転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方

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著者の経験からヒントを得られる

本書は大きく分けて、転職のパートと副業のパートに分かれています。転職についても再現性の高いノウハウが満載ですが、それだけでなく、副業のパートも著者独自のメソッドが詰まっています。今後の人生展望に大きなヒントを与えてくれる一冊です。

moto(戸塚 俊介) (著)
出版社 : 扶桑社 (2019/8/9)、出典:出版社HP

 

はじめに

給料はもらうものではなく「稼ぐもの」

なぜ、年収240万円の地方のホームセンター店員が、年収5000万円を稼ぐサラリーマンになったのか。
新卒で地方のホームセンターに入社した僕は、年収240万円でキャリアをスタートしました。レジ打ちや理不尽なクレームに対応する店員として、盆暮れ正月も仕事に明け暮れ、年末に帰省してくる友人からは「バイトしてんの?」と言われ、切なくなったのを覚えています。
あれから1年。僕は4度の転職と、その経験を活かした副業を通じて、サラリーマンとして年収1000万円、副業では年収4000万円を稼ぐ人材となりました。現在はベンチャー企業で営業部長をやっています。
僕は決して高学歴でも、裕福な家庭に育ったわけでもありません。長野県の田舎で育ち、最終学歴は短大卒です。今でも毎朝、東京メトロの満員電車で通勤し、お昼には吉野家でランチを食べ、年2回のセールの時期を狙って伊勢丹に買い物に行く、ごく普通のサラリーマンです。
多くの人は、高い年収を得るというと「起業して社長になる」とか、「投資で一発当てる」姿を思い浮かべると思います。しかし、実際にサラリーマンを辞めて起業したり、高額な投資をするのは難しい。僕も、そんな一人でそこで僕は、「サラリーマンでいること」のメリットを享受しながら、個人でお金を稼ぐという「手堅い立ち位置」を取り、生涯年収を増やす道を選びました。
多くの人が見落としていますが、実はサラリーマンとして得られる経験には大きな価値があります。そして、その経験や知見は、個人でお金を稼ぐための「素」になるのです。
実際、僕の4000万円という副業収入は、サラリーマンとして働くなかで得た知見や経験や、自分自身の転職経験など、「同じサラリーマンにとって役立つ情報」を発信することで得ています。
こうした「人の役に立つ情報」というのは、誰もが持っているはずです。働く時間は人生で最も長い。そのぶん、誰もが多くの経験や知見を得ています。多くの時間を費やし、苦労して働いて得た経験は、同じく苦労しているサラリーマンにとって、大いに役立つ情報になるのです。

僕はずっと、自分という「個人の市場価値」を伸ばそうと考え続けてきました。そのなかで得た経験や成果に「転職」と「副業」をかけ合わせる――つまり「かけ算」の関係にすることで、生涯年収を最大化させてきたのです。
この方法は、キャリアに悩む多くのサラリーマンがとれる戦略だと思います。なぜなら、転職と副業は、「誰にでも使える術」だからです。
しかし、この方法を実践している人はまだ多くはありません。「転職したってどうせ年収は上がらないだろう」、「副業をしてもたいして稼げないだろう」。そう考えて多くの人が足踏みをしています。
たしかに、ひとつの会社に腰を据えてじっくり働き続ける選択肢もあります。しかし今の時代、「ただ真面目に働くだけ」では、給料が増えないどころか、サラリーマン生命すら危うくなります。40代半ばで早期退職を迫られる人がいる一方で、新卒でも能力次第で数千万円の年収がもらえる。そんな時代なのです。

