レヴィット ミクロ経済学 発展編

【スティーヴン レヴィットおすすめ本 – やばい経済学から最新ミクロ教科書まで】も確認する

気鋭の研究者レヴィットのミクロテキスト(発展)

既にでているレヴィット ミクロ経済学 基礎編の続編の形となります。こちらではゲーム理論などや行動経済学のトピックも含めており、最新のミクロトピックまでカバーしております。この2つの章だけでも最新のミクロ経済学の知識の土台をつくることができます。

Steven Levitt (原著), Austan Goolsbee (原著), Chad Syverson (原著), スティーヴン レヴィット (著), オースタン グールズビー (著), チャド サイヴァーソン (著), 安田 洋祐 (翻訳), 高遠 裕子 (翻訳)
出版社: 東洋経済新報社 (2018/1/26)、出典:出版社HP

オースタンから
何年も前に出会った憧れの少女に,結婚してくれてありがとう.

スティーヴンから
愛しのジェニーに,愛と感謝をこめて,

チャドから
妻のジェナと3人の子どもたちクレア,アダム,ヴィクトリアに,愛をこめて.

3人から
シカゴ大学に,そこは,ただ経済学を学ぶだけではなく,日々,実践する場である.シカゴ大学がなければ,経済学の世界もわれわれも,今とはまるで違っていただろう.

Original Title:
MICROECONOMICS
by Austan Goolsbee, Steven Levitt, and Chad Syverson

First published in the United States by Worth Publishers Copyright © 2013 by Worth Publishers
All rights reserved.

Japanese translation published by arrangement with Worth Publishers, a division of Bedford, Freeman and Worth Publishers LLC through The English Agency (Japan) LTD.

監訳者序文

ミクロ経済学に待望の中級テキストが刊行された! スティーヴン・レヴィット,オースタン・グールズビー,チャド・サイヴァーソンという,シカゴ大学が誇る三人のスター教授たちによるMicroeconomics (Worth Publishers, 2013)である.本書『レヴィットミクロ経済学』はその邦訳で,原書が700ページ以上の大ボリュームのため,読者の使いやすさを配慮して基礎編と発展編の2冊に分けて刊行することにした.

『レヴィット ミクロ経済学』の最大の特徴は,初学者でもこれ一冊で「使えるミクロ経済学」がマスターできることにある,経済学の前提知識が無くても,独学で中級レベルのミクロ経済学の使い方をきちんと身につけることができるように,随所で工夫がされている.もちろん,初学者だけでなく,入門書では物足りない読者や中級テキストに挫折してしまった学生が,ミクロ経済学をきちんと学び直すのにもぴったりだミクロ経済学の理論をビジネスに活かしたいと考えている社会人,ビジネススクールの学生にも強くお薦めしたい.

実は,ミクロ経済学の分野では,定評ある初級の入門書はすでに何冊も出版されている.特に,洋書はどれも記述が丁寧で,マンキュー,スティグリッツ,クルーグマンなどに代表されるように,文字どおりゼロから学べるテキストが充実している.こうした良書の共通点は,ほとんど数式を使わず,身近なケースをたくさん用いて,鍵となる考え方を繰り返しわかりやすく説明していることにある.しかし,中級レベルのテキストになると,途端に理論重視で無味乾燥な内容になり,詳しい説明もなく,数式や小難しい(ように見える)概念が次から次へと出てくることが珍しくない.さらに,そこで登場する数理的なテクニックが,どのような形で経済学の実践に役に立つのかを示す具体的な実例が紹介されることもほとんどない.これでは,苦労してまで中級レベルの内容を勉強しようとするモチベーションが湧きにくいだろうし,せっかくコアとなる理論を身につけても宝の持ち腐れになってしまう.事例が豊富で数式がほとんどない初級テキストと,数式ばかりで事例のない中級テキストとのギャップを埋めるテキストが,長らく求められていたのである.

本書は,まさにこの初級と中級のギャップを埋める,画期的な中級テキストとなっている.類書でほとんど触れられていない,現実の事例や理論の使い方については,「理論とデータ」「応用」のセクションで,様々な実証研究やデータなどを取り上げることでカバーしている.さらに「ヤバい経済学」のセクションがあるおかげで,常識はずれな経済学の活用法を知ることができると同時に読み物としても楽しめる,というのも他のテキストにはない大きな魅力だろう.では,中級テキスト最大の泣きどころとも言える,数学の多用についてはどうだろうか,残念ながら,入門から一歩進んだ本格的なミクロ経済学をマスターするためには,数式やグラフの理解は欠かすことができない,なぜかと言うと,入門書でおなじみの「言葉による説明」だけでは,内容が漠然としすぎていて,具体的な個々の問題に対して答えを導くことが難しいからだ,そのため,本文をパラパラと眺めれば明らかなように,本書でも数式やグラフはかなり頻繁に登場する.ただし,式の展開やグラフの意味などが懇切丁寧に説明されているので,数学が苦手な人でも心配することはない,途中のプロセスを一切省略することなく,ここまで細かく手を抜かずに,数学について解説した経済学の中級テキストはなかなかない,この非常に丁寧でわかりやすい数学の説明の仕方こそが,独学で「使えるミクロ経済学」の修得を可能にする,本書最大のカラクリと言えるだろう.

余談ではあるが,数式を使いながらわかりやすさも損なわず,「かゆいところに手が届く」書き方になっている要因は,著者の一人であるスティーヴン・レヴィット教授が学生時代に数学を苦手としていたからではないだろうか.彼の代表作『ヤバい経済学(増補改訂版)』によると,大学時代に一つしか数学の授業を取らなかったレヴィットは,MIT(マサチューセッツ工科大学)博士課程の最初の授業で隣に座った学生に,学部レベルで知っておくべき初歩的な数式の記号の意味を聞いて周囲を驚かせたらしい,当時のクラスメートで本書の共著者でもあるオースタン・グールズビー教授によると,周りは彼を見限り「あいつ,おしまいだな」などと囃していたという(そこからレヴィットは独自の道を切り開き,ノーベル賞の登竜門と言われるジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞するほどのスター経済学者となるのだから,人生は面白い!).自身の体験を通じて,数学の苦手な学生がどこでつまずくのかを熟知していたレヴィット教授だからこそ,先回りして,読者のかゆいところに手を差し伸べることができたのかもしれない.

さて,本書『レヴィット ミクロ経済学』は,昨年すでに原書の第2版が刊行されている.新版では新たに「第13章 要素市場」が追加されたほか,細かいアップデートが行われた.ただし,この第13章は,初版の第5章の一部の内容を移して1章分に拡張したものであり,見た目ほど大きな変更ではない,書籍全体を通じて,初版から大きく内容が変わっている点も特に見当たらない.なお,原文の意味や説明がわかりにくいところは,訳出の際に,こちらで読みやすいように少しだけ修正を加えてある,最新版の邦訳でないことを気にされる方がいるかもしれないが,ぜひ安心して本書を読み進めていただきたい.

最後に,本書の翻訳作業を引き受けてくださった翻訳家の高遠裕子氏と,編集作業でお世話になった東洋経済新報社の矢作知子氏に感謝したい,お二人のお陰で,中級レベルであるにもかかわらず,非常に読みやすいテキストとして本書を完成させることができた,高遠氏による,堅苦しさを感じない自然な日本語で訳出された『レヴィット ミクロ経済学』を手に,ぜひ一人でも多くの方に「使えるミクロ経済学」のマスターを目指してもらいたい.本書を読了すれば,きっと世界が今までとは違うように見えるはず!

