最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク

【最新 – ビジネスフレームワークを学ぶおすすめ本 – 実践できる入門から応用まで】も確認する

できる人間になるためのノウハウが満載

雑多に学ぶフレームワークが一冊にまとめられていて、内容も整理されています。ひとつひとつのフレームワークにシチュエーションがありイメージしやすいうえに、分かりやすい解説になっています。実際の現場でたいへん役に立つ1冊です。

三枝 元 (著)
出版社: ぱる出版 (2020/2/6)、出典:出版社HP

prologue

フレームワークとは、簡単に使えるビジネスの武器である

みなさんの身の回りでこんな人はいませんか?
・会議やミーティングの場で、スパッと切り口に分けて的確に論点を整理できる。
・プレゼンの場で、論点や根拠を明確にアピールできる。
・意思決定において総合的に分析して判断できる。
・決まったことを着実に実行できる。
・いろいろな角度からのアイデアをすぐに浮かべることができる。

「この人、もともと優秀なのかな」「きっと、経験が豊富なのだろう」と思われるかもしれません。しかし、これは正しくありません。彼らは、単に「思考の枠組み(観点)」を持っているだけです。
「思考の枠組み」があれば誰でも高いパフォーマンスを出せるのです。
この本は、どんな職種であれ、一般のビジネスパーソンが知らなければならないフレームワークをまとめたものです。フレームワークとは、「思考の枠組み」のことです。

フレームワークを持てば、何かあったときの整理がしやすくなり、結果が出しやすまた、1つ1つの経験を重ねるたびに、「どうすればなおよかったか」を明らかにでき、実り豊かなものにできます。

書店のビジネス書のコーナーを覗くと、実に多くのビジネス・フレームワーク本が出版されています。しかしこうした本は、社員のことなどまるで眼中にないし、実際に現場で使えるかどうかも二の次だったりします。なぜか?
著者は大抵、外資系コンサルティング・ファーム出身者や総研系のコンサルタントです。彼らは、経営幹部候補生や経営コンサルタントに向けたMBA(経営学修士)本のついででフレームワーク集を書いていることが多いからです。

一方で、一般の社員向けというと、フレームワーク本ではありませんが、経営者や著名人などが書いた「心構え」的なもの(いわゆる啓蒙書、教訓本)もあります。中にはよいことも書かれているでしょう。しかしながら、こうした本のイタイところは、あくまで個人の経験談や自己主張にとどまってしまっていることです。

なにか道徳の本のようで、客観的な根拠に乏しいという点では、所詮、上司や先輩の飲み屋での「語り」と同レベルです。また、読者は筆者と同じキャラクターや境遇ではないので、「行動を真似しろ」といわれてもムリがあります(たとえば「リスクを取れ」分の夢を追いかけろ」「苦労は勝ってでもしろ」など)。
本書は「世のフレームワーク本」と「教訓集」の欠点を補い、数多くのフレームワークの中から、現場の一般の若手社員のためのフレームワークを厳選したものです。

選考の基準は、
①すぐに使える
②誰でも使える
③妥当性が高い
の3点です。ぜひ、本書を机の引き出しの中に入れておいて、困ったときに使っていただきたいと思います。
あなたは必ずできる人になる

本書の使い方

・次のページに「1週間で『できる人』になるための予定表」を掲載していますので、これに沿ってお読みいただくとスムースです。
・フレームワークを目的に応じてチャプター別に分類しています。ご自分の興味があるところからお読みいただいてもかまいません。またフレームワークごとに「使う目的」を記載していますので、「今の仕事でどのフレームワークが必要なのか」探す際に参考にしてください。
・フレームワークごとに「必須度」をA・Bで記載しています。
・冒頭に架空のシーンを設定しています。まず「自分だったらどうするか?」考えていただくと、内容の理解が深まります。
・巻末に付録として「経営戦略、マーケティングのフレームワーク」を掲載しています。これらは一般のビジネスパーソンの業務で日常的に使うものではありませんので、必要に応じて参照していただければと思います。

目次

prologue
フレームワークとは、簡単に使えるビジネスの武器である

Chapter1 思考と意思決定のためのフレームワーク
1 仮説検証サイクル
2 重要度・緊急度マトリックス
3 帰納法
4 演繹法
5 MECE
6 ピラミッド・ストラクチャー
7 システム1とシステム2
8 6つの影響力
9 システム・シンキング

Chapter2 計画のためのフレームワーク
1 PDCA
2 SMART
3 5W1H

Chapter3 問題解決・改善のためのフレームワーク
1 ECRSの原則
2 生産性
3 80対20の法則
4 因果関係の3原則
5 三現主義
6 ダラリの原則
7 5S
8 価値式

Chapter4 コミュニケーションのためのフレームワーク
1 AIM
2 PREP
3 SUCCESSの法則
4 3つの交渉パターン
5 交渉の4つのステップ
6 3つの説得技法
7 説得への4つの心理抵抗

