ページコンテンツ
【最新 – 人材マネジメントを学ぶおすすめ本 – 人材育成や組織開発を任されたら】も確認する
理論に裏打ちされた人材マネジメント
本書は、「人材マネジメント」の中でも公務員にスポットを当てた内容になっています。民間企業では日々研究されている人材マネジメントも、公務員にはあまり浸透していないと著者は考えています。そこで、本書は「理論に裏打ちされた人材マネジメント」を採用し、短期間で取り入れられることをコンセプトにまとめられています。
公務員のための人材マネジメントの教科書 部下を育て活かす90の手法
まえがき
●人事管理ではなく、人材マネジメント
この本のタイトルは「人材マネジメントの教科書」です。「人事管理の教科書」ではありま せん。それには理由があります。「人事管理」という言葉には職員を「管理する職員」と「管理される職員」に分ける発想があります。しかし、マネジメントの本質は、職員を「活かし育 てる」ことです。「管理」はそのために行う行動の一部に過ぎません。確かにマネージャーには、 時に管理することが求められることもあります。しかし、それはあくまでも手段であり決して目的ではありません。
●マネジメントは専門スキル
「うちの役所にはマネジメントが存在しない。」民間から公務員に転職した多くの職員 する言葉です。上司が替わるたびに仕事の進め方が変わったり、マネジメントが全く不得手の マネージャーがいたりします。マネジメントが組織存亡のカギと考える民間企業とは大違いです。上司のマネジメントスタイルがバラバラであること自体問題です。多様性は必要ですが、 組織マネジメントの不在の結果として発生する多様性は、求められる多様性ではありません。 マネジメントはマネージャーが皆身につけるべき専門スキルであるという意識を共有し、その 習得に組織をあげて取り組む必要があります。
●真の民間マネジメント
民間企業のマネジメントは業種によって実にさまざまです。抽象的で無色透明な「民間企業」 はどこにも存在しません。多くの民間企業では、他の企業と同じマネジメントをしていたので は競争に負けてしまうと考え、絶えず進化し続けています。公務員が今、数年前の民間企業で 行われたマネジメントを民間企業でマネジメントを実践したことがない者から学ぶことは、自 ら「周回遅れ」を選んだことに他なりません。
●真に公務員向けのマネジメント
マネジメントは民間の専売特許ではありません。非営利組織である公務組織では、マネジメ ントの前提条件が民間企業と大きく異なります。公務員を取り巻くさまざまな制約条件を踏まえた「真に公務員向けのマネジメント」が必要です。もちろんそれは、今の公務組織のマネジ メントを正当化することを意味しません。環境の変化に適応するため大胆に改革していく必要 があります。改革するために民間から謙虚に「学ぶ」ことは大切です。しかし、「まねる」こ とは危険です。主体的に取捨選択できる力をまず身につけるため、非営利組織のマネジメント を学ぶ必要があります。「真に公務員向けのマネジメント」を学ぶ意義はそこにあります。
●理論に裏打ちされた実践的マネジメント
世の中には、成功者による個人の勘と経験だけに基づく「マネジメント自論」が溢れていま す。多くの成功者の自論を学び自分の中で主体的に整理して「自分の持論」に変える。こんな 帰納法的方法で学ぶことも、マネジメントを学ぶ一つの方法です。しかし、それには膨大な時 間と労力が必要です。一方、一般的な理論を体系的に学び現場に応用する。このように演繹的 な方法で学ぶことも一つの方法です。しかし残念ながら、理論を実践に繋げるための試行錯誤 にも膨大な時間と労力が必要となります。マネージャーにとってマネジメントは、実践できて 初めて意味を持ちます。限られた時間と労力の中では、「理論に裏打ちされた実践的マネジメ ント」を学ぶことが必要です。
本書は、この「理論に裏打ちされた人材マネジメント」をできる限りわかりやすく紹介したものです。筆者が個人的な考えを話しているかのように書かれていますが、実は読みやすさ、わかりやすさのためであり、極力、筆者の個人的な経験や考えだけでは語らないよう努めています。
記述の背景には多くのマネジメント理論があります。しかし、具体的な理論を紹介すること はあえて避けています。読者の皆様が目指されるのは、マネジメントの専門家ではなく実践者 だからです。