給与は「もらうもの」ではなく「稼ぐもの」です。

本書では、これまで僕が培ってきた、転職と副業をかけ合わせて「生涯年収を最大化する生き方や考え方」についてお伝えします。
この考え方はSNSを通じてすでに多くの人から賛同を得てきましたが、今までは断片的にしか紹介できませんでした。そのため本書では、これまで僕が考えてきたことを、できる限り公開したいと思います。
序章では、なぜ今、すべてのサラリーマンに転職と副業が必要なのかを、時代の変化を踏まえて解説します。続く第1章では、僕が「お金を稼ぐ」という行為に目覚めた幼少期から、短大を出てホームセンターに就職する決断の裏にあった考えについてお伝えします。
第2章では、4度の転職の過程で得た、年収を高めるための思考を当時のエピソードとともに紹介し、第3章と第4章では、年収5000万円を稼ぐに至った、転職と副業の具体的なノウハウをお伝えします。
最終章である第5章では、転職と副業をかけ算し、生涯年収を最大化するこれからのサラリーマンの生き方についてまとめています。

転職も副業も、働き方はもちろん、生き方にも影響します。
僕は、本書を通じて「転職して年収を高めたい」「サラリーマンとしての市場価値を上げたい」「給料以外の収入が欲しい」「老後のお金の不安を減らしたい」と考える人にとって、一つのロールモデルになれたらと思っています。
これからの時代は、会社も組織も自分のキャリアを保証してくれません。自分の身は自分で守るしかないのです。
あなたの人生に「転職」や「副業」をかけ合わせて、自分自身の市場価値や、今後のキャリアを見直してみませ
んか。

moto(戸塚 俊介) (著)
出版社 : 扶桑社 (2019/8/9)、出典:出版社HP

 

はじめに――給料はもらうものではなく「稼ぐもの」

序章「個人で稼ぐ」サラリーマンが本当の安定を手に入れる時代
正解のない現代社会を生き抜くには
個人で稼ぐ力が「安定」を生む
企業に依存しないサラリーマンになれ

第1章 年収240万円の地方ホームセンターを選んだ理由
「自分の金は、自分で稼げ」ポケモンを売る小学生
ゲームの空箱で稼ぐ「転売中学生」
アルバイトせずに月20万円を稼いだ高校時代
同級生より「2年早く社会に出る」という戦略
就活で目の当たりにした「学歴の壁」
自分を「商品」として売り込む就職活動
大手企業に入ることは「キャリアの正解」なのか
年収240万円の地方ホームセンターを選んだ理由

第2章 地方ホームセンターやリクルートで学んだ「成果」に繋がる働き方
ホームセンター編「機会をもらえる環境」で背伸びをする
ホームセンター編未経験でも「挑戦する姿勢」を持つ
人材会社編デキる人を徹底的に「マネる」
リクルート編「企業を成長させる視点」を持つ
ベンチャー(楽天)編「看板のない自分」にできることを考える
転職と副業のかけ算生涯年収を最大化する生き方
現職編経営者目線を「自分」に当てはめる

第3章 4度の転職で年収を上げ続けた「転職術」
1 キャリアに対する根本的な考え方
上司の評価より「市場評価」に軸を置く
自分の「仕事の意味」を理解する
自分の「値段」を把握する
市場価値を上げる3つのキャリア設計図
道筋①「出世によるキャリア」
道筋②「職種のスペシャリストになるキャリア」
道筋③「業界のスペシャリストになるキャリア」

2 転職活動を始める前に
転職におけるベストなタイミングとは?
転職活動は「情報量」がモノをいう
「やりたいことがない人」のキャリアの描き方

3 転職先の選び方
年収240万円→1000万円を実現した「軸ずらし転職」
キャリアを想像する思考法
次にいくべき転職先の「選び方」

4 4度の転職で培った転職活動の「HOW」
転職エージェント使い方編
転職エージェントから「自分に合った求人」を引き出す方法
①「求人大量収集型」エージェント
②「一点押し型」エージェント
③「寄り添い提案型」エージェント
④「業界の事情通」エージェント
⑤「ヘッドハンター型」エージェント
書類作成編
企業に刺さる「戦略的職務経歴書」の書き方
①相手の「ニーズ」を把握する
②「共通点と類似点」を見つける
③社内評価ではなく「個人でできること」を書く
④自分の「役割」を明確かつ「定量的」に伝える
⑤面接での「ツッコミどころ」を用意しておく
面接編
自分を採用するメリットを打ち出す面接術
①「何ができる人なのか」を伝える
②再現力の高さを証明する
③情報の見方と発信の仕方を考える

