わかりやすい ロボットシステム入門 ―メカニズムから制御,システムまで― (改訂3版)

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ロボットシステムを包括的に理解

ここ数年で大きく変化しているロボットやその技術について、包括的に理解できるロボット工学定番の教科書です。旧版の内容を見直して、ロボットシステムの基礎から応用技術まで丁寧に解説されています。改訂によって、技術的・社会的な変化がよくわかるようになっています。

松日楽 信人 (著), 大明 準治 (著)
出版社 : オーム社; 改訂3版 (2020/2/27)、出典:出版社HP

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はじめに

ロボットは創造力を高めるのに優れた題材だと思う。…をするロボットを考えることから始まり、その設計、機構、制御、実験まですべての要素が含まれている。特に最初の…をするロボットの定義、あるいは仕様を決めることが最も重要である。それに対する解答はもちろん一つではない。そして動くものを作る楽しさが、ロボットの魅力といってよいだろう。まだまだ鉄腕アトムのような知能ロボットは実現できないが、着実に少しずつ進歩している。
このような背景から本書では、ロボットを動かすにはどうすればよいのか、口ボットの構成から制御方法までを具体的に解説する。制御するためには制御対象がどのような構造で、どのような部品からなり、どのように使われるのか、知らなければならない。本書ではロボットに対する素朴な疑問に答えるように次のような構成で書かれている。専門書ではなく入門書としてロボット技術について、ロボットを設計して動かすまでを一貫した構成でわかりやすく解説した。ロボットはシステムであり、非常に多くの知識から成り立っている。しかし、それらはロボットを構成するために一つのシナリオにより、個々の知識には位置づけがあり、多くの技術が組み込まれているのである。本書によりロボットの設計・機構・制御のシナリオが理解できれば、読者は必要に応じて専門書で知識を補って欲しい。
●ロボットはどのような目的で使われているのだろうか?
●ロボットにはどのような形のものがあるのだろうか?
●ロボットの関節はどのような構造で、どのような部品からなっているのだろうか?
●ロボットにはたくさんの関節やモータがある、どのように制御すれば動くのだろうか?
●ロボットに仕事をさせるには、どのように指令すればよいのだろうか?
●ロボットはこれからどんなことに応用されるのだろうか?
今まで、ロボットについて勉強する本はいくつかあったと思うが、ロボットをシステムシナリオという視点から解説した本はなかったように感じている。本書がその一助となれば幸いである。
なお、本書は松日楽が湘南工科大学電気工学科3年生を対象に1998年後期から「メカトロニクス」(ロボット工学入門)の授業として講義した内容をまとめ直し、制御系については大明が書き直したものである。本書を執筆しながら、口ボティクスは本当に広い範囲に及んでいることを改めて実感した。
最後に、本書をまとめるに当たり(株)東芝小向工場主幹飯倉者一氏には本書を書くきっかけを与えていただいた。また、本書には(株)東芝研究開発センターで開発された多くのロボットを写真で紹介してある。諸先輩・同僚達の貴重な研究成果である。さらに、東京工業大学教授広瀬茂男氏、早稲田大学教授菅野重樹氏、本田技研工業(株)、ソニー株からは興味深いロボットの写真を提供していただいた。これらにより内容が充実したことは言うまでもない。このほかに、(株)オーム社出版部の方々には大変お世話になった。ここに心より感謝する次第である。
1999年10月
松日楽信人
大明準治