2017年3月
大阪大学大学院経済学研究科准教授 安田 洋祐

Steven Levitt (原著), Austan Goolsbee (原著), Chad Syverson (原著), スティーヴン レヴィット (著), オースタン グールズビー (著), チャド サイヴァーソン (著), 安田 洋祐 (翻訳), 高遠 裕子 (翻訳)
出版社: 東洋経済新報社 (2018/1/26)、出典:出版社HP

序文

ミクロ経済学は経済学の根幹を成すもので,経済学のあらゆる学派・分野に共通する基本的な知識で構成されている.ミクロ経済学はすこぶる役に立つものでもあって,企業や政府,そして個人が効率的な意思決定をするのに欠かせないツールを提供してくれる.ミクロ経済学の厳密性と有用性は,必ずや学生を惹きつけ,わくわくさせるはずであり,教科書はそれを後押しするものでなければならない,とわれわれは考えている.

なぜ本書なのか

本書の執筆にあたって目指したことが1つある.学生1人ひとりが,経済学の原理を学ぶだけにとどまらず,経済学者のように経済分析ツールを使いこなし,現実社会に応用できるようになってもらいたい,そのための手助けをしたいのだ.

われわれは中級ミクロ経済学の主要な教科書に目を通したうえで,それらとは違うものをつくりたいと考えた現在主流の教科書は,学生がミクロ経済学に対して抱いている2つの疑問に答えられていない,すなわち,個人や企業は理論どおりに行動しているのか,そもそもミクロ経済学の理論は現実に使えるのか,という疑問である.これらの疑問に対する答えを本書で探っていく.順番にみていこう.

個人や企業は理論どおりに行動しているか

ミクロ経済学の既存の教科書は,どれも標準的なツールと経済学の理論を提示し,事例を紹介している.だが,学生の素朴な疑問に答えることはなく,理論は正しいと頭から信じることを学生に期待している.理論が具体的にどう現実に応用できるのかが必ずしも効果的に示されていないのである.

さらに,現在主流の教科書は,応用ミクロ経済学の分野で急速に存在感を高めている実証研究に十分に追いついていない,理論を説明するだけでなく,その活用法を示し,それを支える現実のデータを提供するミクロ経済学の教科書があれば,学部やビジネススクールの学生も納得するのではないだろうか.われわれは,「理論とデータ」や「応用」のセクションを通じて,経済学者が現実のデータをどう活用して理論を検証しているかに注目しながら,理論の背後にある現実に迫っていく.本書では,こうした実証的側面を取り入れることによって,ミクロ経済理論で現実の行動を説明できることをしばしば意外な形で示し,理論のどの部分を修正する必要があるかをあきらかにする.

ミクロ経済学は現実に使えるのか

中級ミクロ経済学といえば抽象的で理論的なものである,といった見方が幅を利かせている.学生にはかなりの努力が求められるので,自分たちが学ぶことがなぜ役に立つのか,どう役に立つのかを知っておいてしかるべきだろう.それがわかっていないと,学ぶ意欲も湧いてこないというものだ.

ミクロ経済学の既存の教科書では,役に立つかどうかは二の次になっているが,われわれは「使える経済学」の教科書を書きたいと考えた正しく使えば,経済学はすこぶる役に立つ学問である.ビジネスに役立つのはもちろん,政策に生かすこともできるし,日常生活でも使うことができる.本書は,ミクロ経済学の理論と研究で,日常の出来事や市場の性格,企業戦略,政府の政策がどう説明できるのかをあきらかにすることで,ツールを身につけ,使いこなす方法を教示していく.

もう1つ言っておくべきことがある.理論と現実を結びつけ,ミクロ経済学がいかに使えるかを示すという目標も不完全で不正確な説明や,曖昧で退屈で味気ない書き方では叶えられない.われわれは,経済学的に考えることがいかに優美かつ強力で,役に立ち,現実に使えるかをわかりやすく伝えるため,現在進行形の目立つ実例,時に奇抜とも思える実例を取り上げ,明確な文体で記述するという方法をとるよう心がけた(奇抜な実例の一部は,スティーヴン・レヴィットが担当した「ヤバい経済学」というコラムに収めてある).

われわれ共著者のこと

われわれ三人は長年の友人である.中級ミクロ経済学の教科書を共同で執筆すると決めたとき,重要かつ実際的で多様な見方を持ち込みたいと考えた,三人はそれぞれ経済学部とビジネススクールで教えるかたわら,ミクロ経済学の実証研究に積極的に取り組んでいる.実証研究のさまざまな分野に軸足を置いていることで,過去20年問に検証され,洗練されてきた基本的な理論の根拠を示すことができる.教育と研究の成果を盛り込んだ本書の理論と応用は,他の教科書とは一線を画すものになったと自負している.

学部やビジネススクールで教える利点は他にもある.われわれが相手にしているのは,高い授業料に見合わない講義には容赦のない学生である.前述のように,学生は理論がどう使えるかを知りたがっている.われわれはこうした学生を念頭に本書を執筆した.

ミクロ経済理論をどう現実に結びつけるか

入念に検討された本書の構成に沿って学習を進めていけば,経済学の基本原理を理解し,それを応用して強力で明快な経済分析ツールを使いこなせるようになる.とくに事例の選択には時間をかけ,ごく一般的な事象に独自の視点を提供する事例や,学生にとって有意義かつタイムリーで広く関心のある事例を選ぶよう心がけた.

以下の3つのセクションでは,ミクロ経済学の理論を現実に結びつけ,目の前の現象を理解す
るうえで理論がいかに有用であるかを示す.

1. 理論とデータでは,経済研究を簡潔に紹介し,実例を用いて理論の背後にある現実をあき
らかにする.データの収集・分析が容易になった結果,ミクロ経済学では急激な変化が起きている.現在,ミクロ経済学の主要な研究では,ミクロ経済理論の根本は押さえつつ,データ,フィールドないし研究室での実験,そして実証に重きが置かれている.理論はつねに検証されるものだが,本書ではその成果を紹介する.
具体的には,以下のような事例を取り上げる.ゴルファーの後方屈折型労働供給曲線(第5章),新薬の潜在的市場を見極める(第9章),サウスウエスト航空の参入の脅威に対する既存の航空会社の反応(第12章),自動車盗難防止装置(ロジャック)の正の外部性(第16章).

2. 応用は各章に配され,消費者や生産者がミクロ経済理論を実際の意思決定に生かす方法を論じる.さまざまな出所のデータを活用しながら,理論をどう生かすかを示していく.
以下のような事例を取り上げる,ミクロ経済学を学んで賢くネットオークション(第1章),米国製造業の技術変化(第6章),映画会社は赤字確実の映画をなぜつくるのか(第7章),市場支配力がなければ価格差別できないことをプライスライン社はいかにして学んだか(第10章),サッカーにおけるランダムな混合戦略(第12章).

