世界で通用する「地頭力」のつくり方 自分をグローバル化する5+1の習慣

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勝負できる人でいるための習慣

”世界で通用する”ために本書に揚げられている習慣は、どれも経験と幅広い知識に裏付けされていて、具体的です。本文も読みやすく胸ににすとんと落ちる内容となっています。自分のあり方に悩む社会人、どんな大人になりたいか明確に描けない学生。そんな将来に悩んでいる方におすすめします。

山中俊之 (著)
出版社 : CCCメディアハウス (2018/2/28)、出典:出版社HP

装丁―増田佳明(next door design)
本文フォーマットーnext door design
校正―円水社

目次

はじめに 世界に通用する人材になるための習慣
気がつくと「ガラパゴス化」してしまう日本社会
日本を「ガラパゴス化」させる3つの特性
グローバル化・AI化の「黒船」に打ち勝つ

本書の使い方
本書の3つの特徴
本書の構成「5プラス1」

第1の習慣 「情報」を変える
【根本課題①】日本起点、日本中心の情報ばかりに接しているため、世界のことがわからない
【根本課題②】情報発信者の思惑や頭、フィルターのため事実がわからない
【根本課題③】無知の無知知らないことすら知らない情報が大量にある
日本のマスメディア情報を半分以下にする習慣【根本課題①】
世界の情報から兆しを見つける習慣【根本課題③】
世界のビジネス情報のウェイトを高める習慣【根本課題①】
中東・アフリカ・中南米の情報も入れる習慣【根本課題①③】
英語メディアの情報を直接入れる習慣【根本課題①】
国には多様な側面あり―国家機関と国民を混同しない習慣【根本課題①】
マスメディア、ソーシャルメディア、人・現場の長所を活用する習慣【根本課題②③】
情報を鵜呑みにせず、相反する情報を検討する習慣【根本課題②③】
自分と違った立場の人のソーシャルメディアの投稿を読む習慣【根本課題③】
YouTubeを効果的に用いる習慣【根本課題①②③】
OE61人・現場情報を重視する習慣【根本課題①②③】
庶民から情報収集する習慣【根本課題①②③】
コラム:ソーシャルイノベーションを起こすアフリカのリーダー支援

第2の習慣 「知識」を変える
【根本課題①】社会人になってから学び続けない日本人ビジネスパーソンの能力開発は世界最低レベル
【根本課題②】「インターネット時代だからこそ知識が重要」という認識が弱い
【根本課題③】学ぶ分野が限定されており、幅広い教養に欠ける
森羅万象に好奇心を持ち学ぼうとする習慣【根本課題①②③】
そのジャンルで異端とされる本を読む習慣【根本課題①②③】
外国の映画・ドラマを戦略的に見る習慣【根本課題②③】
STEMを学ぶ習慣【根本課題①②③】
知識を深め、見識に高めるための「対話」の習慣【根本課題①②③】
「インドで月給3万円の労働者なら」「米西海岸のスタートアップIT企業社長なら」と当事者になって考える習慣【根本課題③】
各国の歴史・民族・宗教・経済・政治を常にチェックする習慣【根本課題①②③】
イノベーションを視野に入れて世界の知識を組み合わせ、再定義する習慣【根本課題②③】
付加価値をつけてアウトプットする習慣【根本課題①③】
コラム:7つめの大学で学ぶ学習オタクの私
参考:知識不足で起こりがち―「世界でこれを言うとNG」の事例

第3の習慣「ワークスタイル」を変える
【根本課題①】世界に比べジョブ、キャリアへの意識が弱く、モチベーションが低い
【根本課題②】時間単価、時間成果を意識しないのでパフォーマンスが低い
【根本課題③】空気を読むためイニシアティブをとらない
小さくても世界に通用するビジョンを持つ習慣【根本課題①③】
世界では当たり前―好きなことにこだわる習慣【根本課題①】
自らのパフォーマンスの世界での評価を重視する習慣【根本課題②】
現業にこだわらず、幅広くキャリアの可能性を考える習慣【根本課題①②】
新規事業、海外事業に手を挙げる習慣【根本課題③】
会社に売上・利益を入れる「稼ぐ」感覚を重視する習慣【根本課題②】
イニシアティブをとって意見と根拠を言う習慣【根本課題③】
日常的にイニシアティブをとる習慣【根本課題③】
世界標準の決断の習慣【根本課題②】
独立自営的な習慣【根本課題①②③】
海外も含めて自分の収入を多元化する習慣【根本課題②】
コラム:公務員と独立起業を経験して見えること

