SDGsの基礎

【最新 – SDGsを知る・学ぶおすすめ本 – ビジネスマン、学生にも最適!】も確認する

SDGsの必要性がよくわかる

本書は、企業におけるSDGsの基本的な考えや取り組むべきことを1冊にまとめることを狙いとしています。また、企業がSDGsに取り組む意義の整理、社内へのSDGsの浸透の進め方、景絵の統合やビジョンへの連動などの課題に対して解決策を示しています。SDGsを理解して事業に活かしたい人におすすめです。

事業構想大学院大学 出版部 (著)
販売: Amazon Services International, Inc.、出典:出版社HP

SDGsの背景と理念

巻頭言 「持続可能な社会の実現に向けて変わる企業 の役割と可能性

2015年9月にニューヨークの国連本部において、「国連持続 可能な開発サミット」が開催され、「我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。 この目標が17のゴールと169のターゲットからなる、持続可能 な開発目標(SDGs)です。

SDGsは「誰一人取り残さない」という考えのもと、世界の課 題を網羅的にとりあげています。策定のプロセスには、政府、 民間企業、研究者、市民など、多くの関係者が議論に参画した こともあり、立場の異なる者同士の間をとりもつ、「共通言 語」としての特徴を持ち合わせています。
このような特徴から、国際機関や政府主導という側面だけで はなく、企業への期待や可能性は大きいように思われます。野 心的な目標を掲げており、経済活動や、企業におけるイノベー ションの創発に期待されているためです。

企業における社会課題への取り組みは、事業活動で得た収益 を基にした寄付や奉仕活動などを中心に、社会的責任(CSR) の視点から進んできました。その後、経営戦略論の大家であるマイケル・ポーター教授が「共有価値の創造(CSV)」を提唱 し、企業活動の中に「世の中をいかに良くするか」という視点 を組み込みました。これにより、企業活動は、経済的価値を生 み出すと同時に、社会的価値も生み出すという考え方が広まり ました。

SDGsは、CSVの考え方を発展させたと捉えることができます。CSVはあくまで経営課題が中心ですが、SDGsは社会課題が 中心にあり、持続可能な社会の実現という、大きな社会価値を 生み出すことが求められています。

「三方よし」日本発の展開に期待

日本における経営哲学の代表例として、近江商人の「三方よ し」は広く知られています。「買い手が満足し、売り手が満足 するというのは、商売として当然のこと。世間(社会)に満 足、つまり、貢献できてこそよい商売」という、自らの利益の みを追求することをよしとせず、社会の幸せを願う「三方よ し」の精神は、多くの企業にとって経営理念の根幹になっています。

SDGsは、「三方よし」の理念を時間的にも、空間的にも広げたものといえます。たとえば、売り手と買い手だけではなくサ プライチェーン全体が満足することや、地球環境全体、さらに は、未来の社会を担う将来世代の満足までを視野に入れるということです。そのため、多くの企業にとって、日本における伝統的な経営観を捉えなおすことで、SDGsを大きく推進していけると感じます。

すでに、日本におけるSDGsは、日本経済団体連合会(経団 連)がSDGsを柱にする旨を行動憲章に明記するなど、大手企業 を中心に、認知と活動が進みつつあります。前述のように新た な事業開発や企業価値の向上、ステークホルダーとの関係強化 といったことにも期待されています。

●新事業の開発
気候変動、健康、教育、食料など、地球規模で広範な社会課題に対し、自社の経営資源を活用した解決策を考えることで、新たな事業の構想に役立ちます。
●企業価値の向上
ESG投資にみられるように、金融や投資の側面でも、企業が 環境や社会の課題にどう対応しているかが重視されるようになっています。SDGsに取り組むことで、企業価値の向上に結びつきます。
●ステークホルダーとの関係強化
SDGsと経営上の優先課題を統合させる企業は、顧客・従業員・その他ステークホルダーとの協働を強化できます。

『人間会議』『環境会議』の20年を通して思うこと

私どもは、『人間会議』『環境会議」という雑誌を、1999年 に創刊しました。それぞれ、「哲学を生活に生かし、人間力を 磨く」「環境知性を暮らしと仕事に生かす」をコンセプトに、 時代の空気を先取りし、本質を考えるためのコミュニケーション・プラットフォームを提案しました。ちょうど、地球温暖化 を防止するための京都議定書が採択され、社会全体がこれから 「環境の時代に」という風潮でした。

環境問題に対する関心が大きな動きになるためには、その前 提として我々がどのような社会にしていきたいのか 、どのよう な未来を創っていきたいのかという理念や哲学が必要不可欠だ と考えています。理念があって初めて、どうすべきか、その方 向性や行動、方策、施策が出てくるためです。

