入門 起業の科学

【最新 起業を理解するおすすめ本 – 起業の知識、本質を学ぶ】も確認する

ゼロからイチを生み出す

起業や新規事業を始めるために重要なエッセンスがコンパクトに凝縮されています。起業を成功させるプロセスは長いですが、そこには定石がありそれを知ることで失敗を回避することができます。起業の全体像を俯瞰することができるので、起業家の方には必読の1冊です。

田所 雅之 (著)
出版社 : 日経BP (2019/2/28) 、出典:出版社HP

これから起業したい人、新しい事業を生み出したい人が、もっと増えるように、この本を書きました。
2017年秋に発売した『起業の科学 スタートアップサイエンス』は、成功に向けて必死で頑張っているスタートアップの方や新規事業部門に配属になった会社員の方などに、発売から1年以上たった今も好評をいただいています。
連続起業家であり、ツイッターで18万人(19年2月時点)のフォロワーを持つことでも知られる「けんすう」さん(古川健介さん)は、18年2月にこんなツイートをしてくれました。
「起業についての質問を、質問箱でいただくことが非常に多いんですが、ほとんど『起業の科学』に書いてある気もするので、まずこれを読むのがいいですよ、本当に!起業したいなーと、モヤモヤ段階の人でもオススメです」
私のところには、フェイスブックやツイッターを通じて読者から続々とメッセージが届きました。「この本を読んで実際に起業をしました」「これを読んで今の迷いが吹っ切れ、新規事業のチームが前に動き出しました」といった喜びの声がたくさんありました。
反響は大企業や官公庁にも広がりました。事業会社の中でベンチャー投資をしたり、企業支援に取り組む官僚や自治体の人たちから相談を受けたり、講演に呼ばれたりする機会が増えました。
私の考えが予想以上に広く受け入れられたことをうれしく思うと同時に、起業や新規事業の成功を目指して悩む人が、こんなにたくさんいるのかと、あらためて気づきました。
そこで、2冊目となるこの本は、既に起業している人たちはもちろん、これから起業してみたい人、新規事業に取り組みたい人にも幅広く読んでいただけるスタートアップの入門書としました。
特に重要なポイントに絞って内容をわかりやすくし、「起業に成功するまでのプロセス」の全体像をすっきりと頭に入れていただけることを一番の目標としています。
スタートアップが成功するか、失敗するか。それは、顧客に熱狂的に受け入れられる製品を作れるか(PMF、プロダクト・マーケット・フィットを達成できるか)にかかっています。この本では、アイデアを思いついてから、PMFを達成するまでに内容を絞り、4ステップ・39のチェックポイントに改めて整理しました。一つのチェックポイントは4~6ページにまとめています。重要な点が頭に入りやすいように、専門用語はなるべく使わず全面的に平易に書き直しました。
初めて起業する人の一番大きな不安は、成功の道しるべが何もないことです。ピンチの連続になることは想像できても、その内容は曖昧で実際には何にどう備えるべきかわからないのです。それは起業をした後でも変わりません。
一般企業なら、自分たちが取り組んでいることが正しいかどうかは事業の売り上げや利益などを見ればある程度わかります。経営やマネジメントの悩みには、優れた参考書がたくさんあります。
しかし、前例のないことに挑むスタートアップは、起業してから最初の売り上げが立つまでに手本はなく、ゴールに向かっているかもわからずに道なき道を進まないといけません。
私自身、日本で4回、米国で1回、スタートアップの立ち上げを経験しています。そのつど、成功に向かって必死でもがいていました。
不安な状況に置かれたスタートアップに救いの手を差し伸べる優れた情報源は、実は探せばたくさんありました。ただ、残念ながら、そうした情報の多くは断片的なものが多く、必ずしも起業家が置かれている状況(成長段階)に最適な解答とは限りません。
しかも、解決すべき課題が次々と出てくる起業家が、分厚い翻訳書を片っ端から読み漁ったり、ネットで情報を集めたりして、成功を目指す情報の全体像を整理する時間的な余裕はなかなか作れるものではありません。私も以前は同じ状況にいたのでよくわかります。
その経験を基に、スタートアップに必要な知識や手順を私なりに体系化しようと、私は1750枚に上るスライド集「スタートアップサイエンス2017」を作りました。5年をかけて毎晩コツコツと約2500時間をかけて作成し、そのために1000人以上の起業家、投資家、スタートアップ関係者と対話を重ねました。このスライド集が前著のベースになりました。
ただ、私が全精力を傾けて集めた情報を余すところなく盛り込んだため、読み返すと、前著は「読むのに少し気合いが必要な本」になった感があります。実際に起業した人が辞書のように「今悩んでいること」の解決策を探るには適していますが、全体像をさっと俯瞰するには不向きかもしれません。
そこで、これから起業や新規事業の立ち上げを目指す幅広い人々に『起業の科学』のエッセンスに触れてほしい。起業した後に直面する課題と解決策の全体像が見えれば、ゼロから起業をする不安が解消し、起業をしてみたい人が増えるのではないか。そんな思いからこの本を作りました。
なお、この本の制作に当たっても、書籍『リーン・スタートアップ』(エリック・リース著、日経BP社)、『Running Lean実践リーンスタートアップ』(アッシュ・マウリャ著、オライリー・ジャパン)、スライド集「あなたのスタートアップのアイデアの育てかた」(馬田隆明氏作成)に学ぶところが多くありました。改めて感謝を申し上げます。