松日楽 信人 (著), 大明 準治 (著)
出版社 : オーム社; 改訂3版 (2020/2/27)、出典:出版社HP

第2版にあたり

第1版最終稿を仕上げている最中に、原子力施設事故が発生した。翌年はミレニアムということで忘れられない時期であった。元々、筆者の覚書として書いたつもりの拙本であったが、意外にも大学の先生方が教科書に使って下さった。10年も継続していることが、全くの想定外である。当初から、皆様のご指摘を受けたくさんの修正を加えてきた。研究論文と違って、本当に気をつかう作業が多く、感謝に絶えることがない。もちろん、今でも覚書の位置付けであるので、その点はご理解頂きたい。
さて、第2版では、執筆後10年経ったことから、技術動向や市場について見直した。新しいロボットが次々と研究開発されていること、市場も変化が激しいことに、改めて気付かされた、個々の技術は進歩していくが、何をするためのロボット/機械か、そのための仕様は何か、は変わることのない基本である。10章に追加した経済産業省のロボット開発ロードマップを見ると、万博、共通基盤、要素技術、知能化、生活支援と、開発フェーズに従い施策が進められていることが良くわかる。こういった施策がこれまで説明してきた技術開発の大きな支えとなっていることは明白である。また、この本が、この発展の時期に少しでも貢献できていれば、大変な幸いである。第1版では1ページしかなかった10章では、これから重要となる技術などを著者の判断で書かせて頂いた、まさに、ここを書けたのが自分の10年に相当する部分であった。次々の10年の度にロボット技術が広がっていくことを信じてやまない。
最後に、総合科学技術会議科学技術連携施策群にて次世代ロボットを考える貴重な機会を与えて頂いた故首都大学東京谷江和雄教授に第2版を捧げたい。
平成22年6月
松日楽人

この10年で、次世代ロボットのコンセプトやプラットフォーム作りが前進し、ロボットに使える要素技術は大きく進歩した。また、ロボットコンテストが多く行われ、ロボット教材も増えて、人材育成の面からも、ロボットの研究開発の厚みがかなり増してきた。しかしながら、外野から見ている方々には、身の回りで役に立つロボットがいっこうに出てこない、という印象が強いだろう。現在のロボット研究開発は、人間と同じことをやらせようとするのが主流であるが、単純な作業や動作しかできないのが実情である。それが、長い目で見て必要な研究開発であることは間違いないが、今一番求められているのは、現在使える要素技術で作れて、かつ、役に立つロボットをいかに定義するか?ということであろう。それには、1にアイディア、2にアイディア、3、4がなくて、5にシステムインテグレーションのセンスである。例えば、現在、実用化が進みつつあるロボットは、自律ではなくて、人間をアシストするものであったり、人間型とは全く別のロボットであったりする。
さて、システムとしてのロボットは、要素技術の研究開発のプラットフォームに非常に適している。若い方々には、まず、要素技術の研究開発を徹底的に深耕してもらいたい。ロボットコンテストは趣味程度にして、本業は数学(数理)や物理(力学)など、新しい理論や数式モデルを作れるようになるための基礎を固めてもらいたい。最初のうちは、昼は数式の方のモデル作り、夜はロボットの方のモデル作りというのが望ましい姿である。そして、専門性を高め、要素技術を極めてから、思いっきりアイディアを出してロボットシステムの研究開発に邁進して欲しい。その際、ロボットの形にこだわる必要は全くないのである。
20世紀から21世紀にかけてハードウェアは、ものすごく進歩した。もちろん、ソフトウェア(アルゴリズム)も進歩したのだが、それは、昔、リアルタイムでは不可能と考えられていたアルゴリズムが昨今のCPUパワーやメモリ容量によって実現可能になったケースが多いのではないかと思われる。すなわち、新しいアルゴリズムの実現には、故きを温ねることにもヒントがありそうである。分野を問わず、様々な文献やWebの情報にあたって頂きたい。
平成22年6月
大明治

