケーションズ、ユニフォト、ワールドフォトサービス、イタリア政府観光局(ENIT)、愛知県美術館、宇都宮美術館、大原美術館、北澤美術館、公益財団法人ひろしま美術館、国立西洋美術館、トヨタ博物館、DIC川村記念美術館、MOA美術館、池上英洋
編集/関弥生

池上英洋 (著) , 川口清香・荒井咲紀 (その他)
出版社 : 新星出版社 (2016/7/15) 、出典:出版社HP