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産業廃棄物処理の必要な知識が身につく
産業廃棄物の知識や法律、それを取り巻く状況を噛み砕いて説明してあります。また、項目ごとに分かれている為、全てを読まなくても必要な項目だけ読むこともできるようになっています。辞書のような使い方ができる構成となっているので、初学者から一通り学び終えた方まで幅広く活用できる一冊です。
はじめに
この本は、2006年に初版を発行し、これまで2011年4月1日に施行された改正法の内容に対応するための改訂をはじめとして版を重ねてまいりましたが、このたび2017年10月1日及び2018年4月1日に施行された改正法の内容に対応するため、改訂版として新たに出版いたしました。
2011年4月1日の改正法では、それまでの廃掃法で曖昧だった「排出事業者とは誰か」という定義について、建設工事に伴う産業廃棄物の場合に限られますが、排出事業者が誰かについて具体的に定めた項目が追加されるなどしました。
2017年10月1日からは、水銀を使用した製品が産業廃棄物になった際の規制が強化されました。蛍光灯など、私たちの身近にはまだ数多くの水銀を使用した製品があります。これら製品の廃棄を行なう際は、これまでとは異なるルールに従う必要があります。
また、2018年4月1日からは「有害使用済機器」という「廃棄物ではないもの」に対して規制を行なうという点で、これまでとは異なる新たな規制の方向性が示されています。
産業廃棄物のルールは、排出事業者にすべての処理責任があることを前提にしています。今、不法投棄の現場からあなたの会社が出したゴミ(産業廃棄物)が見つかったとしましょう。
その場合、たとえ産廃処理事業者にお金を払って廃棄物を引き取ってもらい、適正処理をしたつもりでも、適正に処理されなかった責任はあくまでもあなたの会社にあり、不法投棄された現場を元の環境に戻す「原状回復」を行なう責任を負うことになります。そして、原状回復に必要なコストを負担すると同時に、環境に対する意識の低い企業であるという烙印を押されてしまうのです。最悪の場合には、刑事処分もまぬがれません。
ところが、まだこの現実に気がついていない企業関係者が多いことに驚かされます。
この本では、産業廃棄物の知識や法律、それを取り巻く状況をできるだけ噛み砕いて解説してあります。さらに、理解しやすいように多くの図を挿入しました。
また、序章を読むだけで、産業廃棄物に関する知識がひととおりわかる構成になっています。専門的な言葉には説明も付け加えました。
最初から順を追って読まなくても、疑問に感じた時にその項目を読むことで、短時間で知識を吸収し、何に気をつけなければならないか、何をしなければならないかがわかるようになっています。産業廃棄物について疑問点があれば、対応する項目を探し読み返す、辞書のようにも使ってください。また、最新情報の入手法についても掲載してありますので、大いに参考にしてください。
この本が、産業廃棄物に対する読者の方々の意識を変えるひとつのきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
2018年9月吉日
著者を代表して
子安伸幸
(本書の内容は2018年4月1日現在の法令等に基づいています)
もくじ
はじめに
序章●最終責任は排出事業者にあり!
1産業廃棄物処理の最終責任は?
あなたの会社がゴミの最終責任を負う!
2産業廃棄物の定義
あるときは一般廃棄物、あるときは産業廃棄物?
3産業廃棄物の処分
リサイクル重視の中間処理が必要
4不法投棄
不法投棄はなぜ後を絶たないのか
5適正処理をするために
委託契約書とマニフェスト
6産廃に関する法律
産業廃棄物に関する法律にはどんなものがあるのか
7産業廃棄物と環境
環境に鈍感な企業は生きていけない
Column 産廃処理業のビジネスモデルが不適正処理を生む?
1章●産業廃棄物って何だ?
1廃棄物の定義と区分
価値のない、誰も買わないモノが廃棄物
2産業廃棄物の区分
事業活動に伴って発生する廃棄物のうち20品目が産業廃棄物
3特別管理産業廃棄物
厳重な管理が必要な「特別管理産業廃棄物」
4間違えやすい廃棄物
産業廃棄物? それとも一般廃棄物?
5建設系の産業廃棄物
家を一軒建てると、どのくらい産業廃棄物が出るか
6産業廃棄物排出量の特徴
日本全国における総排出量はおよそ4億トン
7廃棄物と有価物の区別
不要物でも廃棄物にならないものがある
Column 昨日までは一般廃棄物だった木製パレット
2章●産業廃棄物はどう処理されているのか
1日本の資源
日本の資源はどのように使われているのだろう
2産業廃棄物の処理過程
中間処理はどうして必要なのか
3中間処理の仕事
さまざまな中間処理
4中間処理の例
中間処理の流れを見てみよう
●これが中間処理工場だ!
