水泳 日大豊山式4泳法強化法 (身になる練習法)

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速くなる、うまくなる、強くなる

高校インターハイ王者による水泳強化メソッドの解説本です。距離別にやっておくべき練習メニューや時期による練習のポイント、4泳法ごとのドリルなどのトレーニングメニューが満載です。中高生のスイマー、また指導者の方におすすめの1冊です。

竹村 知洋 (著)
出版社 : ベースボール・マガジン社 (2018/4/25)、出典:出版社HP

INTRODUCTION
はじめに

この本には、私が選手として経験してきたこと、指導者として経験してきたことを踏まえて、トレーニングメニューの内容、組み立て方、考え方。スケジュールの組み方、ドリルの内容、陸上トレーニングからコンディショニングに至るまで、私のすべてが詰まっています。この一冊を読んでいただければ、日大豊山流のトレーニング計画、メニューは作ることができるところまで、詳細にわたってお伝えしたつもりです。日大豊山は男子校ですから、練習メニューや選手としての心構え、チームビルディングの考え方に関しては、男子に特化している部分もあります。
ですが、大切なのは、ここに書いてあることをそのまま実行することではありません。これをベースに考え、自分たち、そして自分たちのチームの状況やレベルに合わせてカスタマイズしていくことを何よりも大事にしていただきたいと考えています。ただ与えられたことを実行するよりも、自らで試行錯誤し、率先して自ら取り組んだほうが身になります。それと同じことですね。
トレーニングというものは、どんどん進化していきます。たとえば、私が現役選手として取り組んでいた練習内容と、今の選手たちが行っている内容とは全くと言ってよいほど違います。時代に合わせ、選手に合わせ、トレーニング内容は変化させていかなければならないのです。ですから、いつまでも与えられたことを繰り返していても、成長はありません。
ただ、ひとつ大切にしてもらいたいポイントもあります。それはドリルでフォームを習得する順番(段階)です。
バタフライ、背泳ぎ、クロールに関しては、腰に力を入れることが第1段階、キックの習得が第2段階、プル(入水やキャッチ、フィニッシュ動作)の習得を第3段階として、スイム(コンビネーション)が第4段階、そして呼吸動作の習得が第5段階と考えています。
平泳ぎに関しては、まずストリームラインの習得を第1段階として、第2段階がキック動作、第3段階でプル(キャッチからフィニッシュ動作)を習得し、第4段階にスイム(コンビネーション)、そして第5段階で呼吸動作の習得になります。
このような段階で泳ぎを習得していくと、効率良く、良いフォームを覚えられるのです。
たとえば、いきなり呼吸の動作を習得することはできません。その前に水中の姿勢があって、姿勢を維持するためのキックがあって、それをベースにストロークを組み立てていきます。プラモデルなどを組み立てるときに、パーツを組み立てる順番があるのと同じで、泳ぎの習得にも順番、段階があるのです。それを日大豊山では、とても大切にして練習しています。
メニューや練習内容に関しては、チームによってどんどん変化させていって良いと思いますが、できれば泳ぎを修正、習得する際には、この段階は前後させず、第1段階から順番に行ってみてください(本書のドリルのところに「段階』を記載しています)。
本書は、皆さんが水泳で速くなるだけではなく、身体を強くしたり、ケアをしたり、チームとしての団結力を高め、日々の練習はもちろんのこと、試合でも最大の力を発揮できるようになるための方法を、様々な観点から分析し、必要な要素を盛り込みました。個々でご紹介しているメニューやドリル、トレーニング方法のすべては、明日からすぐにでも取り組める内容です。すべてを行うことができなかったとしても、ドリルだけ、メイン練習だけ、キック練習だけなど、少しでも取り入れていただき、それが選手、指導者の皆さまの力となればうれしい限りです。

