会社法の仕組み 〈第2版〉 (日経文庫)

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会社法の骨格を理解する

会社法は条文が多く複雑であるため全てを細かく理解することは困難です。本書は、細かい部分を省略し、会社法の骨格となる会社法の仕組みについてわかりやすく解説しています。令和元年改正には対応していませんが、平成26年改正を前提として、会社法全体を外観するのに適しています。

近藤 光男 (著)
日本経済新聞出版 (2014/7/16)、出典:出版社HP

第2版 まえがき

会社法制定後、本格的な改正としては初めての改正が二〇一四年に行われました。改正項目のすべてが本書で述べている会社法の仕組みに直接関わるものではありませんが、新たな制度や法の基本的な考え方に関わる項目が多々あり、これらについて言及しておく必要性を感じました。そこで改訂版を出すことになりました。

とくに「Ⅳ 株式会社の機関」の指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社についての説明などを修正・追加しています。本書は、初版刊行後筆者の予想を超える多数の方々に読んでいただきましたが、一四年改正後も会社法の骨格を知る書物として、初版同様に利用してくださることを切に願っております。

平成二六年六月一日

初版 まえがき

二〇〇六年に施行された会社法は、条文が多く、また定義規定もきわめて多く、それぞれの規定がどこまで適用されるのか分かりにくく、複雑な法律となっています。これらをすべて丁寧に細かく説明するには膨大な頁数を擁した書物となります。

しかし、本書はそれを目指しておりません。もちろん限られた頁数で会社法を論じるのは、きわめて難しいところです。会社法に関する書物はたくさんありますが、問題は、この膨大で複雑な会社法の中のどの部分を説明するか、あるいはむしろどの部分の記述を落とすかだと思います。法律の条文は正確性を期すために、丁寧な文章になっていますが、法の趣旨を理解するには、当面考慮しなくてもよい箇所は少なくありません。

会社法を最も要領よく理解する近道は、会社法の骨格となっているところの、有機的なつながりを重視した説明、すなわち会社法の仕組みを理解することではないかと考えます。また、会社法には原則の定めと例文の定めの組み合わせが多数見られますが、本書では例外については省略することで、できるだけ会社法の骨組みを分かりやすくしようと努力しています。

なお、本書では、読みやすさを重視し、本文中では関連する条文番号をいちいち書き込みませんでした。ただ、節や項などのタイトルの下に関連する条文番号を入れておきましたので、さらに勉強される際には、手がかりにしてください。

筆者はこのような方針で執筆し、今まで会社法にあまりなじみがなかった多くの方々が会社法を身近なものと感じていただければと、心から希望しているところです。

平成一八年二月
近藤 光男

近藤 光男 (著)
日本経済新聞出版 (2014/7/16)、出典:出版社HP

目次

[Ⅰ] 会社と会社法
1 会社法とは
2 会社法の特徴
3 会社法上の会社
4 法人としての会社
5 法人格否認の法理
6 株主の利益最大化と企業の社会的責任
7 会社の目的

[Ⅱ] 会社を成立させるまでの手続
1 株式会社の設立の特徴
2 発起人
3 二つの設立手続
4 設立中の会社

5 設立手続
(1) 定款の作成
(2) 絶対的記載事項
(3) 相対的記載事項
(4) 発起設立の手続の概要
(5) 募集設立の手続の概要
(6) 設立登記
(7) 設立に関する責任

[Ⅲ] 会社の資金調達
1 株式
(1) 株式とは
(2) 株主平等原則
(3) 株式の内容
(4) 株式の譲渡
(5) 株主名簿
(6) 自己株式の取得
(7) 単元株式
(8) 端数株式
(9) 株式の併合・分割
(10) 募集株式の発行

2 社債
(1) 社債とは
(2) 募集社債の発行
(3) 募集社債の申込みと割当て
(4) 社債原簿
(5) 社債の流通
(6) 社債の償還
(7) 社債管理者

3 新株予約権
(1) 新株予約権とは
(2) 発行にあたって決めるべき事項
(3) 発行の手続
(4) 既存株主の保護
(5) 新株予約権の譲渡
(6) 新株予約権の買取請求

[Ⅳ] 株式会社の機関
1 機関とは
2 機関の種類

3 株主総会
(1) 株主総会の権限
(2) 株主総会の招集
(3) 株主提案権
(4) 株主総会における議決権
(5) 株主総会の決議
(6) 株主総会の議事
(7) 議事録
(8) 種類株主総会
(9) 利益供与の禁止

4 取締役制度
(1) 取締役とは
(2) 取締役の選任
(3) 取締役の解任等
(4) 取締役の権限
(5) 取締役の義務

5 取締役会制度
(1) 取締役会の機能
(2) 取締役会の運営

6 監査役と監査役会制度
(1) 監査役とは
(2) 監査役の地位の独立性
(3) 監査役の職務と権限
(4) 監査役会の職務と権限

7 指名委員会等設置会社
(1) 指名委員会等設置会社とは
(2) 指名委員会等設置会社の取締役会
(3) 各委員会
(4) 執行役
(5) 代表執行役

8 監査等委員会設置会社

9 役員等の責任
(1) 会社に対する責任
(2) 経営判断の原則
(3) 責任の免除
(4) 第三者に対する責任

10 株主代表訴訟と差止め権
(1) 株主代表訴訟の意味
(2) 訴えを起こせる株主
(3) 多重代表訴訟(特定責任追及の訴え)
(4) 株主の権利と義務
(5) 株主の差止め権

[Ⅴ] 株式会社の計算
1 法規制の意味
2 計算書類の意義
3 計算書類の監査
4 計算書類の公告
5 剰余金の配当

[Ⅵ] 会社の組織再編
1 合併
2 会社分割

3 株式交換と株式移転
(1) 株式交換
(2) 株式移転

4 合併等の手続
(1) 消滅会社等側の手続
(2) 存続会社等側の手続
(3) 新設合併等の手続
(4) 組織再編と株主の保護:株式買取請求と差止め権

5 キャッシュ・アウト

[Ⅶ] 多様な会社の種類と法規制の違い
1 非公開の株式会社

2 持分会社
(1) 持分会社とは
(2) 合名会社
(3) 合資会社
(4) 合同会社

索引

近藤 光男 (著)
日本経済新聞出版 (2014/7/16)、出典:出版社HP