よくわかる都市計画法 第二次改訂版

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都市計画法の基本がわかる!

日本は現在、少子化・高齢化という問題に悩まされ、時代の転換期を迎えようとしています。このような社会経済情勢の変化に伴った的確な対応ができるような人材を育てるため、本書は都市計画法についてわかりやすくまとめています。これからの都市計画に関わる人に参考にしてほしい一冊です。

都市計画法制研究会 (編集)
ぎょうせい; 第二次改訂版 (2018/12/20)、出典:出版社HP

第二次改訂にあたって

平成24年8月に改訂版を刊行して6年余りが経過しました。
この間に、都市計画法が度々改正され、例えば、「都市緑地法等の一部を改正する法律(平成29年法律第26号)」では、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護すべく、13種類目の用途地域として新たに「田園住居地域」が創設されました。都市計画法に、新たに用途地域が創設されたのは、四半世紀ぶりのこととなります。

また、「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律(平成30年法律第22号)」では、都市に必要な機能・施設や地域住民の日常生活等に必要な身の回りの公共空間等を持続的に確保するための「都市施設等整備協定(第5章)」や「都市計画協力団体(第6章)」に係る制度が創設されました。都市計画法に、新たに章が追加されたのは、この改正がはじめてとなります。

今回の本書の改訂は、これらの都市計画の改正に関する情報の追加を中心としています。
現行の都市計画法は、本年で制定50年、また、翌年には旧都市計画法の制定から100年を迎えるところであり、真に豊かな都市の実現に向け着実にその成果を上げておりますが、都市のビジョンを描く都市計画の役割は、ますますその重要性を増しており、都市計画行政の的確な理解と遂行がより強く要請される時代となっております。
本書は、こうした変化を、実務者、研究者、都市計画に関心を有している方々に対し、わかりやすく解説することを目指したものです。本書が読者の 皆様の都市計画に対する理解の一助となれば幸いです。

平成30年11月

はじめに

都市計画法は、わが国における都市計画の基本法であり、その起源は、明 治21年に東京の都市計画を図るために制定された東京市区改正条例、そしてその適用対象を拡大した大正8年の旧都市計画法にまで遡ります。この法律 は、年代が下るにつれて全国にその対象都市を広げ、戦後もしばらくは存続 しましたが、高度経済成長とともに都市への人口流入と無秩序な市街地の拡大が問題となり、昭和43年、それまでの旧都市計画法を廃して新しい都市計画の基本法を制定することとなりました。これが現在に至るまでわが国の都 市計画制度の基礎となっている都市計画法です。

現在、都市計画法の直接の適用対象である都市計画区域は、面積では国土の4分の1強の約10万平方キロメートルに過ぎませんが、区域内の人口は約1億2,000万人、実は日本の全人口の9割以上に達し、ほぼすべての国民生活に多大な影響を有しています。

現行の都市計画法は、本年で制定50年を迎えました。また、翌年には旧都市計画法の制定から100年を迎えます。この間、時代の変化とともに都市計 画法と関連する法制度は様々な変化を経験しています。高度成長期の多様できめ細かい都市整備の需要に応えるための地区計画制度の創設(昭和55年)や地方分権改革による権限移譲等の見直し(平成11年)、都市計画区域マスタープランの創設などを含む抜本改正(平成12年)、大規模集客施設の立地 規制や開発許可制度の見直し(平成18年)といった様々な改正が行われてきました。

わが国は現在、人口減少・超高齢化という時代の転換期を迎え、都市を取り巻く社会経済情勢は大きく変化しつつあり、地域の活力を維持し、誰もが安心して暮らすことができるまちをつくることはより一層重要な課題となっています。都市は、「職・住・遊・学」の機能を備えた人々の暮らしの中心となる場所であり、社会経済情勢の変化への的確な対応が求められています。

本書は、都市計画法がこうした大きな転換点を迎え、社会の様々な角度か ら多大な期待が寄せられている時期にあって、その実務に携わり、研究に励 み、あるいは未来の仕事として興味関心を有している人々に対し、現在の都 市計画法のあらましをわかりやすいよう解説したものです。本書が、都市計画の新しい時代の幕を開く有志の人々にとって、その知識の礎として活用されれば幸いです。

