【最新 起業を理解するおすすめ本 – 起業の知識、本質を学ぶ】も確認する
成功の原則がわかる
これから起業しようと考えている人や、すでに起業している人に向けて書かれた本です。とても実践的で役に立つ、素晴らしい本です。アイデアの発見、仲間集め、プロダクト開発、ユーザー獲得、資金調達などテーマごとにまとめられており、それぞれの章は前半は起業家が抑えておくべき知識・ノウハウなどの解説パート、後半は起業家へのインタビューベースの事例パートになっています。
はじめに スタートアップ業界の内側に閉じたノウハウを開放する
「どうやったら起業できますか?」
最近そう質問してくる学生が増えた。起業がキャリアの選択肢の1つとしてメジャーになってきたからだろう。
厳しい言い方をすれば、「起業したいのなら誰かに教わるのではなく、自分で調べて学びなさい」と回答するのが正しい。起業は人に言われてするものではないし、受身な発想で成功するものでもないからだ。
しかし、冷静に考えてみると、たしかに会社設立・登記のハウツー本は存在するものの、どうやったら成功にたどり着けるか、詳しく解説している本は見たことがない。
本屋に行っても、Microsoft、Apple、FacebookやAmazonといった米国企業の創業記はあるものの、国も次元も違い自分ごとにならない。日本でいえば、ソニーやホンダなど、創業が自分が生まれる前の企業だったりして親近感が湧かない。
日本国内でここ2~3年以内に上場やM&Aでエグジットした会社に関する書籍はなかなか見つからない。インターネットで調べてもニュース記事やブログがある程度で、起業する上で押さえるべきポイントが体系的にまとまっていない。起業したいと思っても、どうやったら成功確率が高まるのか学びょうがないのが現状だ。
一方、スタートアップ業界を内側から眺めると、そのコミュニティがとても狭いものであることに気付かされる。実は、優れた起業家は同じコミュニティで互いにノウハウを交換している。しかし、コミュニティの外にいる人にとっては、中でどのようなノウハウが交換されているのか知るよしもない。
そこで、筆者(堀)はYJキャピタル(ヤフーの投資子会社)の代表という立場を利用して、業界を代表する起業家のみなさんを招待し、これから起業する人に成功のノウハウを共有してもらうイベントを頻繁に開催した。
どの起業家も信じられないくらい親切で優しく、これから起業を志す人のためならと無償で自身の経験を語ってくれた。とても忙しいにもかかわらず、何度も何度も時間を割いて自らの経験談を共有してくれた起業家のみなさんには本当に頭が上がらない。
「Pay it forward(誰かからの親切を他の誰かにつなぐ)」の精神がスタートアップ業界にはある。先輩起業家に教えてもらった成功の秘訣を、これから起業する人に伝えなくてはならない。そう思い、初めて起業する人を支援するアクセラレータプログラム「Code Republic」をYJキャピタルと共同運営する East Venturesの衛藤バタラさんに、先輩起業家のケーススタディを講義形式で伝えるプランを相談した。
バタラさんはすぐさま賛同し、「堀さん、それ絶対本にしたほうがいいですよ」と本書執筆のきっかけとなるアイディアを出してくれた。
講義に書籍というキーワードが加わった瞬間、反射的に経営学者である慶應義塾大学の琴坂将広准教授に連絡を取り、本構想を話した。ケーススタディからの示唆をアカデミックにまとめること、そしてその示唆を一人でも多くの学生に届けることで起業をキャリアの1つとして当たり前にしたい、と伝えたところ琴坂先生は身を乗り出して快諾し、本書を共同執筆することになった。
ベンチャーキャピタルであるYJキャピタルとEast Venturesが実践的な事例を投資の最前線から入手し、アカデミアを代表する経営学者が分析し、法則性を見出す。「体系的な知識」と「豊富な事例」が両方揃った本を読者のみなさんにお届けすることに本書はこだわり抜いた。事例だけだと学びが薄いし、知識だけだと具体性がなく実践的ではないからだ。
本書に掲載した事例は、インターネットに落ちている文献の寄せ集めではない。今回、YJキャピタルとEast Venturesの投資先を中心に、スタートアップコミュニティの中でも一目置かれている16社の起業家たちに独自インタビューを行った。上場経験組(ユーザベース梅田、フリークアウト[ヘイ]佐藤、BASE鶴岡、Gunosy福島、ラクスル松本、メルカリ山田・小泉)、M&A、エグジット組(エウレカ赤坂、コーチ・ユナイテッド有安、ペロリ中川、nanapi古川、Fablic堀井)、未上場・累計資金調達額30億円超(ミラティブ赤川、ヤプリ庵原、ココン倉富、dely堀江、ビジョナル[ビズリーチ]南)といった面々である(順不同・敬称略・現在は代表を退いている場合も含む)。
この本でしか語られていないエピソードはたくさんある。普通のインタビューでは教えてくれないことも、筆者の投資家という立場を悪用(?)して裏話を聞き出した。起業家は誰もが魅力的で、どのエピソードも学びにあふれている。膨大なインタビューからケーススタディを作り上げる大役は、琴坂研究会の井上大智さんが担ってくれた。
