ロジカル・シンキング練習帳

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ロジカルシンキングの基本が身に付く

メールを題材にビジネスに必要な粒度でのロジカルシンキングを学べます。少し入り組んだ内容のメールを書くときに特に役に立ちます。分かりやすい論理構成で、事例による練習ができるので、この本を参考に実践してみると良いでしょう。

照屋 華子 (著)
出版社: 東洋経済新報社 (2018/6/22)、出典:出版社HP

この作品は、2018年7月に東洋経済新報社より刊行された書籍に基づいて制作しています。電子書籍化に際しては、仕様上の都合により適宜編集を加えています。
また、本書のコピー、スキャン、デジタル化等の無断複製は、著作権法上での例外である私的利用を除き禁じられています。本書を代行業者等の第三者に依頼してコピー、スキャンやデジタル化することは、たとえ個人や家庭内での利用であっても一切認められておりません。

巻頭サンプルメール
この扉の裏に掲載しているメールは、各章のLessonで使用するサンプルメールです。 Lessonの学習を進めるときに、使用してください。

残念メール

改訂メール

はじめに

仕事に直結する論理的な考え方と書き方の基礎力を身につける

日本書の練習で身につく技術
本書は、ロジカル・コミュニケーションの「基本の型」を身につけるための練習帳です。ロジカル・コミュニケーションとは「わかりやすく論理的に、しかも速く、感じよくメッセージを伝えて、仕事を前進させる」ことです。誰にとっても普段の仕事に直結するものです。
拙著『ロジカル・シンキング』(共著)、『ロジカル・ライティング』を上梓してから、私はさまざまな業種のビジネス・パーソンのみなさんとロジカル・コミュニケーションの研修を行ってきました。その中で採り入れている、ロジカル・コミュニケーションの基礎を身につける練習を、本書にまとめました。この練習は、「こんな要素をこう整理して、こう並べる」という伝え方の「基本の型」を身近なビジネスメールを使って学ぶというものです。
「え、メール?」と意外に感じるかもしれませんが、研修で受講者のみなさんは、「基本の型」に自分や同僚のメールを照らして、自分や同僚のくせに気づきます。
「こうなっていないから、『で、何なの?』と言われるのか」
「これがないから、伝わらないのか」というように。
頭と手を動かしてエクササイズをすると、
「いつものやり方のここを変えればいいのか」
「論理思考をこう使えばいいのか」
「メールだけでなく、話すときにも適用できる」と納得します。
「メールの返事が速くくるようになった」
「会議で応用したら、すんなりOKが出た」
「部下のメールに変化が表れた」などの声も研修後にいただきます。
基本の型を作るためには4つの技術が必要です。
本書でもこの4つの練習に取り組みます。
①伝える前の準備の技術
②思考を整理・構成する技術
③構成を視覚化して表現する技術
④日本語表現を好感度も含めて整える技術
①と②はわかりやすく論理的に考えを整理する「ロジカル・シンキング」の技術、③と④は論理的に整理したものをわかりやすく表現する「ロジカル・ライティング」の技術です。思考整理と表現の両方の基礎の技術をバランスよく持つことがロジカル・コミュニケーションにつながります。4つを練習して「基本の型」を身につけること――。
それが練習の狙いです。
「技術」は効果的な練習を繰り返せば、誰でも身につけることができるものです。
また、基礎をしっかり身につけておけば、応用の技術――例えば、社内外への提案を構成するための論理構成のパターン、それらをプレゼンテーションする際の表現方法などもスムーズに習得できるでしょう。ロジカル・コミュニケーションの基礎力を磨きたい、部下の基礎力アップを図りたいという方に、本書をぜひ活用していただければと思います。

