赤字店を年商20億円に導いた飲食店開業・経営の成功メソッド

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飲食店経営の成功メソッド

赤字店を年商20億円に導いた著者が、経営の成功メソッドを一から解説しています。飲食店を経営する上で、小手先の方法論に振り回されるのではなく“経営の原理原則”を正しく知ることが重要です。これから自分の店あるいは2号店を持ちたい方、赤字で悩んでいる方には必携の1冊です。

鬼頭 宏昌 (著)
出版社 : かんき出版 (2015/11/18)、出典:出版社HP

プロローグ

私が飲食店経営の世界に身を投じて20年が経過しました。

今から20年前、大学3年生だった私は、父が経営する八百屋の跡取りになることを期待されている普通の大学生でした。
将来について真剣に考え始めた頃、就職活動に明け暮れる同級生をよそ目に、私はサラリーマンではなく、経営者になることを決めました。当時、実家の1階で八百屋を営む両親の元で育ったことを考えると、自然の流れかもしれません。

そこで私は、二つのテーマを選び出し独学での学習を始めることになります。
経営者になると決めたものの、父の期待通りに八百屋になっても成功できるイメージが湧かなかったからです。

学習テーマの一つは、チェーンストア理論です。
チェーンストア理論とは、1店舗の繁盛店を100店、1000店舗とチェーン展開していくためのセオリーです。今でも私は、チェーンストア理論こそ、商店経営の原理原則そのものであると確信しています。

もう一つの学習テーマはランチェスター戦略です。
ランチェスター戦略とは、弱者が強者に勝つための戦い方のルールを体系化した戦略モデルです。
イギリス人エンジニアであったフレドリック・ランチェスターが第1次世界大戦のときに作り上げた戦略コンセプトを、故田岡信夫氏がビジネスに応用し、経営戦略理論として体系化していました。シリーズ化されていた田岡氏のランチェスター戦略本を読み漁り、経営戦略の基礎を頭にたたきこんだのも、大学生だったこの頃です。
私は、明快でわかりやすい田岡氏の経営戦略の世界に魅了されていました。

こうして私は、事業を始める前から、チェーンストア理論とランチェスター戦略という、現代でも十分に通用するビジネスの原理原則を学んでいたため、父の期待に反して八百屋ではなく外食産業での起業を決めました。
その詳細は本書の中で明らかにしていきますが、ランチェスターの弱者の戦略から、父の八百屋を引き継いでも将来性がないという明確な答えを出してしまったのです。

私は父と話し合った結果、八百屋を引き継がず居酒屋事業を立ち上げることになります。大学を中退した22歳のときに、父の会社の新規事業として名古屋市内に立ち上げた「旗籠家さくらみせ」という居酒屋は、開業当初から大きな成功を収めました。
28坪と、それほど大きくない居酒屋でしたが、月商750万円、利益300万円という数字を毎月たたき出していました。仮に、自分の資本でこのお店を経営していたならば、役員報酬を含めると私の年収は22歳の時点で4000万円になっていたことになります。

22歳から3年間、旗籠家さくらみせの店長として同店を繁盛店に育て上げたのち、25歳で父親から経営を託されたのを機に、「旗籠家」のチェーン展開を推し進めました。
6年間で20店舗、年商20億円の会社に成長させることに成功し、業績が絶好調のときに会社を売却しました。売却益は6億円以上になりました。

売却と同時に会社を辞め、仕事をなくした私は、飲食店での起業を決めてから売却するまでの一連の手法や考え方を本にしました。おかげさまで好評を博し、シリーズ化され4冊を出版する機会に恵まれました。
もともとの起業家気質の私は、その後実業の世界に戻りたくなり、2009年に低投資で開業可能な事業に特化したフランチャイズ本部の事業を立ち上げました。リーマンショックを通じて、スモールビジネスフランチャイズの時代になることを確信したからです。
立ち飲み店の展開を機に、つけ麺店、フードデリバリーといった外食関連の事業から、トレーニングジム、結婚相談所、就労継続支援A型※といった外食以外の事業まで、低投資ビジネスをコンセプトにフランチャイズや業務委託といったスキームで多店舗展開を進めました。現在、その総店舗数はフードデリバリーを主体として130に達し、今まさに本格的な拡大期を迎えようとしています。

