令和元年改正対応 図解 新会社法のしくみ(第4版)

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本書は、会社法全体の概要を図解を用いながらわかりやすく解説しています。会社法の重要な事項のうち最低限知っておきたい事項について、基礎的な解説をしています。令和元年改正に対応しているため、初学者の入門書としてはもちろん、令和元年改正の概要を知りたい方の学習にも役立ちます。

浜辺 陽一郎 (著)
東洋経済新報社 (2020/4/24)、出典:出版社HP

はじめに

本書は、わが国における会社法全体の概要を、図解を使いながら分かりやすく解説しようとするものだ。平成二六年改正以来、中規模程度の本格的な会社法改正が令和元年一二月に成立した。これを本書では「令和元年改正」という。今回の改正の目玉には、株主総会資料の電子提供制度、株式交付制度の創設等が含まれており、企業法務にも大きな影響を及ぼすものである。

この機を捉えて、本書第4版の改訂では、会社法の基本的なテキストとして、より多くの初心者の方々も一から理解できるように全面的に見直しを行い、さらなるブラッシュアップを図った。会社法全体を体系的に理解できるだけでなく、周辺領域や資本市場の問題にも触れながら、企業法務における会社法の位置づけが理解できるように工夫を凝らした。このため、順序を一部入れ替えて、新たな解説項目も追加した。

もとより会社法に関する知識や諸論点を網羅すると、基本的な事項だけに限ったとしても、相当な分量になってしまう。そこで、本書では、誰であっても、どうしても知っておくべき重要な事項のうち、特に第2章から第7章までは株式会社を中心として「これくらいは知っておかないと、その先の議論についていけない」「特に最近問題になっているから知っておきたい」と思われる事項に絞って、基礎的な解説を試みている。

ただ、会社法は数多くのバリエーションを許容しているため、すべてのケースを網羅することは不可能である。そのため、会社法に含まれている数多くの技術的な定めを網羅してはいない。しかし、基本的な会社法の概要を知ることによって、他の会社法関連の書物や記事・論文を理解し、読みこなす材料は得られるはずだ。

本書の形としては、各項目ごとに、簡潔にポイントをまとめている。本書中の条文数は、特に断りのない限り、会社法の条文である。また、法律の基礎知識がない読者のために、最初に法律・民事法・会社法入門的な観点からの解説も加えている。会社法の全体イメージを短時間でざっくりと把握し、重要項目の基本的な知識を整理するために、本書を役立てていただければ幸いである。

令和二年三月吉日
著者

本書で使用する記号

浜辺 陽一郎 (著)
東洋経済新報社 (2020/4/24)、出典:出版社HP

令和元年改正対応図解 新会社法のしくみ(第4版) ―目次

はじめに

【第1章】会社法の基本的なしくみ
1 会社とは何か
2 法人としての会社
3 ビジネスを規制する法律
4 会社法の構成
5 会社法の性質
6 会社の分類
7 会社の作り方
8 会社の定款
9 会社への出資
10 社員の面接無限責任と同接有限責任
11 会社の商号
12 商業登記
13 法人格否認の法理
コラム 会社組織の規制法としての会社法

【第2章】株式会社の機関設計
14 株式会社の機関
15 株式会社の機関設計
16 「大会社」と「中小会社」
17 「公開会社」と「非公開会社」
18 取締役会のない株式会社
株式会社の機関設計による規律の区別

【第3章】株主の権利と株主総会
19 株式の譲渡と移転
20 株式と株券
21 振替株式(株券の電子化)
22 株主名簿
23 株式の担保化
24 基準日
25 株主への通知・催告
26 株主の権利
27 株主平等の原則
28 株主総会
29 株主総会の運営方法
30 株主総会における株主の権利
31 株主総会の電子化
32 株主総会資料の電子提供制度
33 株主総会をめぐる訴訟
コラム 少数株主がシナジー効果を享受できる公正価格で会社は株式を買い取る

【第4章】株式会社の役員等の義務と責任
34 企業組織の役員等
35 取締役の資格
36 取締役の選任と解任
37 役員等の任期
38 取締役会
39 取締役会決議
40 特別取締役
41 代表取締役
42 取締役の義務
43 役員等の遵法義務と監督義務
44 会社の政治献金
45 利益相反取引
46 競業取引
47 会社補償とD&O保険
48 利益供与の禁止
49 内部統制システム構築義務
50 株式会社の年間スケジュール
51 監査役の権限
52 監査役の選任と解任
53 会計監査人
54 会計参与
55 役員等の責任
56 役員等の会社に対する責任
57 株主代表訴訟
58 多重代表訴訟
59 役員の責任軽減
60 役員等の第三者に対する責任
コラム 特別利害関係

【第5章】大規模会社のガバナンス
61 コーポレート・ガバナンス
62 公開大会社
63 使用人兼務取締役
64 社外取締役と社外監査役
65 執行役員制度
66 指名委員会等設置会社
67 三委員会
68 執行役
69 監査等委員会設置会社
70 役員の指名と選任
71 役員の報酬規制
コラム コンプライアンス経営

【第6章】株式・社債制度
72 資金調達方法としての株式と社債
73 株式のしくみ
74 社債のしくみ
75 株式の譲渡制限
76 渡制限株式の処分方法
77 全部の株式の内容に関する特別の定め
78 種類株式
79 議決権制限株式と拒否権付株式
80 転換株式
81 全部取得条項付種類株式
82 取締役等の選解任種類株式
83 属人的定めの許容
84 株式分割と株式併合
85 単元株制度
86 自己の株式の取得
87 自己の株式の取得手続
88 募集株式の発行等
89 現物出資とDES
90 新株予約権のしくみ
91 新株予約権の活用
92 新株予約権の発行手続
93 新株予約権の行使と消却
94 ライツ・イシュー
95 株式等をめぐる訴訟手続
コラム 普通株式と種類株式

【第7章】株式会社の計算
96 株式会社の会計
97 剰余金の配当規制
98 株式会社の資本金
99 準備金
100 資本金・準備金の減少
101 連結計算書類
102 決算公告
コラム 電子公告

【第8章】会社のリストラクチャリング
103 事業再編の選択肢
104 組織再編の手続
105 会社の合併
106 会社分割
107 株式交換と株式移転
108 親子会社の規制
109 対価の柔軟化
110 株式交付
111 事業譲渡等
112 簡易な事業再編
113 略式組織再編
114 キャッシュ・アウト
115 一人会社
116 組織変更
117 組織再編を争う方法
118 敵対的買収防衛
119 会社の倒産
120 会社の解散
121 会社の清算
コラム 組織再編行為に伴う新株予約権の承継

【第9章】持分会社その他の会社
122 三種類の持分会社
123 持分会社の業務の執行
124 合名会社と合資会社
125 合同会社と有限責任事業組合
126 合同会社の活用
127 特例有限会社
128 外国会社
コラム 構造改革をリードする企業改革

・令和元年改正の施行時期について
本書は、施行されている現行会社法の内容を原則とするが、元和元年改正の部分の施行日は未定であり、当分は未施行である。このため、経過措置にも触れていない。令和元年改正の規律のうち、株主総会資料の電子提供制度及び支店所在地における登記の廃止の部分については令和五年五月までに施行され、それ以外の部分は、特段の記載(第1章7節参照)のない限り、令和三年五月までに施行されるものとされるが、現時点では未定である。今後の政令の発表をご注目いただきたい。

浜辺 陽一郎 (著)
東洋経済新報社 (2020/4/24)、出典:出版社HP