レポート・論文の書き方 上級

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論文作成のルールがよくわかる

資料の集め方から論点の絞り方まで、論文作成におけるルールが詳解されています。参考文献の引用・注の書き方やその実例はもちろん、インターネットで得た資料の引用方法など、他に類をみない充実度となっています。

桜井 雅夫 (著)
慶應義塾大学出版会 (2003/10/9)、出典:出版社HP

まえがき

この本は、主として文系の大学と大学院の学生を対象に、論文やレポート を書く際に必要最低限の約束ごとをマニュアルふうに整理したものである。 また、これから海外の大学や大学院に進もうという学生にもマニュアルとして使えるように配慮をしている。
この本の基になったのは、私が本務校(慶應義塾大学、当時)でこれまで 学生たちに頒布してきた簡単な手引である。今回、その内容を全面的に充実 させて公刊することにしたものである。巻末にリストした類書の内容とはで きるだけ重複しないよう、随所に特色を持たせている。 「正直のところ、私自身は決して論文書きの名手でもないし、名文家でもない。素敵な論文を書く法という類いの本は巻末にリストしたので、それを参 考にしていただきたい。
このマニュアルを書いた主な理由は次の2点である。第1は、執筆のさい の約束ごとを無視した論文を何とかしたいということである。いまの学生は、 大学院生を含め、パソコンやワープロを使って一見立派なものを作る才能を 持っている。しかし、論文執筆のルールが守れるとは限らないのである。
第2は、論文の指導とはべつに、文献の引用の仕方の訓練をしたいという ことである。じつは、この本の主な目的はこの第2の点にある。指導教授が 必ずしも論文のスタイルや引用のルールを知っているとは限らない。学生が ルールを知らないのは、教師が教えないからである。
この本では文献の引用方法などについて細かいルールを紹介している。も っとも、私自身が自分の著書や論文の中でそのルールを完全に守っているわけではない。出版社が独自の基準で手を入れる場合もある。かりにルールを 守ったつもりでも、印刷の段階で各頁、各行のレイアウトの都合や校正漏れ でルールが壊れるときもある。
というわけで、この本はあくまでもひとつの手がかりとして利用していた だくものと考えている。
さいごに、この本の刊行について相談に乗ってくださった態 版会の坂上弘社長、同営業部の小林敏さん、またたくさんの細かい指示を聞き入れてくださった同編集部の村山夏子さんに心から感謝の意を表したい。
平成10年9月
櫻井雅夫

改訂版によせて
初版は学生から研究者にいたるまで大勢の方々から支持を得た。さらに多 数の大学と大学院で教材ないし参考書に指定され、著者としては大きな責任 を背負い込むことになった。このため、増刷の折に多少の加筆を行なってき たが、今回は全体を見直すこととした。まず旧版の第1部(論文執筆の基礎) を縮小してこれを類書に任せ、次に第2部(論文の体裁)を拡充することと した。とくに第2部では、1アメリカの代表的な論文作成マニュアルの内容 を初版のとき以上に紹介し、2インターネット、CD-ROMおよびディスケッ トの収録資料情報を使用した場合の引用方法等について説明し、最後に3詳 細な記述サンプル集を収録した。
索引は収録していないが、詳細な目次でそれに代えたつもりである。
平成15年8月
櫻井雅夫

