3年後に必ず差が出る 20代から知っておきたい経理の教科書

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知識ゼロでも3年後に差をつける

経理業務のノウハウやポイントといった内容が時期ごとに分けて解説されているので、自身の成長スピードに合わせた学習ができます。経理のコツだけでなく、会計用語まで扱っているので辞書のように繰り返し使う事もできます。初心者から中級者向けのおすすめ経理実務本です。

小島 孝子 (著)
出版社 : 翔泳社 (2014/3/7)、出典:出版社HP

はじめに

「普通の会社で、経理業務をしているよ!」
私がこの言葉を発したところ、同業の友人たちは驚きの表情を浮かべました。数年前、とある事業会社で経理業務をしていたときの話です。
当時の私は、大学在学中から試験勉強を始め、会計事務所での業務や専門学校での講師を経て、税理士への道が見え始めていました。
「今さら、普通の会社で経理業務をするなんて、もったいないのでは?」
友人たちはこのような感想を抱いたようでしたが、ここに私は、会計の専門家と経理の仕事との間に横たわる深い溝を感じてしまうのです。

税理士や公認会計士といわれる会計の専門家は、多くの専門的知識を有しています。そのせいか、彼らの多くは本書で取り扱う「経理業務」を体験したことがないにもかかわらず、それを机上の論理で理解しがちです。
「経理の入門書」といわれる書籍の多くは、こういった会計の専門家が執筆したものです。実体験に基づくものではなく、専門家が「こうあるべき」という理想を書いているものであり、日々の業務とは結びつきにくいものばかりです。その結果、読者は「経理業務は難しい」という感想を持ってしまうというわけです。

成長に合わせて「今これが知りたい!」を実現

どの業種にもいえることだと思いますが、たとえ同業種であっても会社ごとに業務のやり方や社内のルールが異なります。
また、業種によって費目や収益構造に特徴があり、それらを一般化することはできません。経理といえども自社の業務を理解するには、初めのうちは現場指導によるOJTに頼らざるを得ないという現実があります。
しかし、役職者を目指す時期になれば、外部との関わりも出てくるため、現場の業務だけでなく、会計そのものを理解することも重要となってきます。つまり、自身の成長に応じて、必要となる知識や注意すべきポイントにも違いが生じるということです。

本書では、新人経理社員の成長に合わせ、新人の時期、社内の動きが理解できた時期、担当業務ができる時期、役職を目指す時期といった段階に合わせ、それぞれの時期に行う業務とその業務に必要となるポイントを解説しています。経理職員として勤務した私自身の経験を元に、職業会計人としての視点も加えています。
また、各章の冒頭では上司と部下の会話形式で各章の学習内容のイメージをまとめています。

経理業務のバイブルとしても活用できます!

専門分野での業務においては、専門書での学習が不可欠となりますが、内容を知らない項目を専門書で調べるには、経理や会計の用語は難しく、ハードルが高いといえます。
本書では、退職給付会計や連結会計、M&A、IFRSなど、近年注目されている会計用語についても、エッセンスに留めて解説しています。本書で大まかな内容をとらえ、専門書で調べる際には辞書代わりとして何度でも繰り返しご活用いただくことをお勧めします。

この書籍を手に取られた多くの経理マン(ウーマン)が、本書に登場する新人経理社員と同様にプロの経理として活躍し、いずれは会社を動かす存在に成長することを心から応援しています!
税理士 小島 孝子

小島 孝子 (著)
出版社 : 翔泳社 (2014/3/7)、出典:出版社HP

CONTENTS

第1章 経理の仕事の基礎について学んでおこう!
introduction 経理の仕事って、何?
会社と経理
1会社はなぜ作られるのか?
2簿記と財務諸表の不思議な関係
3会社における経理の6つの機能
4情報収集と情報発信の機能とは?
5財務管理と資金調達の機能とは?
6年間スケジュールを意識しよう!
【コラム1】 私が経理職員を目指した理由

第2章 日々の業務を身につけよう!
introduction | 毎日、どんな仕事をするの?
業務サイクル 会社の業務サイクルと利益
帳票作成
1伝票や帳簿の種類と記帳の流れ
2会計システムによる記帳
3転記のルールと訂正方法
4仕訳ルールと勘定科目の法則
5請求書や領収書をもらった場合、発行する場合
6売掛金と買掛金の管理
預金周り
1預金の種類と管理方法
2小切手と当座預金の仕組み
3小切手を発行する場合の注意点 –
4手形の仕組みと種類
5手形の取扱いに関する注意点
6銀行振込と海外送金の仕組み
業務管理
1経理規程の目的と管理
2組織運営のための権限管理
3権限管理のための認可、押印のルール
経費管理
1小口現金管理のルール
2社員立替の精算ルールと注意
3交際費と会議費
4支店や営業所での資金管理
【コラム2】 手形や小切手ってほんとうにあるの?

