ビジュアル 図でわかる会社法 (日経文庫)

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ビジュアルで会社法を理解する

本書は、会社法を図解や図説で簡明に解説しています。文章だけのテキストや条文を読んでいるだけではなかなか理解しにくいところを図解することで、具体的にイメージしやすく、より理解が深まります。本書を読むことで、会社法の基本を図でイメージしながら理解することができます。

柴田 和史 (著)
日本経済新聞出版 (2014/12/16)、出典:出版社HP

まえがき

本書は、2002年に刊行し、会社法の入門書として、幸いご好評をいただいてきた日経文庫『ビジュアル株式会社の基本』を改題したもので、実質的には同書の第4版にあたります。同書第1版は、学生や社会人をはじめとする多くの方々に、株式会社に関する法制度を苦労なく知っていただきたいと考えて執筆しました。その後、2005年に、全979条の「会社法」が成立しましたので、旧稿を全面的に書き改めて、2006年に第3版を公刊しました。第3版は、学生や社会人の方々のみならず、かつて2005年以前に、商法典52条から500条までのカタカナ条文の下で株式会社法を勉強した多くの社会人の方々からも高く評価していただきました。

その後、判例や学説の進展を踏まえて、数年前から次の改訂の準備を始めましたが、丁度その頃から会社法の改正が予定され、その内容を織り込むことを計画しました。その会社法改正が当初の予定よりも数年遅くなりましたため、これに伴い、改訂版の公刊も遅くなってしまいました。

なお書名は、会社法の入門書であることが端的にわかるように変更しました。また、そもそもは「ビジュアル」という言葉によって、視覚に訴えかけるような紙面構成であることを表明しておりましたが、難解な法律を、図解や図説で簡明に解説しているという特徴をより正確に発信するために、『図でわかる会社法」という書名にしました。

最近は、映画やテレビドラマ、ニュース、新聞、雑誌、さらには漫画などの中で、会社に関する法律用語がしばしば出てきます。例えば、取締役の責任、CEO、執行役員、特別背任罪、株主代表訴訟、利益供与、粉飾決算、合併、会社分割、持株会社(ホールディングスカンパニー)、親子会社、ストックオプション、新株予約権等々です。これらに加えて、平成26年改正により、監査等委員会設置会社、社外取締役、キャッシュアウト(株式売渡請求制度)、多段階代表訴訟(多重代表訴訟)等の新たな重要語が加わりました。本書はこれらについて、目で見て理解でき、さらに、目で見た図説をそのまま記憶できるように配慮しました。

会社法という法律は、取締役会、監査役会、監査役、会計参与、会計監査人、監査委員会などを設置するかしないかを個々の株式会社が自由に定めてよいとしています。しかし、本書では、それぞれが設置されるか否かを場合分けして解説するだけの紙幅の余裕がありませんので、思い切って、大会社かつ公開会社であって、取締役会、監査役会、会計監査人を設置する株式会社を解説の対象としました。

前述しましたように、商法典の52条から500条までの文言も条文の番号も全面的に変えられて、全979条の「会社法」が成立しましたので、それ以前に株式会社法を勉強された方の多くは、新しい会社法について十分に理解できていないのが現状です。社会人として実務に携わっている方々にとっても、本書は、会社法及び平成26年改正会社法の下での株式会社の諸制度を理解するうえで、ハンディで、しかも要点を押さえた格好の入門書と言えます。なお、本文中の条文は、ことわりがない限り、会社法の条文です。

本書の公刊につきましては、原稿の完成を辛抱強く待って下さり、また、随所に的確なアドバイスをいただいた日本社経済新聞出版社日経文庫編集長の平井修一氏に心からのお礼を申しあげます。また、多くの適切な意見と斬新なアイデアを提供してくれた笹久保徹君に感謝の意を表します。

2014年11月
柴田 和史

柴田 和史 (著)
日本経済新聞出版 (2014/12/16)、出典:出版社HP

ビジュアル・図でわかる会社法
目次

第Ⅰ章 会社の種類と設立についての法律
1 会社法で定める会社とは
2 会社の種類
3 多様な株式会社
4 発起設立と募集設立
5 募集設立と創立総会
6 定款
7 相対的記載事項
8 発起人
9 株式の払込金額と資本金の額
10 預合・見せ金
11 会社財産の確保
●COFFEE BREAK 会社法の成り立ち

第Ⅱ章 株式と株主
12 株式
13 内容の異なる株式
14 種類株式①
15 種類株式②
16 株主名簿と株券
17 株式の譲渡と譲渡制限
18 株式の譲渡と株券
19 株式振替制度
20 自己株式の取得
21 株式の相続
22 単元株
23 株主
24 株主有限責任の原則
25 株主の権利行使と会社の利益供与
26 所在不明株主が有する株式の処分
●COFFEE BREAK 対価の柔軟化

第Ⅲ章 会社の機関:株主総会
27 公開会社である大会社の機関
28 株主総会の権限
29 株主総会の招集
30 株主総会の決議
31 議決権の行使方法
32 少数株主権
33 株主提案権
34 取締役等の説明義務
35 株主総会決議取消の訴え
36 決議無効確認の訴え・決議不存在確認の訴え
●COFFEE BREAK 社長と社員

第Ⅳ章 会社の機関:取締役、監査役
37 取締役・代表取締役
38 取締役会の権限
39 取締役会の決議等
40 取締役の資格
41 社外取締役・社外監査役
42 取締役の選任
43 取締役の終任
44 法令・定款・株主総会決議遵守義務
45 善管注意義務と経営判断の原則
46 取締役の忠実義務
47 利益相反取引
48 競業避止義務
49 取締役の報酬
50 ストック・オプション
51 取締役の会社に対する責任
52 取締役の第三者に対する責任
53 取締役の責任の一部免除
54 株主代表訴訟
55 執行役員
56 監査役と監査役会
57 監査役の権限
58 会計参与
59 会計監査人
60 指名委員会等設置会社と執行役
61 指名委員会等設置会社と3種の委員会
62 監査等委員会設置会社
●COFFEE BREAK コーポレート・ガバナンス

第Ⅴ章 資金調達、計算書類
63 資金調達
64 募集株式の発行
65 第三者割当増資
66 募集株式発行の差止
67 新株発行の無効・不存在
68 新株予約権
69 社債
70 新株予約権付社債
71 計算書類の作成と承認
72 計算書類の監査
73 貸借対照表
74 損益計算書
75 分配可能額
76 剰余金の違法配当
77 資本金の額等の減少
●COFFEE BREAK 刑事罰

第Ⅵ章 企業結合、解散・清算
78 合併総論
79 吸収合併
80 株式交換
81 株式移転
82 新設分割
83 吸収分割
84 事業譲渡
85 株式売渡請求制度
86 持株会社
87 親会社の債権者と株主の保護
88 多段階代表訴訟(多重代表訴訟)
89 子会社の債権者と少数株主の保護
90 解散・清算

柴田 和史 (著)
日本経済新聞出版 (2014/12/16)、出典:出版社HP