3. ヤバい経済学 軽い読み物の「ヤバい経済学」は,一般的な事象だけでなく,経済学の範疇に入らないとされる事象も経済的に分析できることを意外な形で示す.経済的センスを身につけてもらうのが,その狙いだ.単行本の『ヤバい経済学』〔スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナーの共著,望月衛訳,増補改訂版,東洋経済新報社,2007年)で,経済学とは身のまわりのあらゆる事象を扱う学問であることを示したが,本書の「ヤバい経済学」のエッセイを読めば,常識はずれの出来事を理解するのにもミクロ経済理論が使えることがわかるだろう.
以下のような事例を取り上げる.トーマス・スウェイツのトースター(第1章),動物もセールがお好き(第5章),インドの漁師が携帯電話を手放せないわけ(第6章),ヴィクトリアズ・シークレット社の秘密ではない価格差別(第10章),(文字通り)世界の果てに,経済理論を検証しに行く(第17章).

ミクロ経済学をわかりやすく学ぶための工夫

経済学の教科書のわかりやすさには2つの要素が求められるが,本書はどちらも取り入れるよう工夫した.

■第1に,議論の厳密性や深さを損なうことなく,読みやすくわかりやすい文章を書くよう心がけた.強力で高度な理論だからといって,抽象的で乾いた文体で書いたり,難解な言葉を使ったりする必要はない.
■平易な文章でわかりやすく説明するのと同じくらい重要なのが,わかりやすいグラフで視覚に訴えることで,カラーを使い,簡潔に表示し,詳しい解説をつけることで,文章による説明を補い,より深く理解できるように配慮した.

ミクロ経済学への理解を深めてもらうための工夫

中級ミクロ経済学は難易度が高く,理論をしっかり頭に入れ,さまざまな状況に応用するのは簡単ではないが,以下の練習問題やエッセイが参考になるはずだ.

1. 練習問題「解いてみよう」閲読者やフォーカス・グループの参加者,試験的に講義を行った教師から繰り返し聞かされたのは,学生は学んだ知識をどう生かして問題を解けばいいかがわからない,という声だった.各章の本文中に,「解いてみよう」と題する練習問題を設けた,これらの細かい練習問題を粘り強く最後まで解いていけば,経済学のツールや分析を駆使して1つの問題を考え抜き,答えを導き出すプロセスをたどることができる.解答では,問題で何が求められているのかを正確に分析し,必要なツールを見極め,それらのツールを使って段階的に正解にたどり着く模範例を示した.「解いてみよう」の問題は,各章末の演習問題と関連づけられており,これを解いておけば,章末の演習問題はもちろん,小テストや試験にも十分対応できるようになる.

2. エッセイ「これで合格」は,学生が陥りやすい落とし穴を指摘し,ミクロ経済理論の微妙
でむずかしい点をうまく切り抜ける助けになるものだ.宿題やテストでよく出されるトピックについての実用的なアドバイスになっている.具体例としては,所得効果と代替効果について,おぼえておくべきシンプルなルール(第5章),それは正真正銘の価格差別なのか(第10章),チェック法(第12章)などがある.

3. 章末の「まとめ」と「問題」各章のおわりには,その章で学んだことを振り返り,身につくように「まとめ」,「復習問題」,「演習問題」を配した,すべての復習問題と一部の演習問題の解答は巻末に掲載しており,解答のある問題には*印をつけている〔本訳書では省略.http://store.toyokeizai.net/books/9784492315002に掲載〕.

本文中の「解いてみよう」と演習問題との関連性にも注意を払った,「解いてみよう」をしっかりやっておけば,演習問題は難なく解けるはずだ.それぞれの問題が,その章で扱った範囲の理解度を試すものになっているかどうか,大学の教師に徹底的に点検してもらったことを付け加えておきたい.

数学をどう扱うか

数学は経済分析の強力なツールであり,学生にはこれを自在に使いこなせるようにスキルを身につけてもらいたい,多様な学生の要請に応えて,各自にあった数学のスキルを生かし経済分析ができるよう後押しする教科書をつくったつもりだ.本書は幅広い用途に応じたものであり,副教材と併用すれば,標準的な代数と幾何だけを使う学習と,微分を取り入れた学習のどちらも可能である.

わかりやすい文章とグラフには,簡潔かつ網羅的で順を追った説明がつけてある,数式の各段階でなぜ,どうしてそうなるかが懇切丁寧に説明してあり,数学が苦手な学生にも,数式を使いこなせれば経済分析が容易になることがわかってもらえるはずだ.本文中では代数と幾何しか使っていないが,補論とネット上に公開している補論で微分を解説することで,理論や練習問題,応用に微分を取り入れることが可能になっている.

微分を使う読者へ

ミクロ経済学の一部のツールは微分を取り入れると使い勝手がよくなるため,「使える」教科書をつくるにあたって,ある程度,微分を採用することにした.どの程度取り入れるか,どう提示するかがむずかしい点だった.講義で微分を使っている教師と話し合うなかで,既存の教科書での微分の扱われ方に不満が多いことがわかった.理由はさまざまで,扱いが多すぎる,あるいは少なすぎるといったものから,微分が前面に出すぎて経済学そのものがわかりにくくなっているとか,微分を経済理論に取り込みすぎている.あるいは微分と経済理論がしっくり馴染んでいないといった不満もあった.本書の方向性を決めるうえで,微分の扱いをどうするかはむずかしい課題の1つだった.最終的にたどり着いた答えは,多くの人にとって「ちょうどいい」ものになったと自負している.

微分は「補論」として扱うことにしたが,本文と同様に語りかけるような文体で直観に訴える書き方を心がけた.補論でも事例を取り上げ,「解いてみよう」の問題を収録しているが,これらは,代数をもとにした本文中のものとほぼ同じである.そうすることで,微分を使った分析が代数を使った分析を補強するものであることを示す.学んだことを実際に試して身につけてもらうために,補論には微分を使わなければ解けない問題を収録してある.適度に微分を使う講義向けに,別に本書では5つの補論を用意した.より広範に微分を活用したい読者には,別にネット上で10の補論を公開している.

本文の記述と補論の記述を関連づけるために,本文に「注」をつけている.この注は,適切な補論を参照するよう注意を促し,概念を理解するために微分をどう使えばいいのか具体的に説明したものである.この注を読んで微分に慣れ,使いこなせるようになってもらいたい.

以下は,本書またはネット上で公開している補論のリストである.ネット上の補論はすべて以下のサイトで閲覧できる.
http://macmillanhighered.com/launchpad/gls2e

Steven Levitt (原著), Austan Goolsbee (原著), Chad Syverson (原著), スティーヴン レヴィット (著), オースタン グールズビー (著), チャド サイヴァーソン (著), 安田 洋祐 (翻訳), 高遠 裕子 (翻訳)
出版社: 東洋経済新報社 (2018/1/26)、出典:出版社HP

本書に収録されている微分に関する補論

第4章 効用最大化および支出最小化の微分
第5章 所得効果および代替効果の微分
第6章 費用最小化の微分
第7章 企業の費用構造の微分
第9章 利潤最大化の微分

ネット上で公開している微分に関する補論〔英語のみ〕
第2章 均衡と弾力性の微分
第3章 消費者余剰と生産者余剰の微分
第4章 効用関数の微分
第5章 需要の微分
第6章 生産関数と投入需要の微分
第7章 企業の費用構造拡大の微分
第8章 長期競争均衡の微分
第10章 価格戦略の微分
第11章 クールノー競争と差別化されたベルトラン競争の均衡の微分
第12章 ゲーム理論の混合戦略の数学

数学の復習の補論

基礎的な代数であれ微分であれ,中級ミクロ経済学を学ぶほとんどの学生にとって,数学の復習は役に立つはずだ.巻末につけた補論〔以下のサイトに掲載. https://store.toyokeizai.net/books/9784492315002〕では,本書全体をとおして使われる数学をおさらいできるようになっている.