平成30年11月

都市計画法制研究会 (編集)
ぎょうせい; 第二次改訂版 (2018/12/20)、出典:出版社HP

目次

凡例
最近の都市計画法改正の概要

第1章 都市計画法の位置づけと概要
1 都市計画法の位置づけと趣旨
(1) 都市計画法の位置づけ
(2) 都市計画の基本理念
(3) 国、地方公共団体及び住民の責務
2 都市計画が定めるもの
3 都市計画法の規制を受ける土地
(1) 都市計画区域
(2)準都市計画区域
4 都市計画に関する基礎調査

第2章 都市計画の内容
1 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針
(1) 都市計画区域マスタープランとは
(2) 都市計画区域マスタープランの記載事項
2 区域区分
(1) 区域区分制度を設けた趣旨
(2) 区域区分を行った場合に生ずる法的効果
(3) 区域区分と開発許可の関係
(4) 区域区分と都市計画区域との関係
(5) すでに市街地を形成している区域
(6)おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
(7)昭和42年宅地審議会第6次答申
(8) 農林漁業との調整
(9) 農業振興地域との関係
3 都市再開発方針等
(1) 都市再開発方針等
(2) 都市再開発方針等をそれぞれ独立させる理由
4 地域地区
(1)地域地区とは
(2)地域地区の規制の概要
(3) 地域地区内の制限に関する法律
5 用途地域
(1)用途地域における規制
(2)用途地域における制限の目的、内容、根拠
6 特別用途地区
7 特定用途制限地域
8 特例容積率適用地区
(1)特例容積率適用地区制度とは
(2)特例容積率適用地区制度における敷地間の容積の移転
(3)特例容積率適用地区の特徴
9 高層住居誘導地区
(1) 高層住居誘導地区の規制内容
(2) 高層住居誘導地区において定める建蔽率の最高限度と敷地面積の最低限度
10 高度地区
11 高度利用地区
12 特定街区
13 都市再生特別地区
(1) 都市再生特別地区とは
(2) 都市再生特別地区に定める事項
(3) 都市再生特別地区内の建築制限
14 居住調整地域
(1) 居住調整地域とは
(2) 居住調整地域内の開発行為等の規制
15 特定用途誘導地区
(1) 特定用途誘導地区とは
(2)特定用途誘導地区に定める事項
(3) 特定用途誘導地区内の建築制限
16 防火地域及び準防火地域
17 景観地区
18 風致地区
19 駐車場整備地区
20 臨港地区
(1)法第8条の臨港地区と港湾法第38条の臨港地区との関系
(2) 臨港地区の規制内容
21 歴史的風土特別保存地区等
22 特別緑地保全地区、緑地保全地域及び緑化地域
(1) 特別緑地保全地区
(2)緑地保全地域
(3) 緑化地域
23 生産緑地地区の規制内容等
24 流通業務地区
25 伝統的建造物群保存地区
26 航空機騒音障害防止地区等
27 促進区域
(1)促進区域とは
(2)促進区域の実現
(3)促進区域内の制限に関する法律
28 遊休土地転換利用促進地区
(1) 遊休土地転換利用促進地区制度の創設
(2) 遊休土地の認定基準
29 被災市街地復興推進地域
(1)被災市街地復興推進地域を都市計画に定めるための要件
(2) 被災市街地復興推進地域の効果
(3)被災市街地復興推進地域内の制限に関する法律
30 都市施設
(1) 都市施設と都市計画施設
(2) 法第11条における都市施設の列挙の趣旨
(3) その他の交通施設の例示
(4)当該都市計画区域外における都市施設
(5)自動車専用道路、幹線街路、区画街路又は特殊街路
(6) トラックターミナル等
(7) 街区公園等
(8) 立体都市計画
(9) 流通業務団地
(10) 一団地の津波防災拠点市街地形成施設
(11) 一団地の復興拠点市街地形成施設の都市計画
(12) 予定区域制度の対象となる3つの都市施設
31 市街地開発事業
(1)市街地開発事業
(2)市街地開発事業等予定区域
(3)他の都市計画区域等における市街地開発事業
(4)2以上の都市計画区域にまたがる市街地開発事業
(5) 公共施設の配置及び宅地の整備に関する事項
(6)新住宅市街地開発事業に関する都市計画の内容
(7) 工業団地造成事業に関する都市計画の内容
(8) 市街地再開発事業に関する都市計画の内容
(9) 予定区域制度の対象となる3つの市街地開発事業
(10) 事業完了後における市街地開発事業の都市計画
32 市街地開発事業等予定区域
(1)市街地開発事業等予定区域
(2) 市街地開発事業等予定区域の種類
(3)市街地開発事業等予定区域に関する都市計画の効果
(4) 市街地開発事業又は都市施設に関する都市計画に定める事項
33 地区計画
(1)地区計画等
(2) 地区計画の趣旨
(3) 地区計画等の規制内容
(4) 防災街区整備地区計画の趣旨
(5)歴史的風致維持向上地区計画の趣旨
(6) 沿道地区計画の趣旨
(7) 集落地区計画の趣旨
(8) 地区計画の策定される土地の区域
(9) 地区計画等の計画事項
(10) 建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限
(11) 地区整備計画等の計画事項
(12) 再開発等促進区・沿道再開発等促進区
(13) 再開発等促進区・沿道再開発等促進区が定められる土地の区域
(14) 開発整備促進区を定める地区計画制度
(15) 開発整備促進区の効果
(16)開発整備促進区を定める地区計画を定めることができいる区域
(17) 地区施設と都市計画施設の関係
(18) 1号施設
(19) 特定建築物地区整備計画
(20) 地区整備計画を定めなくてもよい場合
34 誘導容積型地区計画等
(1) 誘導容積型地区計画
(2) 容積適正配分型地区計画
(3) 高度利用型地区計画
(4)用途別容積型地区計画
(5) 街並み誘導型地区計画
(6) 誘導容積型地区計画等の適用関係
(7) 立体道路制度
35 都市計画基準
(1) 市街化調整区域内における地域地区
(2) 市街化調整区域内における都市施設.
(3) 市街化調整区域内等における市街地開発事業
36 都市計画の図書
(1)総括図
(2)計画図
(3)計画書

