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【書き方をしっかり学ぼう – レポート・論文おすすめ本】も確認する
評価されるレポートが書けるようになる
レポートや論文の書き方とコツが基本から丁寧に解説されており、とても読みやすくて分かりやすいです。テーマの決め方や資料の探し方、構成の基本構造や論理的な文章の書き方など、大学の授業では教わらないノウハウがわかるので、大学生必携の1冊です。
※本電子書籍は、2011年5月にナツメ社より印刷・発行された「ゼロからわかる大学生のためのレポート・論文の書き方」を、一部修正の上、電子書籍化したものです。よって、記載される内容は当時の情報になります。※本電子書籍の内容は、印刷・発行された出版物とは、一部異なる場合があります。また、電子書籍としては不要な情報が含まれる場合もあります。※本電子書籍の全部または一部を無断で複製(コピー)・転載・改ざん・公衆送信すること、および有償無償に関わらず、本データを第三者へ譲渡することを禁じます。※個人利用の目的以外での複製等の違法行為、もしくは第三者へ譲渡しますと、著作権法、その他関連法によって処罰されます。
はじめに
レポート・論文作成の悩みを解消するために
この本を手に取った皆さんは、次のような疑問や不安を持っていませんか?
●レポートの課題が出たけど、どこから手をつけたらいいの?
●レポートや卒業論文のテーマが思いつかない
●長い文章を、構成を考えて書くのが苦手
●日本語表記のルールがよくわからない
●卒業論文がきちんと書けるか、自信がない
もし、ひとつでも当てはまるものがあれば、ぜひこの本を開いてみてください。大学の授業で課されるさまざまなタイプのレポートや論文を想定して、「レポートって何?どうやって書くの?」「テーマはどうやって決めるの?」「何から始めて、どう進めていくの?」などの疑問に答えられるように、実例を交えながら解説しています。この本は、長い間、大学生のレポート作成や予備校生の小論文作成を指導してきた、その経験をベースに書きました。ですから、「レポートを書くのははじめて」という大学1年生から、卒業論文作成を控えた大学3~4年生まで、きっと参考になると思います。
なお、本書は、大学・大学院の入学試験や就職試験の「小論文」には対応していません。また、卒業論文に求められる厳密な統計処理や調査方法については、それぞれの専攻分野に適した解説書を読んでいただくことをおすすめします。
最後に、本書を執筆する機会をくださったナツメ出版企画の齋藤友里さん、原稿についてしんぼう強くご指導をいただいた文研ユニオンの市原一幸さん、皆川喜美子さん、そしてさまざまなアドバイスをいただいた東京海洋大学の大島弥生先生をはじめ、日本語表現法担当教員の皆さんに、厚くお礼を申し上げます。
石井一成
Contents
論文作成は「自分磨き」の第1歩!
レポート・論文ってどんなもの?
レポート・論文には10のステップがある
この本に出てくる論文を説明する用語
第1章 レポート・論文ってどんな文章?
1「レポート・論文」と「作文」はこう違う!
自分の意見を客観的に説明するのが「論文」
論文には「問題提起」「主張」「根拠の説明」がある
論文には「信頼できるデータ」をつける
2レポート・論文のさまざまなタイプ
レポートや論文にはさまざまなタイプがある
「報告型」と「論証型」の違いとは?
レポート・論文の共通点は「評価される」こと
3レポート・論文の5つの構成要素と基本レイアウト
書誌情報・序論・本論・結論・参考文献一覧が構成要素
4レポート・論文の作成には4つのメリットがある
文章を書くことで多くの力が身につく
レポートや論文は単位取得の必須条件
第2章 まずは1週間でレポートを書いてみよう!
