Excelで今すぐはじめる心理統計 簡単ツールHADで基本を身につける (KS専門書)

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レポートも安心!統計の基礎もコツも実感できる

本書は、今手元にあるデータをすぐに分析しなければならない統計に自信のない人向けに書かれた本です。統計の理論的な説明はほとんどせずに、Excel上で動く統計ソフトであるHADの使い方に焦点を当てています。分析の時間に余裕のない統計初心者の方におすすめの統計本です。

小宮 あすか (著), 布井 雅人 (著)
出版社 : 講談社 (2018/1/27)、出典:出版社HP

Excelで今すぐはじめる心理統計 簡単ツールHADで基本を身につける (KS専門書)

注意

・本書に記載したURL ソフトウェアのバージョンなどは予告なく変更されること
があります。
・HAD は「無保証」のソフトウェアです。http://norimune.net/696(HAD 開発者 による「HADとは」のページ, URL 確認:2017年11月)のご一読をお願いいたします。
・Windows®, Excel® は、米国Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標です。
・本書ではR,TMマークは明記しておりません。
・本書では、Windows7 Enterprise, Excel2016. HAD16_008 で動作確認を行っております。同じソフトウェアを用いていても、環境の違いバージョンアップ時の変更その他により、操作手順などが本書記載のものと異なる可能性があります。
・統計解析を実行した結果につきましては、著者および弊社は一切の責任を負いません。
・本書で用いたデータは,http://www.kspub.co.jp/book/detail/1548121.html よりダウンロードできます。

はじめに

この本は,「あまり統計には自信がないけれども,今手元にデータ があって,とりあえず何とかして分析をしなくちゃいけない」人向けに書かれた応急処置の本です。この本では,統計の理論的なところや細かいところの説明は最低限にとどめ,統計ソフトである HAD の使い方に焦点を当てた構成をとっています。HAD は Excel 上で動くマクロプログラムと呼ばれるもので,心理統計で使いやすいよう に設計されています。関西学院大学社会学部の社会心理学者・清水 裕士先生によって開発され、無料で公開されています。心理学者に よって開発された心理統計用のプログラムなので,「かゆいところに 手が届く」として、心理学者の間では評判です。

HAD にはたくさんの機能があります。ただ,たくさんの機能がありすぎて、何をどう使えばいいのか、はじめて分析しようとする初 心者は迷子になることがあります。そこでこの本では,初心者がよく使う分析に絞って使い方を説明しています。すべての機能には触 れません。この本の中で扱う以外にもHAD でできることはたくさんありますので、気になったら清水先生のホームページや HAD の 説明書をのぞいてみてください。

ですから,この本はすでに統計に詳しい人には向いていませんし, 手元にデータがない人にも(今はまだ)あまり向いていません。も しあなたが統計について詳しいなら,この本で紹介する HAD では なくて、まずR や SAS で分析することを考えてみてください。デー タのない人は、データ収集を終えてから,あるいは何かしらのサン プルデータを入手してから,この本に戻ってきてください。本はいつまでも待ってくれます。時間的な余裕のある人は,統計について 詳しく書かれた別の本を読んで一から勉強しましょう。今日では、統計の理論についてわかりやすく説明してくれるよい本がたくさん 出ています。
さて、準備はできましたか? 手元にデータはありますか? 皆さんのお手持ちのデータ,一緒に分析してみましょう。