松日楽 信人 (著), 大明 準治 (著)
出版社 : オーム社; 改訂3版 (2020/2/27)、出典:出版社HP

第3版にあたり

初版から20年、第2版から10年、と予想外の早さで時間が過ぎた。とくにこの10年では、ROS(Robot Operating System)の普及、ドローン、自動運転自動車、ディープラーニング、AIが急速に進歩し、実用化も一気に進んだ。しかし、いまだ身近なところで動いているのは家庭用クリーナロボットぐらいであろうか?アシスト系も着実に広がりつつあるが、すぐ周りには見当たらない人手不足に向けたロボット化の適用や、2020年のオリンピック、パラリンビックに向けて、空港での応用やビルなどでのショーケース化が進んでいる。2018年はWorld Robot Summit(WRS)が2020年のプレ大会として大々的に実施された、現時点ではロボットへの期待はピークに達しているかのようである。
幸いにも筆者らは、いまだロボット研究開発の中にいる。産業用ロボットの国内市場も以前からの目標であった1兆円を目前にしているドローンや自動運転車がロボットだとしたら、大変大きな市場になったともいえる、世の中はさらに、IoT、Industry4.0、Society5.0、SDGsなどと、相変わらず数多くのキーワードが展開されている。システム化では第5世代移動通信システム(5G)の普及で、さらに進むと考えられる。明らかに、ロボットも大きなシステムの中での要素としての進歩、システムの中への組み込みがより進むと予想される。次の10年の際には、どこまで進んでいるか、大変興味深い。
自分の経験をまとめたこの本を書いて、予想外に教科書として使われていることに驚いたが、大変ありがたいことである。とくにこの本は、普通の部分と、進歩の部分、市場変化の部分があり、その都度、改訂版で修正されつつ進歩している。あまりこのような成長する本とも言えるものは聞いたことがない。できれば、今後も継続できたらと願いたい。さて、第3版では、市場変化、普及した測域センサ、IoT、AIなどについても追記した。必ずしも筆者らが実施した内容ではないので、私見的な記述もあることをご容赦願いたい。また、ロボットの状況変化の記述などはあえて比較のために残した。この第3版が旧版に続き若いロボット研究者、教育者の参考になることを期待したい。
令和元年12月
松日楽信人

第2版から、さらに10年が経過した。基本は変えていないが、第6、8章で、少しアドバンストな制御を追加した。著者が考案し検証した内容も含んでいる。
さて、世はAIブームであり、ロボットも同じ文脈で語られることが多くなった。技術的には、人間が逐一教示点を与えるのではない、深層学習による自律的な動作の獲得が進みつつある。第2版で「新しいアルゴリズムの実現には故きを温ねよ」と書いたが、多層ニューラルネットの見直しと近年のCPUパワーやメモリ容量の進歩でもたらされた深層学習は温故知新の好例ではないだろうか。
また、ロボットコンテストの方も、ますます盛んになり、その代表格である高専ロボコンでは、あっと驚く戦略や技術の応酬がなされている。特に上位に入るチームは、見た目に器用なもの作りだけではなく、計算機上に構築したモデルに基づくシミュレーションによって再現性のある戦略を練っているように見受けられる。これも第2版でふれたことだが、数理や力学を駆使して、新しい理論や数式モデルを作れるようになるための基礎ができているとの印象を持った。
AIの時代になっても、AIがロボットシステムを作ってくれるわけではない。サイバーフィジカルシステム(CPS)という概念も流行り出したが、フィジカルの部分は人間が作り出すことに変わりはないのである。これから、ますます計算機パワーの援用が多くはなろうが、ロボットの機構・制御・情報に関する要素やシステム構築に関する技術を身につける重要性は変わらない。ただし、PythonやROS(Robot Operating System)のようなオープンソースの時代になり、他の人が作ったオブジェクト指向のライブラリを解釈・流用してロボットシステムを構築する素養が求められるようになった。これは、高度な機能を持つシステム構築への近道であると同時に、自分で好き勝手に考えるシステム構築とは別な苦労を生むことを覚悟する必要がある。それを乗り越えて、技術力に自信がついたら、是非、その成果をオープンソースのコミュニティへ還元してもらいたい。
従来、ハードでもソフトでもクローズドな戦略をとってきた産業用ロボットメーカもオープン化の波を無視できなくなってきている。各メーカの技術の動向を知るには、特許を読むのが一番であり、特許庁のWebサイトを折に触れ参照することをお勧めする。
今和元年12月
大明準治