本書は、公務員である上司が、部下を活かし育てるために知っておくべきことを、10の手法 という形で整理しています。順不同でどの手法から読み始めていただいても結構です。できれば常に手元に置いていただき、ご自身の行動を振り返る際のチェックにご使用いただければと 思います。
本書が、上司である立場の公務員の皆さんの参考になり、職員一人ひとりが職場で活かされ 大きく育つ環境が作られ、公務員としての夢の実現に少しでも貢献できれば幸いです。
2019年10月
高嶋直人
目次
まえがき
第1章
新人を育てる20の手法
9654
1 公務員の基本を理解させる。
2 公務の特性を理解させる。
3 公務員としてのプロ意識を持たせる。
4 組織のビジョンを理解させる。
5 コンプライアンス意識を持たせる。
6 仕事への真摯さを教える。
7 公務員としての誇りを持たせる。
8 仕事の楽しさは作り育てるものであることを教える。
9 自ら学び続ける職員に育てる。
10 先入観を持ってはならない。
11 努力することの意義を正しく教える。
12 住民目線を持つことの大切さを教える。
13 信用が一番大切であることを教える。
14 礼儀の重要性を理解させる。
15 忠実であるべきは上司ではなく仕事であると教える。
16 明確な役割を与える。
17 加点主義で育てる。
18 早期に成功を体験させる。
19 「期待の新人」と紹介する。
20 情報発信に注意することを教える。
コラム 「部下を育てない上司」を評価してしまう怖さ
第2章 部下を伸ばす8の手法
1 成長の機会を与える。
2 教えすぎない。
3 上限を設けない。
4 部下に関心を持つ。
5 計画を立て継続的に育てる。
6 学ぶ意義を理解させる。
7 部下の評価は上司である自分の評価と受け止める。
8 話を聞く。
9 好かれようとしない。
10 励ます。
11 部下育成を優先する。
12 常に能力より少し高い仕事をさせる。
13 部下の強みを伸ばす。
14 本物の課題を与える。
15サポートを約束する。
16 部下の成長を一緒に喜ぶ。
17 部下の能力、適性を把握する。
18 成長を目標に位置づける。
19 成果だけで評価しない。
20 可能性を否定しない。
21 部下によって態度を変えない。
22 失敗を責めない。
23 適切にフィードバックする。
24 自分を基準としない。
25 部下のための時間を確保する。
26 部下の目線に合わせる。
27 多様なリーダーシップを理解する。
28 責任は自分がとる。
29 本物のスペシャリストに育てる。
30 どこでも通用する人材に育てる。
31 自慢話をしない。
32 飛び越えて指導をしない。
33 準備ができたら無茶ぶりをしてみる。
34 優秀な部下を教育係にしてみる。
35 本当に理解しているか振り返らせる。
36 本気で期待し言葉で伝える。
37 受け止め、共感する。
38 育成方法は部下に選ばせる。
39 細かく干渉しない。
40 右往左往しない。
41 潜在能力とモチベーションで適性を判断する。
42 キャリアを一緒に考える。
43 同じ土俵で議論する。
44 会議で発言させる。
45 できる先輩職員と組み合わせる。
46 正しく部下を理解する。
47 自分の代役をさせてみる。
48 アドバイスは丁寧にする。
49 自分の人的ネットワークに入れる。
50 研修受講後は講師をさせる。
コラム グループシンク(集団浅慮)の怖さ
第3章 モチベーションを引き出す20の手法
1 高いことを強要しない。
2 意義を感じさせる。
3 さまざまな報酬を与える。
4 達成感を感じさせる。
5 行動を具体的に褒める。
6 裁量を与える。
7 承認する。
8 他の部下と比較しない。
9 公平らしさを確保する。
10 機嫌よく接する。
11 能力が活かせる仕事を与える。
12 創意工夫を褒める。
13 最初から最後までやらせる。
14 期限を設ける。
15 休ませる。
16 目標は部下に決めさせる。
17 部下に合わせた対応をする。
18 見張るのではなく見守る。
19 文章を直し過ぎない。
20 組織外の活動を応援する。
コラム 対策が逆に組織的不祥事を増やしてしまう怖さ
あとがき
知っておきたい ミニ知識
コンプライアンスは「法令順守」ではない?
目標管理は仕事を増やす?
パワハラは外国人には理解してもらえない?
第1章 新人を育てる 20の手法