2017 年 12月
小宮あすか・布井雅人

小宮 あすか (著), 布井 雅人 (著)
出版社 : 講談社 (2018/1/27)、出典:出版社HP

目次

はじめに
[第0章] HADの準備
0.1 HADのダウンロード方法
0.2 データの準備をする
0.3 HADの利用について
[第1章] ちょっと理論的な話1 心理学でなぜ統計が必要なのか
[第2章] ちょっと理論的な話2 尺度水準
[第3章] 記述統計 データの分布を知る・代表値と散布度
3.1 データの分布を知る
3.2 HADで度数分布表・ヒストグラムを出力する
3.3 代表値
3. 4散布度
3.5 HADで代表値や散布度を算出する1:量的変数の場合
3.6 HADで代表値や散布度を算出する2:順序尺度の場合
[第4章] ちょっと理論的な話3 推測統計と統計的検定
4.1 推測統計
4.2 統計的検定
4.3 どの検定を選ぶべきか
4.4 レポート・論文で報告する必要のある心理統計用語
[第5章] t検定
5.1 t検定とは
5.2 2種類のt検定
5.3 HADで対応のあるt検定を行う
5.4 HADで対応のないt検定を行う
5.5 結果の報告
[第6章] 1要因分散分析
6.1 分散分析とは
6.2 主効果
6.3 多重比較
6.4 HADで1要因分散分析(参加者内要因)を行う
6.5 HADで1要因分散分析(参加者間要因)を行う
6. 6結果の報告
[第7章] 2要因分散分析.
7.1 2要因分散分析とは
7.2 主効果
7.3 交互作用
7.4 HADで2要因分散分析を行う1:参加者間要因×参加者内要因
7.5 HADで2要因分散分析を行う2: 参加者内要因×参加者内要因
7.6 HADで2要因分散分析を行う3:参加者間要因×参加者間要因
7.7 結果の報告
[第8章] 相関とその検定
8.1 相関関係とは
8.2 相関係数
8.3 相関係数に対する有意性検定
8.4 相関に関する注意点
8.5 HADで相関係数を算出する 8.6 結果の報告
[第9章] 単回帰分析.
9.1 単回帰分析とは
9.2 HADで単回帰分析を行う――「散布図」の機能を使う
9.3 HADで単回帰分析を行う――「回帰分析」の機能を使う
9.4 結果の報告
[第10章] 重回帰分析
10.1 重回帰分析とは
10.2 多重共線性の問題
10.3 HADで重回帰分析を行う
10.4 結果の報告
10.5 交互作用項を入れる場合(階層的重回帰分析)
10.6 HADで交互作用項を含んだ重回帰分析を行う
10.7 交互作用項を含んだ重回帰分析の結果の報告
10.8 ちょっと進んだ分析――媒介分析
[第11章] 因子分析
11.1 構成概念とその測定
11.2 因子分析とは
11.3 HADで因子分析を行う
11.4 結果の報告
[第12章] カイ2乗検定
12.1 カイ2乗検定とは
12.2 2種類のカイ2乗検定
12.3 HADでカイ2乗検定を行う1:適合度の検定
12.4 HADでカイ2乗検定を行う2:独立性の検定
12.5 結果の報告
終わりにもっと分析したい人のために
付録:フィルタの使い方
ブックガイド

索引
一般索引
HADの操作に関する用語索引

HADの準備

それでは HAD を皆さんのコンピュータにダウンロードしましょう。 なお,この本で説明に用いているデータはホームページ上(http:// www.kspub.co.jp/book/detail/1548121.html) からすべてダウンロー ドできます。なお,この本で扱っているデータはすべてコンピュータ 上で作った架空のデータです。実際の分析のシーンでよく目にするも のに似せて作っています。

0.1 : HADのダウンロード方法

HAD はマイクロソフト社の表計算ソフトである Excel 上で動くプロ グラムです。Excel のインストールされていないコンピュータでは動 きません。清水先生は Windows マシンでの利用を推奨しています。こ の本では、Excel2016での動作を紹介しています。
Step1 清水先生のホームページ(http://norimune.net/)にアクセスし,「統計ソフト HAD」をクリックします。
Step2 「HAD のダウンロード」をクリックします。
Step3 開いたページの中から,「HADO0」をクリックします (○○はバージョン名)。
Step4 ファイル名を右クリックし、「ダウンロード」をクリックし ます。右上の「ダウンロード」内の「直接ダウンロード」をクリックし ます。Excelファイルがダウンロードされますので、それを開きます。
ファイル名をクリックしただけではファイルは開きませんので注意 してください。
Step5 Excelのファイル名を確認してください。
ファイル名の「HAD」に続く数字が大きい Excel ファイルが最新 バージョンです。最新バージョンでは、バグ(間違い)がある可能性がありますが最新の機能が使えます。数字が小さい Excel ファイルは 1つ前のバージョンです。バグのある可能性は比較的低く,安定して使えます。

0.2 : データの準備をする

HAD をダブルクリックして開きます。セキュリティの関係で「編集 を有効にする」かどうかと「コンテンツの有効化」について警告が出る場合があります。いずれもクリックして承諾します。
開いてみると,データシートが選択されています。ここに,Excel の データを貼り付けるか、または直接入力します。 「通常1人の参加者から得られたデータはすべて同じ行に入力します。一番左側には、識別用の参加者の番号(ID)を入力します。

Tips HADの読み方
HADの読み方は特に決まっていません。清水先生曰く、「えいちえーでいー」でも「はど」でも、どちらの読み方でもよいそうです。

0.3 : HADの利用について

HADで分析した結果を公に報告する際には、以下の文献を引用文献 として挙げてください。
清水 裕士 (2016). フリーの統計分析ソフト HAD:機能の紹介と統計 学習・教育,研究実践における利用方法の提案メディア・情報・コ ミュニケーション研究, 1,59-73.
その他,細かい利用方法のガイドラインは清水先生のホームページ(http://norimune.net/3036)を確認してください。

小宮 あすか (著), 布井 雅人 (著)
出版社 : 講談社 (2018/1/27)、出典:出版社HP