本書の構成(各章の概要)

以下では,とくに注目されるテーマや他の教科書とは異なる点をあげながら,各章の概要を説明していこう.第1章から第11章までが本書の核心部分であり,ほとんどの教師が講義で使うことになるだろう.残りの第12章から第17章までは,それぞれ個別に活用することができる.

第1部 基礎概念

第1章 ミクロ経済学の冒険 冒頭には,導入部として短い章を配した.ミクロ経済学に興味と関心を持ってもらうために,身近な飲料であるコーヒーを取り上げ,コーヒー豆を栽培する生産者とコーヒーを購入する消費者の立場から市場について考える.「応用」,「理論とデータ」の各セクションと,コラムの「ヤバい経済学」を通して,ミクロ経済学のツールが,経済学やビジネスを学ぶうえだけでなく,日常生活においてもすこぶる役に立つものであることをあきらかにする.

第2章 需要と供給 第2章と第3章では,需要と供給を深く掘り下げることで,しっかりと
した土台をつくる.そのうえで消費者行動と生産者行動をみていく.需要・供給モデルは単純ながら強力なモデルであり,既存の教科書では基本的なモデルを提示し,応用は別に論じられるのが一般的である.だが,最初にモデルのあらゆる側面を提示するほうが理に適っていると考えられる.われわれは(そして,試験的に本書を使った人たちは),この方法を講義に取り入れて成果をあげている.
第2章ではまず,需要と供給の基本的なモデルを示す.特筆すべきは,「需要・供給モデルを
支える主な仮定」の小節であり,ミクロ経済理論を構築し,説明するうえでの留意点を具体的に示している.

第3章 需要と供給のツールを使って市場を分析する 第3章では,需要・供給モデルを活用して,消費者余剰および生産者余剰,価格規制および数量規制,税金および補助金などを幅広く分析する.これらの概念を早いうちに紹介し,より完璧な説明をしておけば,コース全体をとおして無理なく活用できると考えられる.第3章で取り上げるトピックは融通がきくように挿入されているので,必ずしもすべてに目を通す必要はない,自分で選択してもらいたい.

第2部 消費と生産

第4章 消費者行動 膨大な数の商品やサービスが手に入るとき,何をどれだけ消費するかを消費者はどうやって決めているのだろうか,決定的に重要な本章では,まず一節を設けて,消費者行動に関する想定を明確に打ち出す.現場の教師が試した結果,学生にとってこの方法がきわめて効果的であることが明らかになっている.本章では,効用理論や消費者の予算制約といった概念も,明快だが厳密な形で紹介する.

第5章 個人の需要と市場の需要 本章では,消費者の選好から市場の需要曲線を導出する方法を示す.5.3節の「価格変化に対する消費者の需要量の変化を,所得効果と代替効果に分解する」では,学生がむずかしいと感じることの多いこのテーマを,細心の注意を払いながら説明していく,豊富な応用事例を示し,避けるべき落とし穴を論じることで,このテーマが身近で興味深いものになる.

第6章 生産者行動 どの投入物をどう組み合わせて生産するのか,企業はどのように決めているのだろうか.また,この決定が生産費用にどう影響しているのだろうか.本章では,消費者の章と同じように,最初に「企業の生産行動に関する単純化した想定」を明確に打ち出す.章の後半では,一節をまるまる使って,企業の長期的な生産性に技術変化が果たす役割について論じる.学生にとっては,いくつもの応用事例が「生きた教材」になる.(「ヤバい経済学」のコラムでは,携帯電話によってインドの漁師の生産者行動がいかに変わったかを取り上
げている).

第7章 費用 費用曲線は,企業の生産水準に応じて費用が変化する様子を描いたものであり,市場の供給曲線を導出するうえで重要である,機会費用とサンクコスト(埋没費用)はわかりづらい概念なので,冒頭でこれらの概念の区別と意思決定に果たすそれぞれの役割について丁寧に説明する.スポーツジムの会員の種別と利用頻度の関係,映画会社が赤字覚悟で映画を制作する理由など,本章で取り上げる実例は学生にとって身近な話題であり,わかりづらいとされる概念への理解が深まるはずだ.

第3部 市場と価格

第8章 競争市場における供給 本章から市場構造に関する記述が始まる.競争市場がどのように機能しているかを説明するため,テキサス州の電力業界,マサチューセッツ州ボストンやノースダコタ州ファーゴの住宅市場など,現実の産業を取り上げる,事業から撤退すべきか否かの判断は,学生が混乱しやすいトピックであるが,これを注意深く明快に,粘り強く説明していく.

第9章 市場支配力と独占 本章ではまず,市場支配力の源泉と,こうした支配力が企業の生産と価格決定に与える影響について包括的に論じる.市場支配力を持つ企業が利潤を最大化する決定に至るプロセスを3段階に分けて考えることで,理解しやすくなる.マシュマロ製造のダーキーモーアー社やソーダ製造のドクター・ブラウン社など,独占に近い企業を例にして,独占的市場支配力の概念を現実に即して考える.また,サウスウエスト航空が運賃を引き下げて路線を拡大した例など,豊富な事例を取り上げることで,学生の興味をさらに引くものになっている.

第10章 市場支配力と価格戦略 本章はきわめて現実に近く,有用な章であり,とくに企業で働いている人たちに訴えるはずである.企業が価格支配力を活用できる多様な状況を包括的に取り上げ,それぞれの状況で有効な価格戦略を明快に論じる.学生にとってとりわけ有用なのが,図10.1の「価格戦略の概観」と,「活用できる場合」と題した教育的な項目であり,価格戦略を有効に活用するために,市場や顧客について企業が最初に把握すべきことを説明している.

第11章 不完全競争 本章では,寡占企業および独占的競争企業に注目する.これらの企業は,完全競争企業や独占企業とは異なり,利潤を最大化しようとする競争相手の行動や戦略を考慮しなければならない.さまざまな不完全競争モデルを理解してもらうため,各節の冒頭で「モデルの想定」を設け,モデルにあてはまる条件を列挙している.

第12章 ゲーム理論 ゲーム理論のツールは,企業間の戦略的相互作用を説明し,市場への影響を予測するために活用される.本書ではチェック法を使ってゲームを単純化し,ナッシュ均衡と支配/被支配戦略が一目でわかるようにしているので,ゲーム理論の分析は理解しやすいはずだ.サッカーのペナルティーキックにはじまり,有名人のワインづくり,航空会社の新規参入への対応,映画の「博士の異常な愛情」にいたるまで豊富な話題は,ゲーム理論がビジネスだけでなく日常の意思決定に役立つことを示している.

第4部 基礎から応用へ

第13章 投資,時間,保険 長期のリスクや不確実性の役割を理解すると,個人や企業は,投資や保険についてより良い経済判断ができるようになる.企業や消費者が日々直面する多く
の意思決定において,現在費用,将来価値,時間,不確実性が大きな役割を果たしていることを明確に論じる.これらのテーマを1つの章にまとめて簡潔に論じている点が,本書の閲読者に
高く評価された.

