花のパソコン道 – パソコンでいきいきライフー 熟年さんのパソコン物語

はじめに

~パソコンがくれた翼で広い世界へ~

今日この頃、我々高齢者も、いわゆる「デジタル・アレルギー(機械が苦手)」があっては、だんだん生きにくくなってきました。
病院へ行くにも、駅の切符売り場でSuicaにチャージし、自動改札を通って目的の駅で降りて病院へ行く。外来受付で、検査予約票のQRコードを機械にかざして読み取らせて、検査受付票を自動発行させ、それをもって指定された番号の検査室へ行く。
帰り道、銀行でお金をおろそうとすると、あの面倒なATMに立ち向かわなくてはならない。
帰ってみると、ポストに「宅配便ご不在連絡票」が入っている。指定の番号に電話すると、切り口上の自動音声応答の声が。

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というわけで、毎日、機械に取り囲まれて暮らさなくてはならないからです。

そして、日本の少子高齢化傾向に、近い将来歯止めがかかることは期待できそうもないので、シニアも今後ますます何から何まで機械のお世話にならざるを得ない暮らしが待っているという覚悟が必要なようです。

一方、独居、また準独居のシニアが増えつつあるそうですが、「孤立しがちなシニア」には情報機器を活用した「交流」が非常に役立つと私自身の経験から信じています。
といいますのは、10年前、認知症ぎみの母と二人きりで暮らしていたころ、今週はまだ誰とも話らしい話をしていないということがよくありました。
テレビは話しかけてはくれますが、何分、一方通行で話し相手にはなりません。ということで私はストレスがたまっていきました。
その「孤立感」からくるストレスを解決してくれたのが当時唯一の個人向けの情報機器であった「パソコン」でした。
そのあたりの経験談をベースに本書を書かせていただきました。

従来のいわゆるパソコン本は、専門家の手になるものが多いのですが、本書はひどい機械音痴の私が、初心者としてシロウトとしての目線から書いたものです。
ですから、本書のなかの「用語説明」などは、正確さにおいて問題が多々あると思います。しかし、「さっぱりわからない」よりは「多少不正確でも少しはわかる」ことのほうを大切にしました。

また、楽しくお読みいただくために、やる気に満ちたアクティブシニア群像を中心とした親しみやすいストーリー形式にしてみました。
これからデジタル機器を学習してみたいと思っておられるシニアの方々へ少しでもお役に立てましたら幸いです。

2014年8月若宮正子花のパソコン道 (NextPublishing)

若宮 正子 (著)
インプレスR&D (2014/9/11)、出典:出版社HP

『花のパソコン道』によせて

東京電機大学 未来科学部学部長 教授 安田 浩

東京電機大学では、日本初、世界でもおそらく初の試みという、高齢者向けパソコン講座の講師を養成する「デジタル未来塾」を開講しました。若宮さんには、「エクセルでアート」という、ご自身が考案されたパソコンの学び方・楽しみ方を講義していただきました。参加された受講生の方々をはじめ、各方面からこの講義は高い評価をいただきました。

デジタル未来塾を開設したのは、「高齢者がデジタル機器を使えないと、日本は没落する一方だ」という、危機感があるからです。たとえば、高速道路料金ノンストップ収受システムの「ETC」は、高速道路利用者全員がETCを使うことで、料金収受係員が不要になり、効率化されます。しかし、一人でもETCを利用していない人がいると、すべての出入り口に料金所が必要となり、導入効果は大きくありません。

このように、新しい情報通信技術に馴染めない人に使用してもらえるように支援するのは、高齢者が楽しんで豊かになるだけではなく、社会全体の効率化向上にも大きな意義があるのです。高齢者がデジタル機器を楽しむように仕向ける人を育てる、それがデジタル未来塾です。

現在では、デジタル機器の性能もかなり向上して、高齢者にも使いやすくなりました。一番大きいのはスマートフォンの普及です。画面が大きくなり、文字だけではなかなか上手に伝わらないことでも、画像なら一目見ればわかりますので、画像をベースにしたコミュニケーションは、すべての人に優しさをもたらします。このことからも、高齢者への情報技術の利用支援は、ますます重要かつ大きな市場になります。

若宮さんの書かれた『花のパソコン道』には、高齢者がパソコンやインターネットを使う場面で遭遇する、さまざまなトラブルやニーズが描かれています。技術者はもちろん、情報通信産業に関わるすべての方々が、本書から多くの気づきを得られることを確信しています。花のパソコン道 (NextPublishing)

若宮 正子 (著)
インプレスR&D (2014/9/11)、出典:出版社HP

目次 – 花のパソコン道

『花のパソコン道」によせて

はじめに

1. いざ、出陣の巻
■1-1 登場人物紹介
■1-2 私は何を買ったらいいの?
■1-3 機械にも、それぞれ得意技がある
■1-4 “パソコン道有段者”とは、ちゃんと買い物ができる人
■1-5 頼らず甘えず~パソコンを箱から出す~
■1-6 頼らず甘えず~開店準備にゃ手間がかかる〜
■1- 7頼らず甘えず~書いてあることをよく読む~
■1-8 頼らず甘えず~パスワードと上手く付き合う~
■1-9 頼らず甘えず〜怖がるなパソコンを〜

2. 楽しみながら慣れていこうね
■2-1 ゲームでマウスに慣れようね
■2-2 文字打ち練習はラブレターで
■2-3文字打ち練習~「昔の記録」を書いてみる~
■2-4 冷凍庫より便利「名前を付けて保存」
■2-5 タッチパネルを体験してみる
■2-6 「お絵かき」で納得、コンピューターの賢さ
■2-7 インターネットと仲良く
■2-8 たまには先輩の失敗談も
■2-9 メール~便利にして且つ厄介なもの~
■2-10 可愛いパソちゃんを守ってあげよう

3.もう少しパソコン君と親しくなろう
■3-1 ウィンドウズ君って、何もの?
■3-2 パソコンの回りはなぜ「穴だらけ」?
■3-3 「紐付き」でないインターネットを

4. パソコンを使いこなすチカラ
■4-1 ウェブサイトを「読み取る力」を

5.いろいろなサービスとどう付き合うか
■5-1 「スカイプ」で「スカイプ」の話を
■5-2 YouTube
■5-3 Ustream
■5-4 SNS「Twitter」
■5-5 SNS「Facebook」
■5-6 SNS〜シニア向けのSNSも

6.トシをとったら目も耳も
■6-1 パソコンの画面をもっと見やすく

7. パソコントラブル、まず落ち着いて
■7-1 突然、メールが送れなくなった
■7-2写真が見られない
■7-3 音が聞こえない
■7-4 猛暑にやられた
■7-5 トラブルがあなたをベテランにする

8.ひと様のお役に立てた
■8-1 デイサービスでタブレット音楽会
■8-2 「電気製品」のサポートもできた

9. 特別講座「スマホとタブレット」
■9-1 それぞれ、どこが違うの?
■9-2 スマホは、シニアに役に立つか
■9-3 お楽しみ系アプリの可能性の拡大

10. 終業式
ご愛読、ありがとうございました。

著者紹介花のパソコン道 (NextPublishing)

若宮 正子 (著)
インプレスR&D (2014/9/11)、出典:出版社HP