儲かる 農業ビジネス (静岡産業大学 大化けブックス)

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農業を始めるために大切なことがわかる

農業は近年成長産業として各方面から注目を集めています。ただ、生産性が低い分野と捉えられることも多く、一般にネガティブなイメージもいまだにつきまとっています。本書は、農業法人、農協、量販店、行政などの実践を紹介し、経営学の知見を農業ビジネスに応用してもらえるように解説しています。農業を始めお湯、農業で跳躍しようという人におすすめです。

堀川知廣 (著), 大谷徳生 (著), 稲葉穎 (著), 岡あつし (著), 谷和実 (著), 清水和義 (著), 加藤百合子 (著), 大坪檀 (著), 岩崎邦彦 (著), 新農業経営研究会(堀川知廣・大坪檀) (編集)
出版社 : 静岡新聞社 (2019/11/27)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 農業ビジネスの現状と取り組み
第1節 これからの農業ビジネス (堀川知廣)
第2節 静岡県の農業ビジネスのすすめ(大谷徳生)
第3節 藤枝セレクション(稲葉 穎)
第4節 静岡県立農林大学校における農業ビジネス経営学(岡あつし):

第2章 農業ビジネスの参考事例
第1節 大井川農協の未来志向とスーパーマーケットの取り組み(谷和実)
第2節 藤枝市 富士農園の農業ビジネスの展開~ビジネス化の苦心~(清水和義)
第3節 Food&Farm Ecosystem を目指して(加藤百合子)
第3章 農業の大化け ~そのカギは農業のビジネス化とマーケティング(大坪檀)
第4章 農業におけるマーケティングの大切さ (岩崎邦彦)

あとがき

堀川知廣 (著), 大谷徳生 (著), 稲葉穎 (著), 岡あつし (著), 谷和実 (著), 清水和義 (著), 加藤百合子 (著), 大坪檀 (著), 岩崎邦彦 (著), 新農業経営研究会(堀川知廣・大坪檀) (編集)
出版社 : 静岡新聞社 (2019/11/27)、出典:出版社HP

はじめに

農業は近年、成長産業として各方面から注目を集めています。ただ、生産性が低い分野と捉えられることも多く、一般にネガティブなイメージもいまだ付きまとっているように思われます。具体的には「小規模」「儲からない」「担い手の高齢化」「後継者不足」「仕事がきつい」「天候に左右され不安定」など…。残念ながら、どれもそう見られてしまうだけの理由・現況があるようです。

例えば全農家の経営耕地面積の平均は1.9ヘクタール(2009年)で、米国198ヘクタール、ドイツ3ヘクタール、フランス18ヘクタール、イギリス3ヘクタールと先進各国に比べて、極めて小規模です。経営耕地が20アール以下または販売金額が3万円未満の農家(自給的農家)も全体の4割近くを占めています。一方で農家が貧しいかと言えば、決してそのようなことはありません。農家総所得は平均526万円(2017年)。農業から得られる所得は191万円にとどまりますが、会社勤務や不動産賃貸などの兼業収入でカバーしているのです。

兼業しながら受け継いだ農地を守り、金にはならなくても農業を営むという選択はあって当然ですし、もちろん批判される筋合いもないでしょう。しかし、農業を産業・ビジネスと捉えた場合、別の問題が立ち現われてきます。担い手の高齢化、減少を放置したままでは先細りは不可避です。日本の「食」を支える農業を時に流されるままに縮小させてよいはずはありません。

新鮮でおいしくて安全な農産物の需要はますます旺盛ですし、国内だけでなく国外からの需要も今後伸びが見込まれています。農業が持つ大きな可能性はおのずと明らかなのです。それにもかかわらず「どうせ儲からないから」という先入観が参入をためらわせているとしたら、不幸なことです。関係者が率先して旧来の農業のイメージを払拭し、やりがいと魅力がある新たな農業を積極的に創り発信していく必要があります。

静岡県内では既に行政や民間有志の取り組みが始まっています。県は他に先駆けて農業を成長産業と位置付け、20年ほど前からビジネスとして農業を行おうとする者を支援する姿勢を明確に打ち出しています。特に担い手となる「ビジネス経営体」の育成を軸に据え、新たな農業構築を目指しています。マーケティング戦略に基づいて商品・サービスを提供し、一定の雇用と販売規模を有し、永続的で成長を志向する経営体。そうした条件を満たす県内のビジネス経営体の数は381(2014年)、推定販売額は748億円と、全県の農業産出額の3分の1を占めるまでになっています。試行錯誤の歩みとその成果を 振り返れば、農業をもっと儲かり、やりがいのある、誰もが憧れる産業としていくためビ ジネス化の重要性は明らかでしょう。

本書は、新農業ビジネス研究会を主宰する静岡産業大学の大坪檀、堀川知廣の2人が企画・構成しました。農業に新たに挑戦してみようと考えている人、既に農業に従事しさらなる飛躍(法人化、事業拡大)を展望している人にとって参考となり、その志を鼓舞できるようまとめたつもりです。農業ビジネスにさまざまに関わっている方々に執筆をお願いし、農業法人、農協、量販店、行政などの実践を紹介しています。さらに、経営学の知見を農業ビジネスに応用してもらえるよう解説しました。特に基本となるマーケティングについては、重複してもあえて視点を変え、できるかぎり丁寧に取り上げました。

さて、農業ビジネスを成功に導く決め手は一体何でしょうか。適切なマーケティング、ICTなど情報技術、生産ノウハウ、行政・金融機関の支援と色々と挙げることはできますが、何よりも当事者に熱情(パッション)がなくては始まりません。本書が魅力的な農業の姿を少しでも浮かび上がらせ、意欲的で企業家精神にあふれる人たちにとって志の口火としていただけたなら幸いです。

堀川知廣 (著), 大谷徳生 (著), 稲葉穎 (著), 岡あつし (著), 谷和実 (著), 清水和義 (著), 加藤百合子 (著), 大坪檀 (著), 岩崎邦彦 (著), 新農業経営研究会(堀川知廣・大坪檀) (編集)
出版社 : 静岡新聞社 (2019/11/27)、出典:出版社HP