22歳で始めた居酒屋事業を直営店で20店舗に拡大し、現在の事業もフランチャイズで店舗総数130店舗と、現時点では、自分で立ち上げた会社はいずれも成功といってもいい水準だと思います。
競争も移り変わりも激しい外食産業で、事業を連続して成功させるのは簡単なことではありません。にもかかわらず、成功し続けることができるのは、飲食店経営の原理原則を守り続けているからです。
別の言い方をすれば、必勝のセオリーを身につけたからともいえます。

多くの経営者は、事例やテクニックを知りたがります。
しかし、経営者として真に必要な知識は、時代が変わろうとも変わることのない経営の原理原則です。経営で成功するには時流に乗ることと、原理原則を守ることの両輪を回し続ける必要があるのです。

本書では、私のような新参者が激動の20年を生き抜くことができた、飲食店経営の成功メソッドを明らかにしていきます。そして、このメソッドをどんな業種・業態でも再現可能なエッセンスとして紹介していきたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

2015年10月 鬼頭 宏昌

※一般企業に雇用されることが困難な障がい者に、就労の機会を提供したり、必要な訓練を行う事業のこと

鬼頭 宏昌 (著)
出版社 : かんき出版 (2015/11/18)、出典:出版社HP

著者の成功メソッドを実践した人の声

店が儲かるかどうかは出店時に決まることを知り、失敗を未然に防げました。
イタリアンレストラン、ワイン居酒屋経営 Tさん・38歳
私は飲食店の現場の経験が長く、お店を回していく戦術的なことには自信がありました。しかし経営となると当然未経験なので、鬼頭流の成功メソッドを理解することで、さまざまな失敗を未然に防いできました。
経営において「大局をとらえること」がいかに大切か、「出店してからではなかなか変えられないこと」がいかに売上に関係するかを学び、新店舗を考案する際の非常によい手助けとなっています。
鬼頭さんは飲食店経営で結果を残されているので、経験にもとづいた成功メソッドが素直に心に響きます。短期的に効果を上げるテクニックより、飲食店経営の原則を知ることができ、メルマガなどでときおり出てくる泥くさい言葉も身に染みます。
職人気質の頭の固い自分をやわらかくしてくれたのが、鬼頭さんの教えでした。ありがとうございました。

「自分が変わるとまわりの状況も変わる」という経営哲学が、とてもいい学びになりました。
お好み焼・鉄板焼店経営 Oさん・42歳
現場の数字や人材教育、働く人の感情の理解、経営者としての夢や目標、目標達成のための具体的な数字と行動を決めることなど、鬼頭さんからは、飲食店の経営を通してどのような分野でも通用する考え方を教わりました。
事業計画書では、逆算の考え方で「何年で何店舗にする」と具体的にイメージして行動を起こすことを教えていただき、出店が実現しました。宅配事業では、数字の大切さを教えていただき、現場スタッフに数字への意識を浸透させていくことができました。
鬼頭さんの経営理論を超えた人生哲学に影響を受け、自分自身、壁にぶつかったときも前向きに物事を捉えるように変われました。

日次決算の入力をはじめてから、月20万円の経費の削減に成功!
イタリアンレストラン店長 Kさん・35歳
鬼頭さんに日次決算の重要性を教えていただきました。自分でやりはじめた頃は、入力がすごく手間に感じましたが、慣れてくると日々の仕入れや人件費の無駄に気づきました。さらに、数字への意識が上がったと感じます。

2店舗めの出店がうまくいき、お客さまを大切にする心の余裕ができました。
アジアンカフェ店長 Sさん・40歳
「お金をかけて良いお店を作ればお客さまは来てくれる」と思っていた私は、2店舗めの出店時に多額の借り入れを予定していました。そんなときに鬼頭さんの成功メソッドに出会い、経営の物差しであるROIという指標を知りました。その指標で出店計画を見直すと、利益の見込みに対して投資が多すぎることが判明。その後ROIを指標に考え直し、居抜き物件での出店を決断。投資を少なくしたおかげで資金繰りに悩むこともなく、順調に経営できました。
何より、売上を気にしすぎるのではなく、飲食を通してお客さまの喜びを純粋に追及できる心の余裕が生まれました。鬼頭さんには心から感謝です!