1「レポート」とは何かを理解しよう
課題によって求められる内容は違う
2ブックレポートはこのように書く。
要約には2つの方法がある
意見・感想・批評の違いを正確に理解しよう
ブックレポート完成までの4つのステップ
Step1課題の趣旨・作成条件などを確認する
Step2指定の文献をざっと見渡して書く内容を探す
Step3書く内容を検討しながらじっくりと読む
Step4要約および自分の意見・感想を文章にする
3学習レポートはこのように書く
重要な事柄についてまとめる「学習レポート」
「学習レポート」の4つの出題パターン
報告型学習レポート完成までの4つのステップ
Step1課題の趣旨・作成条件などを確認する
Step2背景・基礎知識を得るために基本資料を入手する
Step3報告内容を選び、アウトラインを作る
Step4アウトラインを文章化する
4レポートを作成するときに注意すること
レポートの評価を下げる行為を理解しておこう
レポートの評価を上げるポイントとは
第2章のまとめ
第3章 論文を書くための10のステップ
論文作成の10のステップ
Step1課題の趣旨や作成条件を理解し、スケジュールを作る
教員の「出題意図」や「課題の趣旨」を理解する
「作成条件」や「評価基準」を確認する
論文提出までのスケジュール表を作る
Step2基本資料を入手して、テーマに関する基礎知識を得る
テーマ候補となるキーワードを探す
自分に合った基本資料を集める
集めた基本資料に目を通す
Step3「見取り図資料」を作って、情報を整理する
自分の問題意識を表す「思考マップ」を作る
「問いと答えのリスト」を作る
「情報カード」にアイディアやデータを書き込む
Step4「目標規定文」を作って、論証方法を考える
自分の主張を文章にした「目標規定文」を作る
説得力のある論証方法を考える
Step5論証方法に合ったデータを集め、見せ方を考える
データの見せ方を工夫して説得力を高める
データに見出しや説明を加える
Step6「目標規定文」を「項目アウトライン」に発展させる
論文の設計図となる「項目アウトライン」を作る
序論・本論・結論の展開を考える。
Step7「項目アウトライン」を「文アウトライン」に発展させる
「文アウトライン」で各章の骨組みを具体的にする
「文アウトライン」を修正したら目標規定文も修正する
Step8「文アウトライン」を「完成版アウトライン」にする
「完成版アウトライン」で各章の内容を決定する
Step9「完成版アウトライン」を文章にする
まず「本論」から書き始めよう
「パラグラフ形式」でわかりやすい文章に
Step10最終チェックをして、完成原稿に仕上げる
提出前の最終確認を忘れずに!
10のステップはこのように進める!
【コラム]レポート作成がうまく進まないときは
第4章 課題が出てから1~2週間にすべきこと
1評価される「テーマ」を設定するには
「テーマ」とは「意義のある問い」を提示したもの
こんなテーマは評価が低くなる!
問題意識を高めることから始めよう
2基本資料は2とおりの読み方をする
検索ツールを活用して基本資料を集める
2つの視点を使い分けて基本資料を読む
3「思考マップ」はこのような手順で作成する
自分のアイディアを思いつくままに書いてみる
「思考マップ」完成までの発想方法とは?
第4章のまとめ
第5章 課題が出てから2~3週間にすべきこと
1見取り図資料をもとに「目標規定文」を作る
目標規定文には3つの要素がある
目標規定文の作成手順
2「先行研究」と自分のテーマの関係を確認する
「先行研究」を参照する意味とは?
論証に必要な「先行研究」は整理しておく。
3論証に必要なデータは何かを考える
説得力のある主張に必要なデータを見きわめる
データの種類を知って、必要なものを集めよう
4論証には典型的なパターンがある
基本の「論証パターン」を知っておこう
自分なりの論証パターンを考える。
5本論の展開を考え、「項目アウトライン」を作る
論文は章・節・項から構成される
何を主張するかによって章の立て方を変える
序論・本論・結論と目標規定文の関係
論文の「表題」のつけ方の基本
第5章のまとめ
第6章 論文完成までの最終段階ですべきこと
1「文アウトライン」を作り、内容をさらに具体的にする
章立てや章の詳しい内容を決める
データの位置や疑問点を書き込む
2章立てを最終決定した「完成版アウトライン」を作る
調査や考察を終えてアウトラインを完成する
データや参考文献一覧を最終チェックする
3アウトラインを「パラグラフ形式」の文章にする
1つのパラグラフでは1つの話題をとりあげる
「中心文」と「データ」をパラグラフ化する
4論文にふさわしい文章にするには
正確でわかりやすい文章を書く
客観性のある文章にする
説明の基本となる「PREP法」
5論文清書前のチェックポイント
論文の下書きができたら必ず見直しをしよう
内容に関するCheck Point
構成やレイアウトに関するCheck Point
文章に関するCheck Point
6論文提出前の最終チェックポイント
論文を清書したら、最終チェックをしよう
合格基準やマナーに関するCheck Point
参考文献一覧に関するCheck
Point完成したレポートの見本
第6章のまとめ
【コラム】「あいまいな表現」には要注意!
