インバウンドビジネス入門講座 第3版 訪日外国人観光攻略ガイド

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インバウンドの基本がわかる

訪日外国人は年々増えており、インバウンドビジネスは今後も成長が見込める新規参入のチャンスが大きいビジネスです。本書は、インバウンドビジネスに取り組むにあたって知っておきたい基礎知識を、図やグラフを交えてわかりやすくまとめています。宿泊、交通といった直接的な観光事業者だけでなく、あらゆるビジネスに影響を与えつつあるインバウンドで最初に読むべき一冊です。

村山 慶輔 (著), やまとごころ編集部 (著)
翔泳社、出典:出版社HP

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村山 慶輔 (著), やまとごころ編集部 (著)
翔泳社、出典:出版社HP

はじめに

本書は2015年に上梓した『インバウンドビジネス入門講座』の第3版です。入門講座ということで、主に、インバウンドビジネスに携わり始めて間もない企業や自治体の新任担当者、そして、この分野に興味を持つ転職希望者や学生の方を対象としています。

第2版から2年が経ち、第3版では激変するマーケットを象徴するトピックスや事例、また、最新動向を把握するための各種データを収録しています。内容も大幅に改訂していますので、前著をお持ちの方もぜひ参考にしていただければと思います。

2017年訪日外国人観光数は2869万人に達し、政府が目標数字として掲げる2020年4000万人もより現実味を持ち始めました。そんななか、まさにインバウンドビジネスは新しい潮流を迎えていると感じています。
潮流の最たるものは、インバウンドの多様化。つまり、世界的な海外旅行トレンドの台頭、ビザ発給要件の緩和、LCCやクルーズ船の増加などで、いままでとはまったく違う国や宗教、ニーズや旅行形態の人々が日本に足を運んでいるのです。

多様化とともに、さらに大きな変化も起きつつあリます。「団体旅行から個人旅行へ」「都市部から地方へ」「モノからコトへ」……。
これらの変化はプラス面と新たなチャレンジ(課題)を我々にもたらしています。

プラス面でいうと、インバウンド消費の受益者となる企業や地域の幅が広がるということです。団体旅行では、ルートが決まっている、時間の制約がある、受け入れられる施設や観光地の駐車場や立地の条件が厳しいなどさまざまな観点があり、実際の誘客にはつながらないケースが大半です。個人旅行であれば、まだ外国人が多くない地方の観光地に足を運んだり、地元の人しか知らないような居酒屋で食事をしたり、スキーが好きな人はスキーだけを2~3週間ゆっくリ満喫したりと、多様な訪日旅行の可能性があります。個人旅行が加速することで、あらゆる業種や地域にチャンスが広がることが大きなメリットといえるでしょう。

一方、チャレンジ(課題)でいうと、より緻密なマーケティングが必要になってきます。マーケットや顧客ニーズが激変するなか、旧態依然とした取り組みではもはや成果にはつながリません。日々適切な情報収集を行い、ターゲットや戦略を決定・修正し、施策を愚直に実行していく。そして、なによりも大切なのが、スピーディーにPDCAを回していくことです。

我々は「日本のインバウンドをもっと熱くする」をモットーに、2007年からインバウンドに特化した教育研修事業含む各種事業を展開していますが、本書にはその過程で得た知見・ノウハウをできるだけわかりやすいように取りまとめています。また、みなさんの取り組みに役立つよう具体的な事例を幅広い業種・業界から掲載しています。

訪日外国人観光数4000万人へ向け、今後さらに広がっていくインバウンドビジネスの中で、本書がみなさまの取り組みの一助になれば、これほど嬉しいことはありません。

2018年2月 株式会社やまとごころ 代表取締役 村山慶輔

村山 慶輔 (著), やまとごころ編集部 (著)
翔泳社、出典:出版社HP

pick up TOPIC 1

インバウンドビジネスを“もっと”盛り上げる方法
訪日観光客を4000万人時代を見据えて!