第4の習慣 「コミュニティ」を変える
【根本課題①】気の合う仲間か仕事上のコミュニティに閉じている
【根本課題②】日本人のコミュニティに閉じている
【根本課題③】コミュニティの外の人に不親切?
「仕事」「楽しむ」「切磋琢磨」の3種類のコミュニティをバランスして持つ習慣【根本課題】
「1対1」で切磋琢磨する関係を作る習慣【根本課題①】
コミュニティ内で肩書抜きでフランクに付き合う習慣【根本課題①②】
会社を利用しつつ、独自のコミュニティを作る習慣【根本課題①】
ソーシャルネットワークで世界にコミュニティを広げる習慣【根本課題①②】
マイノリティに幅見を持たずに接する習慣【根本課題①②③】
「日本人が差別されている」と過剰反応しない習慣【根本課題①②】
自分と違う人とも極力付き合う習慣【根本課題①②③】
外国人が多数参加する会合に参加する習慣【根本課題②】
外国人を招待するホームパーティーを企画する習慣【根本課題②】
友人・知人には親愛の情を身体で示す習慣【根本課題①②③】
知らない人にも笑顔で話しかける習慣【根本課題③】
四国お遍路に学ぶ――コミュニティ外の人に奉仕する習慣【根本課題③】
コラム:学際的・国際的な最高のコミュニティ、ケンブリッジ大学

第5の習慣 「オフ」を変える
【根本課題①】オンばかり重視し過ぎてオフが軽視されている
【根本課題②】疲れを感じている人が多い
【根本課題③】充実したオフになっていない
オフの予定をまず入れる習慣【根本課題①】
年、月、週、日のそれぞれに楽しみを入れる習慣【根本課題①】
元気溌剌を言葉にする習慣【根本課題②】
継続的に運動して脳を活性化する習慣【根本課題①②③】
癒し効果が証明――「森林セラピー」の習慣【根本課題②③】
自然の荘厳さに触れ謙虚になる習慣【根本課題②③】
短時間でも多くの国を回る習慣【根本課題①②③】
世のため人のための活動を何か実践する習慣【根本課題②③】
日本文化を披露する習慣【根本課題③】
1人の時間を作り、自分を見つめ直す習慣【根本課題①②③】
人類普遍の真善美の追求―芸術を楽しむ習慣【根本課題①②③】
引退後も続けることを視野に入れて活動する習慣【根本課題③】
コラム:英語落語は世界に通用する

補論 第6の習慣「英語」を変える
【根本課題①】「英語は通じればよい」と言っている人に問いたい。「情熱が感じられず、失礼な表現の日本語を話す外国人を信頼できますか?」
【根本課題②】リーダー層の英語力の低さのため、世界の優秀な人材がそっぽを向く
【根本課題③】日本人は「話す」「聞く」だけでなく「読む」「書く」も問題
【根本課題④】発音が悪いので伝わらない
【根本課題⑤】死屍累々―巨大なビジネス損失につながるお寒い症候群
王道なし―地道に単語や表現を覚える習慣【根本課題①③】
ライティングはネイティブチェックに出す習慣【根本課題③】
毎朝音読をする習慣【根本課題①③④】
発音記号とリンキングに注意する習慣【根本課題④】
落語のように「情」を入れる習慣【根本課題①③】
英文を多く読む習慣【根本課題①②③】
現地語も学ぶ習慣【根本課題⑤】
コラム:英語にこだわる私の1日の過ごし方

おわりに地球倫理の時代――日本人リーダーへの期待

山中俊之 (著)
出版社 : CCCメディアハウス (2018/2/28)、出典:出版社HP

はじめに 世界に通用する人材になるための習慣

私は、グローバルリーダー開発を本業としているトレーナーです。これまで4万人におよぶ国内外のリーダーやその候補の方々と研修・コンサルティング・大学講義・グローバルビジネス・外交の現場で向き合ってきました。「世界に通用する力を身につけて、活躍するためにはどうすべきか」ということは常に最大級のテーマであり、多くの世界のリーダーとともに議論してきました。
本書は、その経験や蓄積のもと、「情報」「知識」「ワークスタイル」「コミュニティ」「オフ」「英語」の観点から、日本人ビジネスパーソンの課題と課題解決のための習慣・方法論をまとめたものです。

