ビジュアル ゲーム理論 (日経文庫)

【ゲーム理論入門おすすめ本 – ビジネス、日常でも使える知識を! 】も確認する

視覚的に理解するゲーム理論入門

入門の入門として執筆されたロングセラーになった『図解雑学ゲーム理論』を全面改訂されて本書となりました。入門書では図、表、イラスト付きのゲーム理論随一となっております。

渡辺 隆裕 (著)
出版社: 日本経済新聞出版 (2019/4/16)、出典:出版社HP

まえがき

ゲーム理論は2人以上のプレイヤー(個人、企業、政 府など)が競争や協力を行う状況や問題を数学によっ て理論化したものです。経済学を中心に経営学、政治 学、社会学などの社会科学はもちろん、生物学やコン ピュータの研究においても広く用いられています。

囚人のジレンマをはじめ、チキンゲーム、モラルハ ザード、インセンティブ、リスク分担、逆選択など、 皆さんが日常で耳にするキーワードもゲーム理論と深 い関係があります。 「ゲーム理論について、よく知りたい、学びたい」と いう声を受け、筆者は2004年に『図解雑学〉ゲーム 理論』をナツメ社から出版しました。おかげさまでこ の本は多くの方に読まれ好評価を頂き、長く愛されて きました。しかし10年以上が過ぎ残念ながら絶版とな り、その一方でゲーム理論の研究も進み、また読者の もつ知識やニーズにも変化が出てきました。そこで、 マッチング理論などの最近の話題も盛り込み、大幅に 改訂してリニューアルしたものが本書です。

〈図解雑学〉では数式をあまり用いずに、概念や解の 求め方などの理論部分を説明するとともに、キーワー ドについて例や説明もバランス良く盛り込んだ本を目指しました。このような欲張りな目標も「図解」とい う方法をうまく用いることで達成でき、大学のゼミの テキストとして使われることもしばしばで、「『雑学』 という言葉が合わないテキストとしても使える本だ」 とも言われました。

その後、本務である首都大学東京のビジネススクー ルの講義や企業の講演などで頂いた質問や意見で、〈図 解雑学〉で説明不足の点やわかりにくい点などに気づ くことができました。今回のリニューアルでその点を 改善することもでき、「痒いところに手が届く」本にな ったと自負しています。
日本経済新聞出版社の堀口祐介さんには本書を出版 する機会を頂くとともに執筆を支えて頂き、大変感謝 致しています。またいつも執筆を励ましてくれる私の 妻にもこの場を借りて感謝したいと思います。

本書を通じて、楽しく魅力的なゲーム理論を知り、 その理解を深め、さらなる学習へ発展して頂けること を願ってます。

2019年4月
渡辺隆裕

渡辺 隆裕 (著)
出版社: 日本経済新聞出版 (2019/4/16)、出典:出版社HP

目次

第1章 ゲーム理論を学ぶ
1 ゲーム理論とは何か
2 幅広い応用分野
3 なぜゲーム「理論」なのか?―理論による理解
4 数学を用いたゲーム理論の力
5 理論による説明とデータによる説明
coffee Break 1 フォン・ノイマンとゲーム理論

第2章 基本―同時ゲームか交互ゲームか
6 同時ゲームと交互ゲーム
7 同時ゲームを構成する3つの要素
8 同時ゲームの例1 文秋vs. 新朝PART1―特集記事競争
9 利得行列を書いて分析しよう
10 「支配戦略」を探せ
11 ゲームの結果=ゲームの解
12 同時ゲームの例2 文秋vs. 新朝PART2
13 どちらか一方だけに支配戦略があるとき
14 支配戦略に対する最適な戦略を選択する
15 同時ゲームの例3 文秋vs. 新朝PART3
16 ナッシュ均衡とは?
17 読み合う先に行き着く結果
18 ゲームの解はナッシュ均衡で決まり!
19 交互ゲームの例文秋 vs. 新朝 PART4
20 交互ゲームでは「ゲームの木」で考える
21 交互ゲームも同時ゲームも思考法は同じ
22 「先読み」で考えよ
23 交互ゲームにおけるゲームの解
24 バックワードインダクション
25 交互ゲームの戦略とナッシュ均衡
Coffee Break 2 将棋や囲碁とゲーム理論

第3章 応用―チキンゲーム、インセンティブ、囚人のジレンマ
26 チキンゲーム
27 チキンゲームとフォーカルポイント
28 ゲームを変えろ! コミットメント
29 先手が有利か、それとも後手が有利か?
30 インセンティブとゲーム理論
31 努力に対する報酬のインセンティブ
32 報酬と罰則によるwin-winの契約
33 交渉をゲーム理論で考える
34 交渉の利益と余剰の分配
35 最後通牒ゲーム
36 最後通牒ゲームと実験経済学
37 オークション
38 競り
39 インターネットオークションと自動入札方式
40 セカンドプライスオークション
41 収益等価定理
42 囚人のジレンマ―2国の環境汚染を例に
43 囚人のジレンマの由来
44 囚人のジレンマの条件
Coffee Break 3 コーディネーションゲーム

第4章 発展―循環多数決、繰り返しゲーム、トリガー戦略
45 交互ゲームと同時ゲームの混合形
46 部分ゲームと部分ゲーム完全均衡
47 決定の順序と戦略的投票
48 循環多数決
49 戦略的投票一ゲーム理論で考える
50 繰返しゲーム
51 有限回の繰返しゲーム
52 無限回の繰返しゲーム
53 トリガー(引き金) 戦略
54 協力の達成とフォーク定理
55 アクセルロッドの実験とオウム返し戦略
56 スポーツの戦略とゲーム理論
57 ナッシュ均衡のないゲーム
58 期待値を考え、ゲームの解を求める
59 戦略的思考の神髄
Coffee Break 4 ナッシュ博士と『ビューティフル・マインド』

第5章 不確実性と情報モラルハザード、逆選択、マッチング
60 不確実な状況下でのゲーム理論
61 期待値と期待金額とリスク
62 利得の期待値―期待利得
63 モラルハザード
64 モラルハザードのモデル
65 逆選択―相手の「属性」がわからない
66 ベイズの定理
67 ベイズの定理とゲーム理論
68 行動と情報―資格試験を例に
69 資格が正しい情報となる条件
70 シグナリング、コスト、事前確率
71 不完備情報ゲームとベイズ完全均衡
72 マッチングとメカニズムデザイン
73 マッチングの安定性
74 受入保留方式
75 耐戦略性、メカニズムデザイン、マーケットデザイン
Coffee Break 5 混雑ゲームとポテンシャルゲーム

第6章 大きく広がるゲーム理論
76 新しいゲーム理論
77 進化ゲーム理論
78 コンピュータとゲーム理論
79 実験経済学と行動ゲーム理論
80 もう1つのゲーム理論―協力ゲーム
Coffee Break 6 シャープレイ値と投票力指数

文献案内

渡辺 隆裕 (著)
出版社: 日本経済新聞出版 (2019/4/16)、出典:出版社HP