第7章 知っておきたい表記や引用のルール
1日本語表記上のルール
日本語表記に気を配れば、論文の信頼度が高まる
2先行研究などの引用の基本
引用のルールを守らないと評価が低くなる!
「引用表現」で著者名や書名を明確にする
3参考文献一覧の作り方
参考文献一覧を論文の最後に添付する
4自分の意見を効果的に主張する引用方法
自分の立場によって引用のしかたは変わる!
第7章のまとめ
【コラム】数値データの説得力
第8章 卒業論文作成に向けて
1卒業論文の準備は早めにスタートしよう
卒業論文作成には手間と時間がかかる!
提出までのスケジュールをしっかり管理しよう
2卒業論文の体裁や章構成で注意すること
卒業論文の書式や体裁はガイドラインにしたがう
人文社会系の卒業論文では親密な論証が必要
3論証による説得とは何か理解しておこう
論証ではこのようなことばが使われる!
論証では「命題」と「推論」を重ねて主張を導く
「分析」にはさまざまな方法がある
4卒業論文の論証・考察方法①仮説検証型アプローチ
論証を通じて仮説の正しさを強調する「仮説検証型」
研究対象の量的な側面に注目する「定量的研究」
5卒業論文の論証・考察方法②解説・整理型アプローチ
研究対象の情報を整理して解説する「解説・整理型」
研究対象の質的な側面に注目する「定性的研究」
6「1次データ」と「2次データ」を区別する
論文作成者自身が集める「1次データ」
他者が集め、一般に公開されている「2次データ」
「1次データ」と「2次データ」の使い分け
予測される「反証」に反論できるようにする。
7卒業論文の準備と提出後の審査
卒業論文には入念な準備が必要
卒業論文提出後には「口頭試問」がある。
第8章のまとめ
〈参考資料〉
論文作成は「自分磨き」の第1歩!
グローバル化や少子高齢化が進むなかで、現代の日本は難しい時代を迎えています。大学卒業後の就職についても、この数年は厳しい状況が続いています。というと、ここまで読んだ皆さんは、「レポートや卒業論文の本なのに、なんで就職の話なの?」と思うかもしれませんね。
しかし、論文を書くことと就職は、じつはつながっているのです。就職試験時に書くエントリーシートは、「私」についての小論文です。苦労して就職したら、営業から企画、開発に至るまで、さまざまな業務に携わることになりますが、どの業務であれ、問題点は何かを特定し、重要事項を的確に伝えるという過程を含む文書の作成能力は、必要なスキルの1つです。
大学生時代の、価値あるテーマを深く掘り下げ、解決策を探るという作業は、思考能力を高めてくれます。論文作成は、将来の職業生活に備えた「自分磨き」の一環といってもいいでしょう。「論文を書く」という作業を、自己成長の機会ととらえ、「思考技術」を磨き、”できる”社会人になるための知的トレーニングと位置づけてほしいのです。
本書では、この「自分磨き」の第1歩である、レポートや論文の作成方法について、段階を追って具体的に解説します。それぞれの学問分野において専門知識を身につけたうえで、本書が、レポートや卒業論文を自力で書くための手助けになれば幸いです。
それでは、次ページから、論文作成に対する皆さんの不安や悩みを解決するにはどこを見ればよいか、この本の構成についてご案内します。
*本書では、とくに断りがない場合、大学生が課題として取り組むレポート類から卒業論文までをまとめて、「論文」という用語で表します。
レポート・論文ってどんなもの?
レポートや論文を書く前に、課題の種類や内容など、基本的なことを知っておきましょう。
Question(1)レポートや論文は、作文とどこが違うの?
