絶対にやってはいけない飲食店の法則25

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失敗しないためのノウハウ

飲食店廃業率は1年以内で34.5%、3年で70%以上なのが現状です。お店を継続させるには、どれだけ成功するかでなく“いかに失敗しないか”が重要な鍵となります。本書では、売り上げに直結するような即効性の高いノウハウがよくわかります。飲食店経営に関わる全ての方にお勧めの1冊です。

須田 光彦 (著)
出版社 : フォレスト出版 (2020/3/19)、出典:出版社HP

はじめに――「成功する方法」の前に「失敗しない方法」を学びましょう

飲食店の1年以内の廃業率は34.5パーセント、さらに約70パーセントのお店が5年以内に廃業する。

経営者やお店の開業を準備している方たちの目の前には、このようなきびしい現実が横たわっています。
飲食店は比較的参入しやすいため競争が激しく、廃業率(閉店する確率)は極めて高いのです。
また、最近では個人店や中小チェーンだけでなく、大手フランチャイズチェーンの閉店や事業縮小のニュースも次々と聞こえてきます。
私の現場感覚では、2019年の消費税増税後、飲食店を取り巻く状況はさらに悪化しており、1年以内の廃業率は50パーセントを上回っているのではないかと思われます。
こうした状況の中、経営者の方たちや、これから開店を考えている方たちはさぞかし心配なことでしょう。

でも、実は「繁盛するお店」「継続するお店」の作り方は意外と簡単なのです。
こんなことを言うと、「えっ、本当?いったい、どうやるの?」という声が聞こえてきそうです。
その答えは簡単です。
要は「失敗しないようにすればいい」のです。
「当たり前じゃないか!」と言われそうですが、本当のことなので仕方ありません。
でも、ほとんどの方が「失敗しない方法」をご存じないのも事実です。

申し遅れました。私は須田光彦という者です。
飲食店コンサルタントとしてテレビ番組「有吉ゼミ」(日本テレビ系)の「芸能人の心配な店」というコーナーに出演していることから、私のことをご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。
飲食業界歴は40年を超えます。高校生の頃から飲食業界で働き、あらゆる業種・業態、そしてあらゆるポジションを経験したのち、20代後半でコンサルタント&店舗設計者として独立しました。
これまでに年商2000億円を超える大手外食チェーンから数千万円レベルの個人企業まで、約500件の繁盛店を作ってきた実績があります。
とは言いながらも、私もこの40年の間には、設計事務所を開業したり中華料理店を経営したものの倒産・破産になってしまったり、はたまた離婚までも経験し、人生のどん底をくぐってきました。
そんな中で見えてきたのが、先ほど申し上げた「失敗しないようにすればいい」という成功法則です。
世の中には、成功した経営者が書いた成功するためのノウハウ(経営手法)やビジネスマインドなどを熱く語った本があふれています。
コンサルタントの方たちも「繁盛店にする方法」「地域一番店になる方法」などの情報をネットや書籍で発信したり、経営者の方にアドバイスをしています。
しかし、書籍やアドバイスからの情報を活用して実際に成功したお店は、いったいどれくらいあるでしょうか?おそらくほとんどないのではないでしょうか。

飲食業は生業業です。
地域に根づくことが大事な商売で、毎日毎日、地域の人たちの期待に応えた商品を提供しなければならない地道なビジネスです。
地道なビジネスを続けるには、一気に点数を稼ぐ満塁ホームランはいりません。
コツコツとヒットを積み上げて、「気づいたら点が入っていた」でいいのです。
たとえば、メディアで注目されて行列のできる繁盛店になった(満塁ホームランを打った)ものの、確実に利益を生み出す仕組みを作れなかったために失敗してしまったお店はたくさんあります。

