1年で成果を出す P&G式10の習慣 (祥伝社黄金文庫)

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優秀な社員になるためのプロセス

通勤の電車の中で、さくさくと読め、早速その日に活用したくなる本です。わかりやすく、実践にすぐに移しやすいのでどんな方にもお勧めできる一冊です。成功するためのプロセスを知ることができます。

杉浦莉起 (著)
出版社 : 祥伝社 (2018/12/12)、出典:出版社HP


社員能力世界No.1企業が社員に叩き込んでいる仕事の基本。
実は、誰でもすぐに真似できることばかりです。
中途入社の私でも、1年で結果を出せました。

『1年で成果を出すP&G式 10の習慣』 杉浦里多

はじめに

パンパース、ジョイ、アリエール、ファブリーズ、パンテーン、マックスファクター、SKII、ウィスパー…… 。
P&Gという社名にはピンとこなくても、これらP&Gの商品名を耳にしたら、「それなら知っている」と反応される方が多いのではないでしょうか。
P&Gは、アメリカに本社を置く日用品雑貨メーカーで、売り上げは約7兆円(2012年6月期)、時価総額 6兆円(トヨタは2兆円)、10億ドルブランドを$ももつ、世界最大の消費財メーカーです。
売り上げが素晴らしいだけではありません。数字以上に特徴的なのは「社員能力No.1」の企業である、という点です。アメリカのビジネス雑誌「フォーチュン」で、P&Gは「社員の能力」で世界ランキング第一位(2008)に選ばれています。「チーフエグゼクティブ」誌ではリーダー育成に優れた企業としてランキング総合第一位(2012)、また「フォーチュン」誌の「世界でもっとも賞賛される企業」ランキング、「バロン」誌の「世界でもっとも尊敬される企業」ランキングなど多くの賞を獲得し、その人財力に高い評価をもらっています。
また、GEやマイクロソフト、ディズニーなど、世界有名企業の幹部や社長の多くが、P&G出身者なのです。いわば世界規模での、人材輩出企業です。
しかし、P&Gは優秀な社員を他社からヘッドハンティングするわけではありません。むしろ、逆です。内部社員を幹部に育てていく生え抜き重視の文化が根付いています。
つまり、新入社員を「社員能力No.1」に育て上げる会社なのです。

実は私は、そんなP&Gでは珍しい中途採用社員でした。
当時、P&Gで最も成長株だった化粧品部門のマーケティング活動においてPRを強化するため、そういう仕事 をしていた私に声がかかったのです。
P&Gに入る前の私は、LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)ジャパンのフランスファッションブランドや、老舗のハイジュエリーブランドのマネージャーを務めていました。ブランドづくりでは世界トップレベルの仕事にたずさわっていたという自負がありましたので、私のノウハウを「教えてあげましょう」と、上から目線でP&Gのマーケティング部に乗り込みました。
ひとり黒船で乗り込んだつもりでしたが……、そんな思いは、入社初日に打ち砕かれ、「失敗した!」と後悔することになりました。
それまでとはまったく違う企業文化や仕組み、言葉の使い方に圧倒され、ひとり黒船どころか寄りどころのない漂流者の気分になりました。入社ひと月は毎日、「辞めようか」と悩み続けたほどです。
しかし、それでも残る覚悟を決めたのは、転職する際に決めた「少なくとも3年は続ける」という意地だけではありません。
P&Gに入って驚いたのは、何より、社員一人ひとりの能力が、圧倒的に優秀で、「金太郎飴!」と思うほど、均質なことです。そして、そこには皆がやっている明確な「成功の法則」があることが見えてきました。だから、ビジネスパーソンとしての経験がまったくない新入社員が、すぐにリーダーとして活躍し、1年で成果を出せるのです。
そんな彼らが世界最高レベルの社員に成長していく秘密を知りたい、そしてその秘密を私も身に付けたい、という思いが湧いたからでした。

そこで私は、P&Gの中にいながら、P&Gの強さを、”よそ者”として、客観的な視点で観察しました。生え抜きの社員にとってはごく当たり前のことに驚いたり、他社では絶対にやらないことをやっていることに気づいたり….。
つまり、成功をもたらす他社との違いは何か、を見てきたのです。その結果分かったのは、P&Gでは「言葉」「考え方」「行動」において、全員が行なうようにグローバルスタンダード化(全世界で標準化)された数々の習慣があるということです。
それはP&Gが175年間、180ヵ国でビジネスを成功させてきたノウハウを、誰もがしっかり身に付けられるようにまとめた、最強の成果を出す習慣なのです。
この「P&G式習慣」が、世界No.1企業、世界No.1人財を生む秘訣です。
中途入社の私にとって、この習慣を身に付けることは、仕事のプロトコル (作法・手順)を全面的に書き直すような感じでした。
その結果、落ちこぼれ漂流者だった私の担当部署が、1年で目標以上の2ケタ成長を遂げました。毎期末に社内で表彰されるようになり、担当商品は雑誌で最優秀賞に選出。さらに、最優秀社員賞(Recognition Share)をいただきました。これはP&G全社員約2万6千人の中の、2%未満だけに与えられる賞です。
これらの成果は、P&G社員ならば無意識のうちに身に付けている「習慣」を、意識的に身に付けたからです。
これはけっして難しいものではなく、社会人1年生でもできる、シンプルで、そのくせ実践的で、すぐに成果が出せるものです。
もちろん、本当の意味で身に付けるには、すなわち習慣にするには、意識して続けていくことが大切です。
読者のみなさまにもこのP&G式習慣を活用していただき、ワークもライフも成果を出し成長する「ベターワーク&ベターライフ」な日々を過ごしていただきたいと願っています。それが、何にも優る喜びです。

