明日のために、心にたくさん木を育てましょう

はじめに – あなたは、あなたの心の中に何本の木を持っていますか?

私はインターネットの木、旅行の木、ピアノの木、エクセルアートの木、プログラミングの木、大切な友達の木、その他たくさんの木を持っています。これらの木は最初、私の中に芽生えた小さな種子から始まります。その小さな種子に水をやり、大きくしていって、そのうちに葉が茂り、実がなって、大きな木になる。大成しない小さなままの木も大切にしています。そうしていつからか、私は心の中にたくさんの木を持つようになりました。

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たとえばエクセルアートという木。これは「エクセルを使ってみたい」という種子から始まりました。そこに水をやっていると、「エクセルで図案が描けるんじゃないかしら?」っていう芽が出て、「グラデーションも使えるんじゃない?罫線も使えるんじゃない?」って、だんだん枝葉が伸びてくるんですね。
枝葉が伸びて茂ってくると、根も張ってくるんです。そして、しっかり根が張ったものは、ちょっとやそっとじゃ忘れない。そうやって、興味を持ったものの種を蒔いて、水をやり、心の中の木をじっくりと育てていくと、いつのまにかたくさんの木が生い茂っていることに気づくんです。

ここで言う「水」とは、刺激になるような冒険をすること。「冒険」は、遠いところへ行ったり、危険を冒さなくてもできるんです。隣の町へ行くのも、町内会のお祭りの屋台で焼きそばを作るのも、全部が冒険。きっと「新しい気づき」が見つかるはず!
そうやって冒険で得た気づきや感動といったものは、あなたの木の肥料になっていくでしょう。私は82歳ですが、まだまだ心の中の木が増え続けています。だって、日々が刺激に満ちているんですもの。

人生100年時代構想会議で出た提言を宿題として持ち帰って考えたり、海外旅行でいろんなものを見ていろんな人と喋ったり。そういった刺激が肥やしになって、新たな枝葉が生まれてくるのです。

それとね、私が生きている間にできないことは、次の世代に引き継いでいきたいって思うんです。だから私は、自分の育てている木に毎晩水をやると同時に、あなたにも木を植えることをオススメしたいと思います。
ひとりの心の中の木がどんどん増えていけば、やがては森になります。その森がいくつもできると、地球は緑に恵まれた豊かな惑星になります。それって素晴らしいことじゃない?
だから私は、もし自分が「明日死んじゃう」ってわかっていたとしても、いつもと変わらず、心の中の木に水をやりたいと思っているんです。だって、明日のために心の木を育てることは、次の世代を育てることにつながるのですから。明日のために、心にたくさん木を育てましょう

若宮正子 (著)
ぴあ (2017/12/8)、出典:出版社HP

目次 – 明日のために、心にたくさん木を育てましょう

はじめに

第1章失敗する勇気。
01 100点満点の人生なんてつまらない
02 頭の周りに張ってある網を外しましょう
03 少しでも前に進めば、それは挫折ではなくて成功
04 人生は勝負ではない。勝ち負けなんて気にしないで
05 旅を楽しむためにも、英語は臆せずとにかくしゃべる!
06 わずかな単語から、大きく育てることができる「英語の木」

第2章クリエイティブであれ!
07ほしいものや必要なものは、自分で作っちゃう!
08やりたいと思ったことは、とりあえずやってみましょう
09ゆっくりでもいいから、ひとつずつ進歩したい
10エクセルって図案作りにも使えるんじゃないかしら?
11アイデアに詰まったときこそ、周りをよく見ましょう
12人間にしかできないこと。それこそが生きた証となるのです

第3章人間力を養いましょう。
13「人間力」を養うには、生身の人間を知ることが大切
14親も発展途上人間、一緒に成長していけばいいんです
15人とうまくいかないときは「ロールプレイング」をしてみましょう
16なにかを頼まれたら、一度はやってみましょうよ
17不平不満があるのなら、直接相手と話をしましょう

第4章お友達パワー
18「お友達パワー」が私の元気の源です
19ボランティアは、頼まれなくてもやりましょう
20なにかを教えてくれる人は、みんなあなたの先生
21“メロウ倶楽部”はシニアにとっての心の拠り所
22リアルでもバーチャルでも、お友達がいるから寂しくない

第5章エンジョイエイジング
23“大蔵大臣兼総理大臣”の独居老人ライフをエンジョイしましょう
24どんなに過酷なことでも、面白がって楽しみましょう
25性別や年齢を理由に、世界を狭めていくのはつまらない
26「おいしいから食べる」でいいじゃないですか
27「会社第一!」の呪文を徐々に解いていきましょう
28なにかひとつ、あなたにとってのライフワークを持ちましょう
29シニアこそデジタルが必要!“リケ老”のススメ

第6章次の世代へ
30子どもには、たくさん失敗をさせてあげてね
31人と比べない。比べても意味がない
32単線運転じゃなくて、複線、複々線でもいいじゃない
33これからのキーワードは「想像」と「創造」
34人生は”風待ち”焦らず機を待ちましょう

おわりに明日のために、心にたくさん木を育てましょう

若宮正子 (著)
ぴあ (2017/12/8)、出典:出版社HP