Sleep,Sleep,Sleep

【最新 睡眠について学ぶためのおすすめ本 – 良質な睡眠で人生を豊かに】も確認する

睡眠の質を上げて、生活の質を上げる

科学者が「今、知っていること」すべてまとめたスウェーデン発の睡眠本です。・科学者はなぜ、揃って「絶対寝るべき」というのか?・眠らないとどうなるのか?・どうすれば「眠りの質」が上がるのか?等、睡眠について学べます。

クリスティアン・ベネディクト (著), ミンナ・トゥーンベリエル (著), 鈴木ファストアーベント理恵 (翻訳)
出版社 : サンマーク出版 (2020/12/8)、出典:出版社HP

ヨーハン・ハンソン(1964〜2018)に捧げる

はじめに

睡眠研究者が「今、知っていること」すべてをまとめた

おそらく、誰もが気づいているだろう。ここ数十年、健康ブームの大波が押し寄せていることに。
いつの間にか、「10キロのレースに参加するだけでは物足りない、フルマラソンでなければ」などと耳にするようになった。
数年前に流行ったのは健康ジュースだ。およそ考えつくかぎりの果物と野菜が、これでもかとジューサーに詰め込まれ、もしくはミキサーにかけられスムージーに姿を変えた。

そしてついに、睡眠に順番が回ってきた。
仕事で深夜までコンピュータの前で過ごすこと、明け方までパーティを楽しむことがかっこいいとされた時代は、どうやら終焉を迎えたようだ。
声を大にして言いたい。じつにいい傾向だ!
なぜなら睡眠こそが、私たちに健やかで活力に満ちた生活をプレゼントしてくれる最良の友だから。スポーツと健康的な食事も大切だが、安定した睡眠・覚醒リズム、それに睡眠を通じた休息に注意を払うことは、健康な生活への最初の、そして重要な一歩なのだ。

本書の狙いは、私たちが睡眠について知りうるすべての興味深い新事実を、読者のあなたと共有することにある。執筆に取り組んでいる間にも、世界中で、睡眠に関する新たな研究が数多く発表された。
睡眠学は、日進月歩の研究分野であり、関与する研究者の数も増えつづけている。たとえば、人間の体内時計の仕組みを解明して2017年にノーベル生理学・医学賞を受賞した3人のアメリカ人研究者、ジェフリー・ホール、マイケル・ロスバッシュ、マイケル・ヤングもそうだ。彼らの研究によって、私たちの睡眠・覚醒リズムを制御するメカニズムが突き止められたのだ。

「健康」 「知能」 「感情」をコントロールしている

よい睡眠には、すばらしいメリットがある。
健康や朗らかな気持ちにつながるのみならず、2型糖尿病や肥満、認知症、うつ病などの病気の予防効果をもつ。
睡眠は賢さにも影響する。十分な睡眠をとっている人は、記憶力や集中力、創造的思考力が向上するため、学校や仕事で高い成果を出すことができる。
日中にどれだけ時間を費やしても解決できなかった問題の答えを、寝ている間に思いつくこともある。「大事なことは一晩寝かせたほうがいい」とは、よく言ったものである。
さらに付け加えるなら、質のよい睡眠をとったあとは、自分自身や他者の感情をよりよく理解し、整理分類できるようになる。感情移入スキルや共感力が高まるのだ。

毎晩無料で「とんでもない効果」が手に入る

だが睡眠の最も優れている点は、「無料」ということにつきる。時間さえ不要だ。というのも、余分にとった睡眠は翌日、高いパフォーマンスという形で1000倍になって返ってくるからだ。
しかも、睡眠の改善は簡単に始められる。高級フィットネスクラブも、モルディブのリゾートホテルも必要ない。夜、心地よい自分のベッドにもぐり、目を閉じて、夢の国を訪れるだけで十分だ。

本書を通して、あなたに睡眠に対する前向きな考えをお伝えできれば幸いだ。
睡眠は、けっして負担や恐怖心を感じるような類のものではなく、贈り物なのだととらえてほしい。
とくに、睡眠障害に悩んでいる場合は、つらい夜であっても多少なりともリラックスした時間を過ごせるよう、ポジティブな姿勢を保つことが大切だ。

睡眠に「影響しないこと」は何ひとつない

もうひとつ理解しておくべきことがある。
それは、私たちの体にとって睡眠とは、ベッドの中でまどろんでいる時間だけを指すのではなく、じつは24時間労働なのだという点だ。
睡眠の準備は、朝、目を覚まし、網膜に太陽の光を受け、体内時計に1日が始まるというシ
グナルが発せられたそのときから始まっている。それは、私たちの睡眠・覚醒リズムが、日光や屋外の気温から強い影響を受けるからだ。
その一方で、いつ食事を摂取し、水分を補給し、どの時間帯に運動をするかということも重要な役割を果たす。
つまり、「朝のうちに日光を浴び、明るい間にスポーツをし、夕食は少量にとどめ、スマー
トフォンはできるだけ手に取らない」というように、起きている間の睡眠衛生(睡眠に影響を与える生活習慣や行動)に気をつけることで、夜ぐっすりと眠れるようになるはずだ。睡眠はいわば、覚醒時の行動を映し出す鏡なのである。

