繁盛店に「職人」はいらない

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アフターコロナの経営術

過疎の町で繁盛店を生み出した人気シェフが、究極の集客術のノウハウを解説しています。著者は、売れるメニューとは「わかりやすさ」×「あなたらしさ」×「ライブ感」であると述べています。予算があまりなくても、人口の少ない場所でも、繁盛する飲食店を出すことのできるアイデアとツールを学べる1冊です。

はじめに
〜その料理、人が集まるきっかけ”になっていますか?〜

早いもので、私が料理に携わった仕事をはじめてから25年以上経ちます。
学生時代にアルバイトしていたレストランで料理の楽しさに出会い、レストラン学を学びに渡米。帰国してから東京都内の洋食店で修業を重ね、2011年の東日本大震災がきっかけで岩手に拠点を移し、そして2018年には再び上京して新宿で「三陸ワイン食堂 ケラッセ東京」を開き、現在まで東京、岩手、名古屋ほか各所で飲食店のプロデュースを行ってきました。
飲食業界ではいろいろなことを経験してきましたが、もちろん決して楽しいことばかりではありません。他業種のビジネスマンの方々も同じでしょうが、本書を手にした多くのみなさんも、仕事に忙殺される厳しい現実と向き合っていることでしょう。
毎日一生懸命頑張っているけど、それは悔いのない充実した毎日ですか?と問われたら答えはノー、という方のほうが多いのではないでしょうか。

まさにかつての私自身がそうでした。
「こんな忙しいだけで、金にならない仕事なんてバカみたい。やってられるか!」
若手シェフになったはいいが、へとへとで時間がないだけの、どんよりした毎日。
しかしどうしてよいかわからず、お金もあまりなく精神的・体力的にも限界で、消えてしまいたいと思っていた日々が続いていました。
売上だけを求められる、それが人生?
自分のことだけでなく、もっと他人のためにできることはないのだろうか?
そこが満ち足りていないから幸せを感じないのでは……と思い当たりました。
模索する毎日の中で出会ったのが、あるNPO団体が主催していた、東日本大震災後の被災地仮設住宅での料理教室でした。
たまたま向かうことになった人口6000人以下の“過疎の町”、岩手県気仙郡住田町の火石団地の一室で作る、地元の旬食材を使ったシンプルな料理。
有名シェフが特別な食材と調理法を使って料理するわけではなく、当時の私のような無名の料理人でも暖かく迎えてくれて、毎回の開催を楽しみに待っていてくれました。
現地の参加者のみなさんは、もちろん料理教室も楽しんでくれるのですが、料理を学ぶことだけが目的ではありません。
料理教室をきっかけに、住民のみなさんから地元の農家の方々、行政関係、NPO法人、支援会社までいろいろな分野の人たちが集まり、わいわい話をしながら、食べて飲んで交流を楽しむ。時に震災の話に涙し、笑い、次の再会を楽しみにする。
「料理は、みんなが集まり楽しく元気になる、その幸せのきっかけになれる」
忙しい毎日のなかで、わかっているようで忘れていた大切なことに気づかせてくれたのが、この仮設住宅での料理教室でした。
自分が物語の主人公にならなくてもいい、ただみんなが楽しむ“きっかけ”をつくってあげればいいだけ、と気づいたのです。
「もしかしたら自分が思っているより、料理の力は大きいのかもしれない」
大げさかもしれませんが、「料理=希望」だと感じました。少なくとも、希望への“きっかけ”にはなるのではないか。そう、実感できたのです。
この仕事は、人を幸せにしながら生活していける素晴らしい仕事なのだということを、もっと証明し、伝えたい。そんな思いから、立地の力や資本の力に頼らず、純粋に料理の力で売上を上げる事業に取り組むようになりました。
結果、自分の店の売上は、半年間で155%アップしました。
現場では紆余曲折あり、25年頑張っていてもまだまだ未熟さを痛感することもたくさんありますが、2020年現在でも右肩上がりで売上は伸びています。
東京のど真ん中に開いた店でも、地方の小さな町で開いた店でも、変わらない結果を出すことに成功しています。
そして料理を武器に、自分の創作物で他人が幸せになるきっかけを与えることは、この上ない幸せと充実感をもたらしてくれます。
満席のお店、笑顔で語らうお客さん、賑やかな客席の光景を見るときが今でもいちばん幸せです。