《気がつくと「ガラパゴス化」してしまう日本社会》

日本でだけ通用する「ガラパゴス化」。これは私を含め、日本人ビジネスパーソンの多くに当てはまるかもしれません。職場の同僚や取引先と付き合い、テレビを見て、休日は自宅や近所で何となく過ごす……。意識せずにこのような日常を送っていると、ふと気づいたときには南太平洋の絶海の孤島にいるイグアナのようになっているかもしれません。
私は、世界の多くの革新的な製品・サービスを生み出しているスタートアップ企業(設立後間もないベンチャー企業)を数多く訪問させていただいています。そのときにいつも思うのは、「この企業について、日本の新聞や雑誌では報道されていない、少なくとも大きくは報道されていないな」「これだけインパクトのあるビジネスなのに日本では知られていないな」ということです。江戸時代の鎖国は昔の話であり、現在の日本はグローバル化されて世界に開かれていると考えがちですが、今も半ば鎖国状態にあることは変わりません(詳細は後述します)。
現在、世界がグローバル化する中で、日本人の情報、知識、思考、行動、成果が国内だけに閉じて留まり、世界とのギャップはますます大きくなっています。そうしたなか、世界に通用しない人材を量産しているといえるでしょう。
母語で自国の人々と会話をし、自国のマスメディアから情報を得て、自国中心の思考によってビジネスを展開すること自体は世界中のどの国でも普通のことです。たとえば、米国でも一部の大都市を除けば、外国生まれの外国人と日常的に接する人はそう多くはありません。それにタブロイドなど一般大衆紙、三大ネットワークであるNBCやABCをはじめとするマスメディアから人々は情報を得ています(本書では新聞・雑誌・テレビなど既存のメディアを「マスメディア」とし、個人が投稿できるソーシャルメディアとは区別します。また両方を合わせて「メディア」と呼びます)。それらの多くは米国起点で米国中心のニュースで
す。
このように書くと、「自国起点・自国中心は日本に限らないので問題ないのではないか」との意見もあるでしょう。しかし、日本には次のような、いくつかの世界に閉じている特性があります。

《日本を「ガラパゴス化」させる3つの特性》

第一に、人口が1億人を超える人口大国であるにもかかわらず、民族的・言語的に同質性が高いことです。世界には民族的にも言語的にも同質性の高い国が多数ありますが、そのような国の多くが小さな国です。人口が1億を超える国は中国、インド、米国、インドネシア、ロシアなどがありますが、これらはすべて多民族(さらに多言語)で異質の存在を国内に抱えています。また、同じ民族であっても、地域による文化や風習の違いが大きいため、「異質の他者」を意識せざるを得ません(非民主国が少数民族問題に目を向けないように国民を統制することはありますが、逆に言えばそれだけ国政に影響を及ぼしうるほどの多くの「異質な存在」を内包しているということです)。このように国内に多様な民族や言語集団を抱えているので、日本とは異なり、いわば「身内」とは異なる異質な他者を意識せざるを得ないのです。
同質性の高い国の例として韓国が挙げられますが、韓国は人口約5100万人(2016年)で国内市場が比較的小さいため、彼らは世界に目を向けています。母子で米国留学し、父親がひとり寂しく韓国で単身生活を送るといった事例を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
確かに日本にも先住民族のアイヌ民族の他、在日コリアンをはじめとした海外に出自を持つ人々は多数居住しているのはご存じのとおりです。しかし、もともと同質性が高く、移民を本格的に受け入れたことがないため、1億人を超える他の人口大国と比較しても相対的に同質性が高いことは間違いありません。このように同質性が高い人口大国の場合、異質な他者への感覚が弱くなり、内向き志向が強化され、ガラパゴス化に繋がってしまいます。
第二に、日本語が言語学的に国際標準語である英語から遠いため、英語を習得することが困難であることが挙げられます。それは同様に外国人の日本語学習への敬遠につながり、日本が閉じた国になる要因にもなっています。
民主主義国、かつ先進国のリーダー層(政治家、経営者、ジャーナリストなど)で英語ができない比率がこれほどまでに高いのは日本くらいです(第6章で詳述します)。その要因には英語教育の質的・量的な問題の他、そもそも経済活動が日本国内で完結してしまうため、英語習得の必要性を感じにくいなど多様な要因があります。しかし、言語学的に英語をはじめとする他の国際言語との乖離が大きく、習得が難しくなっている点も見逃せません。
また、複雑な漢字を使用する日本語を外国人が習得することが難しいため、外国人の日本語習得も進みません。ご存じのとおり、中国本土の漢字は中国の共産党革命以降省略化されました(簡体字)。日本は中国本土よりも複雑な漢字を使っています(台湾は複雑な繁体字)。言語的な壁が大変に大きいのです。
第三に、日本人の宗教に対する認識・理解の低さが挙げられます。いまも国際紛争の要因の多くが宗教であることは言うまでもなく、世界の人々の思考や価値観の軸として宗教は大きな位置を占めています。
たとえば、欧米社会では寄付が大変に重視されますが、これはキリスト教の価値観を反映したものです。しかし、日本人は宗教というと政治同様、何か触れてはいけないタブーになっているのが実態ではないでしょうか。そのため宗教について議論する機会が少なく、宗教への認識理解がなかなか進みません。このように宗教への理解が不十分だと、世界の多くのリーダーたちの価値観を理解することが難しくなってしまうのです。結果として、ガラパゴス化してしまいます。
もちろん欧米にも自分は無宗教であると言う人もいますが、欧米であればキリスト教的な価値観の影響を受けており、中東をはじめとするイスラム圏ではイスラム教の生活習慣や価値観が浸透しています。
これら3つの特性のため、日本人、日本社会はガラパゴス化してしまっていると私は考えます。