松日楽 信人 (著), 大明 準治 (著)
出版社 : オーム社; 改訂3版 (2020/2/27)、出典:出版社HP

目次

1章 ロボットとメカトロニクス
1-1ロボットとメカトロニクスの関係は
1-2ロボットの定義
1-3ロボットはシステム技術である
1-4ロボットはどこに適用されているのか
1-5ロボットの現状は
トライアル1

2章 ロボットの形
2-1ロボットはどんな形をしているのか
2-2ロボットに必要な関節数は
2-3ロボットと専用機械の違いは何か
トライアル2

3章 ロボットのメカニズム
3-1ロボットの関節はどうなっているのか
3-2関節はどのように構成するのか
3-3動力はどうやって関節へ伝えるのか
3-4減速機の役割とは何か
3-5ロボット用の減速機にはどのようなものがあるのか
1遊星歯車減速機
2ハーモニックドライブ減速機
3内接式遊星歯車
4ウォームギア
5ボールねじ
3-6減速機に求められる性能とは何か
1小形高効率
2バックドライブ
3高剛性
4バックラッシとヒステリシス
5無負荷ランニングトルク
3-7減速機を使わないロボットとは
トライアル3

4章 ロボットのセンサ
4-1位置・速度センサはロボット制御の基本
1エンコーダ
2ポテンショメータ
3レゾルバ
4タコジェネレータ
4-2カセンサはどうなっているのか
1RCCデバイス
2力検出の原理
36軸力センサ
4-3近くのものを検出するには
1うず電流式近接センサ
2静電容量式近接センサ
3光学式近接センサ
4機械式リミットスイッチ
4-4どうやって距離を測るのか
1超音波式距離センサ
2レンジファインダ
33次元形状計測法
4能動カメラ法
4-5環境計測に必須な測域センサ
4-6そのほかにどんなセンサがあるのか
4-7センサと制御の関係はどうなっているのか
トライアル4

5章 ロボットのアクチュエータ
5-1アクチュエータにはどんな種類があるのか
1アクチュエータの分類
2油圧アクチュエータ
3空気圧アクチュエータ
4超音波モータ
5SMA
6FMA
5-2電磁力モータをモデル化してみよう
5-3サーボモータの特徴とは
5-4モータ駆動部を設計してみよう
5-5モータはどのように制御されているのか
1モータのトルク(電流)制御
2モータの速度制御
3モータの位置制御
トライアル5

6章 ロボット関節のフィードバック制御
6-1関節のモデル化とダイナミクスを知ろう
6-2運動方程式のパラメータを同定しよう
6-3位置・速度制御系を設計しよう
1速度制御系の検討
2位置制御系の設計
6-4機械共振を考慮したモデル化と制御ゲインの関係
6-5目標軌道生成とフィードフォワードの効果
1台形加減速軌道とS字加減速軌道
2フィードフォワードの効果
6-6外乱オブザーバとは何か
6-7振動抑制制御って、どうやるのか
トライアル6

7章 ロボットの運動学
7-1位置と姿勢の表現方法を知ろう
1同次変換行列とは
2オイラー角による変換
3ロール・ピッチ・ヨー角による変換
4単位クォータニオン(オイラーパラメータ)による変換
7-2関節リンクパラメータはどこを表すのか
7-3ピューマ形ロボットの順運動学を解こう
7-4逆運動学一先端の位置から関節角を求めるには
7-5ロボットのヤコビ行列とは何か
1ヤコビ行列
2静力学とヤコビ行列
3ロボットアームの特異姿勢
トライアル7

