貧困と闘う知――教育、医療、金融、ガバナンス

【エスター・デュフロおすすめ本 – 貧困、開発経済学専門のノーベル賞受賞者(アビジット・V・バナジーとの共著も)】も確認する

途上国の教育、医療、金融、ガバナンスについて

本書はDufloがフランス政府での協力を得ての講座内容の議事録的な内容を書籍化したものです。( LE DÉVELOPPEMENT HUMAIN: Lutter contre la pauvreté (I) LA POLITIQUE DE L’AUTONOMIE: Lutter contre la pauvreté (II) )。

内容としては「貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える」同様研究結果の一般向けの解説的な流れになります。途上国の教育、医療、金融、ガバナンス以外の箇所は「貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える」を参考にしつつ、。途上国の教育、医療、金融、ガバナンスは本書と掛け合わせると更に知識の定着が図れます。

エステル・デュフロ (著), 峯 陽一 (翻訳), コザ・アリーン (翻訳)
出版社: みすず書房 (2017/2/18)、出典:出版社HP

謝辞

本書は、フランス開発庁(AFD)の協力で資金供与を受けた年間講座「貧困と闘う知」の一環として、二〇〇九年一月に行われた四つの講義に基づくものである。同講座の初代教授に就任する名誉を与えてくれたピエール・コルボ ル、フィリップ・クリルスキー、ピエール・ロサンバロンに、とりわけ感謝す る。エレーヌ・ジャコビノは、原稿の起草にあたって重要な役割を果たしてく れた。バンサン・ポンスは注と図表を追加してくれた。コラ・デュフロとイワ ン・ジャブロンカは草稿を通読し、その改善に大いに貢献してくれた。本書は 研究者、アシスタント、パートナー機関のネットワークによる共同研究の巨大 な氷山の一部にすぎない。密接な共同作業を行っている私の協力者たち、すな わちアニー・デュフロ、パスカリーヌ・デュパ、レイチェル・グレナースター、 マイケル・クレマー、ロヒニ・パンデ、クザイ・タカバラシャに、そしてとり わけ、私の考察に常にインスピレーションを与えてくれるアビジット・バナジーに、心から感謝する。ビオレーヌ・デュフロは私に奉仕への情熱を与え、ミ シェル・デュフロは知ることへの情熱を与えてくれた。本書をふたりに捧げたい。

エステル・デュフロ (著), 峯 陽一 (翻訳), コザ・アリーン (翻訳)
出版社: みすず書房 (2017/2/18)、出典:出版社HP

目次

謝辞
第I部 人間開発
第I部の序
第1章
教育| ー通わせるか、学ばせるか。
教育を普及させる――伝統的アプローチ
学校教育に補助金を出す
親に支払う
伝統的アプローチの限界
学校教育への参加を促す
教育の価値を知らせる
生徒たちの健康状態
費用と便益
知識の伝播
「同じものを増やす」という失敗
追加的な資源を利用して教育法とモチベーションを変える
教員にモチベーションを与える――金銭的インセンティブが果たす役割
制度を改革する
親にすべての権力を?
学校の民営化?
学校を改革する

第2章 健 康――行動と制度
ウダイプルにおける保健医療
保健医療の供給と需要――切り離せない諸要因
階層的アプローチ
利用者の動員
良質なサービスに対する需要が弱いのはなぜか
予防行動の価格感受性が強いのはなぜかな
予防医学に関する情報の伝達――戦略、成功、失敗
保健医療政策にかかわる含意
第I部の結論
第1部自立政策%
第1部の序

第3章 マイクロファイナンスを問い直す
貧困と、融資へのアクセス
信用市場の経済分析
高い金利で需要は縮小するのか
高い金利は信用の質を悪化させるか
マイクロファイナンスの成功の秘訣
女性にお金を貸す
毎週の返済
連帯責任による貸付
グループでお金を借りる
マイクロファイナンスと取引費用
マイクロクレジットのインパクト!
クレジットを超えて
強制的な規律
保険の効力
マイクロファイナンスにはどのような未来があるか

第4章 ガバナンスと汚職
どうやって汚職と闘うか
汚職を計測する
汚職を理解する
汚職と闘う
地方のガバナンスを改善する
地方分権の利点と弱点
民衆参加の効率性
ルールと政策決定
クオータ制によって女性蔑視を緩和することができるか
能力か、イデオロギーか
ガバナンスと、貧困に対する闘い
第1部の結論
訳者解説
原注

フランス開発庁(AFD)とのパートナーシップのもとで、コレージュ・ド・ フランスは、国際講座「貧困と闘う知」を創設した。この講座には、開発の 様々な次元(経済のみならず、水やエネルギーに対するアクセス、保健衛生、都市化な ど)にかかわるハイレベルの専門家たちが結集している。そこで実施される講 義は、現場におけるAFDの活動のよりよい理解と、その改善に貢献するもの である。同講座は、これらの問題に関する質の高い考察を一般の人々の間に普 及させる活動にも参加している。
公共機関であるAFDは、南の国々において貧困と闘い、開発を促進するために、六〇年以上にわたって活動してきた。AFDは、フランス政府が定めた 開発政策を実行に移している。開発プロジェクトに対する資金供与を超えて、 AFDは知識の生産という重要な活動をも担っている。AFDは国際的な大論 争に活発に関与しながら、テーマ別、セクター別、および地理的な分析を行う ことで、公共の開発援助を運用する戦略の立案に貢献している。

エステル・デュフロ (著), 峯 陽一 (翻訳), コザ・アリーン (翻訳)
出版社: みすず書房 (2017/2/18)、出典:出版社HP