奥深く、エキサイティングな睡眠の世界へようこそ。あなたが私たちと同じぐらいこの世界に魅了されたなら、このうえない喜びだ。

ウプサラ大学 睡眠学研究者 クリスティアン・ベネディクト
ジャーナリスト・作家 ミンナ・トゥーンベリエル

クリスティアン・ベネディクト (著), ミンナ・トゥーンベリエル (著), 鈴木ファストアーベント理恵 (翻訳)
出版社 : サンマーク出版 (2020/12/8)、出典:出版社HP

目次

はじめに
睡眠研究者が「今、知っていること」すべてをまとめた

「健康」「知能」「感情」をコントロールしている
毎晩無料で「とんでもない効果」が手に入る
睡眠に「影響しないこと」は何ひとつない

第1部 科学者がそろって「絶対寝るべき」と言う理由
自覚できないが「すごいこと」が起きている

1章 眠らないとどうなる?
研究者が知っている「睡眠の正体」
自分のことなのに「思い通り」にならない時間
起きているかぎり「刺激」を受けつづける
脳の「ゴミ」は寝てきれいになる
あらゆる部位が「再生」する
7〜9時間眠る人は「有病率」が最も低い
自分に必要な「睡眠時間」をテストする
睡眠不足は「遺伝子」に影響が出る
寝不足は「一晩」でも代償があまりに大きい
「生産性」「感情」すべてめちゃくちゃになる
「450億ドル」分の損をしている

2章 睡眠には「4ステージ」がある
浅い眠り・深い眠り、どちらも必要

第1ステージ——覚醒から睡眠にシフトする
■「眠り始め」に体がビクッとする
第2ステージ——「睡眠紡錘波」が出る貴重な時間
■このとき「運動能力」が伸びる
■睡眠紡錘波が「外の世界」を遮断する
■「Kコンプレックス」で眠りが続く
第3ステージ——石のように眠り、最も「回復」する
■「ストレスホルモン」が減り、「成長ホルモン」が増える
■ここで起きれば「酩酊」状態に
■神経細胞の「つながり」が整理される
「食べる炭水化物」で眠りが変わる
「座りすぎ」は睡眠に確実に影響する
「睡眠負債」は覚醒時間が長いほど溜まる
第4ステージ——外見で「夢を見ているかどうか」わかる
■記憶が「ランダム」に脳に刻まれる
■その日「経験したこと」で夢が構成される
夜中に何度も「覚醒」している

3章 私たちを支配する「体内時計」
この「タイムライン」でぐっすり眠れる

「起きるか眠るか」を自分で決めていない
目は「朝」 「夕」光に敏感になる
体が目覚めるのは「太陽の光」
遅い就寝時間は「電球の発明」によるもの
「天気」によって日光を浴びるべき時間が変わる
「昼光色」照明で日光と同等の効果を得る
「寝室」の温度を下げて眠る
「酸素」がたくさんあったほうがよく眠れる
手足が温まって「睡眠に合った体温」になる
食事は「7〜19時」の間にすませる
「食べたもの」は眠りに影響する
■「玉ねぎ」は腸でガスを発生させ、睡眠の邪魔に
■パターやチーズの「飽和脂肪酸」は入眠を妨げる
■「牛乳」でスムーズに眠れる
■「サワーチェリー」は入眠効果のある果物
「カフェイン」は体内時計を遅れさせる物質
「朝コーヒー」で肝臓のリズムが整う
「持久スポーツ」をする時間で朝型になったり夜型になったりする
人間の体は「1日2回」眠るようにできている
昼寝は「15分以内」ならプラスになる
「目を閉じる」だけですごい効果がある
「早朝からベスト」な人はほんの一部
「光」を手放す
テストは「受ける時間」でスコアが変わる
人間は「朝型→夜型→朝型」の順で成長する
「時差ぼけ」で体内時計がカオスになる
「東への旅」は西よりきつい
薬局の「メラトニン」は眠り薬ではない
「週末」に体内時計が時差ぼけ並みにくるう
ティーンは「平均4時間」週末にリズムがずれる
体内時計は「季節の変わり目」に調節が必要
夏と冬で「起床時間」が違った
睡眠は「起きている時間にしたこと」でできている
体内時計を「自分」で調節する方法

4章 「デジタル革命」で人間は熟睡を失った
「人工の光」が睡眠を破壊する

電子書籍と紙の本で「読後の眠り」が違う
「夏」はブルーライトの影響が少なくなる
寝る2時間前に「スクリーン」をオフにする
「SNS」が強力なストレス源になる
一日に触れる情報量が「脳のキャパ」を超えている

