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統計の基本がゼロからわかる
「心理統計」とは、多くの統計的な方法からなります。本書が取り上げ統計的な方法は、変数が1つか2つの場合の基本的な方法です。数学が苦手な人でもわかりやすいように平易に説明されているため、心理学を学び始めたばかりの方のような「心理統計」がどのようなものかあまり理解できていない人におすすめです。
これならわかる! 心理統計
はじめに
心理学は、「こころ」の働きを理解するための科学です。別の言い方をすると、 心理学は「こころ」に関わることならすべて研究の対象となる科学です。実際、 心理学には研究の仕方や対象によって分けられた多くの分野があります。感 覚・知覚心理学、認知心理学、動物心理学、社会心理学、性格心理学、発達心 理学、学習心理学、生理心理学、臨床心理学、犯罪心理学などは、代表的な分 野の例といえます。
心理学は、このように多くの分野からなりますが、「こころ」の働きを理解 するという目的のほかに、どの分野にも共通している点があります。それは、 いずれの分野においても調査や実験から得られたデータに基づいて研究を進めるという点です。「十人十色」というように、実際に得られたデータは個人に よる違いの影響を受けます。また、同じ人であっても、いつも同じデータを得られるとは限りません。心理学で扱うデータには、多かれ少なかれ「ばらつき」 があるといえます。
本書に解説する「心理統計」は、心理学における統計的な方法のことであり、 「ばらつき」のあるデータから、データの一般的な特徴や傾向を推測する、またはデータからみて理論が正しいかどうかを判断するために使われます。デー タの統計的な扱いは、心理学の分野によらず必要とされる「共通言語」のよう なものです。臨床心理士やカウンセラーなどの資格の取得にも、統計的な方法 に関する知識は必要とされます。
心理統計を理解するには、ある程度の数学的な知識が必要です。読者によっては数学の苦手な人もいると思いますので、本書では理解に必要な数学はできるだけ少なくし、平易に説明するように心掛けています。本書が、心理学を学 ぶ、または心理学関係の資格取得を目指す読者にとって、共通言語である「心 理統計」を学習する助けとなれば幸いです。
宮埜壽夫
CONTENTS
はじめに
本書の特長
第1章 心理統計とは
01 心理統計って何?
02 心理学での測定
チェックテスト
第2章 データをわかりやすくまとめよう 記述統計
01表やグラフによる表現
02 データを代表する値(代表値)
03 データのばらつきを調べる
04 グラフによる表現
05 変数間の関係
06 相関係数
07 変数の関係のグラフ化
チェックテスト
第3章 データの基礎的な分布を知ろう
01 確率分布
02 二項分布と期待値
03 正規分布
04 標準正規分布と標準得点
チェックテスト
◆数学的知識を確認しておこう
第4章 部分から全体を知る 推測統計
01 母集団と標本
02 標本分布
03 母集団の推測
チェックテスト
第5章
仮説を検証しよう―統計的仮説検定の考え方と方法
01 仮説の検証と推論
02 母平均に関する検定
03 検定の誤りと検出力
04 母分散の検定
05 母比率の検定
06 母相関係数の区間推定と検定
07 カテゴリー・データの検定
08 ノンパラメトリックな検定方法
チェックテスト
第6章 実験結果を分析しよう 分散分析
01 実験計画とは
02 実験計画
03 分散分析
チェックテスト
第7章心理テストを作る
01 心理テストに求められること
02 項目反応理論
チェックテスト
おわりに
参考文献
索引
本書の特長
本書は、心理学でよく使われる統計的な方法を、基礎からわかりやすく した書籍です。 初めて統計に触れる人でも理解しやすいように、図やイラストを豊富に し、調査や研究などにも活用できる内容としています。
★ポイント
各節で解説する主な要点を挙げています。次のように使いましょう。
●本文を読む前にチェックし、まずは要点を理解する
●本文を読んだあとにチェックし、 おさらいする。
★イラスト
心理統計の基本、分析や調査の方法、 数式の考え方などをイラスト化し、具体 的にイメージできるようにしています。
★重要な内容・用語
心理統計を理解するうえで重要な内容や用 語は、覚えやすいよう に色文字にして表示し ています。
★心理学の具体例/考え方
心理統計が使われる具体的な場面や、就 計学の考え方などを紹介、実際の研究や 調査などを想定しやすくしています。
★キーワード
重要な用語や内 容の補足説明で す。本文と併せて 読むことで、より 深い知識を得る ことができます。
本書のメリット
●数学や統計学が苦手な人でも理解しやすい「Oからの解説」
●統計の基礎や実例をイメージしやすい「図とイラスト」
●調査や研究に活用しやすい「豊富な実例」
●内容が定着しやすい 「チェックテスト」
★チェックテスト
各節で解説した内容の要点を、穴埋め形式や選 択肢式のチェックテストにしています。各節を読んだあとに解くことで、知識の定着が図れます。
本書を読む前に押さえておくこと
1 本書におけるローマ字の大文字は原則として「変数」を、小文字は「変数の値」を表し、
ています。
2 本書における変数は、とる値が確率的に現れる「確率変数」と呼ばれるものです。
3 負でない数aをn回掛けた数を、” と表します。たとえば、2を3回掛けた数は2です。 4 a’ =bのとき、はがすと表すことができます。ただし、n = 2のとき、わきの代わりに、と表すこともあります。
5 底をaとするときの6の対数は、log.bと表します。ただし、本書で使う対数はすべて 「自然対数」なので、底を省略してlogbと表します。
※自然対数は、ネイビア数 eを底とする対数です。ネイピア数については3章 72 ペー ジを参照してください。
6 ギリシャ文字 (ミュー), (シグマ),p(ロー)は、「測定変数」の対象となる集団(母集団)の特性 (平均や分散など)を表しています。
7 半開区間[a, b) は、「a以上6未満の値の集まり」という意味です。一方、半開区間 (a, b]は、「aより大きくら以下の値の集まり」という意味です。
8 計算結果は、四捨五入をしています。たとえば、値1.36を小数第2位で四捨五入した値は、1.4です。四捨五入しているために、計算が正しくないように見えることがあります。たとえば、確率の合計が1になるはずなのに、そうならないことがあります。
9 本書では、たとえば一 = 0.33 のような、本来は近似的に等しい関係を、誤解のない戦法
で等号 (=)で表しています。
10 データを列挙する場合や、座標を表す場合などは、「、」ではなく、「、」を使っています。