第14章 一般均衡 本章では,一国の経済が効率的に機能するための条件について分析する.一般均衡の概念は,需要・供給の枠組みの延長線上で直観的に説明できる.具体例として,教員の質の低下や,住宅市場と労働市場の相互作用を取り上げる交換,投入,産出の効率性の関係についても説明をくわえ,それらを厚生経済学の定理につなげる.

第15章 情報の非対称性 これまでの章で市場が効率的に機能するのに必要な条件をみたのに続いて,本章では市場が効率的に機能しない状況に注目する.本章では,取引の関係者間で情報が等しく共有されない場合に,市場が歪むことをあきらかにする.ここでも自動車保険から不動産取引,海賊に至るまで幅広い事例を取り上げることで,ミクロ経済学で学ぶ概念が生活のさまざまな分野で役立つことを示していく.

第16章 外部性と公共財 本章でも,引き続き市場の失敗を考察する.取引が買い手でも売り手でもない人々に影響を与える場合,市場に何が起きるのか,逆に,ある財の便益が同時に多くの人々に共有される場合,何が起きるのかに注目する.本章を読めば,なぜ外部性が起きるのか,どうすれば解決できるのかがわかるはずだ(排出権取引やコースの定理について取り上げている).公共財に関する記述では,消防署の建設が火災を誘発しかねない理由をあきらかにする.

第17章 行動経済学と実験経済学 近年の行動経済学の台頭は,従来のミクロ経済学に疑問を投げかけている.行動経済学は,人間が既存の理論どおりに行動しないのではないかと考えている.この疑問に関して,中級ミクロ経済学の教科書はむずかしい立場に置かれる.行動経済学を信奉すれば,教科書で学んだ手法を軽視することになりかねないからだ.
行動経済学について述べた本章では,不合理な世界で合理的に考える方法を示す.誰かが経済的に不合理な決定をすれば,他の市場参加者はその不合理に乗じて自分に有利になるよう行動する(どういう状況で問違いを犯しやすいかを示す).

閲読者への謝辞

下記の本書の閲読者,フォーカス・グループの参加者,その他のコンサルタントの提言やアドバイスに感謝する〔氏名のアルファベット順〕.

Senyo Adjibolosoo, Point Loma Nazarene University
David Anderson, Centre College
Anthony Andrews, Governors State University
Georgeanne Artz, Iowa State University
Kevin Beckwith, Salem State University
Scott Benson, Idaho State University
Tibor Besedes, Georgia Institute of Technology
Volodymyr Bilotkach, Newcastle University
David Black, University of Delaware
Victor Brajer, California State University-Fullerton
John Brock, University of Colorado-Colorado Springs
Keith Brouhle, Grinnell College
Bruce Brown, California State Polytechnic University-Pomona
Byron Brown, Michigan State University
Donald Bumpass, Sam Houston State University
Paul Byrne, Washburn University
Benjamin Campbell, The Ohio State University
Bolong Cao, Ohio University
Shawn Carter, Jacksonville State University
Fwu-Ranq Chang, Indiana University-Bloomington
Joni Charles, Texas State University-San Marcos
Ron Cheung, Oberlin College
Marcelo Clerici-Arias, Stanford University
John Crooker, University of Central Missouri
Carl Davidson, Michigan State University
Harold Elder, University of Alabama
Tisha Emerson, Baylor University
Michael Enz, Framingham State University
Brent Evans, Mississippi State University
Haldun Evrenk, Boston University
Li Feng, Texas State University
Chris Ferguson, University of Wisconsin-Stout
Gary Fournier, Florida State University
Craig Gallet, California State University-Sacramento
Linda Ghent, Eastern Illinois University
Alex Gialanella, Manhattanville College
Lisa Giddings, University of Wisconsin-La Crosse
Kirk Gifford, Brigham Young University
Darrell Glaser, United States Naval Academy
Tuncer Gocmen, Shepherd University
Jacob Goldston, University of South Carolina
Julie Gonzalez, University of California-Santa Cruz
Darren Grant, Sam Houston State University
Chiara Gratton-Lavoie, California State University-Fullerton
Thomas Grennes, North Carolina State University
Philip Grossman, Monash University
Steffen Habermalz, Northwestern University
Jennifer Hafer, University of Arkansas
James Halteman, Wheaton College
David Hammes, University of Hawaii at Hilo
Mehdi Haririan, Bloomsburg University
Daniel J. Henderson, University of Alabama
Paul Hettler, California University of Pennsylvania
Tia Hilmer, San Diego State University
Gary Hoover, University of Alabama
Jack Hou, California State University-Long Beach
Greg Hunter, California State University-Pomona
Christos A. Ioannou, University of Southampton
Miren Ivankovic, Anderson University
Olena Ivus, Queen’s University
Michael Jerison, State University of New York-Albany
Bruce K. Johnson, Centre College
Daniel Johnson, Colorado College
Leo Kahane, Providence College
Raja Kali, University of Arkansas
Pari Kasliwal, California State University-Long Beach
John W. Keating, University of Kansas
Russell Kellogg, University of Colorado-Denver
Chris Kennedy, George Mason University
Rashid Khan, McMaster University
Vasilios D. Kosteas, Cleveland State University
Carsten Lange, California State Polytechnic University, Pomona
Jeffrey Larrimore, Georgetown University
Sang Lee, Southeastern Louisiana University
Daniel Lin, American University
Qihong Liu, University of Oklahoma
Jeffrey Livingston, Bentley University
Kristina Lybecker, Colorado College
Guangyu Ma, State University of New York-Buffalo
Teny Maghakian, University of California-Merced
Arindam Mandal, Siena College
Justin Marion, University of California-Santa Cruz
Timothy Mathews, Kennesaw State University
Ata Mazaheri, University of Toronto-Scarborough
John McArthur, Wofford College
Naranchimeg Mijid, Central Connecticut State University
Lijia Mo, Kansas State University
Myra Moore, University of Georgia
Tamah Morant, North Carolina State University
Thayer Morrill, North Carolina State University
Felix Munoz Garcia, Washington State University
Kathryn Nantz, Fairfield University
Pascal Ngoboka, University of Wisconsin-River Falls
Hong V. Nguyen, University of Scranton
Michael Nieswiadomy, University of North Texas
Matthew J. Notowidigdo, The University of Chicago
Constantin Ogloblin, Georgia Southern University
Alex Olbrecht, Ramapo College of New Jersey
Heather O’Neill, Ursinus College
June O’Neill, Baruch College, City University of New York
Patrick O’Neill, University of North Dakota
Alexei Orlov, Radford University
Lydia Ortega, San Jose State University
Emily Oster, The University of Chicago
Orgul Ozturk, University of South Carolina
Alexandre Padilla, Metropolitan State University of Denver
James Payne, University of South Florida
Anita Alves Pena, Colorado State University
Marie Petkus, Centre College
Jeremy Petranka, University of North Carolina-Chapel Hill
Barry Pfitzner, Randolph-Macon College
Brennan Platt, Brigham Young University
James Prieger, Pepperdine University
Samuel Raisanen, Central Michigan University
Rati Ram, Illinois State University
Ryan Ratcliff, University of San Diego
Marie Rekkas, Simon Fraser University
Michael Reksulak, Georgia Southern University
Malcolm Robinson, Thomas More College
Juliette Roddy, University of Michigan-Dearborn
Brian Rosario, American River College
Nicholas Rupp, East Carolina University
Robert Rycroft, University of Mary Washington
Shane Sanders, Western Illinois University
Sudipta Sarangi, Louisiana State University
Tom Scheiding, Cardinal Stritch University
Helen Schneider, University of Texas-Austin
Barbara Schone, Georgetown University
Kathleen Segerson, University of Connecticut
Quazi Shahriar, San Diego State University
Carl Shapiro, University of California-Berkeley
Alexandre Skiba, University of Wyoming
Rachael Small, University of Colorado at Boulder
Christy Spivey, University of Texas-Arlington
Kevin Stange, University of Michigan
Lee Stone, State University of New York-Geneseo
David Switzer, St. Cloud State University
Ellen Szarleta, Indiana University Northwest
Kerry Tan, Loyola University Maryland
Gwendolyn Tedeschi, Manhattan College
Jeremy Thornton, Samford University
Irene Trela, Western University
Regina Trevino, Loyola University-Chicago
Brian Trinque, University of Texas-Austin
Victoria Umanskaya, University of California-Riverside
Michael Vaney, University of British Columbia
Jennifer VanGilder, Ursinus College
Jose Vazquez, University of Illinois at Urbana-Champaign
Annie Voy, Gonzaga University
Bhavneet Walia, Western Illinois University
Joann M. Weiner, The George Washington University
Jeanne Wendel, University of Nevada-Reno
Benjamin Widner, New Mexico State University
Keith Willet, Oklahoma State University
Beth Wilson, Humboldt State University
Catherine Wolfram, University of California-Berkeley
Peter Wui, University of Arkansas-Pine Bluff
Erik Zemljic, Kent State University