第3章 都市計画の決定及び変更
1 都市計画決定権者
(1) 都道府県又は市町村とした趣旨
(2)都道府県及び市町村が定める都市計画の範囲等
(3) 都市計画と行政争訟
(4) 都市計画の決定手続
2 都市計画の案の作成
(1)都道府県が定める都市計画の案の作成
(2)市町村が申し出た都市計画の案
(3)都道府県の関与
3 公聴会等の開催
(1)公聴会の開催等が必要とされる趣旨
(2)公聴会の開催手続
(3)住民の意見を反映させるための措置
(4) 地区計画等の案の作成
(5) 地区計画等に関する住民又は利害関係人からの申し出を認める趣旨
4 都市計画の案の縦覧等
(1) 都市計画の案の縦覧等の目的
(2) 都市計画の案の理由書
(3)利害関係人
(4) 縦覧場所の範囲
(5) 公告・縦覧をすべき「関係市町村」の範囲
(6) 特定街区の都市計画決定
(7) 遊休土地転換利用促進地区の都市計画決定
(8)施行予定者を定める都市計画の案
(9) 条例との関係を明示する趣旨
5 都道府県の都市計画の決定・
(1) 関係市町村の範囲
(2) 都道府県都市計画審議会の議を経る趣旨
(3) 国土交通大臣同意の趣旨
6 市町村の都市計画に関する基本的な方針
(1)市町村の都市計画に関する基本的な方針を設けた趣旨
(2)市町村の都市計画に関する基本的な方針の内容
(3)都市計画区域の整備、開発及び保全に関する方針との関係
(4)具体の都市計画との関係
(5) 基本的な方針を定めるための手続
7 市町村の都市計画決定
(1)都道府県知事の協議又は同意の趣旨
(2) 資料の提出、意見の開陳等の協力
8 都市計画の変更
(1) 都市計画の変更
(2) 都市計画の変更の主体
(3) 都市計画の変更時における公聴会の開催等
9 都市計画の提案制度
(1) 都市計画の提案制度の趣旨
(2) 提案をする際の要件
(3) 提案の対象となる都市計画
(4) 都市再生特別措置法等による都市計画の提案制度との違い
(5) 都市計画の決定等の提案の処理に係る期間
(6) 都市計画の決定等の提案の主体
10 国土交通大臣の定める都市計画
11 他の行政機関等との調整等
12 国土交通大臣の指示等
13 調査のための立入り等
(1) 都市計画事業の準備等のための調査についての法第25条の適用
(2) 都道府県の決定に係る都市計画についての市町村の立 ” 入り等