飲食業は地道なビジネスなので、多岐にわたるノウハウが必要です。
それがきちんとハマれば、ほぼ確実に失敗しません。
かと言って、あるお店が成功した1つのノウハウだけをマネしても、同じように成功できる保証はまったくありません。
成功には運の要素も大きく、成功しているお店が「成功した理由」はバラバラなのです。つまり、再現性がありません。
反対に、「失敗した理由」はすべてのお店に共通しています。
これまで数万件のお店を見てきた結果、失敗には確実にパターンがあることに気づきました。
ということは、その失敗パターンを避けることで、自然と成功に近づいていきます。
今回は数々の失敗パターンの中から、「多くの人が誤解していること」「やってはいけないこと」を25個選びました。加えて、実際の事例に基づいた「成功の鉄則」もご紹介しています。

本書があなたのお役に立てれば幸いです。

須田 光彦 (著)
出版社 : フォレスト出版 (2020/3/19)、出典:出版社HP

contents 目次

はじめに――「成功する方法」の前に「失敗しない方法」を学びましょう

序章 多くのお店はなぜ「1年以内」に廃業してしまうのか?
あなたのお店の危険度がすぐにわかる3つの質問
自分にとっての「理想のお店」を作ってはいけません
お客さまが求めているのはどんなお店ですか?
3つの質問ですぐにわかる!失敗するお店の条件
繁盛店のお客さまから、そのお店に対する不満を聞き出せ!
なぜ、そのお店は、そのレイアウトになったのか?
作り込みすぎないお店が繁盛する

第1章
〈お店作りの「やってはいけない」〉
ひとめでわかるダメなお店、このお店はいったい何屋さん?

法則01 お客さまが入店しづらい「カッコいいお店」「妻色の外観」
「カッコいいお店」がたくさんある理由
絶対に公開するべき「3つの情報」
ファサードを変えてよみがえった中華料理店

法則02 「業態」と内装がミスマッチなお店は失敗する!
理想は「業態名イコールお店の名前」
ポジショニングマップで業態を明確にする

法則03 「安いから」と居抜きの物件を選ぶと、あとで必ず後悔します〈居抜きのワナその1〉
居抜き物件を選んだ時点でメンタル的に「負けている」
見落としがちな物件の落とし穴

法則04 厨房の広すぎるお店、中央にあるお店は儲かりません〈居抜きのワナその2〉
なぜ「厨房の広すぎる」お店が作られてしまうのか?
狭いキッチンを工夫して使うことが儲けのカギ
繁盛店にするためにはオープンキッチンにして、調理風景を見せる

法則05 お客さまがゆったりくつろげるお店にすると、あなたがゆったりくつろげません
「ゆったりくつろげる」お店がうまくいかない理由
必要な売り上げに応じて席数を決める
適正な家賃を知るための基本的な考え方

法則06 6人用テーブルをたくさん置くほど、お客さまを取り逃します
6人用テープルを多用すると空席が多くなる
壁際にソファー席をたくさん作っておこう

法則07 「お好きな席にどうぞ」はお客さまとお店の両方にデメリットがある!
厨房からの距離を基準に「お客さまのエリア」を分ける
ゾーニングが明確になるとホールスタッフが迷わなくなる

成功の鉄則01 超実践的な「売り上げの公式」と「勝てる事業計画」の立て方
売り上げを考えるときは「客数=席数×満席率×回転率」からスタートする
架空のお店「塩だれホルモン 満天」の事業計画書(売上計画)

第2章
〈料理とメニューの「やってはいけない」〉
「おいしい料理」ではなく「売れる商品」「儲かる商品」を作ろう

法則08 「おいしい料理」と「売れる商品」はまったくの別物です
お客さまにとっての「おいしい」は地域によって違ってくる
化学調味料は正しく使えば“強力な武器”になる

法則09 「原価率30パーセント」を守っていたら、儲かるものも儲かりません
「集客商品」と「利益獲得商品」
集客商品と利益獲得商品の具体例
利益獲得商品はどうやって作る?