《グローバル化・AI化の「黒船」に打ち勝つ》

このように海外と日本を比較すると、「私はドメスティックな人間なので関係ない」と言う方もいると思います。しかし、本当に自分はまったく無関係といえるでしょうか。
いま、すべてのビジネスパーソンにとって大きな脅威になると考えられているのが、グローバル化とAI(人工知能)化です。
まず、グローバル化の脅威とは、給与水準が比較的高い日本人ビジネスパーソンが海外のビジネスパーソンに代替されてしまうということです。
日本は、上級管理職を含めた経営者層、一部のIT技術者は別として、同規模・同業種の世界の企業と比較すると、国や業種にもよりますが、初級管理職クラスまでは給与が高い傾向にあると言われています。新興国の初級管理職と比較すると、日本人の給与の方が高いことは容易に想像がつくのではないでしょうか。
しかし、ここで「給料が高くてラッキー」と思ってはいけません。給与が高いということは、企業側から見ると「抑えられるべきコスト」です。同じパフォーマンスであるならば、人件費を抑えることのできる新興国をはじめとした海外での雇用にシフトすることを企業サイドは考えます。
自動車や家電などの工場の生産拠点が日本からコストの安い海外に移っていったことはみなさんもご存じのはずです。今後はマーケティング・研究開発などの拠点がどんどん海外に移っていく可能性があります。実際、私の本業である人材開発や研修の分野でも、外資系グローバル企業はアジアの拠点を東京からシンガポールや中国などに移転させており、東京からシンガポールに拠点を移した人もたくさんいます(日本のマスメディアでは東京一極集中の問題が報じられますが、それはあくまで国内に限定した話です。外資系グローバル企業のアジアにおける東京の地位は下落の一途で、世界の視点で見ればむしろ東京が衰退していることが課題です)。
このように日本人の仕事が海外に代替されつつある中で、国内だけに閉じた視点で他社の社員と給料を比較するだけでは不十分です。中国やインドなどの新興国で同じ仕事をしている人の給与と比較する必要があるのです。自らの雇用や給与を、これからは世界視点で見ていかなくてはいけません。
最近、「少子高齢化で人手不足」「売り手市場」という話をメディアで聞くという方もいらっしゃると思います。しかし、それは建設、介護、外食や中小零細企業で仕事と賃金が見合わない需要と供給のミスマッチが原因です(もっとも賃金を大きく上げることはできないので簡単には解消しませんが)。
話が逸れましたが、もう一つの脅威であるAI化についても見ていきます。今後、多くの仕事はAIに置き換わっていきます。生産現場だけでなく、事務、営業、中間管理職、さらには経営者の仕事までAIに置き換わっていく可能性があります。
英オックスフォード大学でAIの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授によれば、今後米国の雇用の47%はAIなどによって失われるとされています(論文『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか」)。
また、ダボス会議を創設したクラウス・シュワブ氏は、「2020年代半ばまでにニュースの90%は人間の介在をほとんど必要としないアルゴリズムで生成される」可能性を指摘しています(『第四次産業革命―ダボス会議が予測する未来」日本経済新聞出
版社)。専門性の高い職業とされる新聞記者ですらAI化でなくなる可能性があるとは驚きです。
現在は指数関数的な変化の時代といわれます。指数関数的な変化とは、AIを含むIT技術やそのサービスの進化が線形のように徐々に変化するのではなく、何乗という指数関数のようにある段階から一気に急激に変化・成長するということです(図1参照)。1990年代初頭には存在しなかったグーグルやアマゾン、フェイスブックは、このような指数関数的な変化の波に乗って一気に市場を席巻しました。
グローバル化とAI化、これらの脅威のため、これまで存在した仕事が一気になくなる危険性が高まっています。仮になくなってしまわなくとも、低賃金に甘んじることになってしまいます。
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1853年、ペリーの黒船が来航しても、江戸幕府は未来永劫続くとほとんどの人が思い込んでいました。しかし、ペリー来航からわずか5年で260年続いた江戸幕府はいとも簡単に滅びてしまいました。現在、多くの日本人も幕末の日本人同様、「まあ、なんとかなるでしょう」とグローバル化とAI化の動きをさほど深刻にはとらえていないかもしれません。
しかし、現在の2つの黒船、すなわちグローバル化とAI化については、現役世代は十分に理解し、何らかの打ち手を講じておくことが必須です。今見てきたように、グローバル化やAI化によって代替されて仕事を失ってしまうのではなく、自らの人材としての開発戦略を大きく変え、自らの市場価値を上げ、世界に通用する人材になる必要があるのです。