Chapter5 アイデア発想のためのフレームワーク
1 SCAMPER
2 類比法
3 シックスハット法

Chapter6 キャリア形成のためのフレームワーク
1 ビッグ・ファイブ
2 GRIT(やり抜く力)
3 7.2.1の法則
4 原因帰属理論
5 計画された偶発性理論

付錄
経営戦略・マーケティングのフレームワーク

おわりに

三枝 元 (著)
出版社: ぱる出版 (2020/2/6)、出典:出版社HP

Chapter1 思考と意思決定のためのフレームワーク

Chapter1では、思考と意思決定のためのフレームワークを取り上げます。
ルーティンワークであれば、ある程度の経験を積めば誰でもできるようになりますが、思考や意思決定は、経験を積むだけで誰でも上手くできるわけではありません。なぜなら、考え方の枠組み、考える方法についての知識が求められるからです。
一般的なビジネスパーソンの価値とは、思考や意思決定の質で決まると考えてよいです。たとえば上級管理職の報酬が高いのは、専門知識ではなく、高い思考や意思決定の質を期待されているからです。
私は普段、コンサルティング、ビジネスセミナーや研修、ビジネス資格の受験対策講座などで、幅広い世代のビジネスパーソンの方と数多く接しますが、意外と思考や意思決定の基本的な考え方を知らない方が多いと感じています。思考や意思決定というとなんだか難しそうですが、基本的な考え方を知っていればわりと簡単です。若いうちに思考や意思決定のフレームワークを知っていると、同世代の人たちに比べると、かなり有利になります。
ビジネスに限らず、私たちの生活は思考と意思決定の連続であり、キャリアを積むに連れその比重は高くなります。思考と意思決定のフレームワークを身につけて、ぜひよい結果を出してください。

1 仮説検証サイクル

使う目的期限が迫っている中である程度の精度の決論を出す
−シーン−
旅行代理店に勤務するユタカは、上司から5日間で新しいパッケージ・ツアーの企画書を出すように命じられた。もちろん、提案するツアーの根拠や費用対効果を数字で示さなければならない。
「とりあえずインターネット上で市場情報に関する統計データや、最近の旅行事情についての記事を片っ端から集めなきゃな」「同期のみんなにも意見を聞いてみよう」「いやいや企画室にも相談していろいろ情報を集めないと。本当に間に合うのかな…」。
他にも仕事を抱え、途方にくれたユタカは、どう対処すべきだろうか?

フレームワークの説明
仮説思考とは、まず先に「こうではないか」という決論を仮において、それに沿った根拠を集め、試してみて、その結果を最初の仮説に反映させて修正をし、仮説をブラッシュアップしていくという思考パターンのことです。

なぜ必要か?
よくあるパターンは、とりあえず入手できる情報を片っ端から集めるというものです。
たとえば、いろいろな人の意見を沢山の雑誌や新聞、書籍にあたったり、ネット情報を検索したりしてしまうことです。場合によっては、時間と費用をかけてアンケート調査までするかもしれません。情報は多いほど良い判断ができるというわけです。
このやり方がマズイのは、恐ろしく非効率なことです。結局は使わない情報まで集めてしまったり、判断の前提となる情報の入手待ちで態度を保留したり(例:世代別の年間旅行回数と費用総額がわかってから考えよう)、とりあえず集めた数多くの多様な情報を見ても手にあまり、結論が出せなかったりして、時間だけがムダに過ぎていきます。そして、期限直前となって、最終的には、乱暴に「えいや」で1つの結論を出すことになるのです。
さらに、せっかく時間をかけて仕上げても上司からダメ出しされてまた一からやり直しなんていうことになったら、それまでの苦労は水の泡です。
仮説思考により、限られた時間内で効率的にある程度質の高い結論を出すことができます。仮説思考を適切に行うには、①どんなに少ない情報からでも仮説を構築する姿勢、②「○○という条件だったら」といった具合に前提条件を設定して先に進む力、③時間を決めてとにかく結論を出す力が求められます。次のような仮説検証サイクルを展開していきます。

シーンの場合はどうするか?
今回のシーンでは、まず新サービスの企画を1つたて、ある程度その根拠づけをしたら、さっさと上司に見せて検証してもらい、修正するべきです。そして期限内に仮説が練り上げられるまで、このサイクルを繰り返すのです。1人でうんうんと悩んで抱え込んだら最悪です。おおよそ次のようなスケジュール感が考えられます。

コンセプトのラフな私案作成(仮説) 2日めまで
私案を裏付ける情報収集(根拠づける)
上司にラフ案を提示し反応を見る 3日めまで
(試す、効果を測定する)
上司からフィードバックをもらう(学ぶ)
私案を修正する(仮説の修正) 4日めまで
最終案を上司に再提出する 5日めまで

仕事とは「期限内で」「まずまずの成果(完璧な成果ではない)」を上げることである。
まず仮説をたて、試して、検証しよう!

三枝 元 (著)
出版社: ぱる出版 (2020/2/6)、出典:出版社HP