法則10 売れ筋商品と死に筋商品を正確に把握できていないと利益を確保できません
お客さまの消去法から生まれた人気メニュー
ABC分析では、1つの商品を3つの項目に分けて考える
集客商品がそのまま利益獲得商品になった事例

法則11 料理人は料理を作るのは得意ですが、「メニュー」は作れません
新商品の開発は経営者が責任を持って行いましょう
まず経営者と料理人が共通認識を持つ

法則12 グループでいらしたお客さまに同時に料理を提供できないお店は嫌われますよ!
「同時同点」の可否が回転率と満席率を決める
「同じ料理」ではなく「同じテープルの料理」を同時に作る
きちんと「下準備」することで“速く”“おいしく”作れる

法則13 最初から全力で作り込んだ新商品は、ほぼ確実にお客さまにそっぽを向かれます
「試作」はチャレンジ、「試食」は仕上げ
テストマーケティングで商品力を磨く

成功の鉄則02 店舗、商品、メニューのコンセプトはとことん作り込み、全員で共有しよう!〈コンセプトその1〉
店舗コンセプトと商品コンセプトの具体例
メニューコンセプトと完成メニューの具体例
味の設計図の具体例

成功の鉄則03 コンセプトを作るための基本的な考え方を知ろう〈コンセプトその2〉
店舗コンセプトはお客さまにわかりやすく
商品コンセプトを作るときは「料理の中心」を決める
「塩だれホルモン 満天」の集客商品と利益獲得商品
メニューコンセプトで「売る商品/売らない商品」を明確にする
味の設計図の基本的な考え方

第3章
〈接客とスタッフ教育の「やってはいけない」〉
お客さまとスタッフの両方にとって楽しいお店になっていますか?

法則14 テンションが高い店長は、業績を頭打ちにしてスタッフの離職率を高めます
“お客さまと社長の前でだけ元気のいい”店長は要注意
「オペレーション型店長」は百害あって一利なし
満点率を自分で下げるオペレーション型店長
経営者は「マネジメント型店長」を育てよう

法則15 もしかして「従業員を教育してもムダだ!」なんて思っていませんか?
社員教育をしないのは経営者失格です
従業員教育の前に経営者教育が必要

法則16 仲よしグループとチームワークの違いはわかっていますか?
店の業績と個人の目標をリンクさせる
目標は紙に書き、みんなの前で発表する

法則17 いくらマニュアルを作っても、正しく運用・活用ができていなければ無意味です
「お客さまにやられちゃった」店長とは?
「マニュアルを読めばできるはず」では離職率は下がらない
マニュアルはカーナビみたいなもの
「型」を決めてあげることでスタッフが活き活きとする

法則18 お客さまが「おすすめはなんですか?」と聞く理由はわかっていますか?
おすすめは押し売りではありません

法則19 マニュアルや台本を使わずにスタッフがおすすめ上手になる方法
自分の気持ちを自分の言葉で伝える
おすすめするとお客さまもスタッフも楽しくなる

第4章
〈集客の「やってはいけない」〉
値下げや広告ではなく「高い価値」を提供すればお客さまは集まります

法則20 思いつきの「値下げ」は「売り上げが伸びる」どころか客足が遠のきます
お客さまは「値下げの理由」を探す
お客さまがシビアになるのはお金ではなく価値
低コストで高い付加価値を演出する具体例

法則21 アルコールドリンク(生ビール以外)をきちんと売らないお店は儲かりません
生ビールよりも、ハイボール、サワー類を売る
アルコールドリンクの販売戦略の具体例

法則22 「みんなに好かれるお店」を目指すと「誰にとっても魅力のないお店」になりますお客さまにとって「なんでもあり」は魅力的ではない
「品切れ」を恐れず、仕入れコストを効率的に使おう

法則23 新規にオープンしたお店に最初からお客さまを集めてしまうと大変なことになります
最初からお客さまを集めることのデメリット
レセプションをうまく活用しよう

法則24 集客コンサルタントによる“一時的な”売り上げの伸びに頼ってはいけません
一時的な大量集客はお店にダメージを与える
「集める」ではなく「集まる」お店作りを

法則25 自分のお店の前に行列ができたら、「渋滞店」になっている可能性が大!
行列のできるパスタ店、その理由は……
適正な提供時間を守れていますか?

おわりに

須田 光彦 (著)
出版社 : フォレスト出版 (2020/3/19)、出典:出版社HP