Steven Levitt (原著), Austan Goolsbee (原著), Chad Syverson (原著), スティーヴン レヴィット (著), オースタン グールズビー (著), チャド サイヴァーソン (著), 安田 洋祐 (翻訳), 高遠 裕子 (翻訳)
出版社: 東洋経済新報社 (2018/1/26)、出典:出版社HP

学術面での助言者への謝辞

Linda Ghent (Eastern Illinois University) には大変お世話になった。彼女は、学術面でのエディターであり,優秀なエコノミストであり,天性の教師でもある,文章から構成,図表にいたるまで,本書のかなりの部分に彼女の意見が反映されている.着想を得てから最終的に本として完成するまで,良い教科書にしようと献身的に協力してくれた。彼女の助言は何物にも 代えがたく,共同作業をするのは本当に楽しかった.

Alan Grant (Baker College)は章末の問題を作成してくれた.本文の内容を問うだけでなく、理解を深めてくれる問題になっている. Scott Houser (Colorado School of Mines)と Anita Pena (Colorado State University)は微分の項目を整え, Skip CrookerとKristina Lybeckerと共に、本書を幅広い教員や学生に役立つものにするために多くの手助けをしてくれた。

先がなかなか見通せないとき,頼れる人たちがいて,積極的に関わり貴重なアドバイスをく れたのは幸運だった. Tibor Besedes (Georgia Institute of Technology ), Lisa Giddings (University of Wisconsin-La Crosse), Alan Grant (Baker College), Scott Houser (Colorado School of Mines ), Kristina Lybecker (Colorado College ) , Naranchimeg Mijid (Central Connecticut State University), Kathryn Nantz (Fairfield University ), Anita Alves Pena (Colorad State University ), Jeremy Petranka (University of North Carolina-Chapel Hill), Sudipta Sarangi ( Louisiana State University), Jennifer VanGilder (Ursinus College), Annie Voy (Gonzaga University)の各氏に感謝申し上げる。

草稿段階の本書をいち早く使ってくれた, Lisa GiddingsとAnnie Voyの受講者にはとくに感謝している.本書の核となる章には、彼らの経験が生かされている。
鷹の目のような鋭さで本書全体をチェックしてくれたMichael Reksulak (Georgia Southern University)にはとくに御礼申し上げたい、細部にまで行き届いた仕事のおかげで、 文章が整い、読みやすくなり、理解しやすくなった. Michaelは800メートル先のタイプミスでも見つけられる。誰もがその恩恵を受けている。

出版関係者への謝辞

本書が形になるまで多大な尽力をしてくれた,クリエイティブな人々に大いに感謝したい.
チャド・サイヴァーソン Chad Syverson

何年も前に著者の1人であるAustanのドアをノックし,道筋をつけてくれたのは,当時ワース(Worth)社の経済学担当編集者だったCraig Bleyerだ.Craigは,経営陣のElizabeth Widdicombe, Catherine Woodsの支持を得て,本書のための専門チームを組んでくれた.Craigが別の部署に移ると,後を引き継いだCharles Linsmeierは,編集者として考え抜いたうえで方向性を示し,全体を見通すために必要な手助けをしてくれた.

チームのメンバーは,それぞれにユニークな才能と視点を提供してくれた,ワース社の有能で実績のある経済学担当エディターのSarah Dorgerは,高い専門性と並々ならぬ情熱をもって本書の進行を管理してくれた.3人の著者と編集者や閲読者,コンサルタントらと何度もやり取りを繰り返し,練り上げていくなかで,彼女の大車輪の活躍と常人にはない忍耐があったからこそ,脱線せずにまとめあげることができた.

制作エディターのJane Tuftsは,これまで経済学の代表的な教科書の編集をいくつか手掛けている.本書のすべての要素,すべてのページに,彼女のクリエイティビティが生かされている,学生の気持ちを本当の意味で理解し,学生の立場に立って原稿を読めるという比類ない才能の持ち主の彼女が最初に草稿に目を通し,貴重な助言をくれたおかげで,読みやすく,魅力的な学生本位の教科書に仕上がった.

ワース社の制作エディターで,確かな知性と優れた判断力を持つBruce Kaplanは,広範な制作プロセスを穏やかにてきぱきと仕切ってくれた.彼の指示を受けたアシスタント・エディターのMary Melisによって,われわれの草稿は,疲れを知らないプロダクション・チームに引き渡された,Melissa Pelleranoは,プロセス全体を通してしっかりサポートしてくれた.

シカゴ大学では,とくにErin Robertsonのアシストがなければ,途方にくれるところだった,経験を生かして,リサーチ,編集,校正,出版社との連絡全般にわたって助けてくれた.彼女が自分の本を出す準備は万全だ!

本書を読者に届けるために知恵を絞り,支えてくれたワース社の多くの関係者に感謝申し上げるTracey Kuchn, Barbara Seixas, Lisa Kinneは,当初の企画段階から最後まで基本的な方向性を示してくれた.度重なる締切破りとハリケーン・サンデーの後,Rob Erreraは,きめ細かに目配りしながら,制作プロセス全般を見守ってくれた,注意深い目をもった,コピー・エディターのPatti Brechtにも感謝している.デザイナーのKevin Kallは,その独創的な装丁で,本書を一般的な中級の教科書とは一線を画すものにしてくれた.Ted SzczepanskiとElyse Riederは,各章ごとに,面白くて興味をそそる写真を探してくれた.明快で有用なグラフの原図を描いてくれたGreg Ghentにも特段の感謝をおくりたい.

中級ミクロ経済学は,教師と学生が自ら作りあげるコースであり,教室の内外での学習を充実させるため,質の高い指導要領や学習の手引きには高いニーズがある.ワース社のメディア・補助教材担当エディターのLukia KliossisとJaclyn Ferryは,教師にも学生にも役立つ画期的なツールを提供するために尽力してくれた.本当に役立つメディアや補助教材というプランを現実にものにしてくれたLukiaにはとりわけ感謝したい,彼女をはじめ同僚のStacey Alexander, Edgar Bonilla, Ashley Josephが形にしてくれた補助教材は,教師にとっても学生にとっても,中級ミクロ経済学のコースを充実したものにしてくれるはずだ.