第3章 会計の基礎を理解して決算にチャレンジ!
introduction 決算業務って、何をするの? –
業務管理 月間スケジュールを把握しよう
会計の基礎
1 振替伝票の作成とルール
2 発生主義による会計の基礎
3 期間損益と経過勘定のルール
4 費用と収益の対応と費用配分の原則
5 売上の計上基準 仕入の計上と売上原価
6 売上原価と仕入諸掛
決算業務
1決算って何をするの?
2決算整理の主な項目と会計方針の選択
3減価償却の方法と考え方
4一括償却資産と少額減価償却資産
5棚卸資産の評価方法と評価減の計上
6債権の評価と各種引当金の計上
7費用配分と広告宣伝費
8租税公課と法人税
9財務諸表の種類と作成目的
10貸借対照表とは?
11 損益計算書とは?
12 単体決算と連結決算
13 会社の機関と決算開示のスケジュール
【コラム3】 経理の求人の要件が日商簿記検定2級になる理由

第4章 専門分野を作っていこう!
introduction どうやって専門分野を作る?
労務担当の業務
1労務担当の仕事とは?
2給与の計算
3給与計算の方法と仕訳処理
4給与の源泉徴収方法
5社会保険と労働保険
6年末調整の考え方とスケジュール
7源泉徴収簿と源泉徴収票
8退職金の計算
9報酬源泉の計算と支払調書
財務担当の業務
1財務担当の業務」
2売掛債権の管理方法
3手形の不渡りとファクタリング
4債権の管理区分と貸倒引当金
5信用リスクの管理
6外貨建債権・債務の期末評価
7株式の期末評価と減損処理
8固定資産の評価と台帳の管理
原価管理
1原価管理の目的と方法
2原価費目の分類方法
3原価差異の分析
業務連携 業務サイクルとシステム連携
【コラム4】 信用調査って何をするの?

第5章 経営管理について学んでいこう!
introduction 会社の管理業務にチャレンジ!
会計基準と監査
税金と税効果会計
1 会計監査と企業会計原則
2開示書類とは?
3キャッシュ・フロー計算書による資金分析
4監査の役割と重要性
5四半期報告書と重要性の原則
税金と税効果会計
1税務申告のスケジュールと税務調査
2税務会計と法人税の仕組み
3法人税と住民税の計算の基礎
4事業税の計算とそのほかの税金
5消費税の仕組みと計算
6法人税と税効果会計
7繰延税金資産の回収可能性の検討
連結決算
1対象法人と決算の手順
2のれんの計上と持分法の適用 グ
3ループ法人と連結納税
管理会計の基礎
1管理会計とは?
2部門別損益計算で事業を細分化する
3セグメント情報の開示と分析ト
4損益分岐点の考え方
【コラム5】 キャッシュ・フロー計算書は家計に置き換え理解する

第6章 経理の仕事を極めよう!
introduction 会社はどのように予算編成を行うの?
予算と分析
1予算の作成と将来のビジョン
2予算編成とガイドライン
3経営指標分析と安全性の分析
4付加価値の創出と生産性の分析・
5利益率と回転率で見る収益力の分析
資金繰りと調達
1資金繰りの方法
2資金調達方法と運転資金の改善
3借入の種類と利用に関する注意点
4債務保証と融資先の検討
5増資や社債の発行による資金調達
判断の難しい会計手法
1為替リスクのヘッジ
2リース会計とリース契約の検討
3退職給付会計と企業年金
4 M&Aの戦略と手法
【コラム6】 調査官と査察官は顔つきが違う!

第7章 会計プロフェッショナルの世界を知ろう!
introduction 会計のプロの世界とは
国際会計基準 国際的な会計処理とIFRS
情報とIT
1情報セキュリティマネジメントとプライバシーマークの取得
2経理業務を取り巻くIT化の流れ
【コラム7】 プロの経理の資質とは?

索引

本書の内容は、平成 26 年4月1日現在の法令・基準等に基づいて執筆しています。

小島 孝子 (著)
出版社 : 翔泳社 (2014/3/7)、出典:出版社HP