ゼミナール ゲーム理論入門 (日本経済新聞出版)

説明がしっかりしているゲーム理論本格入門書

本書は分厚くいかにも専門書のように見受けられますが、特徴は説明の抜けがなく、論理も飛躍せずすらすら理解することができることです。一度目でほとんど躓くことなく読むことができます。その分文量も多いですが腰を据えてゲーム理論の入門をしたい方はもってこいの本です。

読者が基本的なゲーム理論の概念を独学で習得できることを目指した入門テキストであるとのことで、特に数学的なハードルを低くして、ゲーム理論がきちんと学べるよう に多くの工夫をしている点は独学でもってこいの書籍となります。

渡辺隆裕 (著)
日経BP (2008/4/7)、出典:出版社HP

 

まえがき

使えるテキストを目指す
「ゲーム理論がブームになっている」とか「流行している」と言われ始めて から久しく,最近ではそのような言われ方もされなくなった.それはゲーム理 論が経済学や経営学の中で「当たり前」に使われる基礎理論として定着したか らであろう。近年は,社会学・政策科学・政治学・法学・情報科学など,文 系・理系を問わずあらゆる分野に使われるようになってきた。これらの分野に 携わる者には,ゲーム理論は「新しい理論として学んでみたい」というレベル ではなく,「基礎として学ばなければならない」というところまで来ているように思える.このようにゲーム理論に対する学習の必要性は高まっているにもかかわらず,研究者を対象とするのではなく、大学生・企業人・公務員を対象 としたゲーム理論のテキストは、未だ日本では少ない。

筆者は,この10年間,多くの場所で、様々な属性の人にゲーム理論を教える 機会を得た。現在の勤務先である首都大学東京(旧東京都立大学)では,経済 学部や経営学系の大学生とビジネススクールの社会人,政策研究大学院大学や岩手県立大学総合政策学部では,政策に携わる社会人やそれを目指す大学生, 筑波大学情報科学類では理系の大学生,また,中小企業大学校や都庁をはじめ として、様々な企業の研修や自治体の公開講座などでは、幅広い階層の社会人。

本書は、これらの経験と講義ノートを活かし、多様な分野の学生や社会人 (企業人・公務員)に読んでもらえることを目指したテキストである。ゲーム理論の魅力は,複数の個人・企業・国家などの競争や協調の問題を, 共通した土台にのせ、それらに統一した解を与えることができるという点にある。ある人が考えればこうなるが、別の人が考えれば違う答えになるということはない。

モデル化してしまえば、答えはただ1つで世界共通である.これは 数学を背景とした厳密な理論構築による成果である,物理学の初歩を学び,前 提となる条件を与えれば、投げたボールの着地点も、斜面を直滑降でくだるスキーヤーの描く軌跡も、火星に向かうロケットの軌道もすべて同じ式で計算できるのと同じである.しかしながら、ゲーム理論の数学的な側面は,最大の利点であるとの和占であると同時に、ゲーム理論に向かう初学者にハードルを高くしている. そこでゲーム理論の入門テキストは,様々なケースや例をゲーム理論的思考として考える「おはなし」として紹介するにとどめるものも多い。このようなテキストは、ゲーム理論の面白さを知るには最適だが,いざ理論を使おうとするとうまくいかない。先の例で言えば,「様々な問題に物理学が使えることが分かった」として、 「実際にボールの着地点を計算してみろ」と言われて,自分一人では計算式を 導き出せないような状態に相当するだろう。

本書の5つの特徴

「本書は長年の講義経験を活かして,「おはなし」にとどめず,読者が基本的なゲーム理論の概念を独学で習得できることを目指した入門テキストである。 特に本書では数学的なハードルを低くして、ゲーム理論がきちんと学べるよう に多くの工夫をしている。以下に本書の5つの特徴を挙げる。
1つ目は,図表を多く利用したことである.数学を背景とした基本的な概念 は、言葉だけで理解することは難しいが,数式を用いなくても図表を使うこと で直観的に理解することができる。拙著『図解雑学ゲーム理論』では,この点 について多くの方から評価を頂いた。本書は、本格的なテキストとして,その ノウハウを引き継いでいる。

2つ目は、一般性や厳密さを捨てて理論の大意をつかませることに主眼を置いたことである。ゲーム理論の面白さは、人数が何人いても,戦略がいくつ あっても同じ原理が適用できることではあるが,その一般性を記述するための 「数学は障壁が大きい。しかしこれを一般的ではなく,「2人のプレイヤーで、 戦略を2つ」に限定すれば、話は簡単になる.また一次方程式ax = 0の解は,x = b/aであるが、それには、厳密には「a≠0 ならば」という条件がつくこの 後者の条件をはずせば、記述は簡単になる。数学的な視点から言えば,このような特殊ケースや一般性への拡張こそが興味の対象となるのであるが,入門書としてはここを省略することこそが、理解を早める近道と考えた.