第4章 都市計画制限等
1 開発行為等の規制
(1)開発行為
(2) 開発行為の許可
(3) 許可申請の手続
(4)設計者の資格
(5)公共施設の管理者の同意等
(6) 技術基準
(7)立地基準
(8)開発行為の変更の許可
(9) 工事完了の検査
(10) 建築制限等
(11) 開発行為等により設置された公共施設の管理
(12) 公共施設の用に供する土地
(13) 建築物の建蔽率等の指定
(14) 開発許可を受けた土地における建築等の制限
(15)開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制
(16)許可に基づく地位
(17) 開発登録簿
(18) 不服申立て
2 田園住居地域内における建築等の規制
(1) 法第52条に定める建築等の制限
(2) 建築等の規制の目的
(3)許可制度の運用
3 市街地開発事業等予定区域の区域内における建築等の規制
(1)法第52条の2に定める建築等の制限
(2) 土地建物等の先買い等
(3) 土地の買取請求
(4)損失の補償
4 都市計画施設等の区域内における建築の規制
(1) 建築の許可
(2)許可の基準
5 許可の基準の特例等
(1) 都市計画制限を特定の場合に限って強化する趣旨
(2) 土地の買取り
(3) 土地の先買い等
6 風致地区内における建築等の規制
7 地区計画等の区域内における建築等の規制
(1) 建築等の届出等
(2)他の法律による建築等の規制
8 遊休土地転換利用促進地区内における土地利用に関する措置等
(1) 土地所有者等の責務
(2) 都市計画決定から2年経過後に遊休土地の通知をする理由
(3) 市町村長に届け出なければならない利用又は処分に関する計画
(4) 市町村長が勧告する計画
(5)被勧告者の報告
(6) 買取りの強制力
(7) 買取り価格

第5章 都市計画事業
1 都市計画事業の認可等
(1) 都市計画事業の施行者の種類
(2)国の機関
(3) 特許事業者の認可の方針
(4) 都市施設についての都市計画と都市計画事業の関係
(5)市街地開発事業と都市計画事業の関係
(6)都市計画事業の認可後の手続
(7)第7項の趣旨
(8) 都市計画施設の区域外で事業を施行する場合
(9)第60条の2の趣旨
(10)第60条の3の趣旨
(11) 行政機関の免許、許可、認可等
(12) 都市計画事業の認可等の効果
(13)現に施行中の都市計画事業の施行区域の拡大
(14)施行者の変更
(15) 都市計画事業の名称の変更
2 都市計画事業の施行
(1) 都市計画事業の施行の障害となるおそれがある
(2) 工作物の建築等についての許可があった場合の損失の補償
(3)他の都道府県の区域内での都市計画事業における許可権者
(4)許可基準
(5)第66条の趣旨
(6)第67条の趣旨
(7)第68条の趣旨
(8)第69条の趣旨
(9)都市計画事業に関する土地収用の手続
(10)第70条の趣旨
(11) 都市計画事業の認可等の土地収用法上の効果
(12) 手続開始の手続

第6章 都市施設等整備協定
(1) 都市施設等整備協定の趣旨
(2) 都市施設等の整備を行うと見込まれる者
(3) 都市施設等整備協定の記載事項
(4) 法第75条の3の趣旨
(5)法第75条の4の趣旨

第7章 都市計画協力団体
(1) 都市計画協力団体の趣旨
(2) 都市計画協力団体の対象となる者
(3) 都市計画協力団体の業務
(4) 改善命令等
(5) 都市計画協力団体と都市再生推進法人との違い

第8章 社会資本整備審議会
(1) 社会資本整備審議会の職務
(2) 都道府県都市計画審議会の職務
(3)市町村都市計画審議会の設置
(4) 市町村都市計画審議会の権限
(5)開発審査会の職務

第9章 その他
(1)第80条の趣旨
(2)第81条の趣旨
(3)指定都市に移譲される都道府県の都市計画決定権限の範囲
(4)指定都市による都市計画の決定手続
(5) 指定都市等が処理し、又は指定都市等の長が行う事務.