桜井 雅夫 (著)
慶應義塾大学出版会 (2003/10/9)、出典:出版社HP

目次

まえがき
第1部 論文執筆の基礎
I 執筆前の心がまえ
II 論文の性格
1 論文とは
2 レポート
3 論じることと説明すること
4 論文の目的
5 論文の特質
(1) 論文のネガティブリスト
(2) 論文の論理性
(3) 権威典籍
6 論文の表現
II 論文作成の準備
1 論文の形態
2 論文の性格
V執筆の手順
1 問題の発掘
2 分析手法の選択
(1) 演繹的手法
i問題の発掘
ii 分析枠組み・理論枠組みの構築または仮説の設定
iii 分析
iv結論
(2) 帰納的手法
i諸問題の発掘
ii 当該諸問題の分析
iii 当該分析結果からの帰納
iv 結論
(3) 「起承転結」について
3 構成
V 資料の収集
1 図書館・メディアセンターの利用の仕方
2 資料の量と質
(1)量
(2)質
3 資料操作の手順
(1) 既存の文献を収集する
iブック・フォームの文献目録・索引
iiコンピュータによる検索
iiiその他
ivカード化のすすめ
(2) 資料を分析する
(3)分析結果を蓄積する
(4)蓄積したものから検索する
4 実態調査
VI 文献引用の仕方
1 カタロギング・ルール
2 カタログ
(1) カード・フォーム・カタログ
(2) ブック・フォーム・カタログ
3 文献引用・参考文献リストアップの仕方
(1) 日本語文献
i図書
ii論文
iii新聞記事
iv 邦訳書
(2) 外国語文献
VI 注の位置
Ⅷ 最低限必要な専門語
(1) 「同書」、“Ibid.”
(2) 「前掲書」、“op. cit”
(3) 頁づけ
(4) 出版年
(5) 頻繁に使用する英語、ラテン語の略語
X イタリック体とアンダーライン
1 一般的な基準
2 文献標記の基準
X 手書きか、パソコン、ワープロか
XI誤字・脱字・変換ミス・校正洩れ
Ⅻ 印刷・製本
第2部 論文の体裁
I はじめに
III 論文の構成
1前文
2本文
3 本文中の図表
4 参考事項(後文)
III 論文の見出し番号
Ⅳ 略語
V引用文献の標記方式
1 カタロギングとの違い
2 引用方式 1 – 括弧方式
(1)括弧方式の引用例
i 単著の場合
ii 共著の場合
ii べつの著者が翻訳した著書の場合
iv 同一著者の多数文献
v 著者不明(出版年も不明)の場合
vi 著者に相当する団体などの標記
vii 著者に相当する編者または編纂者がいる場合
viii 著作集の場合
ix 総合のタイトルと編者による多数巻の中で個々のタイトルを持つ巻の場合
x 総合のタイトルと1人の著者による多数巻の中で個々のタイトルを持つ巻の場合
xiシリーズ(双書)の中の著書の場合
xii 編者がいるシリーズ(双書)の中の著書の場合
xiii ペーパーバック・シリーズの場合
xiv 復刻版の場合
xv 英語以外の図書に英語を補足する場合
xvi 和書に英語を補足する場合
xvii べつの著者の著作の一部分の場合
xvii 1人の著者の著作の一部分の場合
xix 書簡・インタビューの場合
xx 学術雑誌の場合
xxi 新聞記事の場合
xxi (日米) 政府刊行物の場合
xxi インターネットを使用した場合
xxiv CD-ROM、ディスケット等を使用した場合
(2) 番号を利用する方法
(3)巻末引用文献リスト作成の約束ごと
i 単著の場合
ii 共著の場合
iii べつの著者が翻訳した著書の場合
iv 同一著者の多数文献
v 著者不明(出版年も不明)の場合
vi 著者に相当する団体などの標記
vii 著者に相当する編者または編纂者がいる場合
viii 著作集の場合
ix 総合のタイトルと編者による多数巻の中で個々のタイトルを持つ巻の場合
x 総合のタイトルと1人の著者による多数巻の中で
個々のタイトルを持つ巻の場合
xi シリーズ(双書)の中の著書の場合
xii 編者がいるシリーズ(双書)の中の著書の場合
xiii ペーパーバック・シリーズの場合
xiv 復刻版の場合
xx 英語以外の図書に英語を補足する場合
xvi 和書に英語を補足する場合
xvii べつの著者の著作の一部分の場合
xvili 1人の著者の著作の一部分の場合
xix 書簡・インタビューの場合
xx 学術雑誌・総合雑誌の論文・記事の場合
xxi 新聞記事の場合
xxii (日米)政府刊行物の場合
(4) インターネットで入手した資料の場合
(5) CD-ROM、ディスケット等を使用した場合
3 引用方式2-脚注、巻末注/後注/尾注
(1)全般
i 脚注の利点
ii 本文における注の番号の位置
iii 注の位置
iv 注のなかの略語使用、省略
(2) 図書から引用する場合の約束ごと
i全般
ii 著者名
iii タイトル
iv 版表示
v 編者名、訳者名、編纂者名
vi まえがき、はしがき、序文などの執筆者名
vii 出版事項(出版情報)
vili頁づけと巻数
(3) 図書からの引用例
i 単著の場合
ii 共著の場合
iii 双書 (叢書、シリーズ)の場合
iv 編者がいるシリーズ(双書)の中の著書の場合
v ペーパーバック・シリーズの場合
vi多数巻の文献の場合
vii 著者に相当する編者または編纂者がいる場合
viii 著者に相当する団体などの標記
ix 著者不明(出版年も不明)の場合
x べつの著者が翻訳した著書の場合
xi 著作集の場合 xii 復刻版の場合
xiii 英語以外の図書に英語を補足する場合
xiv 和書に英語を補足する場合
xv べつの著者の著作の一部分の場合
xvi 1人の著者の著作の一部分の場合
(4) 学術雑誌・総合雑誌の論文を引用する場合の約束ごとと引用例
(5) 学位論文その他の場合
(6) 雑誌記事、新聞記事などの場合
(7) 政府刊行物の場合
(8) 法律関係資料の場合
i 日本の場合
ii アメリカの場合
(9) 二次資料からの引用
(10) インターネットで入手した資料の場合
(11) CD-ROM、ディスケット等で入手した資料の場合
(12)2回目以降の引用
(13)相互参照
(14) 脚注方式の場合の巻末引用文献リスト標記例
i 単著の場合
ii 共著の場合
iii 著者不明(出版年も不明)の場合
iv 著者に相当する団体などの標記
v 著者に相当する編者または編纂者がいる場合
vi べつの著者が翻訳した著書の場合
vii 著作集の場合
viii 総合のタイトルと編者による多数巻の中で個々の
タイトルを持つ巻の場合
ix 総合のタイトルと1人の著者による多数巻の中で個々のタイトルを持つ巻の場合
x シリーズ(双書)の中の著書の場合
xi 編者がいるシリーズ(双書)の中の著書の場合
xii ペーパーバック・シリーズの場合
xiii 復刻版の場合
xiv 英語以外の図書に英語を補足する場合
xv 和書に英語を補足する場合
xviべつの著者の著作の一部分の場合
xvii 1人の著者の著作の一部分の場合
xviii 学術雑誌の場合
xix 新聞記事の場合
xx (日米)政府刊行物の場合
xxi インターネットで入手した資料の場合
xxii CD-ROM、ディスケットで入手した資料の場合
VI 文献目録(ビブリオグラフィー)の作り方
1 文献目録とは
2 ビブの形態と文献の分類
3ビブの記述と注の記述の違い
(1) 基本的な違い
(2) ビブの基本フォーム
(3) ビブ作成上の留意点
4 著者名の排列)
5 同一著者の文献を列挙する場合
VI記述サンプル集
1図書
(1)単著
(2) 2人の共著
(3) 3人の共著
(4) 4人以上の共著
(5) 著者不明(出版年も不明)
(6)著者に相当する団体など
(7) 著者に相当する編者または編纂者
(8) べつの著者が翻訳した著書
(9)著作集の著書
(10) 総合のタイトルと編者による多数巻のなかで個々のタイトルをもつ巻
(11) 総合のタイトルと1人の著者による多数巻のなかで個々のタイトルをもつ巻
(12) シリーズ(双書)のなかの著書
(13)編者がいるシリーズ(双書)のなかの著書
(14)ペーパーバック・シリーズ
(15) タイトルのなかのタイトル
(16)復刻版
(17)著者名のある序文つきの図書
(18)英語以外の図書に英語を補足するもの
(19)和書に英語を補足するもの
(20)べつの著者の著作の一部分
(21) 1人の著者の著作の一部分
(22) 会議提出ペーパー(公刊)
(23)年鑑・年報
2 学術雑誌・専門誌
3 百科事典の項目
(1)署名入りの項目
(2) 無署名の項目
4 新聞記事
5 書評
6 書簡・インタビュー(非刊行)
7 学位論文
8 議会・政府刊行物
9 国際機関刊行物
10 インターネット、CD-ROMで入手した資料

主要文献リスト
資料 資料1 論文の体裁
(1)横書きの場合
日本語の場合
1慶應義塾大学文学部の例
2慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の例
3慶應義塾大学法学部の例
i東京大学法学部教員による論文の例
ii英語の場合
1シカゴ・マニュアルの例
2MLAハンドブックの例
3括弧方式の例
4脚注方式の例
(2)縦書きの場合
慶應義塾大学大学院法学研究科の例
1学位請求論文作成について
2『法学政治学論究』について
i慶應義塾大学法学部「法学研究』の特定論文の例
i慶應義塾大学文学部の例
iv早稲田大学出版部編『卒論・ゼミ論の書き方』の例
資料2 ユネスコ雑誌名略語リスト(抜粋)
資料3 コロンビア、ハーバード、ペンシルバニア、エール大学共通「ブルーブック』雑誌略語リスト(抜粋)
資料4 ユネスコ『国際文献目録 – 政治学』(抜粋)
資料5 『経済学文献季報』(抜粋)

桜井 雅夫 (著)
慶應義塾大学出版会 (2003/10/9)、出典:出版社HP