5選別と圧縮
中間処理の判断が分かれる選別・圧縮
6リサイクル
さまざまなリサイクル
7最終処分場
最終処分場には3つの種類がある
8循環型社会に向けて
リサイクル製品のこれからを考える
Column さまざまな環境ラベル
3章●これが適正処理の流れだ
1 適正処理フロー
適正処理で押さえておくべき3つのポイント
2契約書
契約書は誰と交わせばいいのか
3許可証
許可証は廃棄物を運搬・処分するすべての事業者に必要
4収集運搬業の許可
収集運搬業許可の注意点
5契約書のチェック
契約書で押さえておきたい項目
6産業廃棄物の運搬
産業廃棄物の運搬には書類を携帯・表示する
7産業廃棄物管理票(マニフェスト)①
マニフェストの流れを理解しよう
8産業廃棄物管理票(マニフェスト)②
排出から最終処分までを管理するマニフェスト
9産業廃棄物管理票(マニフェスト)③
実際にマニフェストを記入してみよう
●収集運搬チェックシート
●中間処理チェックシート
10産業廃棄物管理票(マニフェスト)④
電子マニフェストのしくみを知っておこう
11産業廃棄物管理票(マニフェスト)⑤
電子マニフェスト運用の注意点
12産業廃棄物管理票(マニフェスト)⑥
マニフェストが必要なケース、必要でないケース
13産業廃棄物管理票(マニフェスト)⑦
マニフェストの交付状況報告義務
14排出事業者の範囲
子会社やグループ会社を1つの排出事業者にできるか
4章●知っておきたい「産業廃棄物処理」の事情
1産廃処理委託の具体的事例①
収集運搬事業者を利用し、中間処理事業者に委託するケース
2産廃処理委託の具体的事例②
産業廃棄物の運搬と処分を同じ事業者に委託するケース
3産廃処理委託の具体的事例③
廃棄物を自社で運搬し、処分のみを中間処理事業者に委託するケース
4産廃処理委託の具体的事例④
各現場と事務所から運搬を委託するケースの注意点
5産廃処理委託の具体的事例⑤
積替保管施設を経由した運搬の委託
6産廃処理委託の具体的事例⑥
建設工事における排出事業者の定義
7産業廃棄物処理のコスト①
コスト削減が不法投棄の温床に
8産業廃棄物処理のコスト②
産廃処理にはどのくらいの費用がかかるのだろう
9産業廃棄物処理のコスト③
量を減らすか、質を上げるか
10処理事業者選択のチェックポイント
信頼できる事業者を選ぶには「施設の見学」が一番
11処理事業者の認定制度の中身
「認定制度」はあくまでひとつの基準にすぎない
12多量排出事業者
年間1000トン以上の産廃排出事業者が対象に
13処理困難通知制度
処理困難通知制度と通知への対応方法
14広域認定制度
「拡大生産者責任」によるリサイクルの促進
15PCB廃棄物
地球全体を巻き込んだ環境問題に発展
16アスペスト①
適正な処理を行なうには、まず正しい知識から
17アスベスト②
レベル3のアスベストの処分方法は限定されている
18水銀廃棄物
強化された水銀に関する廃棄物の規制
Column 契約書は電子化してもよい?
5章●不法投棄はなぜ起きる?
1 不法投棄の現状①
不法投棄が起きる原因を探ってみよう
2不法投棄の現状②
不法投棄の推移を見てみよう
3不法投棄の現状③
不法投棄はどのように行なわれるのか
4処理事業者簡易チェックシート
あなたの委託事業者は大丈夫?処理事業者をチェックしよう
5不法投棄の現場
実際に不法投棄の現場を見てみよう
6不法投棄の展望
不法投棄をなくすにはどうすればいいのだろう
6章●知っておきたい「法律・条例」早わかり
1環境に関わる法律の「根っこ」と「幹」
「環境基本法」と「循環型社会形成推進基本法」
2廃掃法のねらいとしくみ
なぜ廃掃法は毎年のように改正されるのか
3【個別法】容器包装リサイクル法
循環型社会の第一歩は家庭から
4【個別法】家電リサイクル法
消費者料金負担への根強い抵抗感
5【個別法】食品リサイクル法
残った食品をどのようにリサイクルするか
6【個別法】建設リサイクル法
排出量の多い廃棄物を対象に現場分別とリサイクルが柱
7グリーン調達・グリーン購入
価格・品質・納期に加え、環境に配慮されたものを選ぼう
8京都議定書からパリ協定へ
地球温暖化を阻止するために私たちができることは?
9WEEE指令 & RoHS指令
電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限令
10産業廃棄物税
地方自治体による産業廃棄物税導入の背景
11罰則の適用例
適正処理のフローのどれが欠けても即処罰の対象に
12取締まりの現状
排出事業者の意識改革が急務
13最新情報の入手法
常に最新情報をチェックし、対応策を講じる
Column 廃棄物処理に関わる企業の責任は法的責任だけではない
●選別3つのパターン
おわりに
索引
カバーデザイン・齋藤稔
本文DTP・ダーツ