2017年、日本を訪れた外国人は2869万人。
2012年が836万人だったので、5年で4倍に迫る数字です。数年前まで「2020年に2000万人」という目標を掲げていた日本政府は、それを「2020年に4000万人」に上方修正し、その消費額を「8兆円」としています。いかにこれを突破するか、カギを握るのは消費単価です

◉インバウンド最前線の最重要トピックは「いかにして消費単価を上げるか」

2017年の訪日外国人観光客の数は、2869万人。目指す2020年までに4000万人を目指すという政府の大目標が現実的になってきたでしょう。そうした中、政府は消費額についても2020年に8兆円、2030年に5兆円という目標を掲げています。

これらを達成するには、1人あたりの旅行支出を上げなくてはなりません。2017年の訪日外国人旅行消費額は約4・4兆円と、1人あたリ約15万円でしたが、2020年に先の目標を達成するには、20万円まで1人あたりの金額を上げる必要があるのです。

外国人観光客というと、いかに呼び込むかという点に注視しがちです。実際、「何人来ているか」を気にする人はたくさんいます。しかし、いくら外国人が来てくれても、お金を使ってもらわなければ、そのエリアが潤うことはありません。ですから、現在インバウンドビジネスの最前線では、いかに旅行支出を上げるかがテーマになっています。

◉旅行支出を上げるには顧客接点を最大化する発想が欠かせない
どうすれば、外国人観光客の旅行支出を上げることができるのでしょうか。

直接旅行支出に影響を与える「買い物代」を伸ばしたいのならば、とにかく現場の接客スタッフが積極的になることが必須です。現状は、恥ずかしい、言葉に自信がないなどの理由から、消極的な接客をしているお店が少なくありません。これまで外国人観光客が多くなかった地方はなおさらです。「歓迎している」ということさえ伝われば、基本的には喜んでもらえます。多少ぎこちなくても、片言でも、積極的に接客をすれば、売上は伸ばせます。

滞在時間を延ばすことも、旅行支出を上げる重要な取り組みです。滞在が1日でも伸びれば、宿泊料金のみならず、飲食や交通、観光など多彩な分野での消費行動につながります。ただし滞在時間を延ばすだけでは不十分で、消費に充てる時間と動機を用意しないといけません。

その意味では、さまざまなコンテンツ(観光資源)を値段のついた商品やサービスにまで昇華させることや、それらに触れてもらう仕掛けも必要です。たとえば名産品を売るには、生産工場の見学ツアーを実施し、可能ならば実際に工程の一部を体験してもらうなどして、その魅力を伝えたうえで商品を売る。そんな仕掛けが全国各地に増えれば、旅行支出は自ずと上がっていきます。

村山 慶輔 (著), やまとごころ編集部 (著)
翔泳社、出典:出版社HP

pick up TOPIC 2

民泊新法や改・通訳案内士法がチャンスを生む
法改正で生まれる新たな需要

「宿泊施設が飽和状態」「観光ガイドが足りない」など、外国人観光客の増加によってさまざまな課題が浮かび上がってきていますが、これらを解決するために規制緩和が進んでいます。ここでは具体的にどんなビジネスチャンスが広がるのかについて見ていきます

◉新法設立や法改正による規制緩和は現場で起きている課題への突破口だ

訪日外国人観光客数は急増していますが、さらに、2019年にはラグビーW杯が、2020年には東京オリンピック・パラリンピックがあるため、今後もその勢いは衰えるどころか増していくことが予想されます。

そうした増え続ける外国人観光客を受けて、現場ではすでにいくつもの課題や問題が発生しています。

最大のものが宿泊施設不足です。首都圏や関西圏では、絶対数が足リていません。この事態を打開するため、民泊新法と呼ばれる住宅宿泊事業法が新設されました。端的にいえば、これまでグレーゾーンだった民泊を、きちんとルールを決めて運営しようというものです。