高校までの作文は、経験した出来事や感想について書く、主観的な文章です。一方、大学のレポートや論文は、客観的な根拠をあげながら、事実や理論に基づいて読み手を論理的に説得する文章です。
【第1章18ページ参照】
Question(2)大学では、どんなレポートの課題が出されるの?
よく出されるのは「ブックレポート」「学習レポート」「観察・実験・実習の報告書」などです。授業中に書く短い課題もありますが、一般的には数日~数週間かけて書くものです。
【第1章23ページ・第2章34ページ参照】
Question(3)「ブックレポート」は、何を書くの?
「読書レポート」とも呼ばれ、文献を読んで、著者の主張や書かれている内容を要約します。それに加えて、感想や意見が求められる場合もあります。通常は、読む本や論文が指定されます。
【第2章36ページ参照】
Question(4)「学習レポート」は何を書くの?
「報告型」の学習レポートは、授業でとりあげた重要な事柄について、その概要をまとめ、報告します。「論証型」は、論争になっている事柄を整理し、自分の立場を明確にして意見を述べます。
【第1章24ページ・第2章42ページ参照】
Question(5)課題が出たら、何から始めればいいの?
どの課題でも、まず課題の趣旨や作成条件(提出期限や評価基準など)を確認し、提出までのスケジュールを作ります。出題意図や作成条件に合っていないと評価が低くなるので、要注意です。
【第3章52ページ参照】
Question(6)必要な資料の集め方と読み方は?
まず、どんな資料が必要か、指導教員に質問することです。次に、図書館にある「パスファインダー」「OPAC」などの検索システムを活用して、課題に関連する重要語や参考文献をできるだけ多く集め、2つの視点を使い分けながら、資料を読んでいきます。
【第3章56ページ・第4章94ページ参照】
Question(7)資料から集めた情報の整理方法は?
集めた情報や、ひらめいたアイディアなどを整理する方法には、「思考マップ」「問いと答えのリスト」「情報カード」があります。この本では、この3つを合わせて「見取り図資料」と呼びます。これらの方法をうまく組み合わせて、情報を整理しましょう。
【第3章60ページ・第4章98ページ参照】
Question(8)レポートや論文の構成に決まりはあるの?
一般的なレポートや論文は、「序論」「本論」「結論」の3つの部分で構成されます。それに「書誌情報(タイトルや作成者名など)」と「参考文献一覧」を加えたものが、論文の5つの構成要素です。序論・本論・結論の展開のしかたについては、よく使われるパターンがありますので、前もって知っておくと役に立ちます。
【第1章26ページ・第3章74ページ参照】
Question(9)文章の書き方で気をつけることは?
1つの話題とその説明を1段落にまとめる、「パラグラフ形式」を心がけてください。論文の文章には正確性や客観性が求められますし、さまざまな日本語表記上のルールもあります。文章表現については、一度じっくりと勉強する時間をとるとよいでしょう。
【第3章84ページ・第6章132、134ページ・第7章参照】
Question(10)卒業論文はどのように進めるの?
卒業論文に関しては、進め方や書式に大学独自のルールがあります。また、学問分野によっても研究方法やデータの集め方が違います。この本では、レイアウトや論証・考察方法などについて、一般的な留意事項をとりあげました。
【第8章参照】
レポート・論文には10のステップがある
レポートや論文の作成手順を、大きく10に分けてみました。これを参考に、学問分野に合わせて自分なりのスタイルにアレンジしましょう。
Step①
課題の趣旨や作成条件を理解し、スケジュールを作る
【第3章52ページ参照】
Step②
基本資料を入手して、テーマに関する基礎知識を得る
【第3章56ページ参照】
Step③「見取り図資料」を作って、情報を整理する
【第3章60ページ参照】
Step④
「目標規定文」を作って、論証方法を考える
【第3章66ページ参照】
Step⑤
論証方法に合ったデータを集め、見せ方を考える
【第3章70ページ参照】
Step⑥
「目標規定文」を「項目アウトライン」に発展させる
【第3章72ページ参照】
Step⑦
「項目アウトライン」を「文アウトライン」に発展させる
【第3章76ページ参照】