3つ目は、数値例を用いて解を求める方法にこだわったことである。先の一次方程式の例で言えば、中学生は最初に「一次方程式ax=bの解は,x=b/aである」とは習わない、最初に「3x = 9, 12x=36, 5x=7, …」のようなドリルをたくさん解いて、一次方程式の解を求めることを身につけてゆくだろう。本 書も同様の方法をとったナッシュ均衡や完全ベイズ均衡などの解を,一般的に求めることは難しいが,簡単なゲームであれば解きやすいし,数値例であれば理解はたやすい、本書は一般的な定義ではなく、簡単な例を用いて,具体的 な解の求め方を示している。

4つ目は,抽象的な理論にとどめて応用を読者に任せるのではなく,どんな応用があるかを理論に対応させて必ずつけるようにしたことである,理論の導入部は,コンビニ戦争や転職,輸入代理店の競争のようなモデルを用いることとし,理論を学んだ後は、交渉・オークション・投票・コストダウンと社会厚 生の変化など,その応用例をつけることとしている。

5つ目は,理論がなぜそこにこだわるのか、なぜそのようなことを考えるのか、という意図や動機を徹底的に説明したことである。名著とは、あえてすべてを書かずに「なぜそんなことを考えるのだろう」「なぜそうなるのだろう」 と、読者自身が行間を埋めることによって、「ああ、そうか」と深い理解に到 達することができる本なのかもしれない。そうだとすれば,本書は、分かりやすく書くことに徹し,名著であるよりは読者の踏み台になることを目指したと 言える、「この本を読んでゲーム理論は分かったが,本に含蓄はないな」と言っていただければ,それは私の本望である。

本書を執筆するにあたって,多くの方々から助言と助力を頂いている。私の長年の友人であり、尊敬するゲーム理論の研究者である丸田利昌先生からは、草稿段階において多くのコメントをもらった。特に第11章に対しては、大変貴 重なアイディアを頂戴した。また升田猛先生には、ゼミに本書の草稿を使っていただき、先生ご自身も丁寧に読んで長期にわたって多くのコメントをお寄せ いただいた。升田先生の助言によって、本書は大きく改善されている.福田恵美子先生にも、コメントをレポートにするとともに草稿に赤を入れて送ってくださるなどアドバイスを頂戴した。鮫島裕輔先生,若山琢磨先生にも、ご多忙な中、多くの貴重な助言を頂いた。ここに感謝の意を表します。

本学の大学院生である多辺田将君,鈴木大介君,東京工業大学の大学院生の海老名剛君にも、一生懸命に原稿を読んでもらった.また,首都大学東京. 東京都立大学・岩手県立大学・政策研究大学院大学の多くの学生からは、講義 ノートの段階で多くの誤りを修正してもらった.特に渡辺ゼミの諸君はよく協力してくれた。これらすべての人に感謝し,御礼を申し上げたい。もちろん大 書の誤りはすべて筆者の責任によるものである。
もともと畑違いの私がゲーム理論を学び,このような本を執筆することができたのも,多くの諸先輩方からゲーム理論について多くの示唆と優れた考えを ご教授いただいたからである。特に大和毅彦先生と船木由喜彦先生には共同研 究を通じて多くのことを教えていただいた.また鈴木光男先生とその研究室の 出身である中山幹夫先生,武藤滋夫先生,金子守先生,岡田章先生,和光純先 生は、同じ東工大出身ということで,若い頃から筆者に様々な機会を与えてくださり、多くのことを学ぶことができた。また恩師の森雅夫先生とその諸先輩 方がいなければ、私がこの道に進むことはなかった。皆様に感謝の意を表したいと思います。