第2部 睡眠の「すごい効果」を全部受け取る
コンディションとパフォーマンスが最大化する唯一無二の時間

5章 眠って「賢者」になる
正しい眠りは頭をよくする

睡眠中に脳に「空きスペース」ができる
カルシウムが「シナプス」を強化する
「何度もやったこと」を脳は優先して覚える
「感情」は記憶を確かにする
「生存に重要」と脳がジャッジする
浅い眠りが「運動能力」強化に欠かせない
「香り」と記憶が寝ている間にドッキングする
「睡眠学習」は復習なら可能
たくさん寝て「長期記憶」に保存する
「ストレス」+「寝不足」で記憶力は最悪になる
女子は睡眠不足で「成績」が悪化しやすい
眠って「左脳」と「右脳」の連携をよくする
「交通事故」と睡眠時間の確かな関係
寝不足は「アルコール」を飲んだのと同じ
「メンタル」が整って適切な判断ができる
快眠だと「衝動的」になりにくい
「ADHD患者」はなかなか寝ない

6章 夢が「創造性」を開花させる
アイデアは夜、ビッグになる

支離滅裂な夢に「大事な役割」がある
「レム睡眠」が元素周期も蒸気機関も生んだ
「昼寝」は創造性に無関係
幼児は夢で「世の中」を理解する

7章 眠って「感情」を整える
「ストレス」はレム睡眠で処理される
徹夜で「扁桃体」がフル回転する
夢を早く見ると「不安」が解消されにくい
「光」はメンタルに作用する
抗うつ剤」はレム睡眠を減らし、夢を見られなくする
「ファーストナイト・エフェクト」で熟睡できない
「馴染みある寝具」に勝るものはない
クモ恐怖症の人が「クモ」を怖がらなくなった
眠れないのは「思い込み」のことが多い
「横になる」だけで効果がある
「眠れない」ときにできること

8章 「認知症」を予防する睡眠
寝不足は「脳細胞」にこんなに危ない

一晩寝不足で「脳老廃物」が5%増える
「プラーク」ができ、脳細胞が壊死する
本来と違う時間に「活性酸素」が出まくる
「頭を強打したときに出る分子」の濃度が上がる
加齢で脳波が「変なとき」に出る
「いびき」はサインかもしれない

第3部 いい睡眠は「最良の薬」
ゼロリスクで「完璧な体」に生まれ変わる

9章 眠って「スリム」になる
「体型」は目を閉じている間に決まる

人間の体は「出す」より「溜める」性質がある
夕食は「熱」になりにくい
「代謝」は日中ピークになる
寝不足で「食事のサイズ」が大きくなる
7時間未満睡眠では「甘いもの」に抗えない
ホルモン分泌が「あべこべ」になる
「食欲抑制ホルモン」の出が一日中悪くなる
「善悪の判断」がつかなくなる
睡眠時間で「身体組成」が変わる
「腸内細菌」は夜、休まないといけない
睡眠時間は「外見」に出る
「クマ」は目の下に溜まった体液

10章 「免疫」を強くする
「風邪予防」から「がん予防」の効果まで
睡眠不足で「感染症」にかかりやすい
「細胞」がウイルスと戦う
寝不足だと「細菌」を追えない
「予防接種の効き目」はその日の睡眠時間で決まる
「ナチュラルキラー細胞」は眠って活発になる
「メラトニン」ががんの成長を食い止める
「化学療法」の効果が高まる
「シフト勤務者」はがんリスクが高くなる
がんに「寝る前の食事時間」が関係していた
「歳」をとったらこう眠ってほしい
「部屋」は暗くして眠る

11章 「糖が溜まらない体」に睡眠が不可欠
「糖尿病」を予防する効果がわかった

「食生活の問題」とは言い切れない
「昼夜逆転」で2型糖尿病リスクが上昇
体は寝足りないと「血糖値」が上がるつくりになっている
あまりに「よくないこと」が起きる——合併症に筋肉分解

12章 強靭な心臓
眠って「最重要臓器」を強くする

睡眠中「心臓のタンパク質」が入れ替わっている
睡眠時無呼吸症候群——30秒息を止めるようなもの
「舌」がのどの気道を狭める
無呼吸にはいくつか「兆候」がある
適切な「治療」を検討する
「仰向け寝」はよくない―ボールで「寝る姿勢」を変える
「夜中の食事」で心臓回復が進まない
「こんな人」はメラトニンの投与を考えて

あとがき
巻末付録 日本語版によせて 「日付変更線」をまたぐ時差ぼけの対処法
参考文献

クリスティアン・ベネディクト (著), ミンナ・トゥーンベリエル (著), 鈴木ファストアーベント理恵 (翻訳)
出版社 : サンマーク出版 (2020/12/8)、出典:出版社HP