ここまでの経験で言えることは、
「飲食店が繁盛する理由に、資本力や立地条件はほとんど関係がない」
ということです。
むしろ、あまり予算をかけなくても、人口が多い場所にオープンしなくても、繁盛店をつくり出すことは可能なのです。
では、どうすればいいのか?おいしい料理を提供できれば自然にお客さんはついてくる?そんなことは、どこのお店でもやっていることでしょう。
要はいくらおいしい料理を作り出すことができても、人が集まる“きっかけ”となるメニューをつくれていないと、お客さんは店に来てくれない、ということなのです。
では“きっかけとなるメニュー”とはどのようなものなのか?どんな料理をお客さんに提供すれば、売上アップにつながるのか?
それをつくり出すために、斬新なメニューや腕のいいシェフは実は必要ないと、私は考えています。
売れるメニューに共通する絶対要素があり、それを基本にして店づくりを実行すれば、どんな場所でも繁盛する店を生み出すことはできます。ヒントは前述の料理教室のなかにあります。そのノウハウを本書でしっかりとお伝えできればと考えています。
1人でも多くの方が実践して、どんどん売上を上げて、誇りある飲食店や料理ビジネスを提供して充実した毎日を過ごしてもらえれば、同じ業界の仲間として、こんなに嬉しいことはありません。
ぜひ、共にレストランビジネスで日本を元気にしていきましょう!

繁盛店に「職人」はいらない もくじ

はじめに〜その料理、人が集まる“きっかけ”になっていますか?〜

第1章 地方でも確実に売上アップするメニューづくりの3ステップ
お客さんから「いいね!」を受けるための3つのステップ!
ステップ① あなたミッションは?〜何のために生きていますか?〜
ステップ② あなたは何屋さん?〜お客さんからどう認識されていますか?〜
ステップ③ 「だから、何?」を突き詰める〜お店に来たお客さんはどうなりますか?〜

第2章 職人なんていらない!技術だけでは繁盛しない!
〜繁盛店は料理が5割〜
売れるメニューをつくるための3要素
わかりやすさ×あなたらしさ×ライブ感〜繁盛店づくりの最大のポイント〜
「わかりやすさ」〜あなたのお店のメニュー、わかりやすいですか?〜
「あなたらしさ」〜キーワードは「なるほどね」という共感〜
「ライブ感」〜五感を刺激する〜
一等立地と二等立地の違い〜エッジの効かせ過ぎに注意〜
過疎の町での戦い方〜ポイントは「安会」と「送迎」〜

第3章 繁盛店を生み出す売れるメニュー&イベント
〜「わかりやすさ×あなたらしさ×ライブ感」で考える〜
一度は試してほしい繁盛メニュー&イベント・20本!
①牡蠣/②マグロの解体ショー/③炙り寿司/④結婚式の二次会/⑤大盛りパスタ・ジャンボパフェ/⑥料理教室/⑦夜パフェ/⑧ワインビュッフェ/⑨スイーツビュッフェ/⑩ダンスライブ・生演奏/⑪食パン専門店/⑫から揚げ100円食べ放題/⑬500円ピザ/⑭宴会・送迎/⑮ローストビーフ丼・ステーキ丼/⑯白いとんかつ/⑰ドライアイス/⑱ローティサリーチキン/⑲カルパッチョ/⑳ウニ

第4章 繁盛店を作り出す調理以外の5割の法則
〜3つの簡単な情報発信で売上を1・5倍に上げる方法〜
外食とは“食事を媒介にした他者とのコミュニケーション”
「○○の店」と認識されるための情報発信
自分の店のキーワードを知ろう
3つのメディアを活用してメッセージを発信
情報発信メディア① 店舗
情報発信メディア② SNS
情報発信メディア③ オフィシャルサイト・グルメサイト
不変の定番広告は必須!
その他の使いたい情報発信メディア

第5章 あなたは何者なのか?」に繁盛店の答えは隠されている
〜自分だけの繁盛キーワード“7つ”を知るワークショップ〜
「セルフプロデュース」のためのアウトプット
①あなたは何のために生きていますか?/②お客さんはどんな人ですか?/③お客さんの本当の来店理由は何ですか?/④あなたの武器は何ですか?/⑤客席の光景を言葉にしてください/⑥お客さんはなぜリピートするのですか?/⑦1年のシナリオはどんなものですか?

第6章 客数を増やすための「勝ちパターン」
〜3ステップであなたの店の“繁盛メニューの法則”を完成させる〜
お客さんにメニューを決めさせない!
ステップ① 入店から退店までの物語をつくる
ステップ② 必要なのはたった3つの商品
ステップ③ 「○○の時は、また来ます!」

第7章 爆発的にお店のファンを増やし続ける、満席イベントの作り方
〜リピーターから、ファンを増やす!〜
イベントを開き、「ファン」を育てる
“お店のファンが急増する”料理教室のつくり方
自己集客ゼロ・月15万円売上アップする「ワイン会」の作り方

おわりに〜この仕事の楽しさ、素晴らしさをアフターコロナの時代へ伝えるために〜
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