5 内定後に大切にすべきこと
希望年収を叶える「年収交渉術」
退職交渉に使える3つのカード

6 転職後に持つべき大切な視点
転職先における「人間関係構築法」
パフォーマンスを発揮するのは入社3カ月目から
転職に「ゴール」はない

第4章 本業を活かして稼ぐ「サラリーマンの副業」
「副業年収4000万円」の内訳
「本業への余裕」を生む副業の3つのメリット
①自分を売り出す「個のブランド化」
②収入チャネルの増加による経済基盤の確保
③本業における「市場価値向上」への寄与
個人ブランドを活かした「サラリーマン副業」のやり方
①時間を切り売りする「労働集約型」にしない
②本業や過去経験をお金に換える
③発信するテーマは「リクルート」をみる
④自分が稼ぐ「売り上げ目標」を決める
⑤「転職アンテナ」はなぜ成功したのか?
⑥本業と副業の「時間の使い方」
Twitterで個人ブランディングから始める
①共感性の高いコンテンツでフォロワーを呼ぶ
②共感してくれるフォロワーを大切にする
③SNSは「万歩計の歩数」と同じ
④フォロワーのフォロワー数も意識する
副業でお金を稼げない人の特徴

第5章 生涯年収を最大化する生き方
副業年収4000万円でもサラリーマンを辞めない理由
転職と副業のかけ算で「1万分の1」の人材になる
生涯年収8億円をサラリーマンで目指す
転職と副業のかけ算

おわりに

構成 オバラミツフミ(モメンタム・ホース)
編集協力 長谷川リョー(モメンタム・ホース)
ブックデザイン 小口翔平+喜來詩織(tobufune)
図版デザイン 松崎芳則(ミューズグラフィック)
編集 秋山純一郎

moto(戸塚 俊介) (著)
出版社 : 扶桑社 (2019/8/9)、出典:出版社HP

 

序章
「個人で稼ぐ」サラリーマンが本当の安定を手に入れる時代

正解のない現代社会を生き抜くには

ここ数年、「転職」や「副業」という言葉を耳にする機会が増えました。その背景には、漠然とした将来への不安や、現在の給与に対する不満の増加があると思います。

日本は昭和時代の後半に、右肩上がりの急速な経済成長を遂げました。その一端を担ってきた制度として、終身雇用制度と年功序列制度があります。
企業に入れば定年まで雇用が保証され、企業への在籍年数に比例して給与が増える。社員の生活はこれらの制度に守られ、また、そのシステムの維持が結果的に日本企業の発展を支えてきました。

しかし、日本の経済的躍進を支えたこれらの制度はもう終わろうとしています。令和の幕開けを告げたのは、戦後の経済発展を支えてきた日本企業が、相次いで「終身雇用」という仕組みが続かないと明言したニュースです。
日系最大手である「トヨタ自動車」の豊田章男社長が「終身雇用の限界」について言及し、日本経団連の中西宏明会長が、終身雇用について「制度疲労を起こしている」と発表。これから社会人になっていく学生や、すでに働いているサラリーマンにとっては、とてもインパクトがあったと思います。

こうした話題からもわかるように「大企業=安定」という概念は終わりを迎えようとしています。昭和と平成を貫いてきた「大企業信仰」は、もはや幻想です。平成から令和へと時代は変化し、これまでの当たり前が、当たり前ではなくなっているのです。
事実、昨今では日本の経済的躍進を支えてきた大手企業が、大規模なリストラを敢行しています。終身雇用を信じて就職し、会社の指示に従い続けた社員が、ある日突然、リストラ対象となり、上司から早期退職を勧められているのです。
彼らは長い期間会社に在籍し、平均よりも高い年収をもらっています。しかし、それと彼ら自身の「市場価値」は別問題。リストラ対象になったことからもわかる通り、いざほかの会社に移ろうと思っても厳しい転職活動を強いられるでしょう。
時代の変化に伴って、企業だけでなく個人にも変化が求められています。働き方や教育、子育てなど、すべてにおいて正解”がなくなった現代社会を生き抜くにはどうすべきか――。その答えは「個人で稼ぐ力を持つ」ことだと思います。