同様に、通訳案内士法の改正も現場で起きている課題を解決する突破口だといえます。

現在、国家資格の通訳案内士は、ほとんどが英語話者で都市部に偏在しているため、訪日外国人の言語や訪問地のニーズの多様化に対応できておらず、観光ガイドの不足が起きています。その結果、著しく質の低いガイドが暗躍する事態になっています。その防止策として規制が緩和されたのです。

◉民泊新法が新たな層のインバウンドを呼ぶ!各種企業も続々と参入

このようにいろいろな規制が緩和されることによって、ビジネスチャンスは確実に広がるでしょう。

民泊新法に関していえば、持ち家を所有する一般の方々に加え、マンションやビルを持つ企業にも、インバウンドビジネスで恩恵を受ける機会が増えます。エアビーアンドビーやホームアウェイに代表される民泊仲介業は当然のことですが、民泊のオーナーが不在の場合に委託する民泊施設の管理業といった分野にも波及効果があります。民泊と旅行(体験)をかけ合わせれば、付加価値の高い旅行商品にもなり得ます。

なお、エアビーアンドビーはリクルートと、ホームアウェイは楽天と提携するなど、すでに複数企業が動いています。

しかしなぜ民泊が必要なのか。それはミレニアル世代(8、0年代生まれ)を中心に高い需要があり、逼迫する宿泊需要への対応策として効果があるからです。すでに民泊利用者は一定数いますが、ホテルや旅館の稼働率は下がっていません。民泊利用者は、既存の宿泊施設の客層と異なっている可能性もあります。

もちろん課題もあります。犯罪やテロの温床化、公衆衛生の問題、地域住民とのトラブルなどの防止です。既存業者のビジネスを圧迫する可能性についても完全な否定はできません。

だからこそきちんとしたルールづくリを行い、違反をした場合の対応を明確化することが重要なのです。

村山 慶輔 (著), やまとごころ編集部 (著)
翔泳社、出典:出版社HP

pick up TOPIC 3

欧米豪からの観光客をさらに伸ばすためにできること
アジア諸国より滞在期間の長い市場を開拓!

インバウンドというと、全体数の多いアジアに目が向きがちですが、2017年夏に観光庁が「欧米豪市場推進室」を設置するなど、欧米豪市場が注目されています。欧米豪の最大の特徴は、1人あたりの旅行支出が多いこと。アジアに比べて1人のインパクトが大きくなります。成熟した観光客であるこの市場を伸ばすヒントを探りましょう

◉欧米豪市場へのテコ入れによる経済効果は意外なほど大きい

訪日中の1人あたりの旅行支出の上位を占めるのは欧米豪です。1日あたりにすると中国などアジア圏が上回ることもありますが、長い日数滞在してくれるのでトータルの金額は欧米豪のほうが多くなります。

最大の理由は平均滞在日数が長いことにあります。「日本人客やアジアからの観光客は1泊や2泊が大半を占める一方で、欧米豪からの観光客は3~4泊が当たり前、ときに1週間滞在することも珍しくない」という、ある地方の旅館の話は、“滞在型”と呼ばれる彼らの旅行傾向を端的に示しています。長く滞在してくれる欧米豪の集客に成功すると、宿泊費だけでなく、飲食や交通といった分野にまで経済効果があります。

別の観点から見ても、欧米豪における消費額の伸びしろは大きいといえます。旅行者に必携のアイテムについて、その価格を各都市で比べたイギリスのレポートでは、「東京の物価はニューヨークの半分以下」としています。つまり、欧米豪の人々からしてみると、日本は安い国なのです。あるイギリスの旅行ブロガーも「日本ほど安くて質の高い国はない」と書いていました。こういったことを考慮しても、欧米豪市場には多くの伸びしろがありそうです

◉「高い国」という先入観を払拭できれば欧米豪市場は日本に目を向ける

欧米豪の市場を伸ばすヒントを探るために、欧米豪の集客に成功しているタイを見てみることにしましょう。2016年におけるドイツ、イギリス、フランス、イタリアの訪タイ数は、訪日数とは大きな開きがあります。特にドイツは顕著で、訪日数が18.3万人なのに対し、訪タイ数は83.5万人もいます。その差はどこにあるのでしょうか?