竹村知洋

竹村 知洋 (著)
出版社 : ベースボール・マガジン社 (2018/4/25)、出典:出版社HP

CONTENTS
目次

はじめに
本書の見方

第1章 上半期のトレーニング
Menu001 量的強化期・ショートグループメニュー&姿勢の確認
Menu002 腰の力をストロークに伝える
Menu003 腰の力が入っているかを水中で確認
Menu004 量的強化期・ミドルグループメニュー&水を捉えられるキャッチ
Menu005 2種類の片手クロールでキャッチの感覚を覚える
Menu006 水を捉える動作だけを繰り返すキャッチドリル
Menu007 量的強化期・ロンググループメニュー&キャッチでヒジを立てて効率良く水をつかむ
Menu008 パドルを活用してヒジを立てる感覚を養う
Menu009 アロードリルでコンビネーションのなかでキャッチを開始するタイミングを覚える
Menu010 質的強化期・ショートグループメニュー&腰に力を入れつつフラットな姿勢を作る
Menu011 陸上で腰の力を伝えられるキャッチ動作のポイントを覚えよう
Menu012 キャッチドリルで腰の力を使って水の感覚を捉える感覚を掴む
Menu013 量的強化・ミドルグループメニュー&効率良くキャッチ動作につなげる入水を学ぶ
Menu014 リカバリー中に一度手を止めるストップモーションで落ち着いて入水させる
Menu015 理想の入水位置を覚えられる両手背泳ぎドリル
Menu016 質的強化期・ロンググループメニュー&ヒザの裏側を意識したキックを覚えよう
Menu017 フィンキックで推進力を高め良いキックの感覚を覚えよう
Menu018 水面バサロで脚の裏側を使う感覚を養う
Menu019 調整期・ショートグループメニュー&抵抗の少ないストリームラインの作り方
Menu020 壁を蹴ってからのストリームラインで姿勢の練習を繰り返す
Menu021 アシステッドチューブで抵抗の少ない姿勢を体感する
Menu022 調整期・ミドルグループメニュー&足首をうまく使ってキックで水を捉える
Menu023 足首だけキックでつま先まで意識をする
Menu024 片足キックで左右差をなくしつつ片足でも水をしっかり捉える感覚をつかむ
Menu025 調整期・ロンググループメニュー&小指からキャッチしてヒジを立てる
Menu026 キャッチドリルで小指から水を捉える感覚を磨く
Menu027 シュノーケルを使って左右のバランスと水を後ろに押す感覚を養う
Menu028 試合期・ショートグループメニュー&バタフライはキックで泳ぎのリズムを作る
Menu029 水面キックドリルでうねりを抑えたキックをマスターする
Menu030 フィンをつけて良いキックを打つ感覚に慣れる
Menu031 試合期・ミドルグループメニュー&バタフライのリズムを決めるキャッチの仕方
Menu032 キャッチドリルで第1キックからのキャッチのタイミングを覚える
Menu033 フィニッシュ動作と第2キックのタイミングを覚えるフィニッシュドリル
Menu034 試合期・ロンググループメニュー&フラットな姿勢を保てるバタフライの呼吸法
Menu035 水中リカバリードリルで泳ぎのタイミングを通して覚える
Menu036 片手スイムで感覚をコンビネーションに近づけていこう
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第2章 下半期のトレーニング
Menu037 量的強化期・ショートグループメニュー&コンビネーションのなかで磨くバタフライのタイミング
Menu038 4K1Pと3K1Pを使って落ち着いてタイミングを合わせる
Menu039 フィンスイムで良いフォームを体感する。
Menu040 量的強化期・ミドルグループメニュー&力強く飛び出すスタートのポイント
Menu041 バタフライキックを効率的に使って高いスピードを維持したまま浮き上がる
Menu042 15mラインまでのタイムを計り最も速い浮き上がりのタイミングを見極める
Menu043 量的強化期・ロンググループメニュー&コンパクトに素早く回転するターンの方法
Menu044 ターン練習その1 壁に手をつくタイミングを覚える
Menu045 ターン練習その2 素早く回転するために身体をコンパクトに
Menu046 質的強化期・ショートグループメニュー&水の抵抗を受けない平泳ぎの呼吸法
Menu047 身体が起き上がりすぎないときの呼吸動作の目線の位置
Menu048 ヘッドアップドリルを活用して前方への体重移動の感覚を養う
Menu049 質的強化期・ミドルグループメニュー&キックの推進力を生かせる泳ぎのタイミング
Menu050 キックの回数を多めに入れる3K1Pと2K1Pでタイミングを覚える
Menu051 3P1Kと2P1Kでブルを多めに入れてもタイミングを合わせられるようにしよう
Menu052 質的強化期・ロンググループメニュー&勢いよく飛び出せるスタートを覚える
Menu053 平泳ぎの浮き上がりその1 ひとかきひとけりの『ひとかき』
Menu054 平泳ぎの浮き上がりその2 ひとかきひとけりの『ひとけり』
Menu055 調整期・ショートグループメニュー&力を発揮できるキックとプルのタイミング
Menu056 片手ドリルでキックとプルのタイミングを確認する
Menu057 前腕でも水を捉える感覚を養えるフィストスイム
Menu058 調整期・ミドルグループメニュー&背泳ぎのスタートでも1点入水を目指す
Menu059 入水からバサロキックまでは素早く行おう
Menu060 力強いひとかきで浮き上がってバサロキックのスピードを泳ぎに生かす
Menu061 調整期・ロンググループメニュー&素早く身体を下に向けてからターン
Menu062 身体をうつ伏せにするタイミングを繰り返し練習して身体に覚え込ませる
Menu063 回転したらそのまま上を向いたまま壁を蹴ってバサロキックに移行する
Menu064 試合期・ショートグループメニュー&腰の力を足先に伝えるキック
Menu065 背泳ぎのキックを使ってヒザを曲げすぎない打ち方を覚える
Menu066 クロールのクイックターンは蹴り出したあとに身体をうつ伏せにする
Menu067 試合期・ミドルグループメニュー&リラックスして行うリカバリー動作
Menu068 フィンガータッチドリルでリラックスしながら身体の近くでリカバリー
Menu069 パラシュートを使った練習で身体を安定させて泳ぐ感覚を身につける
Menu070 試合期・ロンググループメニュー&軸がぶれない呼吸時の首の動かし方
Menu071 シュノーケルを活用して軸がぶれない泳ぎ方の感覚を身につける
Menu072 呼吸動作のポイントは顔を素早く上げて素早く戻す
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第3章 陸上トレーニング
Menu073 腹筋の上部を鍛える腹筋
Menu074 腹筋下部を鍛える脚上げ腹筋
Menu075 体側も鍛えられる捻り腹筋
Menu076 下半身全体を鍛えるスクワット
Menu077 瞬発力を鍛える両脚ジャンプ
Menu078 バランスも鍛えられるランジ
Menu079 上半身を鍛える腕立て伏せ
Menu080 体幹の強化も兼ねた腕立て伏せ
Menu081 きれいな姿勢を作れる体幹を鍛える
Menu082 姿勢を維持する背筋を作る
Menu083 体幹側部を鍛えるトレーニング
Menu084 体幹全体と身体のバランスを整える
Menu085 肩のインナーマッスルに刺激を入れる
Menu086 身体のバランスと上半身を鍛える
Menu087 腹筋を高い負荷で鍛え上げる
Menu088 メディシンボールで上半身を鍛える
Menu089 背筋と瞬発力を鍛える
Menu090 大胸筋のパワーをつける
Menu091 下半身のパワーをアップさせる
Menu092 背筋力をアップさせる
Menu093 広背筋を鍛える
Menu094 上腕二頭筋を鍛えてパワーをつける
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竹村 知洋 (著)
出版社 : ベースボール・マガジン社 (2018/4/25)、出典:出版社HP

