独学のススメ-頑張らない!「定年後」の学び方10か条

はじめに

もう一度、お勉強、始めてごらんになりませんか。
人生100年時代。6歳から15歳までに義務教育で学んだことは、大方忘れてしまったことでしょう。

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また、今の世の中、やたらと動きが激しいですから、若いときに学んだことのなかには、もう陳腐化してしまった知識もあると思います。
なかには「ああ、もう勉強なんてたくさん。二度とやりたくないわ」とおっしゃる方もあるでしょう。学校やご家庭でたっぷり「詰め込み教育」を受けた方かもしれません。無理矢理に「強制給餌」をされて育ったガチョウさんが、二度と濃厚な餌をほしがらないように、勉強と聞いただけでウンザリされるかもしれません。

これからお話しする「独学」は違います。
誰かに強制されてやるのではなく、自分からやる勉強です。
「それじゃあ、お教室に通ったり、先生に習ったりしちゃいけないの?」とお聞きになりたい方もおられると思います。

ここでいう「独学」では「教室に通うか」「先生に習うか」ということは問題ではないのです。
「独学」とは、勉強する本人が主体性を持って、自分で「なにを学ぶか」「どのようにして学ぶか」を決めて勉強することなのです。

人間誰しも、楽しいことは長続きします。まずは「あなたが学んでみたかったこと」「あなたにとって楽しいこと」から始めてごらんになってはいかがでしょうか。
自己紹介が遅れました。私は今、世界最高齢プログラマーなどといってにわかに注目を集めるようになりましたが、プログラミングを学び始めたのは80歳を過ぎてから。

高校を卒業してから60歳で退職するまで銀行員として働いて、定年後に超我流でつくったゲームアプリ「hinadan」が米マイクロソフトや米アップルの目に留まり、国際的な大きな会議に招かれたり、政府の「人生100年時代構想会議」の最年長有識者メンバーにも選ばれたりして、82歳から人生が激変しました。けれど、これらはいってみれば、すべて頑張らない「独学」から始まったこと。楽しいこと、好きなことに飛び込めば世界は変わります。
「趣味がない」「やりたいことがない」なんてしょんぼりしなくて大丈夫。やりたいことはきっと見つかります。

この本は、そういう方のために、ヒントになりそうなことを書いてみました。少しでもお役に立てましたら幸いです。独学のススメ-頑張らない! 「定年後」の学び方10か条 (中公新書ラクレ (655))

目次 – 独学のススメ-頑張らない! 「定年後」の学び方10か条

はじめに

第1条 – バンジージャンプじゃあるまいし、こわがらずに飛び込んでみよう!
なんたって「旅」!アメリカの牧師さんについて歩く
パックツアーは「大名行列」。独りで「冒険」しよう
でも、マーチャン、もし道に迷ったらどうするの?心配じゃない?
トラベルはトラブル?でも、大丈夫!
東ドイツ深夜の列車の中で
帰りのバスがない!見知らぬ町で見知らぬひとに助けてもらう
マーチャンのめちゃくちゃなプログラミングに友達がぶっ飛ぶ

第2条 – 飽きたらやめちゃえ
「ものにしよう」なんて思わない
75の手習い。そうだ、ピアノを習おう
介護しながらおしゃべりしたい。パソコンを買ってみた
エクセルで計算なんてしない。図案を描いてみる
「楽しいとき」が独学につながる
お金なんてかからない。俳句はレシートの裏に
『徒然草』でも笑いモノ。かっこつけてると学べない

第3条 – 英語は「大阪人」のノリで
Nobodyは、「あかんで」
英語、じつは得意じゃありません!
グーグル翻訳でいいじゃないですか
亀の甲より年の功。 想像力で乗り越えちゃえ
朝ごはんのためですもの。 手段なんて選びません?
「大阪のおっちゃん」の見事な…… 日本語?英語?

第4条 ノルマを課しちゃダメ…….
「寝ずに勉強」は禁止です
「竹槍精神」の罪と罰
ノルマなんていらない。 目的はワクワクすること
「独居老人」になっても大丈夫

第5条 「やりたいこと」の見つけ方、 お教えします。
たとえば、 まわりのひとが喜ぶこと
プログラミングで、 イノシシを捕獲!
徘徊するひいおじいちゃんを探すアプリ
シニアのための電子工作セミナーを開く
元エンジニアなら大活躍できるかも
「お花畑で朝食を」を 実現しちゃったひと
「子ども食堂」のお手伝いも素敵

第6条 ちょっと待った! 自分史を書くのはまだ早い
終活、ちょっと待った
ネットの記録が、 自分史になる
人生激変! 遺言は紙くずになりまして……
82歳のおばあちゃん、 世界の舞台に登場
失うことに傷つかないで。 新しいこと、見つかります

第7条 「将来」に備えない。 10年経ったら世界は違う
先に苦労すればいいってもんじゃない
親御さんは受験に夢中にならないで
お札を数え間違える私が、 銀行の管理職になったワケ
AIに負けない職業ってなんだろう
単一大量商品、一括生産時代よ、 さようなら
今にプログラミングもAIの仕事に?
今、この時を楽しもう。
年寄りだからこそ、 かっこつけずにバットを振ろう

第8条 退職してからの、お友達の作り方………
独学には、 お友達の力も必要
町内会に老人クラブ。 ダサいなんていわないで
ラジオ体操、ボランティア…… いろいろあります
心の居場所「メロウ倶楽部」。 老人ホームにいてもつながっている
フェイスブックやLINEを 子どもに教えてもらいましょう
「不機嫌老人」にならないで
七歳の孫も 教わるときは先生です

第9条 本から学ぼう
活字が好き
歴史小説でタイムスリップ
読書情報誌『波』『本の窓』『ちくま』なんて 100円で買える
読んだページは破っちゃえ

第10条 教えることは、学ぶこと
「5週間先生」ってご存じですか?
教えるとわかる
教えられたり教えたり。 独居が豊かになるコツです

上級編 シニアは、理科と現代社会を学び直そう……
戦争ですっぽり抜けた 小学校の教育
「お年寄りの知恵」の裏には 科学がある
座学より、 ポケモンGOで遊ぶ孫についていこう
コンビニで外国人店員と働いてみたい
脳みそは「自動更新」できません
グーグルに聞けばいいんです

最上級編 介護にITを活用しよう…
徘徊する認知症の母を介護して
介護こそ、 ロボットにやってほしい
AIスピーカーはシニアの将来の救世主
ITと介護、 両方に詳しいひとが求められている

対談 人生60歳を過ぎると楽しくなります
茂木健一郎(脳科学者)×若宮正子 ….
世界の大舞台にし グーグル翻訳で臨む
パソコンを始めたのは60歳
ネット社会ならではのゆるい人間関係
出会い系サイトだって 悪いことばかりじゃない
ヒントは「体験」にあり
「独学」が成功の秘訣
脳が喜ぶことを独学のススメ-頑張らない! 「定年後」の学び方10か条 (中公新書ラクレ (655))