山中俊之 (著)
出版社 : CCCメディアハウス (2018/2/28)、出典:出版社HP

本書の使い方

本書の3つの特徴

第一に、全体を通じてリーダー開発・人材開発の視点を重視しています。これは私の専門分野であり、研修や大学講義、実際のグローバルビジネスの現場で企業の将来を担う経営幹部やリーダーの開発・育成をお手伝いしています。_2000年に人材開発のコンサルタントになって以来、累計約4000人のリーダーにインタビューし、約3万人以上にリーダーシップに関連する研修を実施してきました。近年はアフリカでリーダー・イノベーター育成にも注力していますが、世界で起きている諸問題とその歴史・社会・文化など背景要因を議論しながら、リーダーとしての次の打ち手を考えています。そして、クライアント企業の世界のマーケット展開をお手伝いするだけでなく、自らも経営者として外資系グローバル企業とタフな交渉をしています。
また、エジプト・英国・サウジアラビアに外交官として駐在した経験、0か国以上で現地を徹底視察した経験、多数の国際会議に出席した経験、仏教思想に関連する修士号を取得し、現在は大学で芸術について学んでいる経験、これらも広い意味でリーダー開発のバックボーンになっています。
第二に、インプットを重視しています。「もし8時間木を切る時間を与えられたら、そのうち6時間を斧を研ぐのに使うだろう」。これは第5代米国大統領のエイブラハム・リンカーンの言葉です。
何かを変えるにはインプットが必要不可欠です。本書の1章と2章で、まずは「情報」と「知識」という重要なインプットについて取り上げますが、「良質なインプットなくして良質なアウトプットなし」は普遍的真実です。ちなみに「オフ」も本業への刺激という視点があるため、広い意味でインプットと言えます。
第三に、習慣によって再現可能なレベルの思考や行動(=地頭力)を鍛えることを重視しています。各章で日本社会における根本的な課題を事例や根拠・データを入れた上で3つ程度示し、10程度の習慣を取り入れます。世界で通用する人材になるためには、習慣化が重要だからです。
年に数回程度の行動であっても、習慣化に意義のある場合には取り入れていますが、ごくたまにしかないような例外的な行為や、特別な立場にある人だけに当てはまる行動は排除しています。毎日、毎週、毎月という単位で行動できる内容が中心で、誰にでも実践できるようにヒントを入れる配慮をしています。
本書の根本課題は、あくまで世界のリーダーを念頭に置いて、世界に通用する人材にならんとするための課題です。また、習慣もそのための習慣です。そのため日本国内・日本人同士を念頭に置いている一般的な習慣には重点を置いていません。

本書の構成「5プラス1」

第1章は、「『情報』を変える」です。日本人は一般的に日本語でのマスメディア情報に依存し過ぎており、今現在、世界の話題の中心が何であるのかがわからない状況に置かれています。政府や大手マスメディア、一部の影響力のある知識人などの情報を安易に信じてしまうことも問題です。情報源を多元化した上で情報の読み解き方・活用を変えていくことが世界で通用する人材には大事です。

山中俊之 (著)
出版社 : CCCメディアハウス (2018/2/28)、出典:出版社HP