本書の構成−全体

第1章では、メッセージの伝え方の「基本の型」を解説します。
第2章から練習を開始します。

●第1章:全体像
メッセージの伝え方の基本の型を「これを満たすようにメッセージを伝えよう」というチェックリストの形で共有します。自分や部下の伝え方を照らしてみてください。「練習ポイント」が浮かんでくるでしょう。
ロジカル・シンキング&ライティングの予備知識がない場合は、第2章以降を順に練習していくとよいでしょう。既習の場合は、自分の練習ポイントに該当する章から取り組むことも可能です。
●第2章:準備
伝わるメッセージを構成するための準備を練習します。どんなに時間がないときでも、これだけは確認しておきたい2つの事柄と、その確認の方法を学びます。
メッセージが伝わらないと悩んでいる人の盲点になりがちな準備ですが、練習をすれば効果がすぐに出ます。
●第3章:構成
メッセージの構成を、ロジカル・シンキングをどう使うかを中心に練習します。「導入部→本論→結び」というメッセージのセクションごとに構成を練習していきます。準備で確認した要素で構成するのが導入部です。
本論の構成は、ロジカルシンキングの2つの考え方を用いて行います。1つは、テーマに対してずれることなく、So What?/Why So?(結局、何なのか?/なぜ、そう言えるのか?)を明確にすること。もう1つは、説明が羅列にならないように、また大きな欠けもないように、MECE (Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive;相互に重なりなく、全体として漏れがない)という考え方を活用して整理することです。2つの考え方を構造ボックスの図で練習します。
●第4章:視覚化
メッセージの要点が速く伝わるように、構成をパッと見てわかるように表す練習をします。頭の中で思考が整理・構成できても、相手にそのように読めたり、聞こえたりしなければ、メッセージは正確に伝わりません。しかも、仕事では、要点が速く伝わるための工夫が重要です。ロジカル・シンキングで構成した内容を、効果的に表現するコツを練習します。
●第5章:日本語表現
メッセージが伝わるために不可欠な日本語表現について練習します。あなたが普段使っている日本語は、伝えたい内容を的確に、しかも違和感なく好感を持ってもらえるように表していますか。「社内でみんなが使っているから」「特に考えることもなく」と、何気なく使っていることばや言い回しの中に、伝わりにくさのもとがあると残念です。自分のチェックリストを持ってください。

練習の進め方

第2~5章は「Lesson→例題→練習問題」という流れで練習を進めます。
●Lesson
各章の重要なポイントを、1レッスン1テーマで解説します。問題に取りかかる前に確認しましょう。サンプルメールは第1章と同じものです。巻頭に全文がありますので、それを読んでください。
●例題
Lessonで学んだ考え方をどう使うかを解説のもとで練習します。
第2~4章の例題は、3つの同じ文例で構成されていますが、設問は章ごとに異なります。例題に2回取り組めば、みっちり練習できます。
・1回目は各章の例題を、本の順番で取り組む。
(例題2-1 →例題2-2→例題2-3など)
・2回目は同じ文例の例題ごとに準備→構成→視覚化の順で取り組む。
(例題2-1→例題3-1 →例題3-4→例題4-1など)
なお、第2~4章の例題のメールの改訂例は、巻末の「メールの改訂例」に掲載しました。
●練習問題
Lessonと例題をふまえれば取り組める問題です。設問ごとの解説・解答例はありませんが、第2~4章の練習問題で取り上げたすべてのメールと練習問題5-5については、改訂例を巻末の「メールの改訂例」に載せました。解答の参考にしてください。

例題・練習問題のメールは、本書の練習用に作成したものと、私の研修の演習で使用したものとで構成しました。すべて架空の設定・内容です。一連の問題には、研修などでご提供いただいた実際のビジネスメールを拝見して分析した「伝わりにくいメッセージの特徴」を反映させています。問題の一部には、実際のメールを参考に作成したものもありますが、個人・組織の特定やその固有情報の把握が一切できないように設定・内容を変更しました。身の回りにあるような内容、実務でロジカル・シンキング&ライティングの技術を使うイメージを持ちやすい内容を心がけました。

いま、私たちビジネスパーソンは日々の報連相(報告・連絡・相談)や依頼、ちょっとした提案をメールで行います。普段の仕事を思い浮かべながら練習に取り組んで、ロジカル・コミュニケーションの「基本の型」を習慣にしていただければ幸いです。

照屋 華子 (著)
出版社: 東洋経済新報社 (2018/6/22)、出典:出版社HP

目次

巻頭サンプルメール 残念メールと改訂メール
はじめに

第1章【全体像】
ビジネスメールで論理思考を習慣にする!
メッセージの「基本の型」とそのチェックポイント
Warm-up わかりやすく論理的に、しかも速く、感じよくメッセージを伝えて、
仕事を前進させる!
Goal&Check 伝わるメールには「基本の型」がある!
Check1 テーマがわかるか?
Check2 期待する反応がわかるか?
Check3 グループ化が見ただけでわかるか?
Check4 グループごとに要点がわかるか?
Check5 「具・簡・論・好」の日本語を使っているか?
Goal 「基本の型」は練習で身につく!