2019年2月 田所雅之

田所 雅之 (著)
出版社 : 日経BP (2019/2/28) 、出典:出版社HP

CONTENTS

はじめに

STEP 0 「成功に至るプロセス」を理解する

STEP 1 アイデアを検証する
1-1 良いアイデアとは?
Check 1 その課題に「顧客の痛み」はあるか?
Check 2 「自分ごとの課題」になっているか?
Check 3 「他の人が知らない秘密」を知っているか?
Check 4 「誰が聞いても良いアイデア」の弱点
Check 5 「イノベーションの超高速化」を理解しよう
1-2 メタ原則の理解
Check 6 「スモールビジネス」とスタートアップの違いとは?
Check 7 スタートアップが捨てるべき「会社員の常識」
1-3 アイデアの検証
Check 8 なぜ「今のタイミング」でやるのか?
Check 9 市場の流れから「予測される未来」とは?
Check 10 「PEST分析」から「兆し」を見つけよう
Check 11 「破壊的イノベーション」を起こせるか?
Check 12 ビジネスアイデアの「フレームワーク」を知ろう
Check 13 「ターゲットとする市場」をどう見極めるか?
1-4 プランAの策定
Check 14 「リーンキャンバス」の書き方
Check 15 なぜリーンキャンバスが必要なのか?
COLUMN スタートアップによくある「勘違い」1 ピッチイベントに積極的に参加する
COLUMN スタートアップによくある「勘違い」2 アイデアを「秘密」にしたがる

STEP 2 課題の質を上げる
2-1 課題仮説の構築
Check 16 「課題検証」をおろそかにしない
Check 17 「ペルソナ」を想定しよう
Check 18 「カスタマーの体験」に寄り添う
2-2 前提条件の洗い出し
Check 19 「ジャベリンボード」で前提条件を洗い出そう
2-3 課題から前提の検証
Check 20 「エバンジェリストカスタマー」を探そう
Check 21 「プロブレムインタビュー」で本音を引き出すコツ
Check 22 「KJ法」を使ったインタビュー分析

STEP 3 ソリューションの検証
3-1 UXを紙1枚に
Check 23 「プロトタイプカンバンボード」で解決策を磨き込む
Check 24 「ソリューションインタビュー」で機能を絞ろう
Check 25 「エレベーターピッチ」に落とし込もう
Check 26 「試作品の設計図=UXブループリント」を作ろう
3-2 プロト作成
Check 27 手書きの「ペーパープロト」からスタート
3-3 プロト検証
Check 28 「プロダクトインタビュー」でユーザー体験を検証

STEP 4 人が欲しがるものを作る
4-1 MVPの構築
Check 29 「MVP=ミニマム・バイアブル・プロダクト」とは?
Check 30 「MVPの型」を知ろう
Check 31 「スプリント」を回し、MVPから学びを得よう
Check 32 「スプリントカンバンボード」で進捗を管理しよう
4-2 MVPを市場へ
Check 33 「カスタマーの生の声」を集め続けよう
4-3 MVPの評価測定
Check 34 「AARRR指標(海賊指標)」を理解しよう
Check 35 「KPI設定」の極意とは?
Check 36 「カスタマーインタビュー」を学びに変えるコツ
4-4 新たなスプリント
Check 37 「2回目のスプリント」を実行しよう
4-5 UXの改善
Check 38 「UX=ユーザー体験」の改善を続けよう
4-6 ピボット
Check 39 「ピボット=大胆な軌道修正」をするか、しないか?
COLUMN スタートアップによくある「勘違い」3 PMF達成前に大企業と業務提携する

おわりに

田所 雅之 (著)
出版社 : 日経BP (2019/2/28) 、出典:出版社HP