2013年1月
杉浦里多

杉浦莉起 (著)
出版社 : 祥伝社 (2018/12/12)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 言葉を変える
習慣1 「目的は?」を口ぐせにする
●まず「目的」を決めて、それから動く
●入社1日目、15分後の衝撃の一言
●行動する前に目的を明確にする、3つのメリット
●最短で最高の成果を出す「欲望パワー」を引き出す
●相手に求めるアクションは、徹底的に分かりやすくする
●目的に戻って、かみ合わない議論を減らす
●その目的は、「ミッション」からズレていないか?
●歯磨き粉の戦略会議で出された、とんでもないアイデア
●目標値を設定して、ゴールをより明確にする
●「達成すべき絶対ライン」をゴールにする
●数字の公開と共有で、やりがいを持続する
●企業文化が違う相手と、ひとつのチームになる手段としての「目標」
○実践するときのポイント

習慣2 ダメ出しより、まずポジティブな言葉
●すべてを成功に変えてしまうP&Gの方法
●ポジティブな表現を使って、前向きの雰囲気をつくる
●第一声は、「感謝と褒める」が鉄則
●「あなただから」で気持ちよく協力を得る
●「あの人とまた仕事がしたい」と思ってもらえるメール
●ダメ出しも、まずは肯定する
●自己アピールが苦手な人は、「事例紹介」で乗り切る
○実践するときのポイント

習慣3 フィードバックの言葉をあげる・もらう
●成長するためのフィードバックをもらう・する
●お互い気分がいい、「作法」を身に付ける
●こんなフィードバックはNG!
●誰もがメンターになれる
●ヒトよりモノを主語にする
○実践するときのポイント

第2章 考えを変える
習慣4 「消費者がボス!」顧客志向で考える
●「顧客志向」とは、「顧客嗜好」
●最強の5ステップの思考プロセスで、可能性を最大化する
●ステップ1 「目的と戦略の設定」―ゴールへの道筋をつくる
●「楽勝」で「楽チン」な戦略を考える
●ステップ2 「取り巻く環境の分析」―情報を集め、流れを読む
●女性をターゲットにすると、これだけのメリットが
●ステップ3 「WHO(お客様理解)」ー「もっと知りたい」という視点で、相手を理解する
●消費者の声を聞く=言うとおりにすることではない
●表の発言と本音が違うことも
●ステップ4 「WHAT(お客様に提供する価値)」―相手のLOVE体験を考える
●ステップ5 「HOW(お客様との関係づくり)」ー 相手の行動に合わせて関係をつくる
●顧客志向の5ステップの実践「パンパース うんと眠ろ。うんと遊ぼ。プロジェクト」
○実践するときのポイント

習慣5 リーダーシップは「影響力」と考える
●P&Gが定義する「リーダーシップ」とは?
●全員が、リーダーになる。たとえ入社1年目であっても
●リーダーシップの行動指針(5E)を身に付ける
○実践するときのポイント

習慣6 「万が一」を想定する
●「万が一」の「一」の可能性をあえて考える
●「スピード」と「正確さ」で、危機的状況をチャンスにする
●変わるが勝ち。変化に柔軟になる
●人に関わることは、特に迅速に対応する
○実践するときのポイント

第3章 行動を変える
習慣7 「1ページメモ」で頭を整理する
●3分で理解される書類を書く
●全ての書類は1枚にまとめる
●「オーディエンス・アナリシス」―読み手に合わせて、カスタマイズする
●パワポよりワード、外見より中身を磨く
●1枚のメモが持つ3つの効果
●成長の早道! いいメモを保存&マネする
●もっと! 説得力のあるメモを書く
●会議のまとめは、会議内にメモにする
●P&G流メモフォーマットに挑戦する
○実践するときのポイント

習慣8 他人の成功体験を徹底的にマネする
●他人の成功事例を積極的にマネして、成功体験を増やす
●成功要因を見つけて、みんながマネできるようにする
●失敗を繰り返さないために、失敗事例も共有する
●「横から目線」で、イノベーションを起こす
●成功体験に、賛辞を送る
●成功体験をシステム化する
○実践するときのポイント

習慣9 「量」より「質」の時間管理
●時は金なり。時間の価値に敬意を払う
●時間を有意義に使うために、「やらないこと」を決める
●ワークライフバランスよりも「ベターワーク&ベターライフ」を目指す
●ワークとライフを、右肩あがりに管理する
●自分の時間をマネジメントできるのは自分だけ
●自分のひとり時間を、スケジュール予約する
●しっかり休んで、仕事の濃度をあげる
●プロジェクトのスケジュールは、チームで管理する
●会議時間をスリムにする
○実践するときのポイント

習慣10 ボスマネジメントをする
●「相談」で上司を巻き込む
●上司の答えを、イエスかノーにする
●上司は「貴重な資源」として活用する
●上司の上司もうまく使いこなす
●上司の「7つのパワー」を使いこなす
○実践するときのポイント

おわりに

杉浦莉起 (著)
出版社 : 祥伝社 (2018/12/12)、出典:出版社HP