ビール専門バー経営 Mさん・31歳
前年比170%の売上を確保できました!
「安定したキャッシュフローを生み出すためには、強力な戦略を立てることが大事」という鬼頭さんの経営哲学を知り、地域で唯一となる輸入ビールの飲み放題サービスを開始しました。
さらに輸入ビールをインポーターと直で取引し、他店との仕入れ値の差別化をすることで、品揃えでも地域の競合店を圧倒できました。今後は、酒の販売店を併設する2号店も出店できそうです。

鬼頭 宏昌 (著)
出版社 : かんき出版 (2015/11/18)、出典:出版社HP

CONTENTS
赤字店を年商20億円に導いた飲食店開業・経営の成功メソッド

プロローグ
著者の成功メソッドを実践した人の声

CHAPTER1 リスクの少ない市場と立地を選ぶ
1 飲食店は「最初の選択」が8割
2 経営未経験でも市場次第で成功できる
3 「勝てる市場」をどう見つけるか
4 「なぜその店を利用するか」を考え抜く
5 店の業態と立地の必勝方程式
6 流行よりも味よりも立地にこだわる

CHAPTER2 差別化戦略の基本を知る
1 小さな市場のナンバーワンを狙う
2 戦略の基本は市場の細分化にある
3 大手のブランド力を利用する方法
4 自分より強い相手には戦いを挑まない
5 お客さまにとって価値のある差別化をする
6 競争相手の弱点を攻める
7 他人に理解されないことをしてみる

CHAPTER3 メニュー開発で強い店を作る
1 サービスよりメニューで勝負する
2 利益を確保するメニュー設計
3 ターゲットに合わせて商品を開発する
4 メニュー改正の基準は販売データ
5 食材数とSNSを視野に入れる
6 物語にこそ価値がある

CHAPTER4 集客と販促戦略を立てる
1 口コミサイトが飲食店の集客ルールを変えた
2 店舗デザインこそ最高の新規顧客獲得ツール
3 評価も商品力も低いなら、販促を強化する
4 売れない時間帯は、売れるようにならない
5 男女比率から売上対策を立ててみる
6 居酒屋の宴会客とフリー客を読み解く

CHAPTER5 店の数字を管理する
1 原材料費が変動費、販売管理費が固定費
2 管理できるのは原価率とアルバイト人件費
3 損益計算書の正しい読み方
4 棚卸しを制する人は経営を制する
5 月次の試算表では遅すぎる
6 経費と投資の違いを見極めること

CHAPTER6 赤字店舗を再生する
1 赤字再生は短期決戦で勝負
2 ターゲットの設定を見直す
3 商圏人口に合わせてメニューを考える
4 組織の再生は店舗再生そのものと心得る
5 外観のリニューアルと販促で集客アップ
6 併設事業の導入で売上を確保する

CHAPTER7 多店舗展開を成功させる
1 少しでも赤字なら多店舗化はしない
2 「儲かる店」の基準をはっきりさせる
3 ワタミとサイゼリヤの「儲かる」基準
4 支店経営とチェーンストア経営の比較
5 直営展開とフランチャイズ展開の選び方
6 ブレをなくすためのシステム開発
7 調理ミスをゼロにするレシピ化戦略
8 新規出店のリスクを下げる立地選び
9 いい物件の情報を集めるコツ

CHAPTER8 成長する組織を作る
1 資本金は自己資金だけで用意する
2 創業後すぐは、スカウトか紹介で人を集める
3 素直な働き者だけを採用する
4 年商30億円まではワンマン経営に徹する
5 距離感の近いシンプルな組織を作る
6 人間を動かすのはリスクである
7 物心両面で従業員満足を考える

CHAPTER9 経営スキルを磨く
1 成長企業の設計図を描く
2 現状は無視して高い目標を掲げる
3 理想からの逆算で計画を作る
4 戦略や行動計画は毎年アップデートする
5 信念を強化し続ける努力をする
6 原理原則を学び続けること
7 チャレンジを続けて自信をつけていく

CHAPTER10 飲食店を取り巻く新潮流を知る
1 開業資金なしで独立できる時代
2 これからは社会性のある経営活動がカギ
3 非効率性が店の価値を守る
4 「安かろう、悪かろう」の時代は終わった
5 インバウンドに着目する
6 事業拡大に有利なM&Aと営業譲渡

エピローグ

カバーデザイン●井上新八
本文デザイン●高橋明香(おかっぱ製作所)

鬼頭 宏昌 (著)
出版社 : かんき出版 (2015/11/18)、出典:出版社HP