凡例

1 本書は、都市計画法との一体利用上の利便を考慮して、条文の流れに 沿った体系を採用し、「第1章 都市計画法の位置づけと概要」「第2章 都市計画の内容」「第3章 都市計画の決定及び変更」「第4章 都市計画 制限等「第5章 都市計画事業」「第6章 都市施設等整備協定」「第7 章 都市計画協力団体」「第8章 社会資本整備審議会」「第9章 その他」の9章で構成している。

2 本書における法令名は、原則として正式名称で表記した。
ただし、文章の末尾等に根拠法令をかっこ書で示す場合は、条・項・号は、次の例によった。
・都市計画法第8条第1項第1号→都市計画法810なお、その際、都市計画法、同法施行令、同法施行規則については、次の略号で表記した。
・都市計画法・・・・・・・・法
・都市計画法施行令・・・・・令
・都市計画法施行規則・・・・・規則

3 本書の法令内容は、平成30年8月1日現在である。

最近の都市計画法改正の概要

○都市緑地法等の一部を改正する法律(平成29年法律第26号)による都市計画法の一部改正

平成27年4月に「都市農業振興基本法(平成27年法律第14号)」が制定され、また、同法に基づく都市農業振興基本計画(平成28年5月閣議決定)において、これまでの「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」へと都市農地の位置づけを転換すること、そのために必要な施策を打ち出すこと等が示
された。
都市計画法においては、これまで、用途地域は土地利用規制の根幹をなす ものとして、市街地の大まかな土地利用の方向性を12種類の典型的な地域として示し、市街地の類型に応じた建築規制を行っていたところだが、上述のことを受け、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護することを目的に、新たな用途地域として「田園住 居地域」を創設した。
また、農地を都市の緑空間として評価し、保全する観点から、本用途地域内の農地における建築等に関する許可制度を創設し、市町村長が許可しなければならない類型を一定規模未満の開発等に限定した。
※平成30年4月1日に施行

○都市再生特別措置法等の一部を改正する法律(平成30年法律第 22号)による都市計画法の一部改正
(1) 都市施設等整備協定
人口減少局面に入り開発圧力が低下する中、都市計画決定された都市施設等の整備が必ずしも実現せず、当該施設の用に供することとされていた土地やその周辺の土地の有効活用が図られていないという状況が発生している。
このため、都市計画法の一般制度として、都道府県又は市町村と都市計画に定める都市施設等の整備を行うことが見込まれる者との間において、当該施設の整備・維持に関する協定「都市施設等整備協定」を締結できる 制度を創設した。
(2) 都市計画協力団体
質の高いまちづくりを推進するためには、地域の実情をきめ細かに把握し、身の回りの課題に自ら対処しようとする住民団体等の主体的な取組みを後押しし、民間と行政との協働を促進することが重要である。
実際に、住民団体等の中には、地域の土地利用の状況を調査・把握し、住民の意見を集約しながら、市町村と協働して地区計画等に住民意向を反映する取組みを行っているものがある。
こうした取組みを促進し、地域の実情に応じた質の高いまちづくりが推進されるよう、都市計画法の一般制度として、住民の土地利用に関する意向の把握、土地所有者等に対する土地利用の方法に関する提案等を行う団体を法的に位置付ける「都市計画協力団体」制度を創設した。
これまで都市計画の提案制度は原則として0.5ヘクタール以上の一団の土地の区域について行うことができるとされていたが、都市計画協力団体による都市計画の決定等の提案については面積要件を無くすこととし、低 未利用地を利用した身の回りの公共空間の創出など、当該団体を指定した市町村の区域内の一定の地区における小規模な都市計画の決定等の提案を行うことができることとした。
※(1)(2)ともに平成30年7月15日に施行

都市計画法制研究会 (編集)
ぎょうせい; 第二次改訂版 (2018/12/20)、出典:出版社HP