個人で稼ぐ力が「安定」を生む

僕は、これからの時代における「安定」の定義は「企業への依存」ではなく、「個人で稼ぐ力」にシフトしていくと思っています。
昭和や平成時代における「安定」の定義は「大きな企業や組織への所属」にありました。大手企業に就職すれば、年功序列で順番に昇進することができる。給与も在社年数に比例して自然に上がり、クビになることもない。波風立てずに会社に勤めてさえいれば、誰もが退職金をもらって定年退職できる。そう考えられていました。

しかし、現代において「安定した企業」は存在しません。資金力やブランド力によって、「すぐには潰れない企業」は存在しますが、その組織に自分が所属する=個人の安定も保証されるわけではないのです。企業が生き残る可能性と、自分がその会社で生き残れるかは別問題なのです。

昨今では、大企業が恥歳以上の社員を対象に希望退職者を募集したり、給料カットや企業合併に伴う役職降格、転籍などネガティブな話題に事欠きません。
「大手企業に所属していること」と「大手企業で自分がサバイブできること」は、まったく別の話です。企業の看板を錯覚資産として利用するのはいいですが、「大手企業にいる=自分は安定している」と、自分自身が錯覚してしまうのは非常に危険だと思います。

「会社にキャリアを用意してもらう」とか「給料はもらうもの」という従来の考え方は捨てて、「キャリアを自分で取りにいく」「年収を自分で上げにいく」「副業を通じて自分でお金を稼ぐ」といった考え方を持つことが必要です。

企業に依存しないサラリーマンになれ

大手企業に所属することが安定だと思っている人の思想は、沈没した豪華客船「タイタニック号」の乗客に似ています。

1912年、当時、世界最大の客船であったタイタニック号は、イギリス・サウサンプトンからアメリカ合衆国・ニューヨークへ向かう処女航海で氷山に接触して沈没しました。事故の生存者であるアーチボルド・グレイシー大佐は「海は鏡のようで、星がはっきり映るくらい水面がなめらかだった」と、沈没前の風景について語っています。
乗船していた誰もが、この豪華客船で、想像を絶する恐怖と向き合うことになるとは思ってもいなかったのです。タイタニックは全6区画のうち4つの区画が浸水しても沈没しないように設計されていましたが、事故が発生してから初めて、それでは十分でないことに気がついたのです。
映画『タイタニック』では、船が沈みはじめたとき、多くの乗客がまだ沈んでいない船首を目指すシーンが描かれていました。誰もが船首を目指し、沈みゆく船に「しがみつくこと」で助かろうとしたのです。

これを企業に例えてみます。会社が倒産しそうなとき、ほかの会社に乗り移るでもなく、ただしがみついていたらどうなるでしょうか。沈没する船にしがみつくことでしか生き残れない人は、沈みゆく船と運命を共にするしかありません。助かるためには「生き残る力」を自分自身が身につけておく必要があるのです。

ではあなたは、もし明日、会社に出勤して、上司からクビを宣告されても「わかりました。では次にいきます」と言える状態になっているでしょうか。

「自分はいつだって転職できる」「どんな環境でも、自分でお金を稼げる」「給料以外に収入がある」という状態を実現していくことが「本当の安定」に繋がります。一つの会社に依存して働き続けるよりも、複数の会社で経験を積み、自分の市場価値を伸ばしていくことは、一つの自己防衛策なのです。

ただし、乗り換えることだけを目的にした転職や副業はしないでください。いずれも、自分の市場価値を高める「手段」として考えることが大切です。転職や副業は、より高い給料や新たな成長機会、自分の置かれた環境を変えるために誰もが使うことのできる手段です。どんな船でもいつ沈むかわからない現代では、それらを駆使して「いつでも乗り換えられる状態」にしておくことが大切です。

moto(戸塚 俊介) (著)
出版社 : 扶桑社 (2019/8/9)、出典:出版社HP