第2章【準備】
伝わるものは書く「前」に決まる!
相手に「動いてもらう」ための重要な準備
Lesson1 「伝えた後」を考える
Lesson2 相手の時間を犠牲にしない
Lesson3 何について書くかをはっきりさせる
Lesson4 相手にしてもらいたいことをはっきりさせる
Lesson5 会議もメールも同じこと
[例題] 2-1 【準備】業務改善プロジェクト
[例題] 2-2 【準備】新ボイスメール
[例題] 2-3 【準備】 シラバス作成
[練習問題] 2-1 【準備】社内便
[練習問題] 2-2 【準備】勤続表彰式
[練習問題] 2-3 【準備】電話システムの切り替え
[練習問題] 2-4 【準備】QC表彰式
[練習問題] 2-5 【準備】電話増設
[練習問題] 2-6 【準備】海洋性コラーゲン
[練習問題] 2-7 【準備】調理機器の入れ替え

第3章【構成】
頭の中を「構造ボックス」で整理する!
わかりやすく論理的なメッセージの構成法
Lesson1 メッセージは3つのセクションで構成する
Lesson2 導入部はメッセージの全体像を伝える
[例題] 3-1 【導入部】業務改善プロジェクト
[例題] 3-2 【導入部】新ボイスメール
[例題] 3-3 【導入部】 シラバス作成
[練習問題] 3-1 【導入部】社内便
[練習問題] 3-2 【導入部】勤続表彰式
[練習問題] 3-3 【導入部】電話システムの切り替え
[練習問題] 3-4 【導入部】QC表彰式
Lesson3 本論は2つの考え方で整理する
Lesson4 「構造ボックス」で思考整理の習慣をつける
Lesson5 要素分解、ステップ、対照概念でグループ化する
ウォーミングアップ① 受信ボックスのグループ化
ウォーミングアップ② 自己紹介のグループ化
Lesson6 構造ボックスの内容は「文」の形で考える
Lesson7 結びで好印象を残す
[例題] 3-4 【本論】業務改善プロジェクト
[例題] 3-5 【本論】新ボイスメール
[例題] 3-6 【本論】 シラバス作成
[例題] 3-7 【本論】 シラバス作成(応用)
[練習問題] 3-5 【本論】社内便
[練習問題] 3-6 【本論】電話システムの切り替え
[練習問題] 3-7 【本論】勤続表彰式
[練習問題] 3-8 【本論】QC表彰式
[練習問題] 3-9 【本論】海洋性コラーゲン
[練習問題] 3-10 【本論】調理機器の入れ替え
[チャレンジ問題] 3-1 【本論】部員の不満の背景
[チャレンジ問題] 3-2 【本論】顧客Aさんへのヒアリング

第4章【視覚化】
「見てわかる」ように書く!
メッセージが速く正確に伝わる書き方
Lesson1 「飛ばし読み」でも正確に伝わる書き方を覚える
Lesson2 So What?先出しが原則
Lesson3 視覚化のコツ① スペース&記号を活用する
Lesson4 視覚化のコツ2 見出しを付ける
Lesson5 視覚化のコツ3 文頭で切り口を示す
Lesson6 「見てわかる」は文書でも同じ
[例題] 4-1 【視覚化】業務改善プロジェクト
[例題] 4-2 【視覚化】新ボイスメール
[例題] 4-3 【視覚化】 シラバス作成
[練習問題] 4-1 【視覚化】QC表彰式
[練習問題] 4-2 【視覚化】 ママさん社員・イクメン社員の支援策
[練習問題] 4-3 【視覚化】X社の状況
[練習問題] 4-4 【視覚化】主要なチーム会議の概略
[練習問題] 4-5 【視覚化】社内便
[練習問題] 4-6 【視覚化】構成の視覚化
[練習問題] 4-7 【視覚化】顧客Aさんへのヒアリング

第5章【日本語表現】
具・簡・論・好で伝わる力がアップする!
伝わるメッセージを支えることばの使い方
Lesson1 いつもの“なんとなく”の日本語表現で大丈夫?
Lesson2 [具体性] So What?をことばにする
Lesson3 [簡潔さ] パッと見て意味をつかめるように書く
Lesson4 [論理性] 接続の関係を明示する
Lesson5 [好感度] よい印象を残すことばの使い方
[例題] 5-1 【具体性】 クリーンデーの廃棄物処理
[例題] 5-2 【具体性】社会人大学院生の増加の背景
[例題] 5-3 【簡潔さ】中国の工業用ミシン市場の概況
[例題] 5-4 【簡潔さ】今後の研修
[例題] 5-5 【簡潔さ】増員と強化
[例題] 5-6 【簡潔さ】オフィス移転
[例題] 5-7 【好感度】見積もりプロセスの改革事例に関する資料
[練習問題] 5-1 【日本語表現】サイレント・チェンジ
[練習問題] 5-2 【日本語表現】支店でのFAX機交換について
[練習問題] 5-3 【日本語表現】社内報

メールの改訂例
おわりに

照屋 華子 (著)
出版社: 東洋経済新報社 (2018/6/22)、出典:出版社HP