実は大きな差はありません。0~20年前であれば、「タイのほうが圧倒的に物価が安かったから」ということがいえましたが、現在ではそこまで大きな物価の差はありません。実際、先に挙げたレポートにはタイ南部のプーケットも比較対象に入っていますが、東京のほうが安いとしています。また、日本はテクノロジーとビジネスの国と思い込んでいる欧米人もたくさんいます。つまり、日本の良さがきちんと伝わっていないこと、そして「物価の高い国」という印象を払拭できていないことも大きな原因です。ですから、多様性に富んだ観光資源があり、質の高いサービスが比較的安価で利用できることをPRすべきなのです。

幸い、欧米豪客へ絶好のPR機会が迫ってきています。日本開催のラグビーW杯と東京オリンピック.パラリンピックです。この機会に、ぜひテコ入れを検討しましょう!

村山 慶輔 (著), やまとごころ編集部 (著)
翔泳社、出典:出版社HP

pick up TOPIC 4

全国に広がる日本版DMOの動きに注目
観光協会となにが違うのか

DMOとは、Destination Management / Marketing Organizationの略称で、2015年頃から観光庁が日本版DMOの形成・確立に動いています。観光に特化した地域づくりのまとめ役として、客観的データをもとに事業を立案・実行していく組織である日本版DMO。なぜ、今、必要とされているのでしょうか?

◉地域の稼ぐ力を最大化!日本版DMOに求められる役割

ここ数年、日本版DMOの組織形成が進められています。
日本版DMOは、欧米にある観光事業組織を参考にしたものです。従来の観光協会や観光機構と異なる点は、「稼ぐ」という視点が中心にあることです。地域の稼ぐ力を最大限に引き出すために、経営的視点を持ってデータ分析を行い、戦略を立てて、プランをつくっていく。ここが、従来の組織と違うのです。地域の祭事やイベントを取り仕切るだけの組織ではないということです。

これまでの地域の観光団体や組織は、少なからず国からの助成金や補助金の受け皿となっているといわざるをえない状況がありました。すべての団体・組織がそうではありませんが、稼ぐというよりは、地域への調整役という枠に収まっていたことは間違いありません。それでは地方の稼ぐ力は育まれません。

国からの助成金や補助金に頼ることなく、観光地域づくりの舵取りを担うのが日本版DMOの役割なのです。

◉「関係者の連携不足」「データ集積・分析の不十分さ」「民間視点の欠如」の解消のために

日本版DMOの必要性が叫ばれるようになった理由は大きく3つあると考えています。

ひとつは、関係者を巻き込むことが難しいという点です。観光という分野は、特定の事業者や関係者のみで成り立つものではありません。地域住民の協力は不可欠ですし、あらゆる商業分野にも関係します。もちろん自然や食なども欠かせない資源ですし、スポーツなど地域の関連事業者との連携も重要です。このように多岐にわたるプレイヤーが連携するには、明確な旗振り役が必要だということです。

データの収集・分析が不十分だったということが2つ目。これまでは、各事業者でデータを収集し、分析することはあっても、そうしたデータを集積し、地域全体の利益につながる戦略を立て、施策を実行することまではできていませんでした。予算もなければ、意思決定の責任者も不在だったからです。これでは変化の激しい観光市場に対応することはできません。