第4章 コンディショニング
Menu095 腹筋を伸ばすストレッチ
Menu096 体幹側部を腰部をストレッチ
Menu097 腸腰筋を股関節をストレッチ
Menu098 キックで使う太ももを伸ばす
Menu099 ふくらはぎとアキレス腱を伸ばす
Menu100 ストロークで使う上腕三頭筋を伸ばす
Menu101 故障が多い肩の筋肉を伸ばす
Menu102 脇の下から胸までしっかり伸ばす
Menu103 関節を動かして身体を温める
Menu104 肩周りと背中をしっかり伸ばしておこう
Menu105 日々の練習を頑張るためにも栄養素を考えた食事を摂ろう
Menu106 量的強化期・質的強化期・調整期・試合期それぞれの期で重点的に摂りたい栄養素
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第5章 チームビルディング
Menu107 チーム一丸となって目標達成に向かう意味
Menu108 監督、コーチ、マネージャーもチームの一員
素直な気持ちを持って話を聞こう
Menu109 チームの強さは選手以外の場所に現れる
Menu110 指導者もチームをまとめるために何ができるかを考える

第6章 強い選手になるためのメンタル
Menu111 弱点を徹底して取り組んで直す
Menu112 問題を自らで見つけて解決する方法を探る
Menu113 不満を口にするのではなく、改善方法を考える
Menu114 必ず努力が実を結ぶと信じる心を持つ

第7章 トレーニングスケジュール
Menu115 1年を8つの期に分けて計画してみよう
Menu116 練習量と強度の関係性を知っておこう
Menu117 第1章のメニューをうまく組み合わせてみよう
Q&A

おわりに

本書の見方

本書では、写真や表、アイコンなどを用いて、一つひとつのメニューを具体的に、よりわかりやすく説明しています。写真や“やり方”を見るだけでもすぐに練習を始められますが、この練習はなぜ必要なのか? どこに注意すればいいのかを理解して取り組むことで、より効果的なトレーニングにすることができます。普段の練習に取り入れて、上達に役立ててみてください。

身につく技能が一目瞭然
練習の難易度やかける時間、段階、あるいはそこから得られる能力が一目でわかります。自分に適したメニューを見つけて練習に取り組んでみましょう。ただし、難易度の感じ方には個人差があります。また、時期や目的によってかける時間は変化します。

実践練習メニュー
KICK、PULL、SWIM、陸上トレーニングと、どの時期にどんな内容のトレーニングをしたらいいかの参考例です。

知っておきたい練習のポイント
この練習がなぜ必要なのか? 実戦にどう生きてくるのかを解説。また、練習を行う際の注意点を示しています。

年間スケジュール、トレーニングメニューの組み立て方はP164~167をチェック

竹村 知洋 (著)
出版社 : ベースボール・マガジン社 (2018/4/25)、出典:出版社HP