個々の企業ではなく、社会全体として、持続可能な社会の実 現を目指すSDGsは、望ましい未来を創ろうという考えそのもの であり、これが社会や企業で共有されることで、大きな動きに なることでしょう。

しかしながら、SDGsが採択されてからこれまでの間、企業の 関心は主に、基本的な理解と、自社の事業とSDGsはどのように かかわるのか、といったことに集中し、SDGsが持つ未来像を見 据えた、新たな価値創造にまでは十分に至っていないように思われます。

SDGsの達成に貢献する新たな事業の開発 SDGS総研の創設

今世の中に最も必要とされていることは、時代の変化を先読 みし、知財を活かし、未来をつくり出すことと感じています。 そこで、私どもでは、2012年4月に、学校法人先端教育機構・ 事業構想大学院大学という新分野の大学院大学を開学しまし た。院生たちは、理想とする事業構想を考え、実現するための 構想(理想)計画を研究しています。現在は大阪・福岡にも開設し、私自身は、これから47都道府県に事業構想を広げていく 構想を温めています。さらに、2017年には、戦略的な広報と情 報発信を実践研究する社会情報大学院大学を開学しました。高い志、使命感、専門性の追求によって社会の一翼を担う人材の 教育と研究に力を注いでいます。

このたび、先端教育機構の研究所としてSDGs総研を創設しました。SDGsには、持続可能な社会という未来を見据えた構想が 必要であると考えたためです。2030年持続可能な社会の実現に 向けて、企業の発展と、社会課題の解決の同時達成に向けた実 践研究ならびに、SDGsを力強く推進する人材教育を推進してまいります。
本書では、企業におけるSDGsの基本的な考えや取り組むべき ことを1冊にまとめることを狙いとし、下記のような課題に対し解決策を示すことを目指しました。

●企業がSDGsに取り組む意義を整理したい。
●環境やCSRに関するセクション以外への理解度を高めたい。
●社内へのSDGsの浸透を進めたい。
●経営への統合、経営計画やビジョンへの連動を進めた

本書が皆様にとって、SDGsを理解し、事業に活かす一助になれば幸いです。

学校法人 先端教育機構
理事長 東 英弥

事業構想大学院大学 出版部 (著)
販売: Amazon Services International, Inc.、出典:出版社HP

目次

巻頭言 持続可能な社会の実現に向けて変わる企業の役割と可能性 (東英弥)
第1章 持続可能な開発目標と日本政府・環境省の取組(環境省)
はじめに
1. SDGsの成り立ち
2. SDGsの特徴と環境との関わり
3. 政府の取組
4. 環境省の取組

第2章 企業におけるSDGsの役割(吉田哲郎・小野田真二)
はじめに―SDGsの「本業化」の必要性
1. グローバル企業によるSDGs実施の動向
2. 日本企業によるSDGsの取組みの動向
3. SDGsを企業内部に根付かせていくための視点
4. 企業活動を通じてSDGsに貢献していくための視点
おわりに――「組織」と「企業活動」の両面で戦略的に取組み実施を

第3章 企業におけるSDGs戦略(笹谷秀光)
はじめに――事例でSDGsを理解する
1. 企業経営に、なぜSDGsが必要か
2. SDGs導入の準備——CSR、CSV、ESGを整理する
3. SDGsの導入と実践 SDGコンパスの活用
4. 優良事例に学ぶSDGs実践の方向性
第4章 マルチステークホルダー・パートナーシップで進めるSDGs(佐藤真久)
はじめに
1. 今日の時代認識——世界に見られる大きな変化
2. MDGsとSDGs―異なる社会背景と異なる前提
3. リレートーク*SDGsとパートナーシップ”における論点
4. マルチステークホルダー・パートナーシップで進めるSDGS
5. “ソーシャル・プロジェクト”成功の鍵とは
おわりに

第5章 持続可能な公共調達から考える(黒田かをり)
1. SDGsと「持続可能な消費と生産」
2. SCPに関する10年枠組み(10YFP)とSDG12
3. 政府・自治体の取り組み―持続可能な公共調達(SPP)
4. 日本の取り組み
おわりに

第6章2030年のSDGs達成とBeyond SDGsへ向けて(沖大幹)
1. 2030年にSDGsは達成されるのか
2. Beyond SDGs – 「SDGsのその先」を見据える
3. なぜ企業はSDGsに取り組むのか
おわりに

[付録] SDGsの17の目標と169ターゲットの個別解説
執筆者一覧

第1章 持続可能な開発目標と日本政府・環境省の取組
環境省

事業構想大学院大学 出版部 (著)
販売: Amazon Services International, Inc.、出典:出版社HP