バレーボール超観戦術 「数」の視点で、プレーの駆け引きを読み解く

ページコンテンツ

『バレーボールを知る5冊 -観戦から実際のプレーまで-』も確認する

はじめに

1964年に開催された東京オリンピックで女子バレーボール(東洋の魔女)が金メダル、男子バレーボールが1972年ミュンヘンオリンピックで金メダルを取って以降、バレーボールは日本人にとって身近なスポーツとなりました。レシーブ、トス、アタックと、3回以内で相手にボールを返すというシンプルな競技であり、ほとんどの人がそのルールを知っていると思います。しかし現代のバレーボールはその3回の中に、ものすごい駆け引きやデータを駆使した戦術が存在します。

ここ数年、特に男子バレーボールでは「サーブミスで負けた」という言葉をよく耳にしまし
たが、その「サーブミスで負けた」というフレーズを私はなくしたいと考えていました。今のバレーボールでは、1本1本サーブに狙いがあります。誰を狙っているのか、どこに落
としたいのか、どう相手にプレッシャーをかけるのか……仮にサーブが決まらなかったとしても、そういう意図があったうえでの結果です。

ただ単に相手コートに入れるサーブは誰にでも打てます。そして相手に簡単に取られて、セッターに返されれば、相手の攻撃的枚数が優位となり、止める手立てがありません。現代のバレーボールは、強いスパイクが打てるから、身長の高い選手がたくさんいるから、という理由だけでは勝てないのです。いかに数的優位な状況を作るか、相手の嫌がる攻撃や守備ができるか、戦術がかなりのウェイトを占めます。今までのように、(サーブが)入った、入らなかったの試合展開ではなく、チームがどういう戦術で戦っているのか、今のバレーボールの考え方を基本的なところからお伝えし、バレーボールのもっと楽しい見方をこの本を通してみなさんにお伝えできればと思い、執筆に至りました。

2019年のワールドカップ、そして2020年の東京オリンピックのバレーボールを楽しんでいただくために少しでもお役に立てればと思います。バレーボール超観戦術 「数」の視点で、プレーの駆け引きを読み解く

目次

はじめに
超関戦術 1 ローテーションとポジションを理解しよう
「3回」の間に数的優位な状況をつくり出す
バレーボールには2つのポジションがある
バレーボールを知るカギは“ローテーション
ローテーションを知るために、まずはセッターの位置を見よ
S1はポジション2がライト、ってどういう意味?
ポジション2と5、それぞれに求められる役割とは 【それぞれのローテーションの特徴】 ケース1 S1ローテ
ケース2S6ローテ
ケース3 S5ローテ
ケース4S4ローテ
ケース5S3ローテ
ケース6S2ローテ

超関戦術 2 「サーブ」の意図を紐解く
バレーボールの勝敗を決めるのは サーブ
サーブミス=悪、ではない!
OKなサーブミスとNGなサーブミス
そもそもなぜサープミスが生じるのか
サーバー対リベロ、サーブ時の駆け引きを見逃すな
レシーバーの数が増えるのはむしろチャンス ローテーションごとのサーブの狙い
ケース1S1ローテ
ケース2S6ローテ
ケース3S5ローテ
ケース4S4ローテ
ケース5S3ローテ
ケース6S2ローテ
サーブの狙いからチームの戦術がわかる

超関戦術 3 相手の攻撃を防ぐブロックとレシーブの関係とは
ディフェンス=レシーブではない
レシーブは「取りに行く」ではなく「待って上げる」
実はラリーが続くのは女子よりも男子
ブロックの役割は「虫をつくる」こと
状況に応じたブロックシステム
なぜリードブロックが主流なのか
いかに数的優位をつくりだすか
プロッカーVSセッターの駆け引きを見逃すな
ブロックを 振る。セッターと、ブロックを振ろうとする。セッターの違い
速いトス=トスのスピードではない
ブロックが見える、見えない、の違い
チャンスボールはセッターに返せ
ピンチの時ほど柔軟に、選択肢はいくらでも増やせる
連続得点、連続失点を生み出す“流れ”には必ず理由がある

超関戦術 4 選手のデータ活用法と、試合データの見方
すべてのプレーをリアルタイムでデータ収集
データだけに惑わされるな
サーブレシーブは返球より受けた本数を見るべし
サーブレシーブの評価基準
スパイク決定率の罠
勝敗に直結するのは決定より効果率
まずは自分で取れるデータを取ってみよう

超関戦術 5 日本代表が世界で勝つために
世界における日本の現在地
日本が世界で勝つために
バレーボールの醍醐味は「高さ」と「パワー」だけじゃない
日本を引っ張る期待の選手

おわりにバレーボール超観戦術 「数」の視点で、プレーの駆け引きを読み解く