本書はただのケース集ではない。アイディアの見つけ方からチームビルディング、プロダクト作りやその検証方法、ユーザー獲得・グロース方法、そして資金調達まで、起業してからロケットスタートするまでに必要なアクションを、3社の起業家たちから共通項を可能な限り見つけ出し、体系的にまとめ上げた。
本書を手にとった起業家予備軍のみなさんには、ぜひとも起業への一歩を踏み出してほしい。
お待たせしました。
一緒に「スタートアップ」のリアルを覗きに行きましょう。
堀新一郎
※本書はインタビュー以外も多数の二次情報を引用して作成しましたが、引用文はその一部を文脈上改訂しています(本人確認済)。また、ウェブ上に存在する二次情報は2020年3月時点でURLの存在を確認しています。
目次
はじめに スタートアップ業界の内側に閉じたノウハウを開放する
第一章 アイディアを見つける
アイディアをどう着想するか
心に響くか、実現性は高いか、ポテンシャルは大きいか
過去、現在、未来の3つの視点で読み解く
「この分野では誰よりも詳しい」と言い切れるか
自分一人でアイディアを探す必要はない
起業家に原体験は必須ではない
商売の「感覚」を身につけておく
アイディアをどう評価するか
いいアイディアとは何か
1 誰の何の課題を解決しているのか
2 スケールできるのか
3 既存のサービスに置き換わる新しいサービスか
4 ビジネスとして成立するのか
5 数年後により多くの人に使われるサービスか
不確実性の高い領域こそ起業家が真価を発揮する
CASE01 ビズリーチ
CASE02 Pairs
CASE03 サイバーセキュリティ&AI
CASE04 サイター
CASE05 クラシル
第二章 最初の仲間を集める
チームメンバーをどう選ぶか
チームビルディングは自己分析から始まる
自分より優秀な人を採用できるか
初期のチームに必要な4つの要素
1 必要最小限のチームで始める
2 カルチャーフィットを優先する
3 社長が雑用役を引き受ける
4 社長が松明をかざす
お金をかけずにいいメンバーを集めるには
1 幅広いタッチポイント(出会いの機会)を作る
2 アクションを繰り返す
3 現在のみならず、未来の事業展開を意識する
4 結果が出るまで徹底する
5 第三者のレファレンスを取る
6 仕組み化する
創業者間契約を締結する
事業が成長すれば、採用できる人材の質も上がる
チームをどう運営するか
対話を欠かさない チームの形を絶えず進化させていく
フェーズに合わせたポジションチェンジ
創業メンバーのパフォーマンスが相対的に低くなってしまったら
CASE06 メルカリ
CASE07 Mirrativ
CASE08 ラクスル
CASE09 hey
CASE10 SPEEDA
CASE11 ビズリーチ
第三章 プロダクトを作り、ユーザー検証する
検証方法をどう設計するか
バットを振り続ける
顧客の「声」ではなく「行動」にヒントがある
最小単位での検証ができているか
既存サービスで検証できないかをまず考える
検証結果をどう判断するか
プロダクトマーケットフィットしているか
ベンチマーク企業のKPIと比較する
「電流が走る感覚」があったか
ピボット・撤退判断は自分でする
CASE12 グノシー
CASE13 フリル
CASE14 MERY
CASE15 サイター
CASE16 SPEEDA
第四章 ユーザーを獲得する
プロダクトをどう磨き込むか
一人でも多く顧客を獲得するには
機能改善による顧客獲得
機能拡充による顧客獲得
マーケティングの発明
1円でも安く顧客を獲得するには
1 ターゲット顧客に限定したアプローチを探す
2 Non-Paid を活用する
3 誰も気付いていない獲得方法を発見・発明する
広告を投入するのはLTV VCACを成立させてから
CASE17 BASE
CASE18 ビズリーチ
CASE19 MERY
CASE20 Pairs
CASE21 クラシル
CASE22 メルカリ
第五章 資金を調達する
資金調達の全体像
資金調達手段は2種類ある
資金調達は一度では終わらない
投資家と起業家の目線のズレ
初めての資金調達は1000万円前後が一般的
バリュエーションと調達額のバランスの決め手は?
1 起業家のトラックレコード
2 事業領域、ビジネスモデル
3 プロダクト
経営者持ち分にどこまでこだわるか
対投資家コミュニケーション
投資家に何を伝えるべきか
1 市場
2 課題
3 解決策
4 競合優位性・差別化
5 ビジネスモデル(ユニットエコノミクス、KSF)
6 トラクション
7 事業計画
8 資金
9 チーム
誰を投資家にすべきか
1 基本事項を確認する
2 求める付加価値・役割を明確にする
3 相性をチェックする
4 レファレンスをとる
コミュニケーションを密に取る
CASE23 nanapi
CASE24 Yappli
CASE25 SPEEDA
CASE26 クラシル
第六章 起業するということ
なぜ起業するかよりも「最初の一歩」が重要
「起業のリスク」なんて無い
起業経験者が重宝される時代になる
起業に必要な3つの素養
1 高い目標を持つ
2 得意なことをやる
3 諦めない
おわりに
巻末特典 起業家への直接アンケート
各サービス紹介