医療4.0 – 第4次産業革命の医療とは? 2030年の展望

現在、高齢化が進み医療についての関心が高まっています。そんな中、第4次産業革命時代の医療について書かれた「医療4.0」は医療の現状や課題、そしてこれからどのように医療のあり方が変化していくのかなどが書かれています。医療の最前線を走っている30人の医師からのお話もあり非常に読み応えのある一冊です。

第4次産業革命の医療

日本における医療の歴史は、医療の基礎ができた「医療1.0」、今につながる介護政策が進んだ「医療2.0」、電子カルテをはじめとした医療のICT化が進んだ「医療3.0」と続いてきました。そして、第4次産業革命のIoT、人工知能などの新しい科学技術を活用することによって医療分野も新たなフェーズに入っていき、それを「医療4.0」と呼びます。本書は初めに日本の医療の変化や課題、医療とテクノロジーの現状と展望について書かれたあと、各領域の最前線を走る医師30人が第4次産業革命時代の医療についての展望を述べています。

現在日本は急激に人口が減少していると同時に65歳以上の高齢者が増加しています。高齢化の影響で、医療費は増加の一途をたどっていて、国民一人当たり35万円の医療費を健康な人でも負担している計算になります。また、平均寿命と健康寿命の差が約10歳あるということも今後考えていかなければならない課題です。
医療4.0では、身体に痛みを感じたり動かしづらくなったりしてから医療機関を受診し、その原因を診断して治療してもらうという医療のあり方が大きく変化します。

医療4.0の特徴は、医療との接点が医療機関以外にも広がる「多角化」、個人個人に応じたオーダーメード化が進む「個別化」、そして医療の主体が患者自身に変わっていく「主体化」です。具体的には、ウエアラブルデバイスで健康を管理したり、ゲーミフィケーションが健康を導いたり、ゲノム医療で個人を見える化したりすることです。また、5GやVRの技術によって遠隔医療が可能にもなり、医師間の知識の共有が行いやすくなるでしょう。

後半の医師30人の今後の医療の展望は、脳血管疾患や小児診療など各分野の最前線を走っている医師へインタビューが書かれています。分野の違う医師の視点から、将来どう医療が変化していくのか、医療の現状、これからの課題、話をわかりやすく説明されています。インタビュー形式でのものとなっており、興味があるトピックから読んでみるのが良いでしょう。

加藤 浩晃 (著)
出版社: 日経BP社 (2018/6/23)、出典:amazon.co.jp