日本経済新聞出版社の堀口祐介さんには,執筆の機会を頂くとともに,筆が 進まない筆者を温かく見守り、時には励まし,また私の拙い文章に多くの助言 を頂いた。本当に感謝します。
最後に、私の最愛の妻である秋香の協力がなくては,本書は完成することは なかっただろう。本書は,多くのことをできる限り分かりやすく説明したつもりだが、彼女からの愛情と彼女への感謝の気持ちだけは、大きすぎて上手に説明することができない、この本を彼女に捧げることで,その代わりとしたいと思う。

2008年3月
渡辺 隆裕

渡辺隆裕 (著)
日経BP (2008/4/7)、出典:出版社HP

本書の読み方と学習計画

本書は13章からなり,通年の4単位講義やゼミなどの入門書として用いられきる。ページ数は多いが、これは読者が本書だけで細かい点まで自習できることを想定しているためで,1年間の講義で本書を読みきるのはそう難しくないはずである。むしろ数理的に洗練された途中過程を読者が埋めなければならないような薄いテキストに比べると、読むために必要な時間は少ないであろう。
1章に「ゲーム理論とはどのような内容からなり,どのように分類されるか」が書かれており,そこに照らし合わせて各章の内容が記してある.以下を 読んで,学習計画を立てる際は,先に1章に目を通すのがより効果的である。

1.入門書として本書を通読したい場合には【発展】と書かれている節(6.2, 6.4.7.2, 7.3.8.7, 8.8, 9.3, 10.3, 11.3) を省いて読んでも差し支えな い。これらの節を飛ばしても次の章が読めるように構成してある.
2.前期と後期の通年講義としては、以下のように分けて考えるとよい(13章 は発展学習のためのガイドなので,学生が自分で読み進める).
前期:1章→2章→3章→4章→5章→6章
後期:7章→8章→9章→10章→11章→12章 半期だけの講義の場合は、前期に相当する部分(1~6章)だけを学習し, それで終わってもよい。学習に負担を感じる場合は以下のようにするとよいだろう。

(1) ゲーム理論を、とりあえず知りたいと思う
1章から3章までを読む.
(2) 経済学は関係ない・複占競争はもう学んだ
5章は,経済学における不 完全競争や複占競争を扱っている。読者が「ミクロ経済学」などで複占競争を既に勉強している場合や,経済を学ぶためにゲーム理論を勉強するのではない場合は、5章(およびその応用となる10.2) は省略しても差し支えない、逆に経済学部の学生など,経済学の基礎としてゲーム理論を学び たいと考える者にとって、5章は必要不可欠である。
(3) 情報の非対称性に興味がない・もう学んだ
9章から11章までは,情報の非対称性を扱う「不完備情報ゲーム」に関する章である情報の経済 の学・モラルハザード・逆選択・シグナリングなどに興味がなければ,8章まで読むことを目標にし,8章で終わるか,8章から12章に飛ぶ.
(4) 経営学や経済学でのゲーム理論を知りたい
12章の協力ゲームは省いて もかまわない。また6章は,古典的なゲーム理論としてもっとも重要な概 念である混合戦略を扱うが,経営学や経済学の応用としては少ないと言ってよい。したがって、経営学や経済学の応用として学びたいのであれば, 6章を省くことも考えられる。
3. 通年の講義として、1章から12章まですべてを学習するのではやや負担を感じる場合は、2の(3のケースに即して、情報の非対称性については別の講 「義にゆずり、1~8章と12章を学習する計画にするとよい。
4. 一度ゲーム理論を学んだことがある者や、ゼミなどで教員が密接にガイド することが可能な場合は、2章から5章までは,学生が自習するようにして できるだけ早く進み,【発展】と書かれている節に挑戦してほしい。ただし この場合も9.3の最適な報酬契約の理論は,やや複雑なので,興味がある者 だけ読むことにするとよい。

なお本書を補完する講義資料やスライド,その他の情報を筆者のホームページhttp://www.nabenavi.netに掲載しているので,そちらも活用して頂きたい。

目次

まえがき
本書の読み方と学習計画

第1章 ゲーム理論への招待
1.1 ゲーム理論とは何か
1.2 ゲーム理論を学ぶ意味とメリット
1.2.1 本書の想定する読者・目標と本書の特徴
1.2.2 戦略的思考としてゲーム理論を学ぶ意味
1.3 ゲーム理論の分類と本書の歩き方
1.3.1 非協力ゲームと協力ゲーム
1.3.2 完全合理性によるアプローチと限定合理性によるアプローチ
1.3.3完備情報ゲームと不完備情報ゲーム
1.3.4 戦略形ゲームと展開形ゲーム.
1.3.5 モデルによる学習