初版のマーケティングには,特別なむずかしさとチャンスがあるが,ワース社のマーケティング・チームは,クリエイティビティを発揮しながら熱心に取り組んでくれた.Paul Shensaの知性と経験は何物にも代えがたく,彼がナビゲートしてくれたおかげで,教師や学生の幅広いニーズを知ることができた.Steve RigolosiとScott Guileが制作プロセス全般にわたってマーケティングに緻密な方向性とひらめきを与えてくれたことで,本書は一段と有用なものになった.おかげで熱い市場にうまく参入できた.その間,大いに励まし,専門家としての調整力を発揮しながら,テストとレビューをきめ細かに取りまとめてくれたKerri Russiniにも御礼申し上げたい.

最後に

われわれの仕事を絶えず応援し、感謝を伝えることができないほど忙しいときでも支えてくれる,それぞれの家族に心からありがとうと伝えたい.結局のところ,教科書はあくまでツールにすぎないのであって,学生が授業やそれ以外の場で互いに学び合うことを補助するものだ.本書をきっかけに、学習を続け,いずれは経済学を使いこなせるようになってくれることを願っている.

オースタンダールズビー Austan Goolsbee
スティーヴン・レヴィット Steven Levitt
チャド・サイヴァーソン Chad Syverson

Steven Levitt (原著), Austan Goolsbee (原著), Chad Syverson (原著), スティーヴン レヴィット (著), オースタン グールズビー (著), チャド サイヴァーソン (著), 安田 洋祐 (翻訳), 高遠 裕子 (翻訳)
出版社: 東洋経済新報社 (2018/1/26)、出典:出版社HP

『レヴィットミクロ経済学』 総目次

序文

第1部 基礎概念

第1章 ミクロ経済学の冒険
第2章 需要と供給
第3章 需要と供給のツールを使って市場を分析する

第2部 消費と生産
第4章 消費者行動
第5章 個人の需要と市場の需要
第6章 生産者行動
第7章 費用

第3部 市場と価格

第8章 競争市場における供給

以上、基礎編

第9章 市場支配力と独占
第10章 市場支配力と価格戦略
第11章 不完全競争
第12章 ゲーム理論

第4部 基礎から応用へ

第13章 投資,時間,保険
第14章 一般均衡
第15章 情報の非対称性
第16章 外部性と公共財
第17章 行動経済学と実験経済学

以上、発展編

レヴィット ミクロ経済学 発展編 ——目次

監訳者序文
序文

第3部 市場と価格

第9章 市場支配力と独占
9.1 市場支配力の源泉
極端な規模の経済——自然独占
【応用】衛星ラジオ産業における自然独占
スイッチングコスト
製品差別化
主要投入物の支配による絶対的費用優位
【応用】主要投入物の支配——ブラジル,フォードランディアの苦難の歴史
政府の規制
意思(と生産者余剰)あるところに道は開ける
9.2 市場支配力と限界収入
【ヤバい経済学】薬物取引業者が戦争ではなく平和を求めるワケ
市場支配力と独占
限界収入

【9.1 解いてみよう】
9.3 市場支配力を持つ企業の利潤最大化
利潤を最大化する方法
市場支配力を持つ企業の利潤最大化——グラフによるアプローチ
市場支配力を持つ企業の利潤最大化——数式によるアプローチ
【9.2 解いてみよう】
市場支配力を持つ企業のマークアップの公式——ラーナー指数
【応用】市場支配力 対 市場シェア
市場支配力を持つ企業にとっての供給関係
9.4 市場支配力を持つ企業の市場変化への反応
限界費用の変化への反応
需要変化への反応
完全競争市場との大きな違い——顧客の価格感応度の変化に対する反応
【9.3 解いてみよう】
9.5 市場支配力の勝者と敗者
企業が市場支配力を持つ市場における消費者余剰と生産者余剰
完全競争市場における消費者余剰と生産者余剰
【応用】サウスウエスト航空
市場支配力がもたらす死荷重
異なる市場支配力が生む生産者余剰の差
【9.4 解いてみよう】
9.6 政府と市場支配力——規制、反トラスト、技術革新
直接的な価格規制
反トラスト
独占を促す——特許権,許認可,著作権
【応用】インターネットのファイル共有と音楽業界
特許権保護の実際
【理論とデータ】新薬の潜在的市場を見極める
9.7 結論
まとめ
復習問題
演習問題

第9章 補論 利潤最大化の微分
利潤最大化の条件
限界収入
【9A.1 解いてみよう】
【9A.2 解いてみよう】
演習問題

第10章 市場支配力と価格戦略
10.1 価格戦略の基本
企業が価格戦略を追求できるとき
10.2 直接の価格差別 Ⅰ——完全価格差別 (第1種価格差別)
【10.1 解いてみよう】
完全価格差別の例
【応用】市場支配力がなければ価格差別できないことを、プライスライン社はいかにして学んだか
10.3 直接の価格差別 Ⅱ——セグメント化による価格差別(第3種価格差別)
セグメント化がもたらす利益——グラフによるアプローチ
セグメント化がもたらす利益——数式によるアプローチ
各セグメントの価格をいくらにすべきか
【これで合格】それは正真正銘の価格差別なのか
【10.2 解いてみよう】
顧客を直接セグメント化する方法
【ヤバい経済学】ヴィクトリアズ・シークレット社の秘密でない価格差別
【理論とデータ】欧州の自動車市場における地域別セグメント
10.4 間接の価格差別(第2種価格差別)
数量割引による間接の価格差別
【10.3解いてみよう】
バージョニングによる問接の価格差別
クーポンによる問接の価格差別
10.5 セット販売 混合セット販売
【10.4解いてみよう】
10.6 高度な価格戦略
まとめ売り価格
2部料金制
【10.5解いてみよう】
10.7 結論
まとめ
復習問題
演習問題
第11章 不完全競争
11.1 寡占市場における均衡
【応用】ナッシュ均衡の例——映画のマーケティング
11.2 同一財の寡占市場——共謀とカルテル
共謀やカルテルの不安定性
【応用】OPECと石油統制
【11.1解いてみよう】
カルテルがうまくいく条件
【応用】インディアナポリスのコンクリート・カルテル
【ヤバい経済学】政府はいかにして巨大タバコ・メーカーとの戦いに敗れたのか
11.3 同一財の寡占市場——ベルトラン競争
ベルトラン・モデルを構築する
ベルトラン競争におけるナッシュ均衡
【理論とデータ】コンピュータ部品 その1
11.4 同一財の寡占市場——クールノー競争
クールノー・モデルを構築する
クールノー競争における均衡
【11.2 解いてみよう】
クールノー競争を共謀, ベルトラン競争と比較する
クールノー競争において企業数が3社以上の場合
クールノー競争 対 ペルトラン競争——議論の拡張
11.5 同一財の寡占市場—— シュタッケルベルク競争
シュタッケルベルク競争と先行者利得
【11.3解いてみよう】
11.6 差別化された財の寡占市場——ベルトラン競争
差別化された財のベルトラン競争における均衡
【11.4解いてみよう】
【理論とデータ】コンピュータ部品 その2——必死の差別化
11.7 独占的競争
独占的競争市場における均衡
【11.5解いてみよう】
11.8 結論
まとめ
復習問題
演習問題