そして、「稼ぐ」という、いわゆる民間的観点・手法が抜け落ちていたということが3つ目にあります。

このような理由から、日本版DMOの組織形成・確立が急がれているのです。

村山 慶輔 (著), やまとごころ編集部 (著)
翔泳社、出典:出版社HP

pick up TOPIC 5

増便中のLCC・クルーズ船で日本の旅がより身近に!
行動パターンや消費傾向の違いを把握しよう

国際線におけるLCC(格安航空会社)のシェアは、2016年の時点で18・9%と、2007年(0.4%)の3倍近くにもなっています。クルーズ船による入国者数も右肩上がりに伸びています。こうしたLCCやクルーズ船による外国人観光客からの恩恵を最大限に受けるには、どのような施策が必要なのでしょうか?

◉LCCもクルーズ船もまだまだ伸びていくニューマーケット

日本におけるLCC元年は、一般的に2012年だといわれていますが、その後も順調に便数を伸ばし続けています。LCCが主に就航しているのは、成田、羽田、関西、中部、福岡、那覇、新千歳の各空港ですが、それ以外の仙台や岡山、高松、鹿児島といった地方空港においてもLCCが就航しています。

実は、こうしたLCCの増加には理由があります。地方自治体が外国人観光客の集客のため、LCCに送客数に応じた報奨金(補助金)を出したり、空港使用料を引き下げたりすることで誘致をしているのです。LCCやクルーズ船の新規就航数と各国の訪日数の伸びが比例していることから、こうした動きは一定の効果があると見ていいでしょう。

またクルーズ船による外国人入国者数も急増しています。主には大型クルーズ船による中国を中心としたアジアからの観光客ですが、それ以外にも豪華客船で欧米からの富裕層が日本に立ち寄ったり、空の便で入国し、国内港でクルーズ船に乗船する「フライ・アンド・クルーズ」と呼ばれるツアーに参加したりする人もいます。

◉LCC利用者やクルーズ船の乗客から恩恵を受ける方法は?

LCCやクルーズ船による観光客は、従来の客と消費傾向が異なるため、恩恵を最大限に受けるには、新たな商品やサービスを提供する必要があります。

たとえばLCCは、空港使用料の安い早朝や深夜に離着陸することが珍しくありません。つまり従来の観光客と移動する時間帯が異なります。さらに、LCC利用者は節約志向です。そんな傾向をうまく捉え、新たな需要を開拓したのが大江戸温泉物語。「宿泊費を節約したいが空港までの交通手段がない」というLCCの利用者向けに、成田国際空港へのバスの早朝便を運行しています。

クルーズ船による観光客は、寄港-地での観光ルートが固定化されており、なかなか自社の商売につながらないという声もあリます。ただ、述べたように、クルーズ船には、さまざまな種類があるのでそれぞれについて細かく対策を講していくことが重要です。中国人を中心とした大型客船での格安クルーズツアーで来る観光客は、主要なショッピングセンターや免税店へ行くルートが確立しているケースが多いですが、高級クルーズツアーでは寄港地で自由に観光をするケースもあり、商店街を含めさまざまな施設や観光スポットにチャンスがあります。

村山 慶輔 (著), やまとごころ編集部 (著)
翔泳社、出典:出版社HP

Contents

はじめに

序章 インバウンドピックアップトピック
1 インバウンドビジネスを”もっと”、盛り上げる方法
2 民泊新法や改・通訳案内士法がチャンスを生む
3 欧米豪からの観光客をさらに伸ばすためにできること
4 全国に広がる日本版DMOの動きに注目
5 増便中のLCC・クルーズ船で日本の旅がより身近に!