8章 ロボットの運動制御
8-1ロボットの位置制御はどうするのか
1PTP制御
2CP制御
3多項式による逐次的軌道生成
8-2ヤコビ行列を用いた逆運動学の解法とは
1J(逆ヤコビ行列)による逆運動学の解法
2J(転置ヤコビ行列)による逆運動学の解法
8-3ロボットの動的な位置制御を学ぼう
1ロボット(多リンク系)の運動方程式
22自由度アームのダイナミクス
8-4位置制御系に振動抑制制御を追加してみよう
8-5これから重要となるロボットの力制御とは
1インピーダンス制御の考え方
2力制御
3カセンサを用いないスティフネス制御
4動力学モデルに基づくセンサレスカ・インピーダンス制御
トライアル8

9章 ロボットの知能化一自律制御と遠隔操作
9-1自律制御ロボットとは何か
9-2ロボット言語で知能化を考えてみよう
9-3遠隔操作形マニピュレータとは
9-4マスタスレーブマニピュレータの制御とは
9-5バーチャルリアリティとテレロボティクスの共通性は
9-6遠隔操作か自律制御か
トライアル9

10章 ロボットの課題と将来
10-1ますます重要になるシステムインテグレーション
10-2次世代ロボットとは
10-3次世代ロボットの市場創出
10-4要素技術の進歩
10-5ネットワーク技術との融合は欠かせない
10-6サービスロボットの標準化
トライアル10

トライアルの解答
参考文献
次に読むべき本
索引

リフレッシュ
1メカトロニクスの語源
2ロボットの語源とロボット工学の3原則
3マニピュレータ
4スカラ形ロボット
5ユニークな減速機
6不思議な車
7機械剛性と制御の関係
8ロボットの性能を表すには
9初期化動作
10ロボットでつかむ
11動作範囲の管理
12モーションキャプチャ
13手と腕
14FMAの開発
15フラシレスDCサーボモータとACサーボモータ
16JとGD^2
17PI制御とI-P制御
18PD制御について
19制御理論は産業用ロボットにあまり貢献していない?
20残留振動と強制振動について
21仮想仕事の原理
22腕の姿勢とヤコビ行列
23冗長自由度とは
24動力学と逆動力学
25振動抑制制御と慣性比
26サーボ制御の実装経験
27ヤコビ行列の大活躍
28ソフトリアルタイムとハードリアルタイム
29ビジュアルフィードバックとビジュアルサーボイング
30マスタスレープマニピュレータの研究動向
31ロボット鉗子
32宇宙ロボットの遠隔操作実験
33ロボコン
34ROSやAIの普及
35一人で産官学?

1章 ロボットとメカトロニクス

ロボットという言葉は新聞、雑誌、テレビなどからよく耳にする。しかし、口ボットとは何を指しているのだろうか?ロボットとメカトロニクスとは何が違うのだろうか?また、ロボットといっても身の回りのどこにいるのだろうか?本章ではロボットの現状について紹介したい。

1-1ロボットとメカトロニクスの関係は
現在、ほとんどの電気製品にマイコンが使われているように、最近の機械は図1.1に示すようにコンピュータ制御され、以前と比べるときめ細かな制御が可能となっている。扇風機ですら風の強弱から首の振り方まで自由自在に制御できるようになっており、人が快適と感じる運転パターンをプログラムすることができる。また、CPUを含め計算機の周辺装置も普及し、簡単に制御系が構成できるようになった。このような機器はメカトロニクス機器といわれ、図1・2に示すように多くの機器が開発されている。その基本となるのが、フィードバック制御

◆図1.1メカトロニクスの基本◆
リフレッシュ1 メカトロニクスの語源
メカトロニクス(Mechatronics)はメカニクス(Mechanics)とエレクトロニクス(Electronics)を組み合わせた日本で生まれた造語であり、現在世界中で使われている。その意味するところは、「メカトロニクスとは、機械と電子の一体化技術のことであり、単に結合するだけでなく、互いに融合し、互いの長所を生かし、影響し合いながら最適化を図ること」である。

松日楽 信人 (著), 大明 準治 (著)
出版社 : オーム社; 改訂3版 (2020/2/27)、出典:出版社HP