第2章 戦略形ゲームの基礎
2. 1戦略形ゲームと利得行列
2.1.1 プレイヤー・戦略・利得
2.1.2 利得行列を作って考えよう
2.2 戦略形ゲームを解く
2.2.1 ゲームを解く
2.2.2 支配戦略を探せ
2.2.3 【応用】囚人のジレンマ
2.2.4 最適反応戦略を考える
2.2.5 【応用】小さな者が大きな者に勝つ方法
2.3 予想の先に行き着くものナッシュ均衡
2.3.1 ナッシュ均衡とは
2.3.2 ここまでのゲームの解とナッシュ均衡
2.3.3 ナッシュ均衡の求め方
2.3.4 ナッシュ均衡がゲームの解である理由は?
2.3.5 ナッシュ均衡は複数存在することがある
2.3.6 記号化と抽象化

第3章 完全情報の展開形ゲーム
3.1 展開形ゲーム
3.1.1 プレイヤーが順番に行動するゲーム
3.1.2 先読みで求めるゲームの解
3.1.3 バックワードインダクション
3.1.4 ゲームの解の記述方法
3.2 完全情報展開形ゲームの応用
3.2.1 【応用】軽口とコミットメント
3.2.2 【応用】チキンゲームとコミットメント
3.2.3 【実践】先手か後手か
3.2.4 【応用】交渉と最後通牒ゲーム
3.2.5 【実践】最後通牒ゲームの実験
3.3 ゲーム理論を実践するために
3.3.1 戦略の組合せが結果となる
3.3.2 意思決定の相互依存性
3.3.3利得の数値はどのように定めるのか

第4章 戦略形ゲームの応用
4.1 弱支配戦略と支配されないナッシュ均衡
4.1.1戦略の支配関係
4.1.2 弱支配と弱支配戦略
4.1.3 支配されないナッシュ均衡とナッシュ均衡の精緻化
4.2 支配された戦略の繰り返し削除
4.2.1 支配された戦略を削除する
4.2.2 弱支配された戦略の繰り返し削除
4.3 【応用】オークション
4.3.1 オークションとゲーム理論
4.3.2 オークションの経済学的意義
4.3.3様々なオークション
4.3.4 セカンドブライスオークション
4.3.5 ファーストプライスオークション
4.4 【実践】インターネットオークション
4.4.1 自動入札方式とセカンドプライスオークション
4.4.2 ネットオークションの現実の入札行動

第5章 不完全競争市場への応用
5.1 完全競争市場とゲーム理論の発展
5.2 独占市場での企業行動
5.3クールノー競争
5.3.1 複占市場の分類
5.3.2 クールノー競争のモデル
5.4 クールノー競争による複占市場の分析
5.4.1 社会的総余剰,競争とカルテル
5.4.2 費用削減による効果,税金と補助金の効果
5.5 ベルトラン競争
5.5.1 ベルトラン・ナッシュ均衡
5.5.2 費用削減による効果,戦略的代替と戦略的補完
5.6 シュタッケルベルグ競争

第6章 混合戦略
6.1 混合戦略とナッシュ均衡
6.1.1 ナッシュ均衡のないゲーム?
6.1.2 混合戦略とゲームの解
6.1.3 混合戦略のナッシュ均衡
6.2 【発展】2×2の混合戦略のナッシュ均衡を求める
6.2.1 精巧堂vs便乗工房のナッシュ均衡を求める
6.2.2 「市コンビニ戦争PART3のナッシュ均衡を求める
6.2.3 その他の混合戦略のナッシュ均衡
6.3 2人ゼロ和ゲームミニマックス定理
6.3.1 2人ゼロ和ゲームとマキシミニ戦略
6.3.2 ミニマックス定理とナッシュ均衡.
6.4 【発展】マキシミニ戦略とミニマックス値を求める
6.4.1 混合戦略への拡張とミニマックス定理
6.4.2 マキシミニ戦略とミニマックス値を求める
6.4.3 2×nのマキシミニ戦略