第1章 インバウンド(訪日外国人観光)ビジネスを知ろう
01 インバウンド(訪日外国人観光)とは
02 なぜ今インバウンドが注目を集めるのか
03 観光立国へ向けた国の取り組み
04 宿泊施設におけるインバウンドの可能性
05 商業施設におけるインバウンドの可能性
06 飲食店におけるインバウンドの可能性
07 交通機関におけるインバウンドの可能性
08 メーカーにおけるインバウンドの可能性
09 自治体におけるインバウンドの可能性
10 訪日外国人4000万人を目指して
Column インバウンドリーグ始動

第2章 外国人観光客を理解しよう
01 外国人観光客はどこの国から来ているのか
02 日本でどんな観光をするのか
03 外国人観光客の満足と期待
04 不満と解決すべき課題
05 中国人観光客はどんな人たちか
06 韓国人観光客はどんな人たちか
07 台湾人観光客はどんな人たちか
08 香港人観光客はどんな人たちか
09 アメリカ人観光客はどんな人たちか
10 タイ人観光客はどんな人たちか
11 マレーシア人観光客はどんな人たちか
12 イギリス人観光客はどんな人たちか
Column アニメ&ゴルフツーリズムに脚光

第3章 インバウンドビジネスの始め方
01 インバウンドビジネス7つのステップ
02 インバウンドを取り巻くプレイヤーたち
Column 求められる人材の幅が広がっている

第4章 外国人観光客を集客しよう
01 集客のためのアプローチ方法を考える
02 「旅行博」で集客する
03 「旅行会社・ツアーオペレーター」で集客する
04 「ファムトリップ」で集客する
05 「フリーペーパー」で集客する
06 「ガイドブック」で集客する
07 「自社ウェブサイト」で集客する
08 「ウェブメディア」で集客する
09 「MICE」で集客する
10 「店頭」で集客する
11 「帰国後のフォロー」で集客する
Column “秘湯は秘境にあるから価値がある”

第5章 受け入れの準備を整えよう
01 受け入れ体制整備で大切なこと
02 「語学」対策で受け入れる
03 「通信環境」整備で受け入れる
04 「ムスリムなど多様性」への対応で受け入れる
05 「さまざまな決済方法」対応で受け入れる
06 「免税」対応で受け入れる
Column チャンス到来。あなたならどうする?

第6章 インバウンドビジネスの取り組み事例
01 旅館 旅館山城屋 大分の家族旅館に外国人が集まるワケ
02 ゲストハウス なごのや 地域活性と連携の核となるゲストハウス
03 ホテル ホテル龍名館 都心部に2棟持つ独立系ホテルの戦略
04 飲食店 浅草つる次郎 普段使いのサービスで国籍不問の人気店に
05 飲食店 牛門渋谷本店 スリム客であふれかえる焼肉屋
06 飲食店 魚心 個店以上、ナショナルチェーン未満の強み:
07 商店街 表町商店街 商店街におけるインバウンドとの距離の取り方
08 交通事業者 ウィラー より簡単・便利・安心なバス利用のために
09 レンタカー 九州エクスプレスウェイパス レンタカー旅行を促進する取り組み
10 酒造メーカー 月桂冠 日本の酒文化をもっと世界に広めるために
11 ウェブマガジン マッチャ 外国人向けメディアが気をつけていること
12 体験プログラム キャニオンズ 世界の中で選ばれるためにやるべきこと
13 旅行会社 たびすけ 地域の特色を打ち出すときに必要なこと
14 旅行会社 ノットワールド 着地型ツアーでのガイドのマネジメント法
15 旅行支援センター 熊野トラベル 地方の観光団体がリアル店舗を構えた理由
16 DMO せとうちDMO 各DMOの役割と財源確保における考え方
17 自治体 豊岡市大交流課 集客やPR戦略におけるデータ活用
18 保険会社 東京海上日動火災保険 保険会社によるインバウンドビジネス支援
19 検定試験 全日本情報学習振興協会 認定試験で業界を支える人材の底上げを
20 業界団体 アニメツーリズム協会 テーマ別観光の可能性を拡大するために

あとがき
インバウンド用語集
インバウンドカレンダー
索引

村山 慶輔 (著), やまとごころ編集部 (著)
翔泳社、出典:出版社HP