Step⑧
「文アウトライン」を、「完成版アウトライン」にする
【第3章80ページ参照】
Step⑨
「完成版アウトライン」を文章にする
【第3章84ページ参照】
Step⑩
最終チェックをして、完成原稿に仕上げる
【第3章86ページ参照】
この本に出てくる本論文を説明する用語
この本で論文について説明するときに、よく出てくる用語のうち、基本的なものを簡単にまとめました。本文を読む前に意味をつかんでおきましょう。
表題◆論文のタイトルのこと。仮タイトルは「仮題」という。
テーマ(論点)●論文の問題提起となる、いちばん大きな「問い」。「本稿では、…について論じる」などの文で表現されることが多い。
トピック(話題)◆その分野での論じるべき重要な概念やジャンルを幅広く示す単語。法学分野の「裁判員制度」、環境分野の「地球温暖化」などが例。
キーワード(重要語)◆トピックに関連する重要な単語。「地球温暖化」がトピックなら、「ヒートアイランド現象」「ゲリラ豪雨」などがキーワード。
論証◆何かを証明したり、ある判断の真偽や確からしさを示したりするために、証拠となるデータや理論をあげて主張すること。
データ◆論証の根拠となる事実・数値・資料のこと。もっと具体的には、説明の際に使うグラフ類や文献からの引用などのこと。
見取り図資料◆基本資料を読んで集めた情報や、自分の問題意識を整理したもの。「思考マップ」「問いと答えのリスト」「情報カード」などがある。
思考マップ◆1枚の紙の中心にキーワードを、そのまわりに関心事や疑問点を書き、連想ゲームのように線で結びつけて図にしたもの。
目標規定文◆木下是雄氏が提唱したもので、「何をテーマとし、どのように考察・分析し、どのような結論を導くか」を表した短い文章。
項目アウトライン◆目標規定文を発展させ、論文の骨組みを簡条書きに表したもので、これをもとに章立てを作っていく。
文アウトライン◆項目アウトラインを発展させ、箇条書きの部分を一部文草化したもの。草立てやデータ類の置が、より具体的になっている。
完成版アウトライン◆立てや卓見出し、データの配置などを決定して、完成させたアウトライン。これを文章化して論文にする。
パラグラフ形式◆ある1つの話題とその説明を200字程度の段落にまとめた、1区切りの文章。話題を示す中心文をパラグラフの頭のほうに置く。
第1章 レポート・論文ってどんな文章?
レポート・論文とは、事実や理論に基づいて自分の意見を述べる文章で、「問題提起」「主張」「根拠の説明」「信頼できるデータ」という4つの要素が必要です。また、ブックレポートや学習レポート、学期末レポート、卒業論文など、さまざまなタイプがあります。レポートや論文の基本について、書く前にしっかり理解しておきましょう。
1「レポート・論文」と「作文」はこう違う!
2レポート・論文のさまざまなタイプ
3レポート・論文の5つの構成要素と基本レイアウト
4レポート・論文の作成には4つのメリットがある
1「レポート・論文」と「作文」はこう違う!
自分の意見を客観的に説明するのが「論文」
皆さんは、「論文」と聞くと、どのような文章を思い浮かべますか?同じような意味で、もう1つ、「レポート」ということばもありますね。論文やレポートは、「作文」と何が違うのでしょうか?
じつは、学問の分野や指導者によって、「論文」の定義には大きな違いがあります。そこで、どのような文章を「論文」というのか、この本での考え方を最初に説明しておきましょう。
「作文」は、自分自身の経験したことや感じたことを書く、出来事や感想が中心の文章です。日記やエッセイ、プログなども、作文の一種です。それに対して、「論文」は、事実や理論に基づいて、客観的根拠をあげながら、自分の意見を説明し、読み手を説得する文章です。
「論文」は、作文のように自分の思いを書きつづる文章ではありません。論文には、次にあげる3要素が必要です。それは、1これまでにまだ問われていない疑問点(問い)を示す「問題提起、2それに対する答えとしての明確な「主張」、3主張の正しさ・確からしさを示す「根拠の説明」、の3つです。
論文には「問題提起」「主張」「根拠の説明」がある
それでは、「論文」の定義をしっかりと理解するために、次ページの文章例を比較しながら、いっしょに考えてみましょう。A〜Dの4つの文章がありますが、そのなかで、「論文」といえる文章はどれでしょうか?