第7章 一般の展開形ゲーム
7.1 不完全情報の展開形ゲーム・
7.1.1 不完全情報ゲームと情報集合
7.1.2 行動戦略
7.1.3 行動戦略におけるナッシュ均衡
7.1.4 展開形ゲームにおけるナッシュ均衡の問題点
7.1.5 部分ゲーム完全均衡
7.2 【発展】展開形ゲームの構成要素と部分ゲーム完全均衡点
7.2.1 展開形ゲームを構成する要素
7.2.2 部分ゲームと部分ゲーム完全均衡点
7.2.3 完全記憶ゲーム
7.3 【発展】展開形ゲームと戦略形ゲームの関係
7.3.1 展開形ゲームと戦略形ゲームの相互変換
7.3.2 混合戦略をどう考えるか
7.4 【応用】投票とゲーム理論
7.4.1 様々な投票
7.4.2 循環多数決と審議順序
7.4.3 戦略的投票

第8章 時間経過と長期的関係
8.1 割引因子による利得の計算
8.2 交渉の要因と交互提案ゲーム(2段階交渉ゲーム)
8.3 繰り返しゲーム
8.3.1 囚人のジレンマの繰り返し
8.3.2 繰り返しゲームの戦略と利得
8.4 有限回の繰り返しゲーム
8.4.1 2回の繰り返しゲーム
8.4.2 7回の有限繰り返しゲーム
8.5 無限回の繰り返しゲームと協力の達成
8.5.1 無限回の繰り返しゲーム
8.5.2 【実践】アクセルロッドの実験とおうむ返し戦略
8.6 評判
8.7 【発展】フォーク定理
8.8 【発展】有限回繰り返しの囚人のジレンマでの協力達成
8.8.1 有限の繰り返しゲームから協力の達成を導く
8.8.2 わずかな利得は気にしないプレイヤー
8.8.3 記憶が限定されるプレイヤー

第9章 不確実性とゲーム理論
9.1 リスクと行動
9.1.1 期待値とリスクプレミアム
9.1.2 期待利得と期待効用
9.2 【応用】 インセンティブ契約とモラルハザード
9.2. 1インセンティブとは何か
9.2.2 インセンティブ契約か固定給か
9.2.3 リスクとインセンティフ契約
9.2.4 モラルハザード
9.3 【発展】最適な報酬契約
9.3.1 ファーストベスト代理店の行動が観察できる場合
9.3.2 セカンドベスト 代理店の行動が観察できない場合
9.3.3代理店を努力させない場合
9.3.4 数値例

第10章 不完備情報の戦略形ゲーム
10.1 不完備情報ゲームの基礎
10.1.1 簡単な2人不完備情報戦略形ゲーム
10.1.2 タイプとは何か
10.1.3 不完備情報ゲームとベイズナッシュ均衡
10.1.4 ベイズナッシュ均衡を求める
10.2 【応用】不完備情報の複占競争
10.2.1 費用が不完備情報であるクールノー競争
10.2.2 事前の推測確率の影響
10.3 【発展】ベイズの定理とベイズゲーム
10.3.1 ベイズの定理
10.3.2 ベイズゲーム

第11章 不完備情報の展開形ゲーム
11.1 不完備情報の展開形ゲームと完全ベイズ均衡
11.1.1 不完備情報の展開形ゲームの表現
11.1.2 不完備情報展開形ゲームの解の考え方・
11.1.3 整合的な信念と完全ベイズ均衡
11.1.4 完全ベイズ均衡の簡便な求め方
11.1.5 【応用】逆選択
11.2 【応用】シグナリング
11.2.1 シグナリングゲームの例
11.2.2 シグナリングゲームを解く
11.2.3 シグナリングと費用
11.3 【発展】完全ベイズ均衡の詳細
11.3.1 ベイズの定理と完全ベイズ均衡
11.3.2 部分ゲーム完全均衡と完全ベイズ均衡

第12章協力ゲームの理論
12.1 交渉ゲームとナッシュ交渉解
12.1.1 交渉問題
12.1.2 交渉ゲームの公理的アプローチとナッシュ交渉解
12.1.3 ナッシュ交渉解を求める
12.2 協力ゲームの理論
12.2.1 提携形ゲーム
12.2.2 協力ゲームの解とコア
12.2.3 仁
12.2.4 シャープレイ値
12.3 協力ゲームと非協力ゲーム

第13章 ゲーム理論の勉強を進めるために
13.1 新しいゲーム理論
13.2 様々な分野のゲーム理論
13.3さらに深くゲーム理論を学ぶ

参考文献
事項索引
人名索引

装丁・山崎登

渡辺隆裕 (著)
日経BP (2008/4/7)、出典:出版社HP