第12章 ゲーム理論
12.1 ゲームとは何か
支配戦略と被支配戦略
12.2 1回限りのゲームでのナッシュ均衡
【これで合格】チェック法
【12.1 解いてみよう】
複数均衡
混合戦略
【応用】サッカーにおけるランダムな混合戦略
マキシミン戦略(敵が愚かなら、どうするか)
【応用】太陽の下の道楽——非合理的な富豪たちのワインづくり
12.3 繰り返しゲーム
有限回繰り返しゲーム
無限回繰り返しゲーム
【12.2 解いてみよう】
12.4 交互手番ゲーム
【これで合格】後ろ向き帰納法と枝刈り
もう1つの交互手番ゲーム
【12.3 解いてみよう】
12.5 戦略的行動,信憑性,コミットメント
利得の譲渡
コミットメント
【12.4解いてみよう】
【応用】ストレンジラブ博士と秘密の危機
参入阻止——信憑性の活用
【理論とデータ】サウスウエスト航空の新規参入の脅威に対する既存航空会社の反応評判
【ヤバい経済学】ゲーム理論が命を救う
12.6 結論
まとめ
復習問題
演習問題

第4部 基礎から応用へ
第13章 投資,時間,保険
13.1 割引現在価値分析
利子率
「72の法則」
割引現在価値(PDV)
【応用】債券の割引現在価値
【13.1 解いてみよう】
13.2 投資選択を評価する
純現在価値
NPV評価での利子率の重要な役割
【応用】航空会社の機体の更新
純現在価値法 対 回収期間法
【13.2 解いてみよう】
13.3 さまざまな利子率と資本市場
名目利子率 対 実質利子率
その他の利子率による評価
資本市場と市場利子率の決定要因
【13.3 解いてみよう】
13.4 リスクのある投資を評価する
不確実性を考慮した純現在価値——期待価値
リスクと先送りオプション価値
【13.4 解いてみよう】
13.5 不確実性,リスク、保険
期待収益、期待効用,リスクプレミアム
保険市場
【理論とデータ】メディケアの保険価値
リスク回避度
リスク回避と投資判断
【ヤバい経済学】現代の黙示録——災害を予防するために、いくら支払うのか
【13.5解いてみよう】
13.6 結論
まとめ
復習問題
演習問題

第14章 一般均衡
14.1 一般均衡効果の実際
一般均衡効果の概観
数量的一般均衡——需要サイドでつながっているトウモロコシ市場と小麦市場の例
【14.1 解いてみよう】
【理論とデータ】カーマゲドンの一般均衡
数量的一般均衡——供給サイドでつながっているトウモロコシ市場と小麦市場の例
【ヤバい経済学】良い教師はどこに消えたのか
【応用】都市における住宅市場と労働市場の一般均衡効果
14.2 一般均衡——公平と効率性
市場のパフォーマンスの測定基準——社会的厚生関数
【14.2 解いてみよう】
市場パフォーマンスの尺度——パレート効率性
市場のパレート効率性を見つける
市場の効率性——3つの条件
14.3 市場の効率性——交換の効率性
エッジワース・ボックス
エッジワース・ボックスにおける取引の利得
【14.3 解いてみよう】
14.4 市場の効率性——投入の効率性
生産可能性フロンティア
【14.4 解いてみよう】
14.5 市場の効率性——産出の効率性
限界変形率
【14.5 解いてみよう】
14.6 市場,効率性,厚生経済学の定理
【応用】インドの製造業の産出の効率性
14.7 結論
まとめ
復習問題
演習問題

第15章 情報の非対称性
15.1 レモンの問題と逆淘汰(逆選択)
品質がわかる場合
品質がわからない場合
逆淘汰
その他のレモンの問題の例
レモンの問題を軽減する制度
【15.1解いてみよう】
【応用】収集品販売の評判
買い手の情報が多いときの逆淘汰——保険市場
保険市場の逆淘汰を軽減する
【応用】逆淘汰と強制保険
15.2 モラルハザード
極端なモラルハザードの例
【15.2解いてみよう】
保険市場におけるモラルハザードの例
保険市場以外のモラルハザード
モラルハザードを軽減する
【応用】利用実績に基づく自動車保険
15.3 プリンシパル-エージェント関係における情報の非対称性
プリンシパル-エージェントとモラルハザードの具体例
ゲームとしてのプリンシパル-エージェント関係
【ヤバい経済学】俺ら海賊——全員公平な扱い?
一般的なプリンシパル-エージェント関係
【理論とデータ】住宅用不動産取引におけるプリンシパル-エージェント問題
【15.3解いてみよう】
15.4 情報の非対称性問題を解決するシグナリング
シグナリングの古典的な例——教育
他のシグナル
【応用】品質のシグナルとしての広告
【15.4解いてみよう】
15.5 結論
まとめ
復習問題
演習問題

第16章 外部性と公共財
16.1 外部性 なぜ,うまくいかないのか——外部性による経済の非効率性
負の外部性——悪い財が多すぎる
【16.1解いてみよう】
正の外部性——良い財が十分に供給されない
【理論とデータ】自動車盗難防止装置(ロジャック)の正の外部性
16.2 外部性を是正する
汚染の効率的水準 価格を使って外部性を是正する
【応用】スパムメールを減らす
【16.2 解いてみよう】
【応用】自動車税の引上げは、ドライバーを喜ばせたのか
外部性を是正するための数量メカニズム
価格ベース 対 数量ベースの介入と不確実性
市場志向型アプローチで外部性を是正する——排出許可証制度の市場(排出権取引市場)
【16.3 解いてみよう】
16.3 外部性に関するトピックとその対策
共有地の悲劇
コースの定理——外部性の是正を自由市場に委ねる
【16.4解いてみよう】
【応用】テキサスの油田で、共有地の悲劇がコースの定理と出会う
コースの定理と排出権取引市場
16.4 公共財
公共財の最適な水準
【16.5 解いてみよう】
フリーライダー問題を解決する
【ヤバい経済学】消防活動は公共財か
16.5 結論
まとめ
復習問題
演習問題

第17章 行動経済学と実験経済学
17.1 経済モデルの予想どおりに行動できないとき
系統的なバイアス1——過信
系統的なバイアス2——自己管理の問題と双曲割引
系統的なバイアス3——フレーミングの餌食になる
系統的なバイアス4——サンクコストに注意する
【応用】サンクコストのバイアスと住宅市場の崩壊
系統的なバイアス5——寛大さと利他心
17.2 行動経済学は、これまで学んできたことがすべて無駄だと言っているのか
17.3 経済理論をデータで検証する——実験経済学
ラボ実験
【ヤバい経済学】(文字通り) 世界の果てに、経済理論を検証しに行く
自然実験とフィールド実験
17.4 結論,そしてミクロ経済学の未来
まとめ
復習問題
演習問題

用語集

Steven Levitt (原著), Austan Goolsbee (原著), Chad Syverson (原著), スティーヴン レヴィット (著), オースタン グールズビー (著), チャド サイヴァーソン (著), 安田 洋祐 (翻訳), 高遠 裕子 (翻訳)
出版社: 東洋経済新報社 (2018/1/26)、出典:出版社HP