コロナ後の世界 (文春新書)

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コロナのパンデミック後は世界がどうなるのか

新型コロナウイルスは世界中に広まり、今でも感染者数は増え続けています。本書は、「私たちはどうなっていくのか」「このパンデミックは人類の歴史にどのような影響を及ぼすのか」などの疑問や不安を現代で最高峰の知性を持った6人に問いかけています。2020年代を生き抜くためのヒントが詰まっている本です。

大野 和基 (編集)
出版社 : 文藝春秋 (2020/7/20)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 独裁国家はパンデミックに強いのか ジャレド・ダイアモンド
コロナ対応にみる各国のリーダーシップ/なぜ中国は野生動物市場を野放しにしたのか/二極化から一丸となったアメリカ/ウイルスとは何者か?/感染拡大を防ぐ方策/ロックダウン生活の過ごし方/危機はコロナだけではない、人口減少はアドバンテージになる/問題は高齢化ではなく定年退職システム/移民の恩恵と問題/女性を家庭から解放しよう、中国、韓国との関係を改善する/ドイツ首相はひざまずいて謝罪/二十一世紀は中国の時代か?/アメリカで二極化が進んだ原因/民主主義の本質は投票すること/次の世代のためにできること

第2章 AIで人類はレジリエントになれる マックス・テグマーク
人類は思っていたほどレジリエントではなかった/パンデミックとの闘いは情報戦/ワクチン・新薬開発にも活用できる/「汎用型」と「特化型」、外部データを使わずに自己学習/データは本当に「新しい石油」か?/AIによる自動兵器の脅威/格差から再分配へ/AIで代替される職業/一回の失敗がすべてを破壊する/越えてはならない一線/SF映画のディストピア

第3章 ロックダウンで生まれた新しい働き方 リンダ・グラットン
「この世の終わり」ではない、デジタル・スキルの向上/健康を保ちつつ歳を重ねる重要性/年収の一七%を毎年貯蓄/六十歳は「年寄り」ではない、年をとることはワクワクすること、人生のマルチステージ化/三つの無形資産/人間らしい力”が必要/日本での結婚は?“不平等”/日本の男性と企業は意識改革を/ポスト・コロナ時代に重要な四要素

第4章 認知バイアスが感染症対策を遅らせた スティーブン・ピンカー
「基準率的思考」と「指数関数的思考」/感染症は戦争を起こさない/船に代わって飛行機がウイルスを運んだ/パンデミックと気候変動/中国の独裁主義が感染拡大を助長した/ジャーナリズムの罪/いいニュースは報道されない/我々はデータを理解できない/環境問題の解決法/AIへの不合理な恐怖/格差よりも不公正が問題/楽観主義になるべき

第5章 新型コロナで強力になったGAFA スコット・ギャロウェイ
ビッグテックはますますパワフルに/電気・ガス・水道と同じ/GAFAは高速道路の料金所/社会を分断するアルゴリズム/我々はメディアではない、世界で最も危険な人物/国家による規制/生き残るのはどこか?企業はいつか必ず死ぬ/「都合の悪い事実」NEXT GAFAの名前/次の一千億ドル長者は

第6章 景気回復はスウッシュ型になる ポール・クルーグマン
「人工的な昏睡状態」/バズーカ砲を撃て/スペイン風邪の大流行に学べ、二歩進んで一歩下がる/消費増税は税収を減らすだけインフレ率を上げろ/統一政府なきEU/ドイツはEUの「問題児」/米中貿易戦争の勝者は?/早期にロックダウンしていれば/トランプ大統領再選というリスク/日本の行く末は/追記

あとがき

はじめに

今世紀最大のパンデミックは中国からはじまりました。グローバリズムによって地球の隅々までがつながった現在、新型コロナウイルスは瞬く間に拡がり、世界中で猛威をふるっています。
人類の歴史は感染症との闘いと言われるように、黒死病やペストなど、私たちはいくつかのパンデミックを乗り越えて生き延びてきました。前の世紀においても、一九一八年にアメリカから大流行した”スペイン風邪”がありました。当時の総人口の四分の一ほどに当たる五億人が感染し、四千万人が死亡したとされます。しかしながら百年以上前のことであり、やはり私たちは自分たちの問題ではなく、歴史上の出来事として捉えていたのかもしれません。
ただでさえわが国は、東日本大震災とそれに伴う原発事故にみまわれました。それから十年足らず、復興のあかしとしてオリンピックを開催する直前に、パンデミックに襲われるとは誰が予想したでしょうか。
後世の歴史家は、コロナ以前/コロナ以後で年表に一線を画すかもしれません。わが国だけでなく、世界的にますます混迷が深まる中、私たちはどうなるのか、人類の未来に羅針盤はあるのか――世界を代表する知性六人に問いました。
テーマは新型コロナのみにとどまらず、少子高齢化や格差問題、人工知能やGAFAが作る未来像など多岐にわたります。混迷を極める二〇二〇年代を生き抜くための考えるヒントがここにあります。

文春新書編集部

大野 和基 (編集)
出版